僕が予選で一位を取ってからしばらくして。
ミッドナイトの方へ集合すると次からが本戦であること、そして競技が発表された。
騎馬戦、四人で一組となり競い合うというのは同じらしい。ただし大きなチーム分けはなく、障害物競走の順位でポイントがつけられ、それの取り合いになるのだという。入試の時と似たような形式であるなという言葉に頷きつつ、最後の42位から順番に点数が発表されていく。
「そして1位に与えられるポイントは1000万!!」
「……1000万?馬鹿なんですか?」
明らかに1位が狙われる上、これからチームを組むのにこれでは誰も組んでくれないじゃないか!と内心悲観して叫びながらミッドナイトを見ているとその笑顔が崩れることなく、言葉を続けている。
「上位の奴ほど狙われちゃう……下剋上サバイバルよ!!」
とってもいい笑顔で絶望の言葉を叩きこむミッドナイト先生に僕に恨みがあるのか!!と叫びそうになるのを耐えている時後ろから声を掛けられた。
「デク君!組もう?」
「麗日さん?」
声をかけてくれたのは麗日だった、そのことに目を丸くしながら何故と聞くと逃げきりなら出来そうであることと一緒に組みたいからという理由に荒んだ心が浄化されていく気がし、少し表情が歪む。
「どうしたのデク君!?不細工になってるよ!」
「気にしないで、麗らか過ぎて直視に困っただけだから……でもありがとう、困ってたんだ。」
「そっか!よかった!!」
誰に声をかけようと周囲を見る前に目の前に現れた彼女が組みましょう!と声をかけてきた。
「……えっと、貴女は?」
「サポート課の発目明です!一緒に組みましょう一位の人!」
ちょ、物凄い近づいてくる!?……ん?
「その持っている物は?」
「改良したバックパックにザ・ワイヤーアロウ&ホバーソールです!」
僕は発目さんが持っているアイテムを見て思いついた。
「……行けるかも」
「ベイビーの宣伝出来ますか!?」
「バッチリやりましょう」
発目さんとの交渉が成立出来た僕は頭の中で作戦を練りながらあと一人声をかける人物を考える。
メインは発目のベイビーと麗日の個性での逃走できるがこれだけでは明らかに1000万は取られてしまう。
障壁と妨害以外での防御面がないのは流石に問題なのだ、中距離戦闘兼防御が出来る個性の持ち主を出来たら引き入れておきたい。そう思い、僕は自然とある人物の元へ歩み寄った。
「一緒に組んでもらえませんか……?」
―――
15分が経ち、それぞれが思うがままに騎馬が組まれた、合計は12騎、その中でも観衆の注目はA組と1位を取った僕に集まる。
『よぉーし、組み終わったな!?準備はいいかなんて聞かねぇぞ!!いくぜ!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!3!!』
プレゼントマイクがカウントダウンを始める中、僕は組んでくれた人に呼び掛ける。
「往くよ、麗日さん!」
「はい!」
『2!!』
「発目さん!」
「ええ!」
『1……!』
「常闇くん!」
「ああ……!」
『スタァァァァァァト!!』
残虐バトルロイヤルの幕が今、切り落とされた。
「実質1000万の争奪戦だ!!」
「はっはっは!緑谷君!いっただくよー!!」
B組の鉄哲とA組の葉隠さんの騎馬が早速僕の騎馬に突撃をし、それに対し常闇君がどう行動をとるか、問いかける。それに好戦的な笑みを浮かべる。
「憑依召喚。アサシン【光のコヤンスカヤ】」
選んだのは前世の僕達をとことん苦しめてきた世界有数の民間軍事会社NFFサービスの最高経営責任者にして実力・実績ナンバーワンのエージェントのアンチクショウな女狐。
だがその正体はツングースカ隕石を契機とする自然霊の集合体。
そんな彼女の力を借りた僕は周囲を浮かぶ多数の銃火器を向かって来る相手に放つ。
因みに姿は第三再臨のものにしているので全体を広くカバー出来る。
「ちょ!?」
「なんじゃそりゃあ!?」
「それは死ぬって!?」
大量の銃器から放たれる銃弾に驚いて何とか避けている。因みに使用している弾は全部ゴム弾なので当たっても痛いだけなので大丈夫だ。
更に移動しながら周囲に地雷を蒔いて更に近づけない様にする。
『おぉっとぉ!?緑谷選手ぅぅ!?今度はケモ耳美人になって銃火器をぶっ放す!銃刀法違反だぞ!!』
『ケモ耳に銃ってどんな英雄だ?』
実況席からの突っ込みを聞き流して僕は周囲に弾幕を張るが、それすらも切り抜けてくる人が居る。
「そいつをよこせぇ!デク!」
かっちゃんが爆破を上手く使いながら弾幕を避けて、僕の鉢巻きを奪い取ろうと迫ってくる。
「常闇君!」
「ダークシャドウ!」
『あいよ!』
僕の合図に常闇君の個性【ダークシャドウ】によってかっちゃんを阻み、その隙に銃火器を撃って追い返す。
そして時間を見ると10分を切っていた。
「すいません緑谷さん。このベイビーは限界です。」
そしてこの時点で発目さんのサポートアイテムに限界が来たらしい。
「よし、そろそろ奪いにいくぞ」
ここで轟君のチームが僕に向かって来る。
「……そろそろ切り時かな」
僕は切り札を使うために周囲にスモークを蒔く。
『おおっと!?緑谷選手、突然煙を蒔いて隠れた!』
『あいつ、何をするつもりだ?』
煙に包まれ、視界が塞がれた状態で僕は彼女の宝具を使う。
「宝具【霊裳重光・79式擲禍大社】」
宝具を発動した瞬間、僕達の足元に巨大な兵器が出現した。
これが彼女の宝具。NFF傘下の企業・タマモ重工が誇る優秀兵器、戦車を発展させたNF-79式制圧戦術車両。
畏れ多くも大社の名を持ってはいるものの、これはコヤンスカヤ本人の神徳を示す為ではなく、神徳を損なう、あるいは神聖なる者の敵対者である事を示している。
煙が晴れた瞬間、その兵器の威容を見た周囲の生徒と観客は顔を引き攣らせた。
そしてこの場に居た者もテレビを見ていた者も同時に叫んだ。
「「「そんなのありぃぃぃぃ!!?」」」
叫びと同時に放たれる砲撃により、対面していた生徒達は軒並み吹っ飛ばされる。
そのあんまりな惨状に麗日さんと常闇君は顔を引きつらせ、発目さんはこの宝具を見て目を輝かせる。
そして最終的に生き残ったのは僕、かっちゃん、轟君、他数チームのみという大惨事となった。
これを見たミッドナイトは流石にあかんと思ったのか脱落に関係なく最も点を取った者が次の競技に参加できるようにルールを変更した。
そして僕は今後、この英霊の使用を禁止された。