設定、一人称は分かる範囲で修正しています。
武器や見た目の説明については修正が難しいのでそのまま載せてるものが多いです。
「俺は……俺の意志で、この力を支配する!」
鬱蒼とした森の中、上城睦月の咆哮が響き渡った。
彼の身体を包む、蜘蛛の意匠を模した漆黒の鎧――仮面ライダーレンゲル。その全身からは不気味な紫色のオーラが立ち上っている。
カテゴリーA『スパイダーアンデッド』の精神攻撃。
それは睦月の心の隙間に入り込み、彼を破壊の衝動で満たそうとしていた。
(滅ぼせ……すべてを壊し、お前が頂点に立て……)
脳内に直接響く、邪悪な誘惑。本来の歴史であれば睦月はこの囁きに屈し、長い闇の彷徨へと突き落とされるはずだった。
しかし、今の睦月にはその闇を跳ね除ける「強さ」が、あまりにも早く芽生えていた。
「うるさい……うるさいんだよ! 俺は誰も傷つけたくない! 守るために、俺はこの力を手に入れたんだ!」
睦月はレンゲルラウザーを地面に突き立て、自らの頭を抱えて叫ぶ。
脳裏に浮かぶのは、自分を心配してくれる恋人・山中望美の笑顔。
そして、頼りない自分を気に掛け、時に厳しく、時に優しく導いてくれた剣崎一真や橘朔也の姿だった。
「俺は、俺だ! カテゴリーA、お前の器じゃない!」
精神世界の中で、睦月は巨大な蜘蛛の幻影に向かって踏み込んだ。
恐怖はない。あるのは、大切な人を守りたいという純粋な決意だけ。
その瞬間、レンゲルのベルト――レンゲルバックルから放たれていた禍々しい光が、清らかな黄金の輝きへと変化した。
「うおおおおおッ!」
光が爆発する。現実世界で膝をついていたレンゲルが、ゆっくりと立ち上がった。その佇まいからは、先ほどまでの凶気は完全に消え去り、澄み渡るような闘気が満ちていた。
「……勝った。俺は、負けなかったぞ」
睦月は自分の手を見つめ、力強く握り締める。
カテゴリーAの完全なる克服。それは、本来の歴史よりも遥かに早い、レンゲルという最強の戦士の「真の覚醒」の瞬間だった。
この睦月の早期覚醒が、すべての運命を狂わせ、そして究極の進化へと導く引き金となる。
第1章:四つの王座、揃い踏み
睦月がカテゴリーAの呪縛を跳ね除けたことで、アンデッドの封印作業は劇的なスピードで進行した。
かつてのように睦月の暴走に手を焼く必要がなくなった剣崎一真、橘朔也、そして相川始は、レンゲルという頼もしい戦力を加え、瞬く間に下位アンデッドを次々とラウズカードへと封印していった。
そして戦いは、アンデッドの最高位――カテゴリーK(キング)との邂逅へと至る。
スペードのキング、コーカサスビートルアンデッド。
ダイヤのキング、ギラファアンデッド。
クラブのキング、タランチュラアンデッド。
ハートのキング、パラドキサアンデッド。
彼ら高潔なる上位アンデッドたちは、精神的に完全に成熟し、人類を守るために結束した四人のライダーたちの「資格」を認めた。
「人間の可能性、そしてお前たちの意志の強さ……見事だ。バトルファイトの歪んだシステムを壊すため、私たちの力を預けよう」
彼らは戦うことなく、あるいは過酷な試練の果てに、自ら進んでラウズカードへと封印された。
すべてのキングがライダーを認め、力を貸したのだ。これにより、人類基盤史研究所(BOARD)が予期していなかった、究極の領域への扉が開かれる。
「信じられない……。四人全員の融合係数が、限界値を遥かに超えて、しかも完全に安定しているわ!」
広瀬栞がベースキャンプのモニターを見つめ、驚愕の声を上げた。
「烏丸所長がチベットで遺した解析データが示していた通りだ」
白井虎太郎が興奮気味に書類を広げる。
「キングのカードとアブゾーバーの共鳴、そしてライダー自身の完璧な精神制御。これが揃った時、すべてのライダーが『キングフォーム』へと進化する!」
「全員が、キングに……」
剣崎一真が己のラウズカードを見つめる。
「ああ、これなら始を……ジョーカーの運命から救い出せるかもしれない」
その頃、始もまた、自身の中の変革を感じていた。
「俺の中のジョーカーの衝動が、消えていくわけじゃない。だが、ハートのカードたちが、俺の『人間でありたい』という願いを支えてくれている……」
始は栗原天音の笑顔を守るため、その大いなる力を受け入れる決意を固めていた。
しかし、すべてのアンデッドが封印され、四人のライダーが究極の力を手に入れようとしたその瞬間、世界の調和を完全に破壊する「最悪の異分子」が動き出していた。
第2章:邪神フォーティーンの顕現
「ついに集まったか。すべてのラウズカード、そして究極のシステムが」
誰もいない廃工場。そこに佇む一人の男――志村純一。
彼の正体は、現代のバトルファイトを裏から操り、自らが世界の神へと君臨せんとする冷酷な野心家であった。
彼はBOARDのデータを盗み出し、独自に仮面ライダーグレイブのシステムを作り上げていたが、その真の目的はライダーたちにアンデッドをすべて封印させ、自らがその全エネルギーを奪うことにあった。
「すべてのアンデッドがカードに収まり、ライダーたちが最高の融合係数に達した今こそ、儀式の時だ」
志村が不気味に微笑み、未知のラウザーを天に掲げる。
突如、世界中の空が禍々しい紫色の雲に覆われ、激しい地鳴りが日本全土を襲った。
白井農場のモニターが次々とノイズを吐き出し、世界各地に「巨大な古代の石碑」が浮上するのが映し出される。だがそれは、バトルファイトの敗北を示すモノリスではなかった。
「違う……これはアンデッドの仕業じゃない!」
橘朔也が通信機越しに叫ぶ。
「エネルギーの波形が、BOARDのライダーシステムと酷似している。……誰かがシステムを悪用して、超古代の力を無理やり引き出そうとしているんだ!」
「ハハハハハ! その通りだ!」
不気味な声が空から響き渡る。志村純一の声だった。
「私の名は志村純一。すべてのアンデッドの力を生贄に、超古代の邪神『フォーティーン』をこの世界に完全復活させる。私は新たなる世界の創造主となるのだ!」
大地が割れ、光が収束していく。志村の身体が膨れ上がり、無数のラウズカードのエネルギーを吸収しながら、おぞましい巨体へと変貌を遂げていく。
大蛇のような触手、怨念に満ちた無数の顔、そしてすべてを無に帰す破壊のオーラ。
超古代の邪神、フォーティーンが現代に降臨した。
「ウアアアアッ!」
世界中の人々がそのプレッシャーに恐怖し、街は破壊されていく。
「そんな事はさせない……! みんなの未来を、おまえみたいな奴に奪われてたまるか!」
バイクで駆けつけた剣崎、橘、睦月、そして始の四人が、破滅の光景の前に立ちはだかる。
「志村純一! お前の野望は、俺たちがここで打ち砕く!」
剣崎がラウズアブゾーバーを構えた。四人の意志が、それぞれのキングカードと完全に共鳴し、戦場に黄金の光柱が立ち昇る。
「「「変身!!」」」
『EVOLUTION KING』
四人の叫びと共に、世界を照らす圧倒的な黄金の輝きが爆発した。
第3章:黄金の四連王(クアドラプル・キングフォーム)
光の中から現れたのは、世界の運命を変えるために集結した、四人の黄金の王(キング)だった。
剣崎一真が変身した、仮面ライダーブレイド・キングフォーム。
重厚な黄金の重画甲冑に身を包み、全身に13体のスペードアンデッドの紋章が刻まれている。手にするキングラウザーは圧倒的な輝きを放ち、一歩踏み出すごとに大地が共鳴する。
橘朔也が変身した、仮面ライダーギャレン・キングフォーム。
恐怖を完全に克服した橘の姿は、銃撃戦を極限まで極めた黄金の要塞。
両肩には高出力のエネルギー砲『ギャレンキャノン』が備わり、右腕のギャレンラウザーは大型のライフル形状(バスターモード)へと進化を遂げている。
上城睦月が変身した、仮面ライダーレンゲル・キングフォーム。
早期にカテゴリーAを支配し、嶋昇との固い絆によって覚醒した姿。
漆黒と黄金が融合した気高き重装甲を纏う。手にするレンゲルラウザーは十字架を模した巨大な大矛へと変形し、周囲の空間に絶対零度の冷気と超重力波を発生させている。
そして、相川始が変身した、仮面ライダーカリス・キングフォーム。
ジョーカーの野生と、始が培った人間の心が完璧に融和した究極進化形。ワイルドカリスの赤をベースに、神々しい黄金の装飾が全身を覆う。手にするカリスアローは、13体のハートアンデッドの力を宿した「ワイルドスラッシャー」と完全に一体化し、巨大な双刃の弓剣へと姿を変えていた。
「バカな……四人が同時にキングフォームだと!? 人間の肉体がそのエネルギーに耐えられるはずがない!」
フォーティーンの巨大な顔が、驚愕に歪む。
「俺たちの心は一つだ。みんなを守る、その思いが、この力を支えているんだ!」
ブレイド・キングフォームがキングラウザーを構えて突撃した。
「行くぞ、睦月!」
「はい、橘さん!」
ギャレンとレンゲルが左右に展開する。
フォーティーンが無数の触手を伸ばし、破壊光線を連射する。だが、ギャレン・キングフォームはその場から一歩も動かず、両肩のキャノンを展開した。
「ハアッ!」
『DIAMOND FIRE POWER』
激しい砲撃が放たれ、フォーティーンの光線を正面から相殺、さらに巨大な肉体を激しく爆鳴させる。
「そこだ!」
レンゲル・キングフォームが地を蹴り、空中へと跳躍する。背中の光の翼が広がり、大矛を振り下ろした。
『CLUB GRAVITY FREEZE』
大矛から放たれた超重力の波動がフォーティーンの巨体を地面に縫い付け、さらに絶対零度の冷気がその足元を完全に凍りつかせる。
「グオオオッ! 動きが……止まるだと!?」
巨体を震わせ、凍結を破ろうとするフォーティーン。しかし、そこへカリス・キングフォームが超高速で接近する。
「ハアアアッ!」
始の放つ弓剣の斬撃が、フォーティーンの触手を次々と一閃し、光の粒子へと変えていく。13体のハートアンデッドのパワーが宿った一撃一撃は、邪神の肉体すらも容易に切り裂く。
「トドメだ、剣崎!」
始が叫ぶ。
「おおおおおッ!」
ブレイド・キングフォームがキングラウザーに5枚のカードをラウズする。
『SPADE 10・JACK・QUEEN・KING・ACE』
「ロイヤルストレートフラッシュ!!」
キングラウザーから放たれた極大の黄金の光の刃が、フォーティーンの胸部を深く切り裂いた。邪神の身体から、奪われていたアンデッドのエネルギーが火花となって噴き出す。
「ギャアアアッ! おのれライダーども……だが、私は不滅だ! 世界のすべての悪意が私を支えている!」
傷口からドス黒い霧を噴き出し、フォーティーンがさらに狂暴化する。その巨体から、世界を完全に押し潰すほどの極大破壊エネルギー球が形成され始めた。
第4章:運命を超える一撃
「私とともに、この世界ごと消え去るがいい!」
フォーティーンが放とうとするエネルギーは、地球の地殻をも消し飛ばしかねないものだった。
「みんな、あれを受け止めるぞ! 四人の力を、完全に一つにするんだ!」
剣崎が叫ぶ。
本来、ブレイド一人だけがキングフォームを維持し続けた歴史では、融合係数の過剰上昇によりアンデッド化(ジョーカー化)するという悲劇が待っていた。
しかし今、この戦場には、完全に精神を安定させた「四人の王」がいる。
「俺たちの融合係数を、一つの回路として循環させるんだ!」
睦月が冷着に状況を分析する。カテゴリーAの精神攻撃に早期に打ち勝った睦月の脳内は、今や誰よりも澄み渡っていた。
「四人が互いを信じ、エネルギーを循環させれば、負荷は相殺される。それどころか、無限の力を生み出せるはずです!」
「なるほど、素晴らしい提案だ。……剣崎、睦月、始。行くぞ!」
橘がバスターモードのライフルを中央へ向ける。
四人が円陣を組むように立ち、それぞれの武器を中央の一点へと掲げた。
『SPADE』『DIAMOND』『CLUB』『CHALICE』
『ALL KING FORM・OVERLOAD』
四人のキングフォームから放たれた黄金、真紅、漆黒の光が中央で交わり、直径数十メートルに及ぶ「奇跡の光の渦」を形成する。
エネルギーは一人に滞留することなく、四人の間を凄まじい速度で循環し、世界の創造すら可能にする純粋な「意志の力」へと昇華されていく。
「何だと……!? パワーが、相乗効果で膨れ上がっていく……!?」
フォーティーンの目が恐怖に染まる。
「これが、人間の、仮面ライダーの力だ!!」
四人の咆哮が響き渡る。彼らはそれぞれの最強の技を、同時に発動した。
橘がカードをラウズする。
「フォーカード・スーパーバレット!!」
ギャレンラウザー・バスターモードから放たれた、数万発の光の弾丸が、フォーティーンの放った破壊エネルギー球を外側から削り取っていく。
睦月が矛を掲げる。
「グランドブラスト・コンプレッション!!」
レンゲルの大矛から放たれた超重力の空間が、フォーティーンのエネルギー球を中央へと圧縮し、その暴発を防ぐ。
始が弓を引き絞る。
「ワイルド・サイクロン・バースト!!」
カリスの放った極大の烈風の矢が、圧縮されたエネルギー球の芯を正確に貫き、完全に無力化させた。
「これで、終わりだァァッ!!」
剣崎がキングラウザーを両手で握り締め、地を蹴った。
四人の循環するエネルギーのすべてが、ブレイドの刃へと集束していく。
「ロイヤルストレートフラッシュ・マキシマム!!」
空間そのものを切り裂くような、究極の黄金の斬撃が放たれた。それはフォーティーンの巨体を真っ向から両断し、背後にあった暗雲をも一瞬で消し飛ばして、世界の空に青空を取り戻していく。
「バカな……私は、神に……新世界の王になるはずだったのに……。たったの四人に……敗れる、というの、か……」
志村純一の絶望の叫びと共に、邪神フォーティーンの巨体は、眩い黄金の光の粒子となって完全に霧散した。
崩壊していく邪神の肉体から、封印されていたアンデッドのカードたちが解放され、それぞれのライダーのラウザーへと穏やかに吸い込まれていく。
戦いは、終わったのだ。
エピローグ:果てなき青空の下で
光が収まり、静寂が戻った戦場。
変身を解除した四人は、その場に大の字になって倒れ込んだ。
「はは……やった、んだな、俺たち」
剣崎一真が空を見上げる。ひび割れていた世界は修復され、どこまでも澄み渡るような青空が広がっていた。
「ああ……。四人のエネルギーを循環させたおかげで、身体のアンデッド化も完全に回避できた。……大成功だな、睦月」
橘朔也が疲れ果てた顔で、しかし誇らしげに笑い、睦月の肩を叩いた。
「はい……! 俺、みんなの足を引っ張らずに最後まで戦えました」
睦月は涙ぐみながら、自分の手を見つめる。もう彼を脅かす蜘蛛の影はない。彼は名実ともに、世界を救った本物の戦士、仮面ライダーレンゲルとなったのだ。
少し離れた場所で、始が静かに佇んでいた。
彼の中のジョーカーの衝動は、四人のキングフォームが起こした奇跡のエネルギーによって完全に調和され、無害なものへと書き換えられていた。彼はもう、世界を滅ぼす恐怖の象徴ではない。ただの「相川始」として、この世界で生きていくことができる。
「剣崎……ありがとう。お前たちが、俺に本当の命をくれたんだ」
始が静かに微笑む。
「気にするなよ、始。俺たちは最初から、こうなる運命だったんだよ」
剣崎が起き上がり、始に向かって親指を立てた。
数日後。
白井農場では、世界を救ったヒーローたちを祝う、賑やかなパーティーが開かれていた。
「みんな、本当にお疲れ様! カンパーイ!」
虎太郎がジュースのグラスを掲げ、栞や天音、ハルカが満面の笑顔でそれに続く。
「睦月、本当に格好良かったよ。私、信じてた」
望美が睦月の隣で嬉しそうに微笑む。睦月は顔を真っ赤にしながらも「うん。俺、これからも望美を、みんなを守るためにこの力を使うよ」
と力強く答えた。
橘は烏丸所長からのBOARD復興に関する連絡をスマートフォンで受けながら、穏やかな表情でコーヒーを口に運んでいる。
そして、農場の入り口には、バイクを並べた剣崎と始の姿があった。
「これからどうするんだ、始」
「俺は、ここで生きるよ。天音ちゃんたちのそばで、人間の生活をこれからもずっと学ばせてをもらう。……お前は?」
「俺はさ、まだ世界中で困っている人がいるかもしれないから、ちょっと旅に出てみようかと思って。橘さんや睦月もいるし、日本はもう絶対に安心だからな」
剣崎はバイクのエンジンをかける。
「じゃあな、始。またな!」
「ああ、また会おう、剣崎。……俺たちの、大切な世界で」
青空の下、剣崎のバイクが軽快な音を立てて走り去っていく。
その背中を見送る始の瞳には、かつての孤独なジョーカーの面影は一切なく、温かな人間の光、そして未来への希望が満ち溢れていた。
早期に闇を打ち破った最若年の戦士の覚醒が、すべての歯車を噛み合わせ、四人の王を誕生させた。
彼らが紡いだIFの物語は、誰も傷つかず、誰も失われず、ただ未来へと続く「究極の黄金のハッピーエンド」へと辿り着いたのだった。
レンゲルのCSMが欲しい
何年後だろうか…