My Hero Grand Order   作:BLUE@

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アンケートの結果、FGOでコラボした他作品キャラの憑依をありに決まりました。
アンケートに答えてくれた方、ありがとうございました。


入学初日の試練

合格者への合格通知が届けられている頃、雄英高校の会議室に教員となるヒーロー達は今、ヒーロー科のクラス分けが行われていた。

 

それぞれの手元には生徒の資料が置かれている。

 

「それじゃあ、残りはこの6人なのさ」

 

そう言って机に6つの資料を広げるのは、雄英高校の校長を勤める根津。

 

【動物が人間以上の頭脳になる】という他に類をみない、個性を発現させた動物。

 

当人にも、ネズミなのか犬なのか熊なのかと日々疑問を抱いている。

 

その正面の机の左右に並ぶのは、一年の各クラスの担任の教師と、各教科を担当する教員ヒーロー達だ。

 

その中で筋肉質の男が資料を見ながら顎に手を当てた。

 

ブラッドヒーロー、ブラドキング、本名 管 赤慈郎。

 

今年の一年B組のクラス担任を任せられた教員だ。

 

「基本は例年通り両クラスで能力に差が開かん様にするべきでしょうな。推薦を二名ずつ。そして今回は特殊ですが、首席の二人を各クラスに割り振るという形で」

 

会議室にいる全員がその言葉に同意を示し、頷く。

ただ一人、資料を鋭く見る男を除いて。

 

「待てブラド。今回の首席二人、俺に任せてくれないか?」

 

抹消ヒーロー、イレイザーヘッド、本名 相澤 消太。

彼はそう言いながらブラドキングを見る。

 

「主席二人を?イレイザー、それは流石に……」

 

イレイザーヘッドの言葉に、その隣に座るサングラスをかけた男が反応する。

ボイスヒーロー、プレゼント・マイク、山田 ひざしだ

 

「そうよ相澤君、そんな事をすれば二つのクラスの初期の実力に差が生まれる可能性はあるわ。それは生徒のモチベーションを下げる危険性があるわよ」

 

プレゼント・マイクに同意したのは、18禁ヒーロー、ミッドナイト。本名 香山 睡。

 

「無論それは承知してます。ですが、今回の提案には訳があります」

 

イレイザーヘッドは冷静に、2つの資料を並べた。

 

「この二人は幼馴染みの関係で中学の時はヒーローに成るための特訓をしていたそうです。それなら共に居させる事で更なる成長をさせることが出来るかもしれません」

 

イレイザーヘッドの言葉に、全員が考え込む。

 

「校長、我儘を言っているのは重々承知しています。それでも、俺にこの二人を任せてくれませんか。ブラドも、頼む」

 

ブラドキングは己の目を真っ直ぐに見るイレイザーヘッドに、根負けした様にため息をついた。

 

「はぁ…、分かったよ。お前がそこまで言うのなら、お前なりの考えがあっての事だろ」

「菅君がいいなら、私も構わないのさ。元よりクラス分けは担当教員の意見が最優先だからね」

「ありがとうございます」

 

そして残り4名のクラス分けが終わり、会議は終了した。

 

 

―――

 

 

「………よし」

 

僕はリュックの中身を確認してリュックの口を閉める。

今日は遂に雄英高校入学の日。

僕はリビングへと向かい、母さんに声をかけた。

 

「準備終わったよ」

「確認はばっちり?」

「うん、昨日の夜にやっておいたし、さっきも確認したよ」

 

母さんは頷きながら、僕の方をじっくりと見る。

 

「うん!制服似合ってる!格好いいよ出久!」

「ありがとう母さん。行ってきます」

 

手を振る母さんを見ながら扉を閉めて、駅までの道を歩き始めた。

 

因みにかっちゃんは先に行っている。

 

そのまま雄英高校まで辿り着き、あらかじめ伝えられていた教室へと移動した。

 

そして僕は、一年A組の教室の前に辿り着いた。

 

「扉でか…バリアフリーか?」

 

クラス分けは事前に公開されていなかった。

 

雄英高校ヒーロー科は一般入試で定員36名、推薦入試で4名。合わせて40名のA組B組の2クラスしかない。

 

かっちゃんと同じクラスがいいけど、僕とかっちゃんは一般入試で同点で一位を取った。

 

少なくともかっちゃんと一緒になる事はないかなぁ…。

 

僕は教室の扉に手をかけて横へと開く。

 

「爆豪君、そろそろ本をしまった方が良い」

「もうそんな時間か」

 

同じクラスになれる確率の低いと思っていたかっちゃんが教室にいた。何なら飯田君もいた。

 

というかかっちゃん、僕が書いた小説を持ち歩いてるし、初対面時はあんなに険悪だった飯田君と仲良くなってない?

 

「あ!お前が読んでるそれ【Fate/Grand Order】じゃねえか!」

「まじで!?ここにも【FGO】を読んでる奴が!?」

「なに?【FGO】の話?俺も混ぜてくれ!」

「あ”ぁ”?何だお前ら!?」

「君達!そろそろ先生が来るから座りなさい!」

 

あ、かっちゃんが金髪の男子と赤髪の男子と肘の形状が変わった黒髪の男子に絡まれ始めた。

 

「皆さん。何を騒いでいるのでしょうか?」

「あれ、知らないの?【FGO】の事。凄く有名な小説なんだよ?」

「設定が複雑だけど、読み込めば面白いんだよ?」

 

何か、女子達も僕の小説について話始めた。

 

「あ!緑谷君だ!!」

 

その時、僕の背後から聞き覚えのある声が聞こえて振り返るとそこにはこれまた知り合いの女子がいた。

 

「麗日さん、久しぶりだね」

「久しぶり!!もしかして緑谷君もA組?!」

「うん、そうなんだ」

 

すごいな、こんなにも知り合いが同じクラスに揃うだなんて。

 

「あ、飯田君も受かったんだ!ねえ、もし今日が式とかガイダンスだけならみんなで話そうよ!ていうか、先生ってどんな人だろうね!」

 

登校初日だからかやたらとテンションの高い麗日さん。

担任の先生か。

 

「きっと、麗日さんの後ろにいるよ。ですよね?イレイザー・ヘッド先生」

「え?!」

 

麗日さんは驚いて振り返る。そこには黄色い寝袋に包まれた、一見するとくたびれた様な人が寝転がっていた。

 

「友達と話しながらも周囲の警戒とは、高校生らしくないな。緑谷出久」

「お久しぶりです。どんな事態が起こってもいつでも対応出来ように鍛えてますから」

「まぁ、お前以外は気づいた様子はナシ、か。友達ごっこがしたいなら他所へいけ。ここはヒーロー科だぞ」

 

そう言いながらとモゾモゾと動き、寝袋の隙間からゼリー飲料を取り出して一気に吸った。

あまりの異様さに、クラスの全員が黙り込んでしまう。

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。君たちは合理性に欠くね」

 

やはりこの人がこのクラスの担任の先生らしい。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね。」

 

そう言いながら相澤先生は寝袋の中から何かを取り出した。

 

「早速だが体操服を着てグラウンドに出ろ」

 

これから入学式じゃないのか…?

 

僕達は全員疑問を抱きながら与えられたそれに着替え、グラウンドに出た。

 

そして相澤先生の口からこの移動の目的が告げられた。

 

「個性把握テスト?!」

 

数人が声を揃えて言った。

 

僕も驚いていた。

 

やるとは思っていたけど、まさか初日だなんて。

 

「入学式は?!ガイダンスは?!」

 

麗日さんは焦りながら相澤先生に質問する。相澤先生振り返る事もせずに説明を続ける。

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出てる時間ないよ」

 

そう言って振り返り鋭い目で僕達を見る。

 

「雄英は"自由"な校風が売り文句。そしてそれは"先生側"もまた然り」

 

その目はこちらを試している様で、そして僅かにだけ僕を強く見た気がした。

 

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈。

中学の頃からやってるだろ?個性禁止の体力テスト。

国は未だ画一的な記録をとって平均を作り続けている。合理的じゃない。まぁ、文部科学省の怠慢だよ」

 

そう言いながら先生は近くにあった箱から大きめの、ハンドボールのような物を取り出した。

 

そしてそれを持ちながら僕達の方を向き、見渡した後にかっちゃんの方へと歩いて行った。

 

「爆豪、中学の時のハンドボール投げ何mだった」

「71m」

「じゃあ個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ、思いっきりな」

 

かっちゃんはボールを受け取り、グラウンドに書かれた円の中で軽く体操をする。

 

「んじゃまぁ」

 

かっちゃんはゆっくりとフォームを作り、そして腕を思いっきり振る。

 

「ぶっ飛べええええええ!!」

 

かっちゃんはボールを投げると同時に掌から特大の爆破を起こす。

 

「まずは自分の"最大限"を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

そう言って手に持っていた端末のモニターをこちらに見せる。

そこには、本来のハンドボール投げではありえない『717.3m』という数字が表示されていた。

 

「なんだこれ!!すげー面白そう・・・・!」

「717.3mってマジかよ!」

「個性思いっきり使えるんだ!さすがヒーロー科!!」

 

皆が個性が使えると知ってテンションが上がる中、僕は相澤先生の目が鋭くなるのを見た。

この雰囲気、なんか良くない気がする。

 

「面白そう、か。ヒーローになる為の三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?」

 

僕の心配が的中したのか、相澤先生の雰囲気が僅かに変わった気がした。

 

「よし、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」

「はあぁぁぁぁ?!」

 

相澤先生の言った言葉にクラス中がどよめく。無理もない。入学初日から除籍処分だなんて聞かされたら。

 

「生徒の如何は先生の自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」

 

入学初日から訪れた試練に、僕達は心の準備をする間もなく挑む事となった。

 

「最下位除籍って…!入学初日ですよ?!いや初日じゃなくても…理不尽すぎる!!」

 

麗日さんは焦りながら相澤先生に大声で抗議する。だが相澤先生に特に堪えた様子はなく、言葉を続ける。

 

「自然災害、大事故、身勝手な敵ヴィランたち…。いつどこから来るかわからない厄災…。日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー」

 

僕の脳裏に、前世の世界での旅がフラッシュバックした。

確かに、僕の境遇を除いたとしてもそう言った備えようもない脅威はそこら中に溢れている。

 

「放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間、雄英は全力で君達に苦難を与え続ける。

【Plus ultra】さ。全力で乗り越えてこい」

 

緊張、焦燥、困惑。

 

皆がそれぞれの表情を浮かべる中で、かっちゃんは笑っていた。

あれは、多分まだ上が出せそうって思ってるな。

 

さてと、まずは50m走だ。

 

皆、自分の個性を使ってタイムを競っている。

 

そんな彼らの個性を分析しながら見ていると僕とかっちゃんの番が来た。

 

「勝負だ。デク!」

「受けて立つよ。かっちゃん」

 

かっちゃんの勝負を受けた僕は個性を使う。

 

「憑依召喚。アーチャー、【アタランテ】」

 

選んだのはギリシャ神話に登場する、アルテミスの加護を授かって生まれた俊足の乙女にして、イアソンが率いるアルゴノーツの仲間として大英雄達と旅をした女狩人。

 

彼女の力を憑依した瞬間、僕は獣のような耳と尻尾が特徴的な緑髪の女性へと変化する。

 

「え!?姿が変わった!?」

「しかも女になってんだけど!?」

「どういうこと!?」

 

周囲が僕の変化に驚く中、僕達はお互い言葉もなくそれぞれの構えを取る。

 

僕はクラウチングの体勢をとり、かっちゃんは両手を後ろに向けて広げる。

 

そしてスタートの合図が鳴ると同時に、僕達は加速し一瞬のうちにトップスピードへ至る。

 

そしてゴールラインを通過し、タイムを見る。

 

僕達は振り返りタイムを測定しているロボットの音声に耳を傾ける。

 

『3秒!両者同タイム!』

 

引き分けか、後一歩でかっちゃんを抜けたのに、そこが悔しい。

そこで僕が変身するのを目撃したクラスメイト達が駆け寄ってきた。

 

「ねえねえ!君の個性って何なの?何で女の子になってるの?」

「それ本物?触ってもいい?」

「可愛い!色んな服を着せたい!」

 

クラスメイト達は興奮した様子で僕に質問攻めをする。流石に応えきれないよ。

 

「ケモ耳……良い……でも男……」

 

あの峰田君、目線が怖いから止めて。

 

「オイお前ら、質問は終わってからにしろ。今すぐ除籍にしてやってもいいんだぞ」

 

相澤先生の鋭い目つきに、クラスメイトはその本気度を察して大人しくする。

 

二種目は握力測定だ。

 

この種目では僕はかっちゃんに負ける事はないはずだ。

 

「憑依召喚。バーサーカー、【ヘラクレス】」

 

選んだのは言わずと知れた、ギリシャ神話における二大英雄の1人。

 

十二の功業と呼ばれる試練や、アルゴノーツとしての航海、ギガースとオリュンポスの神々との戦いなど数多の冒険を繰り広げ、全てを乗り越えた。死後はオリュンポスに迎えられて神になった戦士。

 

その彼の力を宿した僕は握力計を全力で握りしめるとバキッという音がした。

 

「……あ」

 

僕は恐る恐る手を開くとそこには持ち手が不自然に凹んだ握力計があった。

因みに僕に注目していたクラスメイトは唖然としていた。

 

「すみません、相澤先生。弁償します」

「いや、これは想定してなかった俺達が悪い。とりあえず計測不能として書いておく」

「本当にごめんなさい」

 

そして次の種目、立ち幅跳び。

 

ここではさっき50m走で高記録を出した人たちが活躍していた。

 

後は麗日さんが結構いい記録を出していた。

 

ちなみにここではかっちゃんの方がいい記録を出したが、僕がライダー、【アキレウス】になった事で記録を上回った。

 

 

4種目は反復横跳び。

 

ここでは今まで目立った記録のなかった峰田君がすごい記録を出した。

 

あの頭から取っては生えてくる球体は、どうやら彼以外には張り付いて彼自身にはまるでゴムのように弾性が働くみたいだ。

 

それ以外で言うなら、僕とかっちゃんくらいだろうか。

 

因みにかっちゃんとは僅差で負けた。

 

 

そして5種目。

 

ここで最初にかっちゃんがやってみせたハンドボール投げだ。

 

前半で一番印象に残ったのは、麗日さんの出した無限の記録だ。

 

どうやら重さを消して投げたところ、計測不能な程に飛んでいってしまった様だ。

 

かっちゃんも最初の時よりも高い記録を出したが僕はアーチャー、【ダビデ】になる事で更にそれを上回った。

 

「ちっ!まだ届かないか……」

 

かっちゃんは悔しそうにしているが彼らの力を借りてる僕にはちょっと罪悪感がある。

 

それから僕はできる限りを尽くして残りの種目で一番になれるように目指した。他の皆もそれぞれの個性を使い大記録を打ち出して行き、全種目終了。

 

「んじゃパパっと結果発表」

 

トータル最下位が除籍……。

自分の試験を行いながら他の人の記録もある程度確認して記憶していたけど、その中で最も可能性が高いのは…。

 

相澤先生が手に持つリモコンを操作して、空中に画面が投影される。

 

そこに書かれた順位は。

 

1位、緑谷出久

 

2位、爆豪勝己

 

3位、八百万百。

 

となっていた。

 

かなりぎりぎりだけどかっちゃんには勝てたようだ。

 

でも今の僕にはそれ以上に最下位の生徒の名前が気になっていた。

 

最下位、つまり20位の欄に載っている名前は『峰田実』予想していた通りだった。

 

彼は反復横跳びでは大記録を打ち出していたけど、それ以外の記録は高校生男子の平均を下回る物だった。

 

クラスの大半が動揺していた。皆分かっていた事だ。

 

だけど、やっぱり納得できない。

 

「因みに除籍の話は嘘な」

「「「…え?」」」

 

相澤先生の言葉に、僕達は揃って唖然とした。

 

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

「「「はぁーーーー?!」」」

 

僅かな沈黙の後、数人が絶叫した。

 

「だがなこれだけは言っておく」

 

ウソに決まっていると八百万さんが言いかけた所で相澤先生が続けた。

 

 「除籍になるかどうかでお前らは人生終わったような反応したが、ヒーローになったら理不尽に命を失うなんてザラだ。俺も此処でお前らくらいの歳に同級生を亡くしている」

 

相澤先生の過去、同級生の死。

 

その言葉に僕は思い当たることがある、殆ど同じ経験をしたようなものだからだ。

 

「理不尽が想定で済む内に出来る限りの経験を積んどけ。たった一回の助けられる機会を取りこぼさない為にな」

 

相澤先生の除籍まで仄めかした指導。それは自分のような思いをさせないための教えだったのだと皆が理解した。

 

「あと峰田。痴漢や覗きに盗撮などの犯罪行為をした場合は即退学の上に実刑もあり得るからな、肝に銘じておけ」

 

そして釘も刺すんですね。八百万さんの創造の時や何故か僕が女性の英霊を憑依する時ガン見してたからなあ。

 

 

―――

 

 

初日終了、か。なんだかすごく長く感じる一日だった。今、僕とかっちゃんは飯田君と麗日さんと一緒に歩いていた。

 

それから数分他愛のない会話をした。お互いの事や、今日の個性把握テストの事を。

 

「しかし相澤先生にはやられたよ。俺は『これが最高峰!』とか思ってしまった!教師が嘘で鼓舞するとは…」

 

飯田君が今日の事で頭を抱える中、麗日さんがそう言えばと手を叩いた。

 

「今日爆豪君が緑谷君の事を【デク】って呼んでいたけど、あれってあだ名か何かなん?」

「それは俺も気になっていたんだ。しかしその、失礼なのだがデクというのはその、デクの坊という言葉からとられているようにも感じられてな」

 

二人の言葉にかっちゃんがバツが悪そうに眼を逸らす、僕は笑って大丈夫だと伝えた。

 

「その通りだよ。デクっていうのは元々かっちゃんが小さい頃に僕を馬鹿にして付けたあだ名なんだ」

 

それを聞いた飯田君は目を見開いた。

 

「蔑称だったのか…?!君はそんな風に言われて何も思わないのかい?!」

「前は嫌だったけどね。今となってはただのニックネームみたいなものだよ」

「君が良いのなら、僕は何も言うまい…」

 

飯田君はそう言って前のめり気味になっていた姿勢を戻した。

麗日さんは少し考えてからガッツポーズをして言った。

 

「でも【デク】って…【頑張れ!!】って感じで、なんか好きだ!私!」

 

麗日さんの意外な言葉に、僕はつい呆気にとられた。

 

「…あれ、もしかして嫌だった?!ごめんね?!」

「あぁ、いいんだ。ただ、そんな風に言われたのが初めてでびっくりして……。そっか、頑張れって感じか…」

 

僕は少し笑ってしまった。

 

昔は嫌で嫌で仕方なかった。

 

かっちゃんとライバルになれていつの間にか気にしなくなっていたけど、それは単に今までマイナスがゼロになっただけだった。

 

けど、初めてこの言葉を良いものだと思えた。

 

それがなんだか、うれしかった。

 

「良いねそれ。じゃあ、僕は今日から頑張れって感じのデクだ」

「うん!改めてよろしく!デク君!」

 

僕は差し出された麗日さんの手を取り改めて握手を交わした。

 

「……それじゃあ、そろそろ帰ろっか!電車の時間とかあるしさ!」

「そうだね、そろそろ行こうか」

 

こうして僕達は皆で駅へと向かう。

明日から迎える新たな試練の数々に思いをはせながら、僕達はそれぞれの帰路に着いた。

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