僕が寝ぼけて周囲に迷惑をかけた次の日。ホームルームで相澤先生は真剣な表情を浮かべていた。
「えー、そろそろ夏休みも近いがもちろん君らが30日間一ヶ月休める道理はない」
そう言って相澤先生は一旦見渡すと宣言する。
「夏休み林間合宿やるぞ」
「知ってたよ、やったー!!」
行事予定にも書かれてる一年の夏の大イベントだからね。
クラスメイト達が楽しそうに各々の合宿でのイベントを話し合うがミリオ先輩から自身が経験した合宿の内容を聞いた僕からするとちょっと怖気づいていた。
「ただし、その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は学校で補習地獄だ」
「みんな頑張ろーぜ!!」
期末テスト。
範囲も広いけど演習試験がどうなるかだよね。
この学校って入試の救助ポイントなど隠し要素を組み込むから油断できないよね。
そして昼休み。オールマイトから僕とかっちゃんに話があると言われ、職員が利用する休憩室に居た。
「それで、オールマイト。話というのは?」
「ああ、話すべきか迷ったが、ようやく決心が付いたのさ」
そう言ってオールマイトは姿勢を正しくすると話始める。
その内容はオールマイトの個性【OFA】と彼の宿敵【AFO】についての事だった。
そして、U〇Jでのヴィラン連合に居た脳無という化物はAFOが関わっている事を伝えられた。
話を聞いた僕達はAFOの【個性を奪い与える】という規格外の個性に言葉を失っていた。
「どうして、僕達にその話を?」
「本音を言うなら君達をこの戦いに巻き込みたくなかった。君達の力が奴に奪われるのを恐れてね。
だがこの先もU〇Jの時の様な事があるとサー・ナイトアイに言われてね。話すことにしたんだ。
事前情報を知って置けば対応も出来ると思ってね」
オールマイトは神妙な顔で続ける。
「実はサー・ナイトアイから電話があってね。今年の林間合宿でヴィラン連合の襲撃を予知したんだ」
「「!?」」
「無論この事は校長を含めて他の先生方にも伝えてある。だが万が一ということもある。気を付けてくれ」
「分かりました」
「分かった」
オールマイトから伝えられたサー・ナイトアイの警告に僕達は気を引き締めた。
―――
「んで、どういった集まりだ。コレは?」
放課後、僕とかっちゃんはクラスの皆に学校の訓練場に呼び出された。一体何の様なんだろう?
「ワリーな、二人共。けどよ」
「私達はもっと強くなりたいんですの」
「二人のこれまでの闘いを見てたら、俺達も何か出来ないか考えちまってよ」
皆が望んでいるのは強くなるための特訓らしい。だから体育祭のトップ二人に頼むのは分かるけど。
「それならデクに聞くのが一番だぞ。俺はこいつに武術を習ったからな」
まあ、うん。確かにかっちゃんに武術を教えたけど僕一人で皆を見るのか。
けど皆の焦り、強くなりたい、何かしたいという思い、それは無視できないよねぇ。敵の襲撃事件もあってそれが強いのだろうし。
「う~ん、とりあえず僕の主観と習った武術で良いなら教えられるけど。それでもいい?」
サーヴァント仕込みの武術ならある程度効果があるはず。
そう思った僕の提案に皆は了承してくれた。
学校では期末テストに備えるよう言われたけど、まだ勉強に力を入れてる人は少ない。時間あるからまだ範囲増えるだろうからね。
それから僕は一人一人に効果的だと思う訓練法を教えながら自分も自主練をこなす。
最近では轟君も熱心だ。
「轟君はその個性の偏りに気を付けること、体温調整にも注意を払うように。炎も氷も呼吸をするように扱う、大丈夫?」
「ああ、ありがとな」
「自分の限界をどちらでもきちんと把握するのが大事だよ、焦らないでね」
僕は皆の様子を見てある程度メニューを組み直し、皆と組手を行ったり、戦術指南をしたりと講師のようなことをしていた。前世では教わることが多いため非常に新鮮な気持ちになる。
「さ、時間は有限だよ。乱戦していこう」
戦う際に体術を行うことも重要となるため、基礎から教え込んでいるとみんなそれをしっかりと身につけてくれた。
乱戦にすることで誰から、いつ、どう打たれるか、常に警戒をし、受け方を直接的に学ぶことができるというポイントがある。
同時に攻撃をされた際どのようにして防ぐのか、考えながら動く。
こんな感じで様々な向上について皆で話し合い議論しながら、僕は全員と組み手をして打ちのめした。
まだまだ実力がのびそうだ。筆記は大丈夫かな?なんか不安な子達がちらほらいるけど。
―――
時は流れ、6月最終週。
期末テストまであと一週間を切っていた。
「全く勉強してねー!!体育祭やら職場体験やら行事いっぱいで全く勉強してねー!!」
「あっはっはっは」
「確かに」
うーん、あれだけ言われたけどやっぱりか。でも上鳴君は休日にナンパしに出かけてたよね?
峰田君の順位の高さに芦戸さんと上鳴君がキャラじゃねえよとツッコむけど、峰田君無駄にハイスペックなんだよね。それを覗きやらセクハラに用いるからたち悪いけど。
「普通に授業受けてりゃ赤点はでねえだろ?」
「学年トップ狙ってねえのにわざわざ勉強する必要あるか?」
轟君とかっちゃんは厳しいね。
かっちゃんは1位目指しているから座学にも力を入れている。だから赤点にならないくらい出来て当たり前なんだよね。
「お二人とも。座学なら、私お力添え出来るかもしれません。演習はまだまだ緑谷さんに学ぶべきことがありますが」
八百万さんが何気に一番やる気あるからなあ。
「お二人じゃないけどウチもいいかな?」
「わりぃ俺も!」
「良いですとも!!」
瀬呂君はギリギリで耳郎さんと尾白君は向上心あるなあ。
場所は変わって食堂。僕達は途中であった渡我さんと一緒に昼食を食べながら試験について話し合っていた。
「普通科目は授業範囲内からでまだなんとかなるけど、演習試験が内容不透明で怖いね」
「突飛なことはしないと思うがなぁ」
「普通科目はまだなんとかなるんやな」
「流石、出久君です」
演習試験は相澤先生も一学期でやった総合的内容とぐらいしか教えてくれないからなあ。
身体を動かすなら徹夜勉強とか避けて体力も万全にしとかないとね。
その後、B組の物間君が僕達にちょっかいを掛けてきたけど同じB組の拳藤さんが止めた。
その際、彼女は先輩方から演習試験の内容は対ロボットの演習と伝えられた。
「ケロ、よく知ってるわね」
「私、先輩に知り合いいるから聞いた。少しズルだけど」
「それは羨ましいな、職場体験とか別のヒーローの話しも聞けそうだし」
「色んな事務所を知りたいよね」
ズルと言うけど、チームアップを考えると人脈を作れる性格は誇るべき所だよ。
そして昼食後、拳藤さんから聞いた試験内容を皆に共有すると。
「んだよロボならラクチンだぜ!!」
やったあ!と笑うA組ワーストペア。
A組だと最下位だけど学年全体ならどれくらいなのかなこの二人?。
しかしラクチンねえ、そういった上を目指さない姿勢とか相澤先生嫌ってるけど大丈夫かな?
「あの緑谷さん、放課後の自主練の件なのですけど」
「うん、八百万さんの戦闘スタイルについてだったよね?」
八百万さんの方向性ついて話ながら僕はどういう英霊で教えようか考えていた。
あらゆる武器を生み出して戦う戦士ならアーチャー【エミヤ】か。
罠を生み出して相手を嵌める罠師なら【ロビンフッド】か。
遠距離武器、弓や銃などに絞った狙撃手なら【ウィリアム・テル】か。
前衛に必要な物を渡して指示する指揮官なら【張角】か。
などいくつか考えられるからね。
彼女はどれもある程度できるけど、だからこそ現場で悩んでしまうんだよね。それが一番やっちゃいけないことなのに。
「いっそ僕みたいに今はこのモードと切り替えるとか?」
コスチュームが変化しなくても、例えばカードとかで今の自分はこれだと決めるとか。
行動を絞らないとなんでもできる八百万さんは混乱するしね。
「自分の切り替えですか」
「僕も色んな手札があるけど、選択をあえて絞って戦ったりするんだよね」
それが最適なのもあるけど、これが通じなかったり効きにくいなら別のにって決めてるんだよね。
「創造には正確なイメージが必要だからそのやり方は有効だと思いますわ!!」
迷いが無ければ彼女はより強くなるからね。
他にもアドバイスに乗っていると次は常闇君が話しかけてきた
「緑谷よ、闇に関する英雄は居ないのか?」
「え?闇に関する英雄?居るにはいるけど」
「見せてくれないか?何か参考になるかもしれない」
何か常闇君の目がキラキラしてるんだけど、絶対君が見たいだけだよね?
とりあえず、闇に関係してそうなオルタ系やアヴェンジャークラスなどの英霊を憑依してあげると何かに刺さったのか歓喜の声を上げた。
まあ、ここ最近、特訓詰めだったし良い息抜きにはなったかな?
試験まであと少し、それぞれの方針を決めながら僕達は最後の追い込みに入ったのだった。
ちなみにかっちゃんは、切島君や障子君と砂藤君と飯田君とフルで戦ったり、アーチャークラスに憑依した僕の攻撃を回避する訓練をひたすら積んでいた。
トップを目指しているのもあるのかすごく頑張っていた。