期末テスト当日。
日頃から勉強してたから筆記試験は問題無く終わった、学年トップかは分からないけど赤点は間違いなく無いだろうね。
僕も参加した八百万さんの勉強会のおかげか心配だった芦戸さんと上鳴君もなんとかなった実感はあるみたいだ。
そして演習試験。
ズラリと並んだ先生方、雄英高校が誇るプロヒーロー達の姿に壮観だなと思っていると、相澤先生の説明が始まった。
事前に情報を仕入れることはあらかじめ想定されているみたいだね。
「入試みてえなロボ無双だろ!!」
「花火!カレー!肝試しー!!」
と既に終わった気分の二人の浮かれた姿にフラグみたいだなあと心配になってしまう。
「残念!!諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
案の定かわいい顔した校長先生により絶望の一言は告げられた。
先日の雄英高校襲撃に、保須でのヴィラン暴走事件、現状以上にヴィラン戦闘が悪化する恐れが教師の間で議論されていた。
だからロボとの戦闘訓練以上のより実戦的な対人戦闘・活動を見据えることに方針を決めたそうだ。
なので、演習試験は二人一組で教師であるプロヒーローと戦闘になったのだ。相性しだいじゃ厳しくないかな?
ペアも対戦相手もあらかじめ決めてある。これは明らかに超えなければならない基準を設けられた、乗り超えなければならない壁だ。
「だけどね、生徒の中で二人だけ別ルールでやらせてもらうよ。上を行く者には更なる受難を、それが雄英の方針だからね」
生徒の中で二人か、となると。
「爆豪、お前は」
「相手は、私がする」
かっちゃんの相手はオールマイトか。
怖じ気づくどころか、やる気満々で楽しそうに笑っているね。
「そして緑谷、お前は」
次に呼んだのは僕だ。そして相手は。
「俺達が相手だ」
イレイザーヘッド、プレゼント・マイク、ミッドナイト、13号、セメントス、スナイプ、パワーローダー、ブラドキング、エクトプラズム、ハウンドドッグ、計10名のプロヒーローとの戦いか。
「ちょ、それはあんまりにも」
「そうですよ!いくら緑谷が強くても」
「不公平過ぎです!!」
いやかっちゃんの方も大概だから。何せ相手はあのオールマイトだからね。
流石に厳し過ぎだと皆が反発するけれど相澤先生は首を横に振るう。
「今の緑谷の実力だと教師一人では簡単に突破されてしまう可能性がある。それにこれは緑谷のためというより、現場から長らく離れている俺達の鍛え直しの意味もある」
どうやら先生方はこれまでの闘いで実力不足を感じていたらしい。
「そういう訳だ緑谷。遠慮は要らないから全力で来い」
「ええ分かってます。襲いかかる不条理を打ち砕いてこそヒーローですから」
この演習試験、たとえ赤点でも構わない。全力でぶつかり、乗り越える。
―――
そして始まった演習試験、三十分間の制限時間内で超圧縮おもりをつけた先生方にハンドカフスをつけるか、どちらか片方がステージから脱出するかというルール。
倒してハンドカフスをつけるのは現実的ではないから、脱出がメインになるかな?でもヴィランを逃さないヒーロー相手に逃亡を選ぶ方が悪手だ。
勝ち方をどうするか二人の意思統一を素早く行い、その最善手に徹しきれるかどうか、それが一番重要だね。なにせこの試験、先生方がわざわざ立ち向かう必要もないのだから。
とりあえず終わるまで待機か、リカバリーガールの出張保険室でリカバリーガールと一緒に皆を見ていよう。
それから皆の試験結果だけど、
イレイザーヘッド対轟君八百万さんのペア。
個性を打ち消す体術の練達者である相澤先生に、八百万さんの指示で冷静に切り抜けて勝利。
エクトプラズム対常闇君と蛙吹さんペア。
地力の向上した常闇君と黒影のパワーを蛙吹さんが上手くサポートして勝利。
プレゼント・マイク対口田君と耳郎さんペア。
大音量なヴォイスを耳郎さんが相殺してる間に口田君が虫を操って勝利。
パワーローダー対尾白君と飯田君ペア。
パワーローダーの攻撃を飯田君が防ぎ尾白君が穴だらけなステージを突破して勝利。
スナイプ対葉隠さん障子君ペア。
姿を隠し弾丸を放つスナイプを柱で弾丸を防ぎながら索敵し葉隠さんが捕えて勝利。
13号対麗日さんと青山君ペア。
あと少しで脱出という所で捕まりそうになるも、麗日さんがあえて懐に飛び込んで組み伏せて勝利。咄嗟に個性を止めてしまう13号の反応に気づいたんだね。
残るは4組、峰田君が男気を見せて突破したけど、砂藤君と切島君、芦戸さんと上鳴君は相性の問題もあって失敗した。
かっちゃんの方は。
『叩き潰すぞ№1コラァッ!!』
『やるねえ爆豪少年ッ!!』
超圧縮おもりつけてるとはいえオールマイトと真正面から戦闘。あのオールマイトと互角に渡り合っている。日頃からの体術訓練と才能は見事に結果をだしているね。
「そろそろか」
プレゼント・マイクも叩き起こされたしいよいよ僕の番だ。
―――
十名のプロヒーローと仮免すら持たない学生の戦い。決して許されることのない埒外な試験。
僕はこの状況に最適な英霊を選んだ。
「憑依召喚。バーサーカー【ヘラクレス】」
僕はヘラクレスの力を借りて駆け出すと直ぐに先生の攻撃が降り注ぐ。
セメントスによるコンクリートの操作で動きを止め、ブラドキングの操血による増強した筋力のヘビー級ブローで吹っ飛ばし、スナイプのホーミングによる必中の銃撃とプレゼント・マイクのヴォイス遠距離攻撃が襲い掛かる。
「がはっ!?」
腹部と背、両方からの痛みに息を吐くが追撃の手は緩まない。鉄爪の個性にて地中を掘り進むパワーローダーが足を掴み、そこへハウンドドッグ、イレイザーヘッド、ミッドナイトが襲いかかる。
僕はパワーローダーの腕を掴んで引きずり出して襲い来る先生方にぶつけて宝具を発動させる。
「宝具【射殺す百頭】!」
万能宝具と呼ばれるヘラクレスが所持する中でも最高の宝具。手にした武具、あるいは徒手空拳により様々な武を行使する。
1個の兵装というよりひとつの流派であり、いわば『無差別格闘流派・射殺す百頭』という技能そのものが宝具化したもの。
武具の力を最大限に引き出し、対人から対軍、城攻めに至るまで状況に合わせて様々な形を見せる。ヘラクレスが長い戦いの末に編み出した戦闘方法。
その宝具をまともに喰らったパワーローダー、ハウンドドッグ、ミッドナイトは戦闘不能となり、イレイザーヘッドは直前に回避に移ったのか軽症で済んだようだ。
「凄まじいな、一瞬で三人も仕留めるとは。流石はギリシャ神話の大英雄といった所か」
「大丈夫か?イレイザー」
「ああ、まだ戦えるぞブラド」
イレイザーヘッドとブラドキングは他の先生方の支援を受けながら僕に襲い掛かる。
イレイザーヘッドの捕縛布による拘束とセメントスのコンクリートの操作で動きを封じられながらも、ヘラクレスの怪力と耐久力で耐えながら二人を戦闘不能にさせる。
そしてイレイザーヘッドが居なくなったことで僕は次の英霊を憑依させる。
「憑依召喚、キャスター【メディア】」
選んだのはギリシャ神話におけるコルキスの王女にして、人類史上有数の魔術師。
【裏切りの魔女】と呼ばれた彼女を憑依させた僕は飛翔する事でセメントスの拘束から逃れ、多種多様の魔術を残りの先生に放つ。
セメントス、スナイプ、プレゼントマイク、13号は必至に抵抗するがメディアの高速詠唱による物量に押されて戦闘不能となった。
雄英高校一年期末テスト、終了。
結果は後日の発表となる。