中学校が同じだからといって、メインヒロインがそいつとは限らない男の高校生活 作:ぞりぞりヤタガラス
入学して以降、結局神崎以外にまともな話相手が増えることもどこかに出かけることもない、あっという間に4月の終わりに向かっていた。
たまに、一之瀬か網倉と話す程度な感じだった。
来週から5月に突入する、1日になればポイントが支給され、今月と同じく自分の好きなように使える。
それなのかここ最近の教室の雰囲気はとても賑わっている。
学校が終われば大量にあるポイントで楽しむ。
まさに夢のような暮らし。
そんな日々が続いた、4月の最終日。
次の授業の準備をし先生を待っていると。
「は~い、みんな~席について~」
教室に入って来たのは星之宮先生だった。
3時間目は国語のはずだ。
「知恵ちゃんせんせーどうしたんですか?」
「突然で申し訳ないけど、みんなにはテストを受けてもらうよ」
これに対してクラス全体からブーイングがとぶ。
「抜き打ちってひどいですよ~先生」
「ごめんね~、でもこれは毎年決まってることだから、しっかり受けてもらうよ」
「でも、俺らなにも勉強してませんよ」
「大丈夫大丈夫、あくまで君たちの学力を測るテストだから個人成績には影響ないから、あっでもカンニングはダメだからね、それじゃあテストを配るからみんな席について」
「個人成績には」という含みのある言い方はする先生。
後ろを見ると、視線気づいた神崎が頷く。
神崎も言葉の綾に感づいているようだ。
言葉の意味に疑いを持っているのは恐らくたぶん俺と神崎だけだろう。
クラスの評価そのものが支給されるポイントになる、見ているのは個人ではなくクラスだと
校内に仕掛けられている監視カメラは俺たちの普段の生活態度を観察するための物。
俺と神崎はそう睨んでいる。
テスト用紙が全員に渡ったことを確認して、先生は時計を見て合図した。
「それじゃあ、始めてください」
プリントを表にし名前を書き問題と向き合う。
ぱっと見た感じ、テストは1科目4問、全20問で、各5点配当の100点満点。
科目は国語・数学・英語・社会・理科の5教科のみ。
難なく1問目を突破、いくら何でも簡単すぎた。
2問目、3問目と俺は次々と問題を解いていく、入試よりも簡単な問題に変に思いながら進めていると…
手が止まった。
うん、こいつは無理だ。
単刀直入に言おう、まず問題文が理解できん。
わからない問題に付き合ってはいられないので、次の問題に目を移すと
これも同じく訳のわからない問題だ。
この流れはと思いラストを見ると同じく訳のわからないヤツのおでましだ。
最後の3問だけ明らかにレベルが違う、少なくとも入学して1ヶ月で解けるような問題ではない。
まるで難関の大学の入試試験問題を丸写ししたかのような問題。
残り時間、俺は解いた問題を見直して時間の終わりを待った。
「はい終了~お疲れ様。結果は来週発表するね、それじゃあ午後も頑張ってね~」
そう言って、先生は教室から出ていった、それと同じく授業終わりのチャイムが鳴る。
教室から先生が完全に退出すると、クラスはテストのことで話し始める。
「どうだ神崎、手応えは?」
「あぁ、途中までは楽々解けた、だが最後の3問に関して言えば話にならん」
「だよなぁ、俺も同じだ、あんなもん解けるわけねぇよ」
神崎も同じく最後に関してはお手上げだったみたいだ。
これで、解けたなんて言われたら、今後神崎さんと呼ばせてもらおうかなと思ってたり。
この後は変わらずの通常授業で今日という1日が終わった。
そうして、休みを挟み。
・
・・
・・・
・・・・
5月1日の朝。
支給されたポイントは6万5千ポイントだった。
いつも早めに制服に着替えて学校に向かう。
教室に着いたらクラスがポイントの話で盛り上がっていた。
「おはよう、神崎」
「おはよう、念のため聞くがポイントはどうだった?」
「増えてはいたな」
しばらくして手にポスターの筒を持った先生が教室に入って来た。
「あっ星之宮先生おはようございます、先生に聞きたいことがあるんですが」
一之瀬が挨拶をし続けて聞く。
「もしかして、ポイントのことかな?」
「はい、今朝確認したら6万5千ポイントしか支給されてなくて……」
「うん、その説明を今からするから、みんな座ってね」
席に着いたのを確認すると先生が言う。
「ポイントはしっかり振り込まれたよ、もちろん他のクラスもね」
「えっでも先生、振り込まれるポイントは10万ポイントじゃないんですか?」
1人の男子生徒がそう聞いた。
先生は手にチョークを取り、そして黒板にある文字を書く。
Aクラス…940
Bクラス…650
Cクラス…490
Dクラス…0
「これはね、クラスポイントって言ってね、このクラスポイントに100をかけた数値が1日に振り込まれるの。だからみんなに支給されたポイントは6万5千ポイントっていうこと」
先週、4月最後の1週間の授業態度はあまり褒められたものではなかった。
Bクラスの雰囲気は完全に緩み切っていた、ポイントの支給が間近であるのにも加えて、
その前の週にBクラスで初めての遅刻者が出た日があった、しかし先生は怒ることなく早く席に着くことを言い授業を続行。
授業が終わっても、呼び出しなどもされずに何事もなかったかのように終わった。
その日をからBクラスの雰囲気は段々と緩くなっていったのだ。
全員が騒然とする中、冷静に一之瀬が質問する。
「そのクラスポイントが増える機会はありますか?」
「もちろんあるよ、次は中間テストになるね」
続けて先生は一枚の紙を広げて黒板に貼る。
「これは、この前の小テストの結果です。
危ない子が何人かいたけど、赤点の子はいなかったよ流石Bクラスだね」
どうやら、重要なことを見逃していたようだ。
クラス分けは偶然じゃなくて、必然だったのだ。
クラスの1人が「赤点」に嚙みついて、質問した
「赤点?先生、本番で赤点を取ると何かあるんですか?」
「うん、1教科でも赤点があったら退学だよ」
サラッと笑顔で大事なこと言うなよ。
赤点での退学は予想外だが、ここまでする学校だ理解はできる。
「噓…」
「赤点で退学…」
「それがこの学校のルールだからね、それと最後に一番大事なことを言うね」
「この学校は就職・進学100%を自負しているんだけど、その恩恵を受けられるのはAクラスだけ、だからいい仕事・いい学校に行きたいなら卒業時Aクラスじゃなければならない、Bクラスでもダメなの」
一之瀬が恐る恐る聞く。
「それじゃあ私たちはこのまま…」
だからこそのクラスポイントなのだろう。
答えは至ってシンプル、BクラスがAクラスより有能なことを示せばいい。
「Aクラスに上がりたいなら、Aクラスのクラスポイントを超えれば君たちはAクラスになりAクラスはBクラスに下がる、それがこの実力主義の学校で勝ち残る唯一の方法、卒業後の未来を決めるのは今後の君たち次第ってこと」
誰も声をあげることが出来なかった
夢のような暮らしが突然終わりをつげたから。
最後に質問はないかと先生は尋ねたが、誰も手をあげる者はいなかった。
唯一、反応していた一之瀬も、対処を考えるので精一杯の様子だ
あの調子だと先生の声は届いていなさそうだ。
先生が教室から出て行ってから、しばらくして、一之瀬が突然席を立って教壇の前に立つ。
「みんな!ちょっと聞いてくれるかな?」
クラスが一之瀬に注目する。
「私たちに今月、支給されたポイントは6万5千ポイント、Aクラスは9万4千ポイント。私たちがAクラスに上がる為にはAクラスのクラスポイントを上回らなきゃいけないここまではみんなわかるよね」
「正直に言っちゃうと私もまだ全部理解できてないんだ、だから放課後もう一度みんなでこのことを話し合う時間を作りたいんだけど、いいかな?」
「賛成!」
「色々覚えることが多くて、おさらいもしときたいしな……部活もないし」
クラスの方針が決まる。
一之瀬の提案に特に反論は出ず、放課後にクラス全体での話し合いが決まった。
午前、午後と授業が終わり放課後。
「よし、それじゃあ始めようか」
帰りのHRが終わったすぐに一之瀬は教壇の前に移動し話し始めた。
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・・・・
話し合いの結果をまとめると。
◦授業態度・生活態度の改善
◦中間テストに向けて勉強会
◦プライベートポイントを1箇所にまとめて集金する
1つ目と2つ目はその通りだが、3つ目に関して簡単に補足をすると
ポイントを貯金しておいて損はないということになり、クラス全員月初めのポイント支給日の日に最低2万ポイント以上、一之瀬に送金することにしたのだ。
管理者に一之瀬が選ばれた理由はクラスで一番信頼できるからというとてもシンプルな理由だ。
ポイントを集める場所に一之瀬が選ばれた理由に関しては何点か突っ込みたいところだが……
ポイントを集めることに反対はしないが、出資はしたくないな…
一之瀬に直接話をつけるか…
「勉強会は明日から始めるとして…今回のテストで結果がよかった人達に教えるのを手伝って欲しいんだけど…浜口君とか九条君とか」
視線が俺と浜口に集まる。
「僕は構いませんよ」
浜口は参加を表明、浜口に向けられていた視線が俺に集中する。
特段の断る理由もないそれと同じく参加する理由もない。
やだな…とか言えたら…
ひとまず、それなりの理由で逃げるか…
「俺はその場の雰囲気で点数を取るタイプだから、あまり力にはなれないと思うぞ」
クラスの目が一気に冷める。
やめろ、こいつ使えない、みたいな目で見るの。
俺が一番わかってるから。
どうせ誰が先生やったって一之瀬に集まるのが目に見えてるだろうが…
「わかった参加する、その代わり好きなタイミングで帰らせてもらうがいいよな?」
結局、視線の圧に押されて、参加することを決めてしまった。
「うん、それで構わないよ、ありがとう、他に手伝って……」
そのあとも話し合いは進み、何事もなく終了した。
次の日の放課後から中間テストに向けて勉強会が開催された。
当然俺も参加はしたが……
「九条、ここの数式はこれでいいだろうか?」
「数式自体は間違ってないけど、それはかなりひねくれてる問題だから、一気に計算するよりは丁寧にやる方が解きやすいんじゃないか」
「なるほどな、少しやり方を変えてみるか、助かった」
「おう、いいってことよ」
帰っていいよな?
結局、先生役として人が集中しているのは一之瀬に変わらない。
「その問題が終わったら教えてくれ」
「帰るのか?」
「おう、どうやら俺は必要なさそうだしな、一之瀬からも好きなタイミングで帰っていいと言われている問題はないだろ」
当の一之瀬はというと…
「帆波ちゃん、ここはどうすればいいの?」
「一之瀬さ~ん」
「一之瀬頼む!」
「えっと…みんなひとりずつね…」
占い師でも目指そうかな……
こっちとは違って凄く大変そうだ
少しは自分で考える程度のことは小学生でもできそうだがな…
最初から一之瀬頼りか…
さりげなく、帰る支度をしていたら網倉に見つかってしまった。
「あれ?もう帰るの?」
「…ここじゃまともにできなさそうだしな」
「へぇーじゃあ帰る前にちょっと教えてよ……なんでそんな嫌そうな顔をするのかな?」
「……神崎が終わるまでならいいぞ」
「よし!じゃあ……」
そう言って、網倉は自分の机をガタンとくっつけテキストを開いて、椅子を持ってきて隣に座る。
「まずは、ここ」
問題を指を指して、言う。
「整式はだな……」
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・・・・
「なんか物凄く賢くなった気分だよ……」
「くっそ……基礎の説明だけで10分はかかったぞ。おい神崎、お前もう終わってんだろ!なんでさっさと言わねぇんだ」
「言う暇がなかったというか、頑張っている奴の邪魔をするのは申し訳ないと思ったんだ、許せ」
「たくっ、さっさと帰るぞ」
「あっ、じゃあ私も一緒に帰る、帆波ちゃん遅くなりそうだし」
網倉はそう言い、一之瀬の所に行く。
俺たちもと途中だった支度をしていると…
「ねぇちょっといい」
「はぁ~こっちもお客さんかよ、えっと……」
あれ?誰だっけ?
いやーよーく思い出すのだ、目の前にいるこいつの特徴はなんかすごいツインテールだ。
「九条、こいつは姫野だ」
神崎が正体を明かす。
続けて姫野に用事を尋ねる。
「別に用事があったわけじゃないけどそろそろ私も帰ろうかなって思ってたけどこの雰囲気の中、1人で出てくのは気まずいし…見た感じ帰るんでしょ?だからまとめて出ていった方が目立たないかなって」
「俺は構わないが、九条はどうだ?」
「まぁ、断る理由もないしな」
「ありがと」
すると、ちょうどいいタイミングで一之瀬たちとの会話を終えた網倉が戻ってきた。
姫野がこの輪にいることに困惑したが、説明をしたら納得した。
そうして、網倉・姫野を交えた4人で帰ることとなった。
帰り道、俺と神崎は今日のことを話し合いながら帰っていた。
「退学の回避方法はあると思うか?」
「真っ先に思いつくのはやっぱりポイントとの等価交換だけど、額は半端ないだろうな…」
「やっぱりそう思うか…」
神崎とそんな風に話し歩いていると
後ろを歩く姫野が些細な事を聞いてきた。
「2人は知ってたの?学校の事」
「知ってたというより、予想していたが正しいな」
新しいことの方が多かったけど……
「網倉さんも?」
網倉に視線を移して聞く。
「えっ全く、というか初耳だよ、2人がそんなことしてたなんて」
「そりゃ言ってないからな」
「仮説自体は九条が考え出したものだ、俺はそれにのってたにすぎない」
「神崎がいなかったら俺も途中で考えることが面倒くさくなってただろうけどな」
「仲いいんだね」
「まぁ、そうだろうな」
「2人って周りの視線とか気にしないタイプでしょ?」
「気にならないといえば嘘になるが、九条と同じならまったく気にならないな」
「同感だな」
「…そっちにいるほうが、もしかして楽なのかもね…」
「周りに合わせてばかりでは疲れるからな、その時は俺と九条が力になろう」
「ありがと、それじゃあまた」
俺たちの間を通って姫野は先に帰っていった。
「九条君また明日、勉強教えてねーじゃあまたねー」
姫野に続いて網倉も先に前に出てそう言って振り返って、姫野の元に向かう。
「明日は自分で……聞いてねぇ…」
「というか、他人がいる前で俺たちの会話を聞かれたが良かったのか?」
「他言するようなことじゃないしな、心配はしなくていいだろ」
「ところで、今日も九条の部屋に寄っていいだろうか?九条の淹れる紅茶は美味くてだな」
「誰が淹れても同じだろあんなの、いいけどさ……」
「よし、お邪魔しよう」
では、また次回。
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