作者の思い付き短編 第二弾

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立ち上がる英雄 予告風

「君という英雄の話をするとしよう」

 

白いフードの付いたローブを纏った銀髪の青年が告げる。

 

「星の内海。物見の台。楽園の端から君に聞かせよう。君達の物語は波乱に満ちていると」

 

一見すると、草原に吹く風のように。誰もが肩を抜いてしまう、爽やかさを彼からは感じる。

 

「やあ、久しぶり。君は私のことを覚えているかな?」

 

その言葉を耳にして、僕は彼の事を思い出した。

 

いや、彼だけではない。かつての僕が持っていたあの旅の記憶を。

 

あの戦いで全てを失ったはずだった大事な宝物を。

 

「それはよかった。前にも言ったと思うけど、ボクは悲しい別れとか大嫌いだ。だからちょっと信条を曲げて、キミに一つだけ忠告をしに来たんだ」

 

観測者。理想郷より世界を眺める彼が直接何かに干渉することは滅多にない。その彼が忠告するからには、それ相応の理由があるのだろう。

 

「これからキミには二度に亘る聖杯探索にも劣らない困難が降りかかる。きっと、その旅路には多くの苦難が待ち受けているはずだ。けど、私は信じているよ。キミならばよりよい未来に辿り着けると」

 

彼がそう言うとどこか見覚えがあるケースを持ち出すとその中から光が溢れだし虹色の結晶へと変化していく。

 

「これは君がかつて彼等と繋いできた物だ。彼等も君の力になりたい様でね。少々強引だが協力させてもらったよ」

 

彼はそう言うとその結晶を僕の中に入れていく。

 

「これで君は彼等の力を借りる事が出来る。今の時代だと神秘が薄すぎて彼ら自身を呼び出すことは出来ないがそれでも困難に打ち勝つ力を持っているはずさ」

 

それは夢の御業か、それとも単なる幻か。

悪戯ぽい笑みを浮かべながら彼の姿を覆い隠すように花びらが舞い上がる。

 

「マイ・ロード。君の辿る道行きに花の祝福があらんことを」

 

 

―――

 

 

目が覚めると消毒液の匂いが漂う、白い部屋のベットで寝かされていた。

周囲を見る限り、此処は病院の様だ。

横には母さんが僕の手を握りながらうつぶせで寝ていた。

 

「うぅん……っ!?出久!?」

 

母さんは僕が目覚めたことに気付くと涙を流し始める。

 

「良かった。無事で良かった!」

「か、母さん?」

 

僕は母さんの様子に困惑していると近くに居た医師が話してくれた。

 

「君は40度を超える謎の高熱で四日ほど生死の境を彷徨っていたんだよ」

「え!?」

「今はどういう訳か平熱になっているけど念のため詳しい検査をするからね」

 

その後、僕は医師に連れられて様々な検査を受けさせられた。どんな後遺症が出ているのか分からないがゆえに徹底的に。

その結果、医師の口から衝撃の言葉が紡がれた。

 

「お子さんに個性が宿っていることが確認されました」

 

その言葉を聞いて僕と母さんは呆気に取られていた。四歳の頃、無個性と判断された僕が今になって個性が発現しているのだ。驚くのも無理は無い。

 

母さんはこれは夢なんじゃないかと医師に聞くが医師は現実だと教えると嬉しそうに再び涙を流した。

 

そんな中、当の僕は何故個性が発現したのかその原因が分かった。

 

あのロクデナシのプレゼントがこんな形で現れるなんて思ってもみなかったのだから。

 

「出久、良かったわね」

 

だが、母さんの嬉しそうな表情を見て「まあ、良いか……」と思うことにした。今まで僕が無個性であることに負い目を感じていたから。

 

 

―――

 

 

―――……これはかつて、己の全てを掛けて世界を二度も救った無名の英雄の新たな物語。

 

 

『君はヒーローに興味が無いのかい?』

『そうですね、今のヒーローは何というか。誰かを助けるのを二の次にしている気がするんです』

 

 

―――彼はそこで新たな出会いを果たし。

 

 

『でもデクって…頑張れ!!って感じで、なんか好きだ!私!』

『良いねそれ。じゃあ、今日から僕は頑張れ!!って感じのデクだ』

 

 

―――かつての彼が今まで紡いできた縁を武器に。

 

 

『良いなぁ、その個性。ますます欲しくなったよ』

『お前なんかに渡すつもりはないよAFO』

 

 

―――この世に蔓延る闇を払う。

 

 

『行きましょう、先輩。皆の未来の為に』

『ああ、行こう。マシュ!AFO、ここで終わらせる!』

 

 

―――今ここに、新たな英雄譚が始まる。

 


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