虹色DREAMER!【改訂版】   作:UkiA

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#5「かわいいだけじゃだめです②」

 

 生徒会室での一件が終わった後。

 オレは侑と歩夢に連絡を取ると、まだ近場にいるようで、2人のもとに向かうことに。

 そして合流し、外を歩きながら今後のこと......スクールアイドルの件について話していた。

 

「そもそも、スクールアイドルってどうすればなれるんだろ?」

「スクールっていうくらいだから、たぶん部とか同好会で活動しなくちゃいけないよね......?」

 

 いくらアマチュアのアイドル活動とはいえ、仮にも学園の名を背負うのだから、無断で活動することはできないだろう。

 

「でもその肝心の同好会は潰れちまったしなぁ」

 

 優木せつ菜が抜けたことで、規定人数が満たない同好会は廃部になってしまった。詰まる所、今現在スクールアイドルになる手立てはないというわけだ。

 

「新しく作り直すとか?」

「だとしても人数が足りないだろ」

「せつ菜さんは理由があって辞めちゃったけど、他の人たちなら戻ってきてくれたり?」

「どうだかな......」

 

 廃部になったスクールアイドル同好会には優木せつ菜のほか、4人はいるはず。そのうちの1人とはさっきまで一緒だったんだが......できればアイツとはしばらく関わりたくないな。それにアイツ以外のメンバーのこともわからないし、どうしようもない。

 

「あのぉ〜、もしかして......スクールアイドルにご興味あるんですかぁ?」

「「え?」」

 

 なす術がなく途方に暮れていたところ、背後から嫌に聞き覚えのある、かわいこぶったような声とともに、侑と歩夢の肩に手が置かれていた。2人は驚いて振り返り、オレもまさかと思いながらそっちに目を向ける。

 

「もしよかったら、かすみんとお話していただけません......か?」

 

 オレと目が合った。

 

「わぁぁぁっ‼︎  晴陽先輩ぃぃぃぃ⁉︎」

 

 オレは指をポキポキと鳴らしながら中須に詰め寄る。

 

「おいコラ、さっきはよくも人柱にしてくれやがったな」

「ごめんなさい、許してくださ〜い! あの後結局かすみんも怒られたんですよぉ!」

「当たり前だ!」

 

 会長の情けで情状酌量みたいになったけど、そうじゃなかったら最悪停学、なんてこともあったんだぞ。

 

「ちょ、ちょっと落ち着きなよハル、何の話? ていうか、この子と知り合いなの?」

 

 一方で事情を知らない侑は、オレを制すように両手を向けて中須を庇う。

 確かに、傍から見れば小柄な女の子に詰め寄るヤバい男の図だった......ふぅ、落ち着けオレ。冷静になるんだ。

 

「......とりあえず、座って話すか」

 

 立ち話でする内容でもないしな。

 道中で邪魔にならないよう、オレたちは近くにあるベンチへと移動する。

 

「まずは自己紹介ですね! 普通科1年、そしてスクールアイドル同好会2代目部長のかすみんこと、中須かすみでーす♪」

 

 くるくると回ってポーズを決める中須。なんか肩書き変わってるし。

 

「高咲侑です!」

「上原歩夢です......でも、同好会って廃部になったんじゃ?」

「諦めなければ、同好会は永遠に続くのです!」

 

 歩夢の疑問に対して謎の理論を展開しつつ、中須は自分の鞄の中身をごそごそと漁る。

 

「お近づきの印に、これをどうぞ!」

 

 出てきたのは......コッペパン?

 

「いいの?」

「はい! それと晴陽先輩も、迷惑をかけちゃったのでお詫びに......」

 

 申し訳なさそうにそう言ってオレにも手渡してくる。

 一応、反省はしてるんだな......

 

「もういいよ。過ぎたこと気にしてもしょうがねえし」

「えーっと、結局何があったのか知らないけど、とりあえず仲直りってことでいい......んだよね?」

「まぁ、そういうことにしといてくれ」

 

 侑たちにはロクに説明しないまま、ひとまず納得してもらうことにする......まぁ、言えるわけもないし。

 放課後、急用があるなんて言って、あんなことに加担してたとか知られたら、お前ホントに何やってんだって話だもんな。

 

 あまり言及されないよう、どうにかうやむやにしたところで、オレはコッペパンを包装しているラップを開けて一口頬張る。

 

「お、美味いじゃん」

「本当ですか! お口に合ってよかったです!」

 

 美味そうな見た目に違わず、パン生地はふわふわしていて、ほんのりとした甘さでちょうどいい。

 侑と歩夢も一口食べて、美味しい、と口を揃えて絶賛していた。

 

「これ、どこのパン?」

「これはかすみんの手作りですよっ」

 

 へぇ、自分で作ったのかコレ。店で売られてるものと遜色ないレベルだ。

 

「さすがスクールアイドル! こんなにかわいくて料理もできるなんて!」

「スクールアイドルは関係ないんじゃないかなぁ......?」

 

 歩夢の指摘はごもっともだが、当の二人は意に介さず。

 

「そうですかぁ? 侑先輩って見る目ありますね〜!」

「そう? 誰が見たってかわいいと思うよ。ね、ハル」

「なんでオレに聞くんだよ......」

 

 相変わらず雑に振ってくるな......コイツは。

 

「そりゃまあ、かわいいかかわいくないかで言ったら......かわいいだろうけど」

「えっ......?」

 

 オレの返答を聞いた中須は一瞬意外そうな反応を見せたが、すぐに顔を背けて、

 

「か、かすみんがかわいいのはとーぜんですっ! 一応、晴陽先輩も見る目があったわけですね......! かすみんがかわいいのはとーぜんですがっ!」

 

 なんで2回も同じこと言ったし。

 もしかして照れてるのか......? なんだ、ちょっとはかわいいとこもあんじゃん。

 

「こほん! 話を戻しますが、そんなかわいいかすみんと、スクールアイドルやりませんかぁ?」

「えっと......だ、大丈夫かなぁ?」

 

 そんな中須の誘いに、歩夢は困った様子でオレに聞く。

 

「......まあ、ちょうどいいんじゃないか?」

 

 言われなくても、もとより始める予定だったわけだし、むしろ好都合だと考えればいい。

 

「じゃあ、やろう......かな?」

 

 一抹の不安を残しながらも歩夢はそう答える。

 

「侑先輩もどうですか?」

「私も入りたい! けど、アイドル志望ってわけじゃなくて、歩夢を応援したいんだよね」

「それって、専属マネージャーってことですか?」

「んー、そうなるのかな?」

「歩夢先輩だけズルいですよぉ〜! かすみんのサポートもしてください! これは部長命令ですっ」

「あははっ、わかったよ。それにハルもいるしね」

 

 ......ん? この流れはまさか......

 

「......ちょっと待て。オレも同好会に入るのか?」

「「えっ?」」

 

 まさか入らないつもりだったの? みたいな、侑と歩夢の疑念の声が重なる。

 確かに歩夢を応援するとは言ったけどさ? 何もオレまで同好会に入る必要はないだろう。

 

 それに......

 

「いや、だってほら、オレ男だし......」

「男の人が入部してきたことはありませんけど、別に男子禁制って決まりはありませんよ?」

 

 そうは言われても、どう考えたってオレみたいな人間が入るようなトコロじゃないだろう。

 ましてや男子部員がオレひとりなんて肩身が狭すぎる。

 

「もう......昨日の威勢はどうしたの?」

「まったく、思い切りが悪いですねぇ」

 

 踏ん切りがつかないオレを焚きつけるかのようにやじを飛ばす侑と中須。

 

 けど、そうは言われてもなぁ......

 

「私......ハルくんにも、一緒に来てほしいな。ハルくんがいてくれたら頑張れると思うし......ダメ、かな......?」

「ぐっ......」

 

 その聞き方はズルくないか......? これで断ろうものなら、オレが薄情な男だと思われるのは言うまでもないわけで。

 

「わ、わかったわかった! 入ればいいんだろ、入れば......!」

 

 3人からの圧に根負けしたオレは、腹を括って入部することにした。

 

「これで3人とも入部決定ですねっ!」

「よろしくね! 中須さん」

「堅いですよ、侑先輩。もっと気軽に呼んでください!」

「気軽に......じゃあかすかすとか?」

「んなぁっ......! かすかすはやめてくださいっ!」

 

 歩夢が提案した渾名を聞いた途端に、ものすごい剣幕で中須は歩夢に迫る。なんか地雷踏んだか?

 

「中須かすみだからかすかすかなって......!」

「なんで2回も言うんですか! かすかすじゃなくて、かすみんですぅ!」

 

 ぷくりと頬を膨らませて再度激昂する。

 

「そんなにイヤなのか......」

「かわいくないし、中身スカスカな人間みたいに言われてるようで嫌なんです!」

 

 別にそういう意味合いは込められてはいないと思うが、中須としてはどうしても受け入れられないようで却下される。

 

「散々、かすみんってアピールしてるのに!」

「アピールだったんだ......」

「いやもう普通に呼びゃいいだろ......」

「そ、そうだね......! かすみちゃん、よろしくね!」

 

 かすかすだのかすみんだの、なんだっていいだろ......

 結局、名前呼びが無難ということでこの話は落ち着く。

 

「では早速、これから同好会の活動をしますよー!」

 

 ()くして、オレたちのスクールアイドル同好会(?)の活動が始まった。

 なんだろう、この先不安しかない.........

 

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