「○○さ~彼女作らないのか?」
学校の廊下を歩いていると、クラスメイトの声と私が良く知る名前が聞こえてきた。
「今はコンクールで金を取らないとだから、彼女作るのはその後かなぁ」
彼の名前は○○。彼と私は幼馴染の関係で、ずっと一緒に居てくれた男の子。
そして、私と○○が通っている蓮ノ空学院吹奏楽部のエースって呼ばれている。
「確かに、今年の吹奏楽部は全国行けるって言われてるもんね」
「そうそう。今年こそは全国金を目指してるから」
○○ははっきりとそう言い切った。
「お前にはめぐちゃんが居るから彼女には困らんだろ」
「めぐかー」
「お?その反応は何かあるな?」
「いやいや、めぐはタレントなんだし、僕と釣り合ってる訳ないない」
○○はそう言ったけど、私はそんな事思ってない。
むしろ、私の方が釣り合ってないまであると思っている。
「でも、そういうお前だって昔、子役だったじゃねえか」
「そうだけど…辞めた俺と違って続けてやってためぐの方が凄いって」
○○はそう言った。確かに○○は私と一緒で芸能界に居た時もあった。
中学生になると同時に、○○は芸能界から去って音楽の道に進んだ。
「ふ~ん。でも、めぐちゃんはずっとお前の事を気になってるぞ」
「知ってるよ…散々アピールされてるし」
「ま、めぐちゃんは人気者だから付き合うなら早めに告白しとくんだぞ」
「はいはい…余計なお世話ですよー」
○○はそう言って、どこかに去っていった。
「んで、めぐちゃんはいつまでそこに居るんだ」
クラスメイトの男子になんと私の場所がばれていた。
「ばれてたかー」
大人しく私は、彼の前に姿を出す。
「有名人のオーラはそこらの人達とは違うからな」
「流石私だね!」
私は褒められてテンションが上がった。
しかし、彼はそこに槍を落としてきた。
「それぐらいの自信を持ってさっさと告白すればいいのに」
「それとこれとは別!」
彼は、幼稚園からの知り合いで、私と○○の関係を知って、応援してくれてる1人。
「とは言っても、○○も人気者だから、いくらめぐちゃんと幼馴染とはいえ、他と誰かと付き合うかもしれないぞ」
「ぐっ…」
「こんなタイミングで言うのもアレだけどさ」
「何?」
「顔が怖いよ…じゃなくて、○○の下駄箱にラブレターが入ってたの思い出して」
彼がそう言った時、私は咄嗟に
「はっ?」
と声が出ていた。
「怖い怖いって」
「だってラブレターって言ったじゃん!」
「言ったけど…」
「分かった…」
「ん?めぐちゃん…?」
「今から○○の所に行って告白してくる」
「へっ?マジで言ってる…?」
彼からそんな言葉が聞こえてきたが、私は彼の言葉を無視して、○○の事を探し始めた。
******
○○の事を探し、屋上までやってきた。
「ここには居ないか…」
しかし、○○の姿は見えなかった。
屋上を後にしようとした時だった。
「○○君!私と付き合って」
○○に対して告白する女の子の声が聞こえてきた。
声がする方を見ると、そこには私の知らない女の子と○○が立っていた。
近くの茂みにそっと隠れて話を聞くことにした。
「えっと…告白してくれてありがとう」
「うん、返事貰ってもいいかな?」
「……ごめん……」
「…やっぱりか…」
○○に告白した女の子は、そう呟いた。
「…○○君には藤島さんがお似合いだよね」
「なんで…めぐちゃんの名前が…」
「私、聞いちゃったの…○○君と藤島さんが幼馴染って事。だから告白したの。でも振られちゃった」
彼女は、涙を浮かべながらそう言っていた。
「…ありがとうね…僕に告白してくれて、気持ちは伝わったよ」
○○はそう言うと、女の子は○○に手を振りながらこの場から去っていった。
「で…人の告白を隠れながら見てるのは誰だー?」
私は、芝生に隠れていたのに、何故か目の前には○○の顔が近くにあった。
思わず、私は大声を叫びながら後ろに飛んだ。
「あははは。めぐちゃん可笑しい」
そんな私を見て、○○はおかしく笑う。
「笑うな!」
スカートについた汚れを払いながら私はそう言う。
「だっておかしいだもん!」
○○はまだ続けて笑っている。
「それで告白を隠れながら見ていためぐちゃんは、僕に何か用?」
「いやっ…用って訳でもないんだけど…偶々通りかかったら、告白現場に来てしまったというかぁ…」
「そうなんだ」
告白をするって行き込んだのは良かったものの、いざ○○の事を見たら、また逃げてしまった。
「それじゃあ、僕は行かないといけない所があるから、行くね」
○○はそう言って、屋上から去ろうとした。
そんな○○の腕を私は掴んでいた。
「めぐちゃん、どうしたの?」
そう聞いてきた○○の唇に私はキスをして、そのまま○○の事を押し倒した。
「…めぐちゃん……本当にどうしちゃったの…」
「私…偶々通りかかった訳じゃないんだ…○○の事を追いかけてここに来たの…」
「うん…」
「そしたら告白されてる○○を見ちゃって…」
「…」
「○○が私じゃなくて…さっきの女の子と付き合っちゃったらどうしようって考えてた…」
「うん」
「だから…○○が振った時はちょっと嬉しかった…」
「それは分かったけど、なんで押し倒されてるの…」
「そ、それは…」
続く言葉が見つからなかった。
でも、言いたい言葉は決まっていた。
「それは!○○の事が好きだからだよっ!好きじゃなかったらキスなんてしてないからっ!」
私ははっきりとそう告げた。
「めぐちゃんの気持ちは分かったよ…それって僕と、その、恋人関係になりたいって事でオッケー、って事かな?」
「うん!私は、○○と恋人になりたい!昔からずっと思ってた。だから。私と付き合って!」