「覚悟しろよイフリート。俺の攻撃はウザいぞ」
「……?」
「熱くて近寄れないなら、熱さを含む炎ごと食べちまえば解決する話だとは思わないか?」
妖魔受胎で生み出したスライムの破片から
イフリートを飲み込めないのは魔素の差かな。多分そのまま飲み込むとリムルに大ダメージが来るのかな。
はぁ……聞いたことないよ、食べて逆にダメージが来る相手なんて。
「鬼槍・光天」
そんなリムルとイフリートを横目に、私は鬼玉から槍を作り出す。
どれが効くか分からないなら、全部試してみるしかないもんね?
「たこ焼き流槍術・千林華」
最終奥義にも等しい大量の魔素を貼り付けて投げる力技、千林華。
大量のダメージを与えれるかなって思ってこの技使ったけど、イマイチ。思ったよりも防御と体力がヤバそう。
「そうなったら今度はリンダと
うわぁ、全然効いてなさそう。私でも受けたら大ダメージは免れないほどの圧倒的攻撃力だよ?
それを無傷でやり過ごすとか自信なくなるんだけど。
「聖魔杖術・
杖に搭載されている鐘を鳴らし、自分自身に超強化をかけて高速の打撃を与える技。
凍結百花・
「…っ!かっ、が、はっ!!」
きっと私だけじゃ勝てない。リムルと足並み揃えても勝てない。
もっと、もっとシンクロを深めながら加速させないと倒せない敵。進化をし続けなければ倒せない敵。
あぁ、今の私やリムルにとっては高すぎるよ。だからこそ、越えたときに燃えるんじゃないか。
「リムルゥ!まだそんなものじゃないでしょ、まだまだ焦がすよ!全力全開!
「仕方ねえな、ついてこいよ。
「誰に言ってんの!」
守護之御力、
強化の四段重ね。あまりの倍率に体が軋む。これ以上は耐えきれないと悲鳴をあげている体に天魔再生をフルで回す。
そうしないとあまりの負荷に倒れてしまいそうだ。
そして、それはきっとリムルも同じ。超進化再生や熱変動耐性があると言っても爆発的な熱に耐えられるわけじゃない。
フルパワーを維持できるのは数分が限度。その数分で片をつけないと殺されちゃうかなぁ。
まあ、いっか。どうせ本気を出さなかったら殺されるのは確実だし。
「熱さが何?私だって炎の妖怪だよ!!」
「っ!」
さっきは一撃受けただけで吹き飛ばされちゃったけど、今は別。バカみたいに強化された肉体は真正面から熱と打撃を受け止め、反撃を繰り出す。
触れたら焦げてしまいそうな熱度を真正面から触り、天魔再生で治し、また触れる。
その繰り返しだ。それでも指先に力が入るのは隣に戦っている人がいるからか、私の後ろに守らなければならない人がいるからか。
……そんなのどうでも良いか。今はただイフリートに集中していたい。
「……!」
さっきまでの赤い炎とは違う、白い炎が腕にまとわりついてくる。
無理やり離そうと思っても離せないね。継続的にダメージを与えるスリップダメージの役割を担っているのかな。
でもこの程度のダメージなら大して気にせずに戦っても……!?
「っ、なにこれ…!?めっちゃ痛い…!!」
スリップダメージが通り過ぎた後、何とも形容し難い痛みが腕を襲う。
いや、体を襲う!足や腕を動かすことができないほどの強烈な痛みが体を蝕み、イフリートの目の前で悶える。
「おぉらよ!……カミア!」
「はっ……ありがとう、リムル。楽になったよ。何をしたの?」
「炎だけを食べたんだ。……この炎、痛覚無効を持ってなけりゃ近接戦はできないようになってるな。スリップダメージで受けた痛みを倍にし、その倍に受けた痛みを更に倍に、その倍を更に倍。いわば無限に強くなる痛みの炎。性格悪いったらありゃしない」
そう考えたら納得のいく話。私は痛覚鈍化や痛覚無効を持っていないのに特段と痛みに強いわけじゃない。
それだったらこの炎の前にひれ伏すのも理解できる。
「…理解できるからって受け入れるかは話が別だけどね……」
〈……解答。配下の妖怪たちを
〈しかし、配下たちの進化には多大な負荷が発生します。死亡する危険性が30%ほど……〉
知らないよ、そんな確率。知ったこっちゃない。
もしかしたら死ぬかもしれない。それは、今ここで歩みを止める理由にはなりはしない。
もしこの反対を選んだとしても、逃げ切れる保証はない。
それに……リムルとここまで来たんだから。洞窟で色々やって、今ようやく本腰入ってきたとこなの。
それ邪魔されて心折れるなんてダサいじゃん。
〈…了解。妖魔進化を実施します〉
配下たちの進化。それにより流れ出す圧倒的な力。
体を分析し、最適な
この最悪な感覚に倒れてしまいそう、挫けてしまいそう。
でも、私は倒れない。私が成りたい私はこんなんじゃないからさ。
〈
「イフリート」
「……」
「これで、やっと真正面から相手できるよ」
蠢き、迫るは先ほどと同じような白い炎。体にまとわりつき、痛みを倍加させてくる忌まわしきもの。
けど、さっきみたいに痛すぎて動けなくなるわけじゃない。悪いね、イフリート。私、成長してるから。
「……!」
少しの炎じゃ私を倒せないと踏んだのか、炎の熱度と量、勢いが増す。
流石にそこまでクルと私も耐えきれないかな。天魔再生をフルで回しているけど、ダメージが入ってきてしまう。
でもさ、イフリートくん。限界が見えてきたんじゃないの?
赤い炎と白い炎。両方を高出力で放出しているからか、本体の熱度が大きく下がっている。
これなら効くよね、百鬼姫の氷が。
「覚悟するといい……
私諸共イフリートに冷たい妖術が襲いかかる。熱がないイフリートに氷の術は刺さり、更に温度が低下する。
はは……ここまでお膳立てしたなら食べれるよね?無理なんて言葉は聞く気はないよ。
「っ、リムル!!」
「任せろ!!捕食者!」
リムルの体がイフリートを包み込み、食べる。
残ったのは魔素が衰弱してるシズちゃん。
「リグルド……シズさんを運んでくれるか?」
「はっ!リムル様方は……?」
「俺たちは少し休んでから行くよ」
疲労感からか、つい腰が落ちる。このまま寝っ転がったら寝れるかな。うん、多分寝れる。
「お疲れ様、カミア」
「リムルもお疲れ様。久しぶりにこんな苦戦した気がするよ……」
「そうだな。
「リムルはテッカクとも戦ったんでしょ?」
「いや、あれは論外。俺がボコボコにされたし……勝った勝負で言えば久しぶりだよ」
確かに……それはそうかも。
「……やばい。眠くなってきた」
「…あぁ、イフリート倒したからか。安心しろ、俺がいてやるよ」
「うん……ありが……と」
苦しい、辛いと思えば思うほど成長に補正が掛かる
痛覚鈍化
痛覚無効の下位互換バージョン。