「友達が欲しい。どうしたらいいと思う?」
私は病院に持ち込んだぬいぐるみにそう話しかけた。
人見知りで友達作りが苦手だった私は、ぬいぐるみが友達だった。
そんな私に声をかけてくれたのが彼だった。
「セラス、友達出来なかったの?」
「○○…うるさい」
「怒られちゃった…」
彼は、○○。
私の幼馴染で、私と同じ病院に入院していた男の子。
そして、部屋も一緒だった。
「花ちゃん~また、セラスに怒られたんだけど…」
「あたしに構っても何もないよ」
「花ちゃんにも振られた…」
誰にでも構ってあげるそんな男の子だった。正直な所、うざかった。
でも、話しかけてくれるのは嬉しかった。この頃から私は、○○の事が気になっていた。
「ねえねえ!○○、これやってみたい」
「ごめんね…僕は出来ない、かな…また、誘ってくれたら、嬉しいかな…」
私が小学生高学年になった頃、彼はそう言って断る事が増えていた。
「そうなんだ、また一緒に遊ぼうね」
「うん、約束」
そんな約束をした日もあった。
******
「セラスちゃん、いよいよ退院なんだ。良かったね」
「うん、○○君も退院できるよ!」
「ふふっ、ありがとうね」
私が中学に上がる頃、私の病気が完治して、病院での生活にバイバイになった一方で、○○は病院生活から解放される事は無かった。
「○○君は、私の事好き?」
「花ちゃん、とっても元気になったよね。その元気ちょっとでも分けて欲しいくらいだよ」
「じゃあ、こうして分けてあげるよ!」
花ちゃんはそう言って、○○の事を抱きしめる。
そんな光景を見て、私はちょっと妬いてしまった。
「花ちゃん!○○は私の物だよ!」
「ええ!?○○君は、私たちの物だよ!」
「いつの間にか、二人の物になってる…」
この頃には、私は○○の事が好きになっていた。
多分、花ちゃんも○○の事が好きなんだろうと私は疑っている。
「だって、私は二人よりもお姉さんだからね!」
「二つ年上なだけじゃん」
「それでも!私はお姉さんなんだから!」
「お姉さんっていうのは、看護師さんみたいな人の事を言うんだよ?花ちゃん」
「うぐっ…確かに…」
「そういう意味では、花ちゃんはお姉さんではないね」
そう話す二人は、とっても仲が良さそうだった。
私には出来ない事だから、この光景を見て嫉妬してしまいそうだった。
「でもでも!私だって、胸大きくなったんだから!」
「…反応に困る事を言うのは辞めて欲しいんだけど…花ちゃん」
「事実だもん!ほら、触って確認してくれてもいいんだよ」
そう言って、○○の手を握って、自身の胸へと持っていこうとした。
私は、そんな花ちゃんの手を止めた。
「せっちゃん?」
「スキンシップはほどほどにね?花ちゃん」
「せっちゃん…?怖いよ?どうしたの?」
花ちゃんにそう聞かれるけど、私は何も返せなかった。
嫉妬していたんだと思う。
それから、1年が経って花ちゃんは、金沢にある『蓮ノ空女学院』に行った。
なんでも寮生活なんだとか。私は同時期にアイドルを始めた。
でも、これで○○と二人きりの時間が増える。この時はそう思っていた。
「○○ー!お見舞いに来たよー!」
私はいつも通りに、○○が居る病室に来た。
けど、今日は様子が違っていた。
「セラスちゃん、ごめんなさい、今日は帰って貰っていいかな?」
「えっ?」
「本当にごめんなさい…!」
○○の担当の看護師さんにそう言われてしまい、私は追い返されてしまった。
○○に何かあったんだろうか。そんな思考が頭を駆け巡った。
そして、答えはすぐに分かった。
「えっ…○○が…」
「…」
その日の夜、○○のお母さんが、私の家にやってきて、○○が亡くなったと話を聞いた。
なんで…なんで…昨日まで…元気だったのに…そんな言葉が過っていた。
「…○○君…病気でしたよね…」
「ええ、余命3年でした…5年生きてくれました…」
私のお母さんと○○のお母さんの会話が聞こえてくる。
5年…あの時には…既に…
「でも、あの子がそれだけ生きてくれたのはセラスちゃんのおかげかな…?」
「えっ…?」
「あの子が言ってたの『セラスちゃんのアイドル姿を見て、誰かの憧れになりたいって、だから生きる希望になった』って_」
○○のお母さんにそう言われた時、私は何を思ったのだろう。
自分の部屋のベットに寝転がって考えていた。
「……何言ってるの…○○は、私の憧れだったよ…」
○○と一緒に取った写真を見てそう呟き、そして言う。
「○○に情けない姿を見せたくないから、私も頑張るね。私の憧れで好きな○○」
次回は花帆ちゃんの予定です。
もうちょい書きたかったけど、これ以上浮かばなかったのでごめんなさい。思いついたらちまちま追加しておきます。