椎名ひよりはとても可愛い   作:椎名ひより可愛くないですか!?

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椎名ひより可愛いね


4月終わり、5月始まり

2限の授業中すでにDクラスは学級崩壊を起こしている。授業中の私語、居眠りなど授業をまともに受けている人の方が数少ない。特に今騒いでいる山内、池はよく居眠りをしている須藤を合わせてクラス内で影から3バカトリオなんて呼ばれていたりする。3バカにトリオがついてるのほんとバカっぽい

 

 

3限の社会。担任の茶柱先生の授業なのだが、チャイムがなっても少し騒がしい。

 

「少し静かにしろ。今日は少しだけ真面目に授業を受けてもらうぞ」

「どういうことっすかー。さえちゃん先生」

「月末だからな。小テストを受けてもらう事になった」

「えぇ〜。聞いてないよ〜。ずるい〜」

「そう言うな。今回のテストは今後の参考用だ。成績には反映されることはないから安心しろ。当然だがカンニングは厳禁だぞ」

 

成績にはってどういうことだろうか。テストなのに……まあ、今考えても仕方ないか。

渡されたテストを見る。1科目4問の全20問で各5点配当の100点満点のテストで結構簡単な問題が多く見える。

ん?なんか最後の3問はめちゃくちゃ難しいな?

 

 

 

 

「お前らさ、正直に言えば許してやるぞ?」

「なんなんだよ急に」

「は?」

 

今日は綾小路と昼食を済まして須藤たちと自販機のそばで雑談をしていた。椎名には朝弁当を持っていった際に、友人と食べることを伝えてあるから彼女もCクラスの友人と食べることだろう。多分。友人できてるよね?

毎日椎名に弁当を持っていっているためか、Cクラスに入っても特に何も言われなくなってきた。Cクラスの男子、石崎とも少し話すような仲になることもできた。あいつ怖い感じするけど良いやつだよな。

 

「……俺たちは友達だよな?3年間苦楽を共にする仲間だよな?」

「そ、そうだけど」

「当然……彼女ができたら報告するよな?」

「は?彼女?そりゃ、出来ることがあればな」

 

俺が1人考えている間に話が進んでいたようだ。綾小路に彼女なぁ。

気付くと須藤、山内も俺たちを怪しむ目で見ていた。

 

「綾小路は堀北と、夏目はCクラスの椎名と付き合ってるんじゃ無いのか?」

 

へぇ、綾小路がねぇ。俺に矛先が向かないようにするためにここは乗らせてもらおう。

 

「綾小路、お前堀北と付き合ってたのか」

「バカ、付き合ってないって。全然、いやマジで」

「だって授業中コソコソと何か話してたじゃ無いか。デートとかデートとかデートの約束とか!ああ、裏山!!」

「ないない。そもそも堀北はそんなキャラじゃ無いだろ」

「知らねーよ俺たち話したことねぇのに。名前も櫛田ちゃんから聞かなきゃ知らなかったレベルだぜ。絡みがない」

 

そう言えば堀北が誰かと話しているところを見たことがないな。

 

「名前も覚えてないって、それはひどいだろ」

「だったら綾小路はクラスメイトの名前全部覚えているのかよ?」

 

それ言われるとそうだよな。40人もいるからまだ覚えきれてない名前の人とかもいるな。あとは顔と名前が一致しない。

綾小路の方の追及が終わったようだ。途中で逃げようと思っていたのに気になって話を聞いてしまった。今からでも間に合うか?

 

「なーつーめー。逃すと思うか?」

「そこをなんとか?」

「だめだー!」

 

ちっ、間に合わなかったか。

 

「んで、どうなんだよ。椎名とは。昼もよく一緒に食べてるらしいじゃ無いか」

「俺も気になるな」

 

綾小路も乗っかってきたな。この前の食堂での出来事を見ていたから気になったのだろう。もしくは俺だけ逃げることを許さなかったかだな。

 

「どうって何も無いよ」

「何も無いわけないだろ!ほぼ毎日のように一緒に行動しているのに。なぁ!」

 

 

須藤と山内もうんうんと頷く。そうは言われてもなぁ、何もないんだよな。

 

「何もないよ。本当だ」

「え、マジで言ってる?」

「ああ」

 

弁当の事は伏せた方がいいだろうと思い嘘をついてみたが。

池たちから憐れみの目を向けられてしまった。釈然としないなぁ。

 

「ま、まぁ彼女ができたら報告すること!良いな、絶対だぞ!!」

 

空気を変えるためかちょっと声を張るように池が念を押してくる。

とりあえず頷いておく。

 

 

飲み物を買って教室に戻ろうと思い、自販機に向かうと山内から要求が飛ぶ。

 

「俺ココアー」

「自分で買いな?」

「いや俺もうほとんどポイント残ってないんだよな。あと2000ポイントぐらい」

「……3週間で90000ポイント以上も使ったのか?」

「ほしいもの買ってたらつい。ほら見てみろこれ」

 

そう言って取り出したのは携帯ゲーム機だ。

 

「池と一緒に買いに行ったんだ。こんなゲーム機も売ってるとか凄すぎるって」

「いくらしたんだ」

「諸々含めて25000くらい?」

「たっか、そりゃすぐなくなるよ」

 

ゲーム機は、暇つぶしには良いかもしれないがちょっとポイントが高すぎるな。もっと安ければ俺も買っていたかもしれない。

 

「須藤もポイント入ったら買うって言ったんだ。お前も買おうぜ」

「俺は買わないかな。ちょっと高いし。それに」

「それに?」

 

来月も10万ポイント入るとは限らない。そう言おうと思ったがここで追及されるのは面倒だ。どうせ信じないだろうし。

 

「いや、なんでもない」

「なんだよそれー」

 

話を逸らすために山内にココアを投げる。

 

「持つべきは友だな!さんきゅー!」

「ああ、俺は教室に戻るわ」

 

 

 

 

 

 

 

5月

 

5月最初の学校が始まる。ポイントは振り込まれていなかった。いや、0ポイントが振り込まれたというべきか。椎名にも確認するとあちらはポイントが入ってきていたようだ。0ポイントからスタートか。ま、なるようになるか。

茶柱先生は険しい顔で教室に入ってくる。十中八九ポイントのことだろう。

 

「せんせー、生理でも止まりましたー?」

 

え、やば

 

「朝のホームルームを始める。が、その前に何か質問はあるか。気になることがあるなら今聞いておいた方がいいぞ?」

 

池のセクハラは無視しつつそんなことを言った。質問があると確信しているようだ。

 

「今朝確認したらポイントが振り込まれてないんですけど。毎月1日に支給されるんじゃないんですか?」

「前に説明した通りだ。ポイントは毎月1日に支給される。今月も問題なく振り込まれている事は確認している」

「え、でも振り込まれてなかったよな?」

 

「……お前らは本当に愚かだな」

 

怒りか呆れかわからないが不穏な空気を纏った茶柱先生。

 

「座れ本堂。2度は言わん」

「さ、さえちゃん先生?」

 

普段聞くことがない厳しい口調に本堂は腰が引け椅子に収まる。

 

「ポイントは振り込まれた。このクラスだけ振り込まれなかったという事はない。わかったか?」

「ははは、なるほどティーチャー。理解できたよ。この謎解きが」

「簡単な事だよ。私たちのクラスには1ポイントも支給されなかったという事だ」

「はあ?なんでだよ。毎月10万ポイントが振り込まれるって」

「私は聞いた覚えがないね。そうだろう?」

 

ニヤニヤと笑いながら、高円寺は先生に堂々とした指先を向ける。

 

「態度に問題ありだがそのとおりだ。これだけヒントが与えられて気づいたものが数人だけとはな。嘆かわしい」

 

「先生、質問良いですか?腑に落ちないことがあります。振り込まれなかった理由を教えてください。でなければ納得できません」

 

「遅刻欠席98回。授業中の私語、携帯を触った回数391回。1月で随分とやらかしたな。この学校ではクラスの成績がポイントで反映される。お前たちは10万ポイント全て吐き出した。入学式の日に説明したな。この学校は実力で生徒を測る。お前たちは0という評価を受けた、それだけだ」

 

こう聞くとやばいな。やらかしたDクラスもそうだけど、それをしっかりと確認しているこの学校も。あとは、真面目に授業を受けていた数人のクラスメイトがかわいそうだ。真面目に受けていなかったやつのせいでポイントがもらえなかったんだからな。

 

「茶柱先生、僕たちはそんな説明受けていません」

「なんだ。お前らは説明されなければ理解できないのか」

「当たり前です。事前にその説明を受けていれば、みんな遅刻や私語をしなかったはずです」

「不思議な話だな平田。お前らは学校に遅刻するな、授業中に私語をするな、義務教育の9年間で嫌というほど聞かされたはずだ。そのような当たり前のことを説明を受けていないからできない?それは通らん。お前らの自己責任だ」

 

茶柱先生のど正論だ。遅刻、私語はするなと教えられてきた。それを高校に入ってからは、やっても良いとはならない。

 

「……せめてポイント増減の詳細を教えてください。参考にします」

「それはできないな。査定の内容は学校の決まりで教えられないことになっている。しかしそうだな……。私も憎くて冷たく接しているわけではない。1つだけいいことを教えてやろう。遅刻や私語を改めて今月マイナスを0に抑えてもポイントは減らないが増える事もない。つまり来月も0ポイントというわけだ。どれだけ遅刻や欠席をしても問題はない。覚えておいて損はないだろう」

 

平田の顔が一層暗くなる。クラスのために頑張ってくれたが返ってきた言葉は全て不安にさせてくる言葉ばかりだった。無理もない。

 

チャイムが鳴りホームルームの時間が終わりを告げる。

 

「無駄話しすぎたな。本題に移る」

 

そういい茶柱先生は紙を黒板に貼り付ける。

これは各クラスの成績か。

 

Aクラス 940

 

Bクラス 650

 

Cクラス 490

 

Dクラス 0

 

Aクラスから順にポイントが下がってきている。クラスにも何かされていたのか。それは分からん。

 

「疑問に思うことがあるだろうが、先に答えてやるとしよう。この学校では優秀な生徒たちの順にクラス分けされる。最も優秀な生徒はAクラスへ。ダメな生徒はDクラスだ。大手の塾でもあることだな。つまりDクラスは落ちこぼれが集まる最後の砦というわけだな。お前たちは不良品ということだ。実に不良品らしい結果だな」

 

不良品って言い過ぎでは?先生と言えど流石にイラつくんですけども。

 

「しかも、1月で全てのポイントを吐き出したのはお前たちが初めてだ。よく盛大にやったもんだと逆に感心した」

 

立派だなと、言いながら拍手してくる。うんそりゃ不良品言われますわ。

 

「さて、お前たちにはもうひとつ残念なお知らせがある。先日やった小テストの結果だ。お前らは中学で何を勉強してきたんだ?」

 

張り出された小テストの結果を見る。俺は90点!やっぱり最後の方の問題は難しかったな。

須藤は授業を寝ているのもあってか14点と悲惨だ。というかあの小テストそんな難しいか?

 

「良かったな、これが本番だったら7人が退学することになっていた」

「た、退学?どういうことですか?」

「この学校では中間テスト、期末テストで赤点を1つでも取ると退学になる。今回で言うと32点未満の者たちのことだな」

 

赤点=退学かよ。流石に厳しすぎないか。救済措置の1つでもないものか?

 

「不良品のお前たちにもうひとつお知らせだ。この学校に将来の望みを叶えてもらえるのはAクラスのみだ。それ以外の生徒には保証する事はない」

 

Dクラスが騒がしくなる。それもそうだ高い進学率、就職率、ここを卒業できたら通常なら難しい場所もすんなりと入れると言われている。それがAクラスのみの特権だとは思いもしなかった。

 

「お前たちの置かれた状況の過酷さを理解できたな。中間まで3週間だ。お前らが赤点を取らずに乗り切れる方法はあると確信している」

 

そう言い茶柱先生は教室を出ていく。教室内は爆発的に騒がしくなる。

それにしても『確信』かぁ。何か方法があるようだな。

 

 

 

 

 

放課後

クラスのリーダー的な存在の平田は、クラスメイトを集めてポイントを増やす方法を話し合うようだ。俺にも話はきたが今日は先約があった為、断った。話し合いが本格的に始まるまでにさっさと教室を出る。なんか綾小路も先生に呼ばれてるみたいだしそっとしておこう。

 

「お疲れ様です、夏目くん」

「おつかれ、椎名」

 

図書室で本を取り椎名のいる席に向かう俺に気づいた椎名が微笑みながらあいさつをしてくれた。癒される。隣に座らせてもらった。

 

「夏目くん、Dクラスの方はどうでしょうか?」

「あー、すごいことになってるな。学級崩壊してたし。今月のポイント0ポイントだし」

「やはり0ポイントなんですね。ポイントはどれだけ残っているのでしょうか?もしよろしければポイントをお渡ししますよ?」

「いや、大丈夫だ。ポイントも7割ぐらい残ってるからね?そんな俺に貢ぐみたいな事はしないでね?」

 

椎名はずいっと顔を近づけて心配そうに俺に言ってくる。俺を金がなくなったら女の子にたかるクズにしないでほしい。あと近い、いい匂いする。

 

「ですが、普段お弁当を作っていただいているのに何もしないわけには」

「大丈夫だよ。基本的に無料の食品を使ってるし、既にポイントは貰ってる。俺はやりたくてやってるところがあるからこれ以上貰うわけにはいかない」

 

そう、既にポイントは貰っている。弁当を持って行った際にポイントの話になり材料費兼人件費とのことで押し切られてしまった。最初は断っていたのだが、最後は泣き落としに近い形で決められた。あんな顔されたら断りきれない。

 

「でも」

「じゃあさ、俺に困ることがあったら相談させてほしい。椎名の力を貸してほしい」

「……分かりました。絶対に私を頼ってくださいね、絶対ですよ?」

「頼らせてもらうよ」

 

これ以上は俺も譲らないと感じたのだろう。椎名は俺の提案に乗っかってくれた。

 

「そうういば、Cクラスの担任もテストのこと言ってたと思うんだが、なんで言ってたんだ?」

「話していた言葉……ですか」

「ああ、うちの担任が少し気になる言い方をしていてな。なんでも俺たちDクラスでも乗り切れる方法が確実にあるらしい」

「あぁなるほど。私たちCクラスの先生も同じような事を仰っていましたね。私も少し気になっていたんです」

 

椎名も気になっていたようだ。少し考えてみよう。テストで確実に乗り切れる方法。

 

「テストで確実に乗り切れる方法といったらなんだと思う?」

「そうですね。やはり最初から答えを知っていたら確実ですね」

「答えかー。答えを知る方法っていったら先生に答え聞くか」

 

ジト目で椎名が見てきた。ごめんて。

 

「冗談はさておき、やっぱ過去問かなぁ」

「夏目くんも同じ考えになってくれて良かったです。先生に聞きにいくなどと言い出した時はどうしようかと思いました」

「ごめんて。過去問持ってそうな人に会いにいくけど一緒に来る?」

「ええ、参加させてもらいますね」

 

よし、行くか、生徒会室。

 

 

 

 

 

 

「てことで、過去問ください。堀北先輩」

「来るなり第一声がそれか夏目」

 

椎名を連れてやってきたのは生徒会室。堀北先輩しかいないのは丁度いい。

 

「……まあいいだろう。だが先に答えてもらう。お前は何故過去問を必要とする。お前たちならば過去問など必要はないだろう」

「俺は不良品のDクラスです。前代未聞の0ポイントですよ?俺はクラスメイトが退学するのは寂しいですからね」

「あくまでクラスメイトの為か、まあ良いだろう。……そうだな2人で2万ポイントで過去問を渡そう」

「俺1人で2万ポイント払いますよ。椎名は俺についてきただけですから」

「……いえ、私も払います。私も過去問は欲しいですから」

 

なにか怒ってらっしゃる?

そんな事を考えていたら堀北先輩から過去問が送られてきた。

 

「送られてきました、ありがとうございます」

「私の方にも送られてきました、ありがとうございます」

「気にするな。俺も忙しい。そろそろ帰れ」

 

話す事はもうないと言わんばかりの対応だ。退出する時一瞬目があった。同情するような目だった。なぜ。

 

 

 

 

椎名と並んで寮に向かう。椎名は少し不機嫌な感じだ。なんで?

 

「椎名、やっぱりポイ「夏目くん」ハイ」

「たとえ冗談だとしても自身を不良品と言うのはやめて下さい」

「いや、あの場では本心で言ったつもりなんですが……」

「なお悪いです。夏目くん不良品なんかじゃありません。私が保証します」

 

俺が不良品と言ったことに不満を抱いていたのか。

 

「……そうだな、ごめん。それとありがとう椎名」

「はい!」

 

そうして俺と椎名は色々な本の話で盛り上がりながら寮に帰っていった。

 

 

 




こんなに早くからテストの過去問もらってどうするんだってはなし
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