この日の夜流れで抱き合って同じベッドで互いの匂いを嗅いでいたら熱っぽい空気になったところで星歌さんが「ゲームやろーぜー」と入ってきてぼっちが弾けました。

ピクシブで雨のエフェクトを使ってみたかったのでバタバタ書いたので短いですが梅雨のぼ虹です。となれば相合傘デートですよね!(安直
紫陽花が好きなのでもっと紫陽花を絡めて書きたかったんですがイマイチ話を広げられなかったのが悔やまれます。

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第1話

ぼっちside

 

 雨の日は好き。晴れの日は陽のオーラに焼かれてしまいそうになるけど雨の日は陰のオーラで落ち着くし、私の見苦しい姿が誰にも見られずに済むから。

 とは言え今みたいに傘が無い状態で立ち往生する羽目になるのは少し困るなぁ……。

 今日はSTARRYでの練習後、バイトも無かったので解散となったんだけど帰りの途中急に雨が振り出してしまい、今私は空きテナントの閉じたシャッターの前で雨宿りしていた。

 別にジャージだし濡れても透ける心配も無いから濡れるのに抵抗は無いんだけど家まで2時間もあるから風邪引くかもだし、それにずぶ濡れの状態で電車に乗ったら周りの人達に迷惑そうな目で見られて今度は私が溶けかねないから雨の中を突っ切るわけにもいかずに雨があがるのを待つしかない。はぁ……。

 

「ぼっちちゃーん!!」

「に、虹夏ちゃん?」

 

 傘を差した虹夏ちゃんが私まで駆け寄ってくる。どうしたんだろう?

 

「はぁ、はぁ……。良かった間に合って」

「ど、どうしたんですか?」

「ぼっちちゃん傘持って無かったでしょ? 困ってるんじゃないかなって。ほら」

 

 そう言って虹夏ちゃんがもう片方の手に持ったビニール傘を見せてくれる。わ、わざわざ持ってきてくれたんだ。虹夏ちゃん優しすぎる……!

 

「あ、ありがとうございます! じゃあこの後は喜多ちゃんとリョウさんにも渡しに行くんですか?」

「え? うぅん。ぼっちちゃんだけだよ」

「え」

 

 わ、私だけ!? そ、それってつまり私だけ特別にってこと? うへ、うへへ。

 

「だってあの二人は途中でコンビニで傘買うだろうけどぼっちちゃんはコンビニに入れるかも怪しいでしょ?」

「あ、はい……」

 

 めちゃめちゃ情けない理由だった……。

 

「それに私としてもこのビニール傘消化してもらえると助かるんだよね。お姉ちゃんが出先で雨が降った時に買った傘がまだ何本か家にあるから邪魔で邪魔で」

「あ、なるほど。じゃあ遠慮なく……」

 

 そう言って傘に手を伸ばすが虹夏ちゃんが逆に私の手を取って、

 

「え!? ちょ!」

 

 グイッと引っ張られて虹夏ちゃんの傘にいれられた。何で!?

 

「に、虹夏ちゃん!?」

「折角だから少し散歩していこ? 傘は駅に着いたら渡してあげるから」

「で、でもこれ、相合傘ってやつでは……!」

「そだね。でも仲の良い友達ならこれくらい普通だよ」

 

 そ、そうなのかな? 傘が二つあるのに態々相合傘するものかな?

 

「ほらほら、雨の中の散歩も良いもんだよ。近くの自然公園にレッツゴー!」

「あ、は、はい!」

 

 こうして虹夏ちゃんにより半ば強引に雨の中での散歩が始まった。

 

 

 

 

 

「あ、あの、虹夏ちゃん。私が傘を持ちますよ?」

「良いよ良いよ。私が散歩に誘ったんだから」

「で、でも私の方が背が高いですし……」

「人が気にしてる事を……! ってか2センチしか変わらないし、大体ぼっちちゃん常にかなり猫背だから結局私より低いでしょ! じゃあほら、こっちのビニール傘持ってて。流石に邪魔だから」

「あ、分かりました」

 

 虹夏ちゃんから傘を受け取る。

 虹夏ちゃんと雨が降る下北沢を公園に向けて歩く。ピッタリとくっついた虹夏ちゃんの身体から体温と、虹夏ちゃんの良い匂いがドキドキする。私の心臓の音が聞こえそうだし、何より私の防虫剤臭い匂いで虹夏ちゃんを不快にする訳にもいかないから少し距離を取らなきゃ……。

 そう思って傘から少しはみ出るくらい距離を取るけど、すぐに虹夏ちゃんが距離を詰めてくれる。

 

「ほら、あんまりフラフラ歩いたら濡れちゃうよ?」

「あ、う、はい……」

「……もしかしてあんまり相合傘した事ないから緊張してる?」

「あ、あんまりっていうか初めてなので……」

「あはは、そっか。じゃあぼっちちゃんの初めての相合傘デートは私って事だね」

「あ、相合傘デート!?」

「うん。だってわざわざ雨の日に相合傘して公園まで散歩してるんだから充分デートでしょ?」

 

 た、確かに言われてみればそうかも……! つまり私は相合傘とデートというリア充にしか許されない行為を同時に、しかも大天使たる虹夏ちゃんと!?

 

「我が人生に一片の悔いなし……!!」

「急に感涙してどうした!? ほらほら! もう公園に着いたよ!」

「あ、はい」

 

 虹夏ちゃんに手を引かれて自然公園に入って散歩コースを一緒に歩く。

 

「と、ところでどうして急に公園に行こうと思ったんですか?」

「それはね、ほら。あれ見て」

「あれ?」

 

 虹夏ちゃんが指を差した方を向く。そこは色とりどりの紫陽花が沢山咲いた並木道だった。

 

「わぁ……、綺麗ですね」

「でしょ? 雨の日の紫陽花ってすごく綺麗だからさ。折角だしぼっちちゃんと見たいなって思ったんだ」

「わ、私とですか?」

「うん。作詞のネタつくりにでもなれば幸いだけどそんな特別な理由はなくて、私がぼっちちゃんと一緒にいたかっただけ」

「そ、う、なんですね……」

 

 それは、すごく嬉しいかも。

 

「わ、私も虹夏ちゃんと来られて嬉しいです」

「……えへへ、ありがと」

 

 虹夏ちゃんと手を繋ぐ。今度は、私から。

 

「散歩、続けましょう」

「うん」

 

 手を繋いで歩き出す。いつの間にか雨は止んでいて私も、きっと虹夏ちゃんも気付いていたけど、傘を差したまま私達は公園を歩き続けた。

 

 

 

 

 

 あれから公園を抜けて私たちは駅に向けて歩いていた。流石にもう傘は閉じたけど、手は繋いだままだった。

 

「に、虹夏ちゃんのお陰で良い歌詞が書けそうな気がします。ありがとうございます」

「うん、私作詞や作曲はさっぱりだからさ、少しでも力になれたなら嬉しいよ」

 

 にこ! と曇り空から顔を出してきた太陽よりも眩しい笑顔を私に向けてくれる虹夏ちゃん。でも太陽の様のオーラと違って心が温かくなっていく。

 

「こ、今度は金沢八景まで来てください。ジミヘンとのお散歩コースがあるんですけど虹夏ちゃんと一緒に歩きたいです」

「うん! 楽しみにしてるね」

 

 そして下北沢駅が見えてくる。……まだ虹夏ちゃんと一緒にいたいな。

 そう思うと無意識に歩く速度が遅くなる。虹夏ちゃんも何故か歩く速度が遅くなった。もしかして同じことを考えてくれてるのかな? でももう、帰らないとだよね。

 

「……ぼっちちゃん、そのビニール傘もう必要ないかもだけど向こうで駅を降りた時に雨降ってるかもしれないし持ってって」

「あ、はい。ありがとうござい……、あ!!」

 

 お礼を言おうとした時、道路の大きな水溜りの上を車が走って水しぶきがあがる。それが虹夏ちゃんに! か、傘じゃ間に合わない!!

 

「ぶわ!!」

「ぼっちちゃん!?」

 

 慌てて虹夏ちゃんを抱きしめて泥水の水しぶきから虹夏ちゃんを守る。

 

「だ、大丈夫ですか虹夏ちゃん?」

「う、うん、ありがとう。でも私は大丈夫だけどぼっちちゃんがびしょ濡れだよ!」

「あ、へへ。ですね。で、ですので、あの」

 

「に、虹夏ちゃんのお家に、行ってもいいですか? このままじゃ帰れないので……」

 

 へへ……、と図々しいお願いをすると虹夏ちゃんが一瞬ポカンとして、くす、と笑ってくれた。

 

「うん、良いよ。冷えちゃうから早くシャワー浴びよ? 服も洗濯機に掛けてあげるから今日は泊っていって?」

「あ、はい。お世話になります」

「そうと決まれば早く帰ろうか。髪の毛洗ってあげるね」

 

 え!? そ、それって一緒にお風呂に入るって事!? それは万死に値するのでは……!?

 

「だってさっきの泥水で髪の毛にいっぱい砂とか付いちゃったでしょ? ぼっちちゃん髪の毛長いし大変だろうし」

「う、そ、それは確かに……」

「ね? ぼっちちゃんがこうやって抱きしめてくれるのは嬉しいけどさ」

「え?」

 

 そ、そう言えば虹夏ちゃんを水しぶきから守る時に抱きしめてからそのままだった!! 慌てて虹夏ちゃんから離れると虹夏ちゃんが少し名残惜しそうな顔をした。

 

「す、すみません!」

「うぅん。私ぼっちちゃんの匂い落ち着くから好きだし全然いいよ」

「ヴぇ!?」

 

 わ、私の防虫剤くさい匂いを!?

 

「あ、因みに相合傘してる時に私の匂い嗅いでたのバレてるから」

 

 バレテーラ!?

 

「ふふ、ほら。百面相してないで早く帰ろ?」

「あ、ははは、はい! ……って、あ」

 

 また雨が降ってきた……。

 

「あちゃ。また降ってきちゃったね。ほらぼっちちゃん、入って」

 

 虹夏ちゃんが傘を差すと私の手を引いて傘の中に入れてくれる。

 

「あ、あの、私今濡れてるのでくっつくと虹夏ちゃんまで濡れちゃうので……」

「良いよ別に。どうせ一緒にお風呂入るんだから。……あ、でも今度はぼっちちゃんが傘持ってくれる?」

「あ、はい。分かりました」

 

 虹夏ちゃんに傘を渡される。虹夏ちゃんが濡れないように背筋を伸ばしてちゃんと差さなきゃ。っと、思っていると虹夏ちゃんが傘を差している私の腕に抱き着いてきた。……抱き着いてきた!?

 

「に、虹夏ちゃん!?」

「えへへ、濡れてるから寒いかなって思って。こうしたらあったかいでしょ?」

「は、はひ……!!」

 

 むしろ溶けそうな程に熱いです……! 腕に虹夏ちゃんの慎ましい膨らみもくっついて余計に!

 

「誰の胸が慎ましいって?」

 

 エスパー!?

 

「まったくまったく。自分は大きいからって」

「わ、私のはただの脂肪の塊なので……」

「はいはい。じゃあ湯船で背もたれのクッションにでもさせてもらおうかな。さ、帰ろ?」

「は、はい」

 

 虹夏ちゃんが私の肩に頭も預けて家に向けて歩き出す。

 今までは雨の日の陰鬱とした空気が好きだったけど、理由は真逆だけどもっと雨の日が好きになった一日だった。


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