My Hero Grand Order   作:BLUE@

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神野決戦 決着

「何だ、お前は?」

 

死柄木は今の現象に戸惑っていた。当然だろう。僕の体から光が溢れたかと思えばその中からマシュが出てきたのだ。僕はちらりとマシュを見る。

 

薄紫色のミディアムボブに紫色の目、その顔立ちは儚い印象を与える。

そして服装は紫の差し色が入った白銀の鎧と盾、まさに聖なる騎士のイメージそのまま具現化したかのような姿をしていた。

 

前世と全く変わってない彼女は僕の拘束を外すと、オールマイトの様に強い意志を持った目で真っ直ぐ見る。死柄木はそれが気に喰わないのか酷くイラついていた。

 

「はははははははは!」

 

一触触発の雰囲気の中、突然AFOは大声で笑いながら拍手をし始める。

 

「いやはや、予想外にも程があるよ緑谷君。まさか君の中から人が出て来るとはね。僕の人生の中で初めての事だよ。いいなぁその個性。ますます欲しくなったじゃないか」

 

そのねっとりとした視線に僕は悪寒が走るがそれでも真っ直ぐ見る。

 

「お前なんかに渡すつもりは無いよAFO」

 

マシュの隣に立つ。それがとても懐かしく感じ、こんな状況にも関わらず頬が緩んでいた。

 

「行きましょう、先輩。皆の未来の為に」

「ああ行こう、マシュ!AFO、ここで終わらせる!」

 

僕はマシュと一緒に戦うためにとある英霊へと憑依させる。

 

「憑依召喚。アヴェンジャー【エドモン・ダンテス】!」

 

選んだのは小説『モンテ・クリスト伯』の主人公で、世界一有名な復讐者。

 

復讐の完遂を目前にして成し遂げなかったモンテ・クリスト伯の末路であり、人々に「かくあるべし」と存在を捻じ曲げられた恩讐の化身たる存在。

 

カルデア所属のサーヴァントとして人理修復に勤しむ傍ら、戦いの中で僕の精神に掛けられた「澱みの塊」や「性悪の残滓」などの呪いを密かに除去し続けてくれた英霊。

 

そんな彼に憑依した僕はまず、近くにいた僕を拉致した仮面の男に怨念の炎を放つ。

 

「な!?」

 

仮面のヴィランはとっさに回避するがその先にマシュが先回りしてそのがら空きの胴体に盾をフルスイングで叩きこみ、壁に叩きつけた。

 

「コンプレス!?クソ、なんなのよぉ!?」

 

仮面のヴィランの名前を呼ぶオネェのヴィランは個性を使ってマシュを引き寄せようとするがそこに僕が目の前に立ち、炎を纏わせた拳でラッシュを叩きこみ吹っ飛ばす。

 

「ふむ、予想以上だね」

 

一瞬で二人を倒したのを見たAFOは右手を僕達に向けて複数の個性を発動させ始めた。

 

「マシュ、頼む!」

「お任せください、マスター!」

 

僕の頼みにマシュは盾を前に構える。

 

「真名、刻銘。これは多くの世界、多くの夢を繋ぐ我等が誓い。証明せよ!【希望築く人理の盾】!!」

 

この宝具は【いまは遙か理想の城】を遥かに凌ぐ防御力・支援効果を持った守護障壁を前方に展開する。

 

ギャラハッドのデミ・サーヴァントを卒業し、円卓の英霊ではなくなったため、彼女にとってのキャメロットと言えるカルデアの名を冠したこの名前に回帰した。

 

七つの特異点と白紙化地球をめぐる旅の果て、自分の人生が他ならぬ人間によって意図的にデザインされた贋作だと知り、それでも人類の営みを善と信じたマシュの答えこそがこの宝具だ。

 

この鉄壁の守りをAFOの複合個性がぶつかる。衝撃で周囲の建物が崩壊する中、マシュは足を踏ん張って耐え続ける。

 

やがて破壊の嵐が終わると僕達の後ろ以外が破壊され尽くした町が姿を現した。

 

「凄いじゃないか!僕の攻撃を無傷で防ぐとは。つくづく規格外だね!」

 

まるで新しい玩具を見つけた子供の様に笑うAFOに僕達は更に気を引き締める。

 

「ぐう……一体何が……」

「お、おい。あれって……」

「林間合宿で攫われた子だ!良かった無事だ」

 

突然周囲から声が聞こえ、振り返るとオールマイト、グラントリノ、エッジショット、シンリンカムイ、エンデヴァーと警察の方々が集まっていた。

 

「緑谷少年!」

 

オールマイトは僕達の無事が分かるとすぐさま駆けつけた。

 

「怪我は無いか?それと隣に居る少女は?」

「オールマイト、僕は大丈夫です。それと彼女、マシュは味方です」

 

僕はオールマイトに簡単な説明をすると目の前の巨悪に集中する。

オールマイトもAFOを見て険しい表情を浮かべる。

 

「やはり、生きていたかAFO!」

「やあ、久しぶりだねオールマイト」

 

オールマイトは僕達の前に立ち、AFOを睨みつける。

 

「緑谷少年、今すぐ塚内君の所に向かうんだ。ここからは私達の仕事だ」

「そうしたいですけど、その余裕は無さそうです」

 

そう言って僕は周囲を見渡すと何もない所から泥の様なものが噴き出し、そこから大量の脳無が現れた。

 

「な、脳無!?」

「一体どこから?生産工場は潰したはずじゃ」

「ベストジーニストから連絡が。工場は既に潰したそうです!」

「まさか、あそこ以外にも工場があるのか!?」

 

あちこちに現れた脳無にヒーローと警察は乱戦状態となった。これではとても避難なんて出来そうにも無かった。

 

「くっ!新たなワープ系の個性か!小賢しい真似を!」

 

僕達は襲い来る脳無達を相手にしていると、AFOはここにいるヴィラン連合達に逃げろと言い始めた。それを聞いたヒーローと警察は何とか阻止しようと動くが、大量の脳無とAFOの攻撃に阻まれ逃走を許してしまった。

 

「さて、後は僕が掃除すれば終わりだね。その前にオールマイト、OFAは返してもらうよ」

「貴様のものでは無い!これは貴様の様な悪を倒すための力だ」

「君が何と言おうと勝手だがね。力ずくで返させてもらうよ」

「ほざけ!」

 

こうして始まったオールマイトとAFOの闘い。その戦闘の余波は凄まじく、僕とマシュは吹っ飛ばされない様に足を踏ん張る。

 

「マスター、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だよマシュ。それにしても凄いねオールマイトは」

「はい、人の身であの力。サーヴァントに匹敵する力です」

 

僕達は目の前の闘いを見守っていると、後ろからグラントリノが来た。

 

「二人共、此処は危険だ!早く避難を」

「はい!マシュ、行こう」

「はい!」

 

僕達は、グラントリノの指示に従ってこの場を離れる。

 

「揺るがないか、腹に空いた大穴による影響が無いのは気になるがまあいい。なら次だ」

 

AFOは一旦攻撃を止めると次の言葉を放つ。

 

「死柄木弔は志村菜奈の孫だよ」

「なっ!?」

 

この言葉でオールマイトとグラントリノは目を見開く。

 

志村菜奈。確かオールマイトから聞いた話だとOFAの先代にして師匠だった人のはずだ。そんな人の孫があの死柄木だとすると。

 

「っく!外道が!」

 

AFOめオールマイトの心を折る為にわざわざ探し出していたのか。

 

「ほらほら、どうした?動きが鈍くなっているぞ?」

 

不味い、今の言葉でオールマイトが追い詰められている。

だが、今の僕は自衛以外の個性の使用は出来ない。……なら。

 

「オールマイトオオオオオ!!」

 

僕はあらん限りの声を上げてオールマイトに伝える。

 

「勝ってください!!今ここで、そのヴィランの悪意を終わらせてください!!これ以上、犠牲者を出さないために!!平和の象徴の光を皆に見せてください!!」

 

僕の言葉にオールマイトの目に力が戻り始める。もう一息だ。

 

「それが!!貴方の物語でしょう!!」

 

その言葉に、オールマイトの目に光が灯った。

 

「勿論だ、緑谷少年!!」

 

AFOの言葉から立ち直ったオールマイトは反撃を開始した。

嵐の様な連撃にAFOは追い詰められていく。

 

「く、立ち直ったか。ならば!」

 

AFOは右腕に個性を集中させ巨大な腕へと変貌させ、そのまま殴りつける。

だがオールマイトはそれを紙一重に避けるとトドメを刺す。

 

「UNITED STATES OF SMASH!!!」

 

OFAの力を右腕の拳に全て籠めた、渾身の一撃が周囲の瓦礫を巻き上げる。

そして土煙が晴れるとそこには地面に倒れ伏すAFOと力強く右腕を掲げるオールマイトの姿だった。

 

夜が明ける。破壊された都市に朝日が差した。

 

ヒーロー達が救助活動をする中、AFOの護送を見届けたオールマイトは報道陣に向けてこういった

 

「次は、君達だ」

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