林間合宿当日。
雄英高校は一学期を終え、現在は夏休み期間中に入っていた。
けど、ヒーローを目指す僕達に安息の日々は訪れない。この林間合宿で更なる高みへ目指さないと行けない。
僕達は相澤先生の言葉により一層引き締める。
「デク君!遂に林間合宿の始まりだね!」
「そうだね。麗日さん。一緒に頑張ろう」
「うん!」
林間合宿の前にとてもテンションが高い麗日さんはそのまま芦戸さんと上鳴君と一緒に合宿と連呼し始めた。
とても元気だなぁ。
その後B組の物間君が僕達に煽り散らすけど拳藤さんに止められて引きずられていった。
そして、バスに乗り込むB組女子の後ろ姿を見て涎を垂らす峰田君を瀬呂君に頼んで拘束してもらい。僕達もバスに乗った。
移動中、相澤先生が皆にこれからの予定を話し出すが全員聞いておらず好き勝手に騒いでいた。
バスに乗ること一時間、相澤先生が言ったとおり止まった先は森を見下ろせる景色の良いところだった。
停車したにも関わらずパーキングエリアでは無いことが不思議なのだが。
「ようやく休憩か~」
「おしっこ!おしっこ!」
「つか何ここ、パーキングじゃ無くね?」
「B組が居ないぞ?」
皆はこの場所で止まったことに不思議に思っていると相澤先生が話始める。
「何の目的も無くは意味が薄いからな」
相澤先生がそう言うと、何故か近くにあった車のドアが開き、二人の女性と男の子が出てきた。
「よーう、イレイザー!!」
「ご無沙汰してます」
相澤先生が二人の女性にお辞儀をすると。
「煌めく眼でロックオン!」
「キュートにキャットにスティンガー!!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」
いきなり、キメ台詞の様なものを言いながらポーズを決めた。
「今回お世話になるプロヒーロー【プッシーキャッツ】の皆さんだ」
プッシーキャッツ。確か山岳救助を主に活動する四人一組のヒーローチームだったかな。
「お前ら、挨拶をしろ」
「「「よろしくお願いします!」」」
皆で挨拶を済ませると、早速メンバーの一人マンダレイが説明を始めるがあまりにも遠かった。
彼女の説明に僕達は薄々感づき始め、急いでバスに戻ろうとするが。
「悪いね諸君。合宿はもう始まっている」
その直前にピクシーボブが回り込み、彼女の個性で土ごと崖下に放り出された。
「おーい!」
僕達が崖下で起き上がるとマンダレイが声をかけてきた。
「私有地につき、個性の使用は自由だよ!今から三時間、自分の足で施設までおいでませ!この、【魔獣の森】を抜けて!」
魔獣の森ってRPGに出てきそうな名前だなぁ。
「皆、怪我は無い?」
「ああ、土塗れだが怪我は無いぜ」
良かった、皆の様子を見る限り怪我は無いみたいだ。
それに安心していると峰田君が猛スピードで森の中へ駆け抜けて行った。
「ちょ!?峰田君、どこに!」
「漏れる、漏れる~!」
峰田君はそう言って木陰に向かう。
だがそこには巨大な魔獣が姿を現した。
「魔獣だー!」
それを見た瀬呂君と上鳴君が叫び、僕達は直ぐに行動を開始する。
「静まりなさい獣よ!下がるのです!」
口田君が個性【生き物ボイス】で魔獣の動きを止めようとするが魔獣はそれに構わず峰田君に前足を振り下ろす。
「憑依召喚。アーチャー【アタランテ】」
僕はアタランテの力を借りて彼女の身体能力で峰田君を救出、その後に轟君、かっちゃん、飯田君が魔獣を攻撃すると粉々に砕かれた。
「これは、土?」
「恐らくピクシーボブの個性で動かしてるんだ」
「なにはともあれやったな!」
クラスメイトは魔獣が倒されたことに安心するがあれ一体だけとは思えない。
そう思っていると、森の奥から次々と魔獣が現れた。
「かっちゃん、どうする?」
「そんなもん、強行突破だ。行くぞ!」
「だと思った!」
とりあえず僕は弓矢で空を飛ぶ魔獣を撃ち落とし、地面に居る奴はかっちゃんが仕留める。
「二人だけで任せていられないな。行くぞ皆!」
「「「おう!」」」
こうして僕達は襲い来る魔獣を相手にしながら施設を目指した。
―――
PM 5:20。
「お、やっと来たにゃ~」
ピクシーボブのあんまりな言葉に今の課題が無理難題だったのだと実感する。
魔獣との戦いでボロボロになった僕達は疲労困憊で施設についた。
「何が三時間ですかー!!」
「それ、私達ならって意味よ。悪いね」
「ねこねこねこ、でも正直もっとかかると思ってた。私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった」
ピクシーボブは舌をだしながら、僕(アタランテ)、轟君、飯田、かっちゃんに指を向けた
「いいよ君ら。特にそこの四人ってなんか知らない人が居るっ!?」
「ああ、ピクシーボブ。そいつも生徒なんですよ。緑谷、もう解除してもいいぞ」
「あ、はい」
相澤先生に言われて憑依を解くとマンダレイ、ピクシーボブは目を見開く。
「へ~、体育祭やイレイザーの話で聞いていたけど本当に性別が変わるんだねぇ」
「面白いにゃん。ねえねえ君、卒業後は私達のサイドキックになりなよ。色々サービスするよ?」
何か、急に勧誘しだした。でもなぁ。
「すいません、卒業後はサー・ナイトアイの所に行くので無理です」
「もう先約が!?ちぇ~、あわよくば五人目になって欲しかったのにな~」
もしかしてこの人、アタランテの能力を見て勧誘しだしたのかな?……そういえば。
「あの、すいません。マンダレイの隣に居る子はどなたのお子さんですか?」
「ああ、違う。この子は私の従妹の子供だよ。洸汰、ほら挨拶しな。一週間一緒に過ごすんだから」
「……ヒーローなんてなりたい連中とつるむ気はねぇよ」
その子、洸太君はそう言ってどっかいってしまった。
「さて諸君、バスから荷物を降ろせ。部屋に荷物を運んだら夕食、その後入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。ほら、早くしろ」
相澤先生に促された僕達は急いで荷物を部屋に置きに行ったあと食堂で夕飯にありつく。
そして入浴。峰田君が覗きを敢行したが洸汰君が阻止してくれた。
その際、洪太君が落下してしまい。慌てて受け止めた後、マンダレイに見てもらった。
その時、マンダレイとピクシーボブから洸汰君の事を聞かせて貰った。
それを聞いて僕は何も言えず。その場を後にした。
―――
そして翌朝。
相澤先生の挨拶と共にこれからする事を伝えられた。
その内容は個性を伸ばすという特訓をすることらしく、要はひたすら個性を使い続けて耐久力と力を強化させることらしい。
皆が特訓に組み込む中、僕は相澤先生に連れられていた。
「あの、先生。僕は一体何をすれば?」
「緑谷、お前の個性は強力過ぎてプッシーキャッツだけじゃ力不足になる。よってお前には特別な特訓法を与える」
そうして向かった先はピクシーボブの個性で作ったコロシアムだった。
「此処は……」
「お前用に作った特訓場所だ。此処で彼等と相手にしてもらう」
そう言ってコロシアムに入ると。その中に人影が見えた。
「え!?この人たちは……」
人影の正体はミルコ、レディ・ナガン、グラントリノ、シンリンカムイ、ガンヘッド、デステゴロ、他数名のプロヒーローが居た。
「今回、緑谷の為にかき集めたプロヒーローの方達だ。これからは彼らに相手してもらう」
「えっと、具体的にどんな訓練ですか?」
何やら嫌な予感を感じながらも一応相澤先生に聞くと彼はニヤリと笑う。
「今回のお前の特訓は五分ごとに英霊を変えながら彼等と戦闘訓練をしてもらう。状況判断能力、憑依速度、切り替え速度、身体能力を同時に鍛える訓練だ。正直どこまで効果があるかは分からないが無駄になることは無いだろう」
そう言って先生は目の前のヒーロー達に頼み込むとみんなの元に向かう。
「ああ、宝具の使用と一度使った英霊の再使用は禁止な。訓練にならないから」
しかも縛り追加ですか。とりあえず使う英霊をちゃんと考えないとなぁ。
こうして僕は複数のプロヒーローと戦うという特訓をやらされることになった。
緑谷の特訓、これくらいしか思いつかなかった。