月の王とかぐや姫   作:名無しのマスター

28 / 68
すでに先の話を書いていますがどうしても日付が合わないんですよね……。
かぐやを拾ったのが2030年の7月12日。
三連休なので学校が再開したのが2030年の7月16日(火)。
でも、その日の放課後にかぐやという名前を付けて、破産して、ヤチヨのミニライブに行って、ヤチヨカップの告知をされるという流れですが、ヤチヨのミニライブのチケットの日付が2030年7月18日(木)でした。
一応、自分でも調べてるんですが、どうも上手く調べられず、有識者の方、この問題の答えって出てたか教えていただけますでしょうか?
もし、答えが出なかったらいい感じにしておきます。


第27話 Grow Up

 赤ん坊と出会って早数日、私と彩葉は協力して子育てに勤しんだ。もちろん、子育てなどしたことのない女子高生二人がまともにできるわけもなく、常にバタバタしていた。

 

 ミルクをあげ、ゲップをさせ、肩にゲロを吐かれ、ハイハイしている間に転んで大泣きし、子育ての疲れでうとうとしているところへ問答無用に飛び込んでくる。鳩尾は止めてね。

 

 まさに大怪獣アカンボー。私と彩葉は三連休だというのにボロボロになっていた。改めてお母さん、私を育ててくれてありがとうございました。これからも頑張って生きようと思います。

 

「マジで何もできなかった……」

「預け先も探せなかったね」

 

 ぐったりとした彩葉に頷いた後、赤ん坊の方へ視線を向ける。今日も大暴れしていたので疲れてすやすやと寝息を立てて眠っていた。

 

「ほんと、寝てる時は可愛いのに」

「普通に笑ってる時も『かわい~』って言ってなかった?」

「う、うるさいなー」

 

 しかし、確かにこの赤ん坊はよく泣いたがそれ以上によく笑った。それを見る度、生命の偉大さと赤ん坊の可愛さを思い知らされたのは事実。でも、ヤチヨの言葉から推察するにそろそろ大きくなる頃だろう。

 

「……」

「なんで、今更、写真撮ってるの?」

「脅迫材料かな」

「え、この子に対して? こわっ」

 

 いえ、ヤチヨに対してです。パシャパシャと色々な角度から赤ん坊を写真に収めた私は壁に掛けられたカレンダーを見る。今日は2030年7月15日の月曜日の夜。三連休の最終日であり、明日から学校がある。

 

「明日からどうする? 私、休もうか?」

「それはものすごく申し訳ないんだけど……でも、どっちかは休まないと駄目だよね」

 

 私の提案に腕を組んで唸る彩葉。無理もない。彼女は奨学金を貰うために特待生を狙っている。学校には可能な限り、行きたいはずだ。しかし、かといって私に負担をかけるのも申し訳ない。だから、どうしたものかと悩んでいるのだ。

 

「とりあえず、明日は休むよ。昼間に何かできないか調べておくね」

 

 すでに夜になってしまったため、今からできることはほとんどない。赤ん坊が寝ている間に私たちも休んで体力を回復した方が現実的だ。子育ては私たちの体力を想像以上に削った。多分、しっかり休まなければ学校で確実に寝る。それだけは避けたかった。

 

「……ごめん、ありがと。私も調べてみる」

 

 彩葉もわかっているのだろう。私の言葉に頷いてくれた。

 

 それから私たちは赤ん坊を挟んで眠る。あまり夜泣きの多い子ではないがすぐに起きて対応できるようにこの三連休の間、私も彩葉の部屋で寝泊まりしていた。今日も同じように眠って――そして――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――夢を見た。

 

 月の聖杯戦争を勝ち進む(人の命を踏みにじる)。聖杯で願いを叶えるために死地を訪れた相手をただ、死にたくないという理由だけで殺した。

 

 誰かが言っていた。何のために戦うのか、何のために負けられないのか、自分なりの答えを模索してほしい、と。

 

 その答えを私は見つけられたのだろうか。何もない私は答えを探す資格はあったのだろうか。

 

 果たして、私に意味はあったのだろうか。わからない。だって、何も覚えていないから。

 

 いいや、もしかしたら覚えていないのではなくて、最初からそんな記憶はないのかもしれない。私は聖杯を手に入れる前に負けて、答えを得られないまま――。

 

 ゴボリ、と口から気泡が溢れる。ゆっくりと意識が沈んでいく。取り返しのつかない海の底へゆっくりと体が落ちていく。

 

 

 

 ――白野!!

 

 

 

 そんな私に向かって手を伸ばす誰かがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねー、ねー」

 

 近くで誰かが動く気配がする。誰だろうか。この部屋には私と彩葉と赤ん坊だけ。声からして彩葉ではない。あまりに幼いからだ。

 

「……承知ですぅ」

 

 その証拠に寝ぼけた彩葉の声がした。よろよろと立ち上がり、赤ん坊にミルクをあげるため、台所へ――。

 

「ぐえぇ」

「あ、白野。ごめん」

 

 ――その道すがら、私を踏んづけやがった。この、やろう。あとで覚えておけ。絶対にやり返してやる。こちとらヤチヨに伝手があるのだ。

 

「ミルクー」

「少々お待ちくださいませぇ」

 

 彩葉に布団の中で悶えていると幼い声がミルクを所望した。その声に寝ぼけながらせっせとミルクを作る準備をする彩葉。だが、その途中で動きを止めてこちらを振り返った。

 

「うわぁっ!?」

「うおぉっ!」

 

 ガタリと後ずさったせいで台所にぶつかる音と共に悲鳴を上げる彩葉とその声にビビる幼い声。何が起きているのかわからず、私は布団から顔を出した。

 

「ビビったぁ……」

 

 そこには少女がいた。歳は十歳くらいだろうか。彩葉の方を見て驚いたような表情を浮かべている。しかし、それを抜きにしても容姿が整っていた。暗い部屋の中でも輝く瞳。腰まで伸びた長い髪。白い肌や唇など芸能人としてテレビに出ていてもおかしくない。それほど目の前にいる元赤ん坊は美少女だった。

 

(これは、また……)

 

 急成長すると知っていてもこんな短時間で少女になるとは思わなかった。何も知らなかった彩葉は私以上に驚いていることだろう。

 

 数秒ほど硬直していた彩葉はハッとした後、目にも留まらぬ速さでベビー用品をダンボールに詰め込んでご丁寧にガムテープで梱包した後、少女へと差し出した。

 

「……お引き取りください!」

「……どゆこと?」

「それはこっちの台詞! なんで一晩で大きくなってんの!? こわっ」

「んー。まぁ、今時は何もかものスピードが早いんですわ」

「なんかのインタビューか!」

「ふふっ」

 

 早速、漫才を始める二人に私は小さく笑い声を漏らしてしまう。そのせいで彩葉たちが私の存在に気づき、同時にこちらへ視線を向けた。

 

「白野、この子、いきなり大きくなって!」

「白野、おなかすいたー」

「うん、少し落ち着こうか」

 

 少女が私の名前を知っているのか、など気になることが増えたがまずは落ち着こう。さもなければまたお隣さんから壁ドンされる。

 

(こうなるなら早めに教えて欲しかった)

 

 パニックを起こしている彩葉と私に助けを求めるようにすり寄ってくる少女を見て心の底からヤチヨを恨むが、『おほほ~、それでは面白みが欠けましてよ~』と扇子で口元を隠す彼女の顔が思い浮かんだ。あとで攻撃(スタン)魔術(コードキャスト)の刑だ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。