My Hero Grand Order   作:BLUE@

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ヒーロー基礎学

雄英高校生活二日目

 

ヒーロー育成機関とはいえそこは高校、通常科目も当然ある。むしろ日本最高峰の偏差値であるから授業のレベルもハイレベルだ。プレゼント・マイク先生の授業は普通だけど。

 

昼はクックヒーロー ランチラッシュによる一流料理を安価で頂ける。クラスメート達との学食での食事は楽しい一時だ。

 

「出久君!」

 

突然声を掛けられたので振り向くと以前、僕がまだ中学生だった頃に出会い、根津校長に頼んで保護した少女、渡我被身子が居た。

 

「お久しぶりです!」

「渡我さん、久しぶりだね。君も雄英に?」

「はい。普通科ですけど、私も雄英に入りました」

 

渡我さんは嬉しそうに僕に雄英に入った事を報告する。もうその表情に陰りが無いのを見て安心した。

その時、僕達の話を聞いてた麗日さんが話しかけてきた。

 

「デク君、その人は?」

「ああ、紹介するよ。この人は渡我被身子さん。僕の友達だよ」

「渡我被身子です。よろしくね!」

 

それから僕達は渡我さんを交えながらお互い交流を楽しむことになった。

 

「へ~、渡我ちゃんの個性は他人の血を飲むことでその人に変身できるんかぁ」

「そうです。更に血液型もその人の物に変わるから、輸血の時は重宝されてますね」

 

麗日さんの質問に渡我さんは笑顔で応える。どうやら渡我さんと麗日さんは馬が合うらしくすぐに打ち解けられた。

二人の話を聞いた飯田君は渡我さんの個性の有用性を理解していた。

 

「なるほど、医療関係の人から見れば渡我さんの個性は【万能の血液】にもなりえるのか」

「そうだね、他にも希少な型の血液を持つ人が居るし、そんな人にも必要とされるね」

 

こんな感じで僕達はお互いに交流を楽しんだ。

 

そして午後の授業、皆がいよいよかと待ちに待ったヒーロー基礎学の時間が来た。

 

ヒーロー基礎学。

 

ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う科目。割と最近できた科目で、数多のトップヒーロー達の心得や信条に警察や救急隊に自衛隊などの育成カリキュラムを組み合わせた総合科目。

 

「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!」

 

担当はオールマイトなのか。新任教師だけど大丈夫かな?

 

今日やるものは戦闘訓練。

 

入学前に提出した個性と要望に沿って、雄英高校御用達のコスチューム企業のあつらえた戦闘服を纏い行う本格的な授業。

 

子供の頃から思い描いていたヒーローの姿。

 

それが現実になることに興奮して嬉しそうにコスチュームに飛びつく。

 

それで僕のヒーローコスチュームなんだけど、最初は母さんがヒーローになることを応援して手作りで用意してくれようとしていた。

 

だが僕の個性は着ている服まで英霊の衣装に代わる為、せっかくのコスチュームが無駄になるのと、前世の記憶から実用性を重視していた事であえなく断念。

 

サー・ナイトアイやオールマイトと色々協議した結果、デザインは僕が前世で着ていた魔術礼装【決戦用カルデア制服】を採用し、それをベースに防刃や防弾などのある程度の防御性能を持ったコスチュームを作成してもらった。

 

本当ならこれを魔術礼装に改造できれば良かったんだけど僕程度じゃ再現出来ない為、これも断念した。

 

因みに僕の要望を聞いた製作者さんは「こんなので良いの?」と漏らしていたそうです。

 

「あ!デク君!それが君のコスチューム?真っ白だね。うん、シンプルで格好いいよ!」

 

僕の背後からぴっちりとしたスーツを着た麗日さんが声を掻かて来た。

 

「ありがとう。それが麗日さんのコスチューム?」

「要望ちゃんと書けばよかったよ…パツパツスーツになった、恥ずかしい」

 

麗日さんは照れくさそうに頭を掻く。

見たところ、あまり目立った装備は無い感じかな。

 

「いいじゃないか皆、カッコイイぜ!」

 

笑顔のオールマイトに、僕の隣の飯田君が挙手をした。

 

「先生!ここは入試の時の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか?!」

「いいや!もう二歩先へ踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!」

 

屋内での対人戦闘か。なら借りる英霊は対人に特化した人が良いな。

 

「ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪ヴィラン出現率は高いんだ。監禁、軟禁、裏商売…このヒーロー飽和社会、真に賢しいヴィランは屋内に潜む!!

君らにはこれから”ヴィラン組”と”ヒーロー組”に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!」

 

オールマイトの言葉に、皆の間に緊張が走った。

 

「基礎訓練もなしに?」

「その基礎を知る為の実践さ!ただし今度はぶっ壊せばオッケーなロボじゃないのかミソだ」

 

オールマイトが詳しい説明をしようとするとクラスメイト達が質問をし始めた。

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「どの程度ぶっ飛ばしていいんスか」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

「このマントやばくない?」

「んんん~~聖徳太子ィィ!!」

 

汗を流しながらどうにか質問を汲み取ったであろうオールマイトは、腰の辺りから何やら小さな紙を取り出した。

恐らくカンペだろう。

 

「いいかい?!状況設定は敵ヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている!」

 

えらくアメリカンな設定だ。

流石アメリカで長年修行していたオールマイト。

 

「ヒーローは敵ヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事。

敵ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事。

コンビ及び対戦相手はくじだ」

「適当なのですか?!」

 

飯田君が困惑しているので僕が補足をいれる。

 

「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることが多いしそう言った事も想定しての事だと思うよ」

「そうか…!先を見据えた計らい…失礼いたしました!」

「いいよ!!早くやろ!!」

 

それから出席番号順にくじを引いていき、各コンビが決まった。

 

 

A:僕、麗日さん

 

B:轟君、障子君

 

C:八百万さん、峰田君

 

D:かっちゃん、飯田君

 

E:青山君、芦戸さん

 

F:佐藤君、口田君

 

G:耳郎さん、上鳴君

 

H:蛙水さん、常闇君

 

I:葉隠さん尾白君

 

J:切島君、瀬呂君

 

こういう具合だ。

 

 

「すごい縁があるね!よろしくね!」

「うん、よろしくね」

 

皆が挨拶を終えるのを待ち、オールマイトは次に【HERO】【VILLAN】と書かれた二つの箱を取り出した。

 

「続いて最初の対戦相手は、コイツ等だ!Aコンビがヒーロー!Dコンビがヴィランだ!」

 

Dチームって事は、相手はかっちゃんと飯田君か。

 

「敵ヴィランチームは先に入ってセッティングを!五分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他の皆はモニターで観察するぞ!」

 

皆への説明を終えたオールマイトはかっちゃんと飯田君の前に出る。

アドバイスをするようだ。

 

「飯田少年、爆豪少年は敵ヴィランの思考をよく学ぶように!

これは実戦!怪我を恐れず思いっきりな!

度が過ぎたら中断するけど…」

 

初めてのヒーロー基礎学、初めての実践訓練。

その相手がかっちゃんだなんて、これは相当気合を入れなきゃいけないな。

そうして僕達はそれぞれ準備に向かった。

 

 

―――

 

 

全体説明の後、指定された建物の中で天哉、勝己の二人は一通り建物の構造を確認し最上階へと赴いていた。

 

「訓練とはいえヴィランになるのは心苦しいな…」

 

そう言いながら天哉は核兵器のハリボテの前に立った。

 

「これを守ればいいのか」

 

そう言って今度は室内を見渡す天哉に、勝己は腕の装備の確認をしながら近づく。

 

「メガネ、お前は丸顔には勝てるよな」

「メガネって俺の事か?あと丸顔って麗日さんの事かい?ああ彼女の無重力は厄介だが、天井のある屋内ならそこまで脅威ではない」

「なら丸顔はお前が相手にしてくれ。俺はデクを相手にする」

 

爆豪が具体的な作戦を提案すると今度は緑谷について話し出す。

 

「今回のルールならアイツが使う英霊は少なくとも対人戦に特化した奴を選ぶはずだ」

「そうなのかい?」

「ああ、予想できるのはセイバー、ランサー、アサシンのどれかだ」

「セイバー?ランサー?何かの区分かい?」

 

何やら聞きなれない単語を呟く爆豪に飯田は首を傾げると爆豪は更に説明する。

 

「デクの個性【英霊憑依】に宿る、偉人や英雄を区分した呼び名だ。基本クラスの七つにエクストラクラスと呼ばれる特別なクラスの八つに分けられている。あいつは其処から状況に応じてそれに対応した英霊を使い分けるんだよ」

「お、多いな。彼の個性はそんなに種類があるのかい?」

「これでも大雑把に分けた方だぞ。詳しい事はあいつに聞け、かなり根気がいるがな」

 

そう言って爆豪は下の階に向かった。

 

 

―――

 

 

全体説明の後、僕と麗日さんは指定された場所でビルの見取り図を見ていた。

 

「造り自体はすごくシンプルだね。それ故に遭遇ポイントを向こうに操作されやすいのが難点かな」

 

「でも、二人の個性は広い場所でこそ活きるものだし、屋内戦なら私たちの方が有利なんとちがう?」

 

「うん、個性だけを考えたらね。でもかっちゃんが個性に制限がかかる状況を想定していないとは思えない。寧ろその状況すら利用してくるかもしれない」

 

麗日さんと話しながらも僕は頭の中でビルの構造と対戦相手の二人の個性からどんな作戦をとられるか、またそれにどう対処するかのシミュレーションを続けていた。

 

「ビルの構造上、加速に距離を要する飯田くんは唯一開けたフロアである核のある最上階の守りで、かっちゃんは下階で僕達を迎え撃つ。これが考えられる中で一番可能性が高いかな」

「爆豪君って粗暴そうに見えるけど、結構策士なんだね…!」

「確かに荒っぽく見えるけどね。それは自分を大きく見せる為でもあり、自信の表れでもある。

自分の才能も個性も信じてはいるけど疑ってもいる。誰よりもプライドが高く、誰よりもプライドに縛られない人だよ。そんな彼だから僕も負けられないって思えるんだ」

 

僕が常日頃抱いていた思いを話すと麗日さんは「おぉ!」と声を上げる。

 

「男のインネンってやつだね…?!」

「ごめんね。僕の個人的な感情で麗日さんには関係ないのに」

「あるよ!コンビじゃん!!よーし、私も頑張るぞぉ!」

 

そう言って麗日さんは右腕で力こぶを作るようにポーズを取り、それに僕は思わず笑った。

 

「そうだね、一緒に頑張ろう。っと僕も準備しないとね」

 

僕は個性【英霊憑依】を発動させる。今回はあの人にするとしようか。

麗日さんは流石に慣れたのか今の僕の姿を興味深そうに見てくる。

 

「そういえばデク君の個性って一体何人憑依出来るの?」

「そうだね……大体400種以上かな」

「そんなに!?」

 

僕が憑依できる英霊の規格外の多さに麗日さんは目を見開いた。……まあ、流石におかしいよねこの数は。

 

「それじゃあ作戦を説明するね」

 

それから時間ギリギリまで僕達は作戦について話し合い、そしてついに開始の時を迎えた。

 

『それではAコンビ対Dコンビによる屋内対人戦闘訓練スタート!!』

 

オールマイトの開始宣言と共に僕と麗さんはビル内へと侵入した。

 

これより僕とかっちゃんの雄英高校での初めての勝負は、今始まった。

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