ちょっと文字数少ないけど許して!
七時十二分に投稿したかったんだ!
「ねー、ねー」
赤ちゃんがぐずる声で目が覚めた。
「お腹すいた」
分かるよ。お腹が減ったのね
赤ちゃん育ててはや三日だ。
赤ちゃんの声だけでほしい物が分かるようになった私は、眠い目を擦って立ち上がる。
「⋯⋯承知ですぅ」
「ミルクー」
ミルクが欲しいものだね。わかるわかる
「少々お待ちくださいませぇ」
周りを見ると真っ暗な部屋の中、キッチンで都竹が変な格好で眠っていた。
正確には、キッチンの立つ場所で眠っている。
キッチンの周りで、なにをやっているんだろうかコイツは。
いや待て。
「うわぁっ!」
「うおぉっ!」
大声を上げて振り向くと、少女も同じく悲鳴を上げて飛びのいた。
そう、少女である。赤ちゃんではなく少女だ。
寝起きだったのと都竹に気を取られていたことで違和感に気付けなかった。
真っ暗な部屋の中、私と都竹が育てていた赤ちゃんが成長したであろう少女が、驚いたように目を見開いている。
「ビビったぁ⋯⋯」
「いや一番ビビったの私なんだが…?」
私と少女の声で目覚めたのか、キッチンからムクリと都竹が目を覚ました。
いや、私の方がビビってるからね?
いきなり家に十歳程度の少女が生えてきた私の方が。
まぁ、赤ん坊の時からおかしいとは思っていたんだ。ゲーミング電柱から出てきた事とか、ゲーミング電柱から出てきた事とか...
アレおかしいな。ゲーミング電柱が印象として強すぎて、他のことが思い出せない。
考えるのはやめよう。取り敢えず、こいつは絶対に人間じゃない。そうと分かれば──
「お引き取りください!」
買ったばかりの西竹屋グッズを一瞬で梱包し、少女に送りつけた。
「⋯⋯?」
しかし少女はなにも分かっていないのか、不思議そうな顔をして西竹屋の箱を見つめながらポカンとしていた。
「⋯⋯どゆこと〜〜〜?」
「説明しようお姫様。彩葉は君にここから去ってほしいんだ。だからその箱を渡しているわけだ」
⋯⋯こいつは本当に寝起きか?
この謎状況に適応している挙句、何も分かっていない少女に私の心情を分かりやすくした説明をしている。
「えっ子供にそんな事言うとか、人の心とかないんか?」
「⋯⋯将来有望だな」
なにが将来よ。
「得体の知れない物は、お断り!」
少女の腕を取り、力づくでご退出願う事にした。
「やだー!」
「ちょっと動いてよ」
「いーやーだー」
動かざること山の如し。
ちっちゃい体を目一杯使って抵抗している
「女子高生と小さい娘が戦ってるのおもしれー。愉悦愉悦」
私よりよっぽど人の心がない都竹を横目に、少女と引っ張り合った。
だが舐めるなよ、ゲーミング電柱には負けたが、こんなちっちゃい子供なら話は別だ。
綱引きの要領で全力で引っ張る
「痛い痛い痛い」
「あ、ごめん」
「あああああああ!」
あ、もっとごめん。痛いと言われてつい手を離したら、反動で少女はゴロゴロと床を転がって、
──ゴスッ!
と、頭をアルミサッシに打ち付けた。
「「大丈夫!?」」
さっきは笑っていた都竹も少女の痛そうな姿を見て心配した
「頭痛い〜〜。手も痛い〜〜。誰か助けて〜〜」
『助けて』。その言葉を聞いて、私は途方に暮れてしまう。
──助けて?そないなこと気軽に言えるのが私の娘やなんて、ほんま驚きやわ。この世で頼れるんは自分一人や言うたよな?もう忘れてしもたん?せやったら──
「彩葉冷蔵庫借りるね」
都竹の声で我に返った。いいよと言葉を交わしながら、都竹はテキパキと冷凍庫の中にある氷を使って、氷嚢を作成していく。
都竹はいつもそうだ。困っている人を見かけるとすぐ助けに行く。いつもは私をからかったりするクセに、困っている人を助ける時は真面目な顔で助けに行く。
「はいこれ痛いとこに付けて」
そう言って少女に氷嚢を渡した。
「ありがとう!お兄ちゃん!」
突如、都竹恵の脳内に溢れ出した存在しない記憶。
──お兄ちゃん、こんなに食べれないよ!
──お兄ちゃん、これあげる!
──お兄ちゃん、これ買って!
──お兄ちゃん、大好き!
この間、五秒である。
「そうだ私はお兄ちゃんだ」
少し黙った都竹が、唐突に上を向き涙を流し始めた。
どうなってるんだこいつは。なんで泣き始めた?いつもより変だぞ。
「なんで泣いてるの?大丈夫?」
心配した口調で少女が彩葉に喋りかけた。
「あぁ、お兄ちゃんは大丈夫だ。何も心配するな」
「わかった!」
少女は分かったのか分かっていないのか、判別ができない顔で、都竹に答えた。
「あと、お腹減った〜このままだと死んじゃう〜」
少女が目を潤ませて、媚びたように小首を傾げて都竹と私におねだりしてくる。
ぐぅー。
そういえば、夜のミルクがまだだった。私もご飯を食べ損ねていた。
ぐぅー。
少女の腹グーに誘われて私のお腹がなった。
都竹がいるのに恥ずかしい…
ぐぅー。
私の腹グーに続いて都竹のお腹がなった。
そうだ私が食べていないなら、そりゃあ都竹もご飯を食べていないか。
「ご飯持ってくる!」
都竹はそう言って、ぴゅーんと言いたくなる速度で私の家を後にした。
別にご飯だけなら、私の家にもあるのにな
*
「ほら、お上がりよ!」
すぐ戻ってきた都竹はご飯を大量に抱えて戻ってきた。
パスタにオムライスにチャーハンと野菜炒め、コロッケ。
うん、本当に大量だ。今食べると太ってしまいそうなほどの量だ。
「──っ!」
食べようにも、カロリーが気になってしまう華の女子高生の私とは反対に、謎の少女はオムライスに手を伸ばしパクパクと食べている。
「すごい!なにこれ?!」
「それはオムライスだよ〜」
「オムライス大好き」
少女は左手を使ってオムライスを食べている。単純に左利きというより、都竹の食べ方を鑑写しにコピーしているように見える。
一方都竹は、少女の食べる姿を見て、ニコニコ笑いながら、野菜炒めを食べている。
それにしても、本当に美味しそうに食べるな⋯⋯
「都竹これいくら位したの?」
「うーん、忘れた!」
私はチャーハンを選んだので、三人で小さいテーブルに座りながら、都竹に私の分のご飯と少女の分のお金を渡そうと金額を聞いたが、都竹は忘れたの一点張りでお金を受け取ろうとしない。
「そんなマネーの話はどうでもいいの、ご飯食べて♡」
「お兄ちゃん!この黄色いのなに?」
「卵だね」
いつもの全部のらりくらりと躱す都竹に戻ってしまった。
今までの三日間は、都竹の素が見えていたのに。
なぜか少し、もやもやとした気持ちになった。
「じゃあこの赤いのは?中のちっさいモキュモキュしたのは?」
「ケチャップと鶏肉だよ」
「うまっ、うまっ、うまっ!」
「たくさん食べてね」
都竹は優しげな顔を浮かべながら少女の頭を撫でている。
⋯⋯一緒に育てたとはいえ、私よりよっぽどお母さんの顔してるな?
いや、そんな事より──
「あなたどっから来たの?」
私は一番気になっていた事を少女に聞いた。
「んっ」
すると少女は、あそこに決まってるでしょ?という顔をして月を指差した。
「そっかぁ、月かぁ」
都竹は「なるほどなぁ納得だ」みたいな顔してるけど、なんで驚かないのよ。もっとあるでしょ、宇宙人よ?宇宙人。
「で?宇宙人は何しに来たの?侵略?」
「うーん、何かあんまりよく覚えていないんだけど〜〜。とにかく、毎日超つまんなくて〜〜。楽しいところに逃げた〜〜いって、思った気がする」
なによ、気がするって。軽すぎるよ、説明が。おまけに理由も。
「そっかぁ、辛かったんだねぇ、お兄ちゃんが守ってあげるよ〜」
都竹は宇宙人を撫で回しながらそんな事を言った。
「都竹甘やかさないで。あと逃げんな〜」
「お兄ちゃんは妹に甘いものだよ」
「え〜〜なんで〜〜?」
対処が面倒くさい都竹は無視して、少女に話しかける。
「逃げるのは簡単だけど、そのあと再スタートって大変だよ?覚悟あんの?」
「覚悟〜?やりたくなかったらやんない。やりたかったらやる!お兄ちゃんもそう思うよね?」
「当たり前だ」
いや「当たり前だ」じゃないが?はぁ、都竹には突っ込まない気でいたのについ突っ込んでしまった。こんな所で己が関西人であることを思い知ってしまった。
別に関西人全員が突っ込みする訳じゃないけどね?
「あと日々がつまんないとか当たり前」
「え!やだー!彩葉はそれでいいのー?」
はぁ、都竹のおかげで私の名前が宇宙人に知られてしまった。
「あのさ、ちなみにだけど、これに心当たりは?」
床に転がっているタブレットを取り出し、竹取物語の絵本を示して見せた。
「なにこれ?」
「竹取物語。月からやって来たかぐや姫が竹の中から出てきて翁が拾って育てて、結婚迫られたりとま色々あって⋯⋯まぁ、ごちゃごちゃありますって感じのお話」
「めっちゃ端折ったな」
馬鹿正直説明すると長くなるんだから、仕方ないじゃん。
「けっこん?」
可愛っ⋯⋯く!ない!決して!断じて!
一瞬正気を失いかけたが、ギリギリセーフだ。
「ンンンッッ!!!!!」
都竹は奇声を上げて耐えていた。
これは耐えたと言えるのかは謎だが。
「たけー?」
「アァアッ!!」
「お兄ちゃん死んじゃった」
都竹マイスターの私の分析では、これは尊死だ。
都竹はよくこれで倒れている。理由はよく分からないが。
「都竹はよく倒れるから、心配するだけ無駄だよ」
「おいしそう⋯⋯」
聞けよ、話を。ご飯に頭をジャックされているらしい少女は、竹取物語を表示しているタブレットではなく、私が食べているチャーハンに目を向けた。まだ食う気かこいつは。
「ううう」
そして、素早くに泣き落としに入ってきた。
諦めてチャーハンを譲ると、少女はあっさりと泣き真似をやめすぐにチャーハンをパクついた。
「いただきまーす。で、なんだっけ?」
「だからぁ!」
「あぁ、そっか彩葉は、このお爺ちゃんなんだね」
ぶっ飛ばしてやろうか。月まで。
お爺ちゃんというなら一応男である都竹だろうに、なんで私がお爺ちゃんなんだよ。
「八十年後の姿でも見えてるのかなぁ?違うよー?」
「ぬはは〜」
今度は笑って誤魔化しに来たか。都竹から学んだな?
「うわぁ、こっちのオムライスも美味しい!」
「それはチャーハン!」
「オムライス美味しっ」
こんの宇宙人め、人の話を聞けよ。
あぁ、もうこんなのかぐや姫じゃないただの大食い宇宙人だ。
「どーすればもっと食べれるの!?」
「あぁ、それは料理を作るといいぞ」
さっきまで倒れていた都竹が復活した。
「りょうり〜〜?してみたあああい!!」
「明日なら私が手伝えるよ」
「やった〜〜!」
都竹はこの宇宙人に甘すぎる。いつかこの宇宙人に骨までしゃぶられないか心配だ。
そういう油断で、背中が撃たれる世界なんだから。
ハッ、いかんいかんまたお母さん語録が出ていた。
「で、お話はどうなるの彩葉?」
「えーと、うん、お迎えが来てー、翁達が引き渡すまいと戦うも空しく、姫は羽衣を着させられて、地球のことは忘れる。で、帰る」
「おー」
「⋯⋯」
都竹は無言で少女を撫で続ける。
「で、続きは?」
「ない。終わり。めでたしめでたし」
「え、月に帰って終わり?なにそれ、なにめでたしなのさ!?ちょーバットエンド!かぐや姫絶対不幸じゃん!しかも何かいい話風に終わってるのが余計許せないよ!お兄ちゃんもそう思うよね!?」
「あぁ、そうだ!」
困ったらすぐ都竹を頼るのやめなさい。あんたが都竹を頼ると都竹は全肯定BOT成り下がるんだから。
というか、なにがそんなに癪に障るのか、やたらと批評している。言われ見ればかぐや姫だって、月に帰ることが本意だったのかは分からない。でも──
「これは、そういうお話なの」
付き合えきれなくて、少女が食べて終わって空になったお皿を流しに運んだ。洗って都竹に返さねば。
話はこれでお終い。と意思表示したつもりだったが、宇宙人にはそんな事は関係ないようで、
「バッドエンド、やぁーだぁー」
「ハッピーなのがいーいー!」
「バッドエンド、や〜〜〜だ〜〜〜♪ハッピーなのが、い〜〜い〜〜♪」
「流石だ妹よ。歌も上手いんだねぇ」
なぜか歌い始める宇宙人と、それを褒める一般男子高校生
なんだこの状況は。
溜め息が出そうな状況で私は、都竹の料理が入っていたプラスチックのタッパーを洗いに、流しに立ち振り返った。
「どうしようもないじゃん。暴れたって、歌ったて、決まってることが変わるわけじゃないし」
「受け入れて覚悟するしかない」
「⋯⋯」
少女と少女を撫でる都竹が私の顔をじっと見つめてくる。
二人とも黙り込み、固まった様に動きを止めている。
一体なにを考えているのだろうか。
「よし、決めた!」
少女は再起動したのか、いきなり喋り始めた。
「自分でハッピーエンドにする!」
「お兄ちゃんも手伝おう!」
「やったー!じゃあハッピーエンドまで彩葉とお兄ちゃんも連れてく、一緒に!」
都竹も再起動し、アイドルの様にポーズを決めている少女と共に、ポーズを決めた。
四畳半の部屋で変な動きするのやめてくれないかな。
もういっそ少女と都竹を、JAXAかNASAにでも売り付けてやろうか。宇宙人とその飼い主として。
多分「エレガントだ」って言いまくる科学者が買い取ってくれるはずだ。唆るぜ、これは。
「おっそろしいこと考えてない?彩葉?」
「ハッピーエンドいらない、フツーのエンドで結構です」
「えっ無視?」
「うそうそうそ!なわけないでしょ?」
どうしようかさっきの発言撤回して売りつけてやりたくなってきた。
思えばこの少女には私の三連休を吸い取られた挙句、都竹が私の部屋に入り浸りまくっているのだから。
冷静に考えなくても、女子高生の家に男子高校生がずっといるのはどうかしてる。
「あーもう寝かせて!あと都竹は出てけ!」
「この時間に家に行くのめんどいんだけどー!」
「あんたの家、私の下でしょ!」
階段降りるだけなんだから、面倒くさいなんて言うんじゃありません!
「仕方ないなぁじゃあ二人共また今日ね」
駄々を捏ねるかと思っていたけど、意外とすぐ都竹は帰っていった。
というか仕方ないってなによ。私の部屋がそんな居心地が良かったのか?
はぁ、もういいや考えるのも面倒くさい。
もう寝よう。
かぐやっほー!!!
かぐや誕生日おめでとう!!!!!
彩葉視点、都竹視点どっちがいいですか?
-
彩葉
-
都竹