ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<今回からpixiv版の第十話
(=◎ω◎=)<バトルパート(サンダーキラー編)がスタートです
(=◎ω◎=)<まずはGUYS側のターンから
(=◎ω◎=)<星都くんも知識とギンガスパークの機能で全力サポート
(=◎ω◎=)<どんな戦いが繰り広げられるのか、乞うご期待です!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
地下格納庫にある搭乗口に到着すると、既に他の五人は全員準備を整えていつでも出撃できる体勢に入っていた。
GUYS JAPANが誇る高性能戦闘機であるガンフェニックスとガンブースターを間近で見られた事に星都が感激していると、ガンウィンガー側のコックピットから顔を出したリュウが大声を張り上げる。
「遅いぞ、星都! 隊長から『星都も乗せてやってくれ』って頼まれたから待ってたけどよ、こうしてる今もサンダーキラーが暴れてんだ! もうこれ以上は時間掛けてらんねぇぞ!」
「悪かったよ、リュウ! すぐに行くから発進準備をしててくれ!」
負けじと声を出して謝意を伝え、急いで搭乗口からガンフェニックスに乗り込む。
今回、星都に割り当てられた席はガンローダー側のコックピットにある複座式シートの後部座席だ。内部は高速での飛行や高度な空中戦闘をこなすために必要な計器類が所狭しと並んでおり、通常の航空機や空軍の戦闘機とは一線を隔す重厚さとハイテクさを醸し出している。
(うわあああああ!! マジだ! マジで今、ガンローダーのコックピットに座ってる!! 嘘だろ信じられない! 感無量過ぎるッ!! 神様は俺を幸せの絶頂で殺す気かよ!?)
緩みかける表情筋を必死になって抑え込みながら、備え付けられた複数のバックルやハーネスで的確に自分の体をシートに固定していく。
何しろ、DVDで鑑賞しまくっていた時に何度も目にしたガンローダーのコックピット内の風景が、重厚な質感と匂いを持った現実として目の前に広がっているのだ。特撮ファンである星都からしてみれば、幸せ過ぎてこのまま昇天してしまいかねないほどの事態である。
その時、コックピットの前部座席に座っていたジョージが振り向きながら声を掛けて来た。
「
「元の世界で、DVDを死ぬほどリピートしまくったからな。空自の戦闘機にも乗った事あるし、どこをどう着ければちゃんと固定できるかくらいは分かるよ」
「すげぇなお前! 空自の戦闘機に乗った事あんのかよ! 俺なんてGUYSに入ってガンフェニックスに乗ったのが初めてだったんだぞ! 何をどうしたらそんな経験ができるんだ!?」
「色々と事情があるんだよ、色々とな。人生、何がいつ役に立つか分からないから、様々な経験を積むのは悪くないと思うぜ」
瞠目して「すげぇ!」と興奮するジョージにからりと笑って返し、ヘルメットのインカムを作動させて通信を飛ばした。
「リュウ、お待たせ! 準備できたぞ! いつでも出発OKだ!」
『うっし、じゃあ行くぞ! ——ガンフェニックス、バーナー・オン!!』
二機の戦闘機のジェットエンジンが唸りを上げ、フェニックス・ネストのカタパルトゲートから勢いよく飛び立つ。
今回の作戦では、最初はガンフェニックスとガンブースターの二機で戦い、状況に応じてガンフェニックストライカーに合体、あるいはガンウィンガーとガンローダーに分離する柔軟な戦術が採用されていた。
星都によってある程度の知識が共有されているとはいえ、サンダーキラーはGUYSにとって未知の怪獣だ。彼が記憶している知識には無い攻撃手段を隠し持っている可能性も十分考えられるため、小回りが利いて臨機応変に立ち回れるようにとサコミズが指示していたのである。
ちなみに席の割り当ては、ガンウィンガー側が前にリュウと後ろにミライ、ガンローダー側が前にジョージと後ろに星都、ガンブースターが前にマリナと後ろにコノミとなっていた。操縦技術や戦闘経験などから総合的に判断された合理的な布陣に、星都も「流石はサコミズ隊長だ」と感心しっぱなしだった。
澄み渡る大空を高速航行する事、わずか数分。
ガンフェニックスとガンブースターは現場となる臨海工業団地の上空、前方に我が物顔で街の中をのし歩くサンダーキラーの姿がはっきり見える位置に到着した。
「GIIIIIIIII————ッ!!」
——バシュッ!! バシュッ!! バシュッ!!
二機の戦闘機が飛来したのを確認するや否や、サンダーキラーが口から赤黒く輝く三日月状の光線刃「ライトニングキラーカッター」を連射して来た。
ここに着く前から警戒態勢を怠っていなかった事が功を奏し、二機とも鋭い旋回で比較的余裕をもって光線刃を躱せたものの、敵と見るや躊躇なく攻撃して来るその狂暴性に、操縦桿を握る三人は一様に冷や汗を搔いていた。
初めて相対するからこそ、ベリアル融合獣が持つ凶悪さや攻撃性はより強く、恐ろしく感じてしまう。星都は三人の気持ちを推し量りつつ、ヘルメットのインカムスイッチを入れてそれぞれに聞こえるよう通信を飛ばした。
「みんな、聞こえるか! 星都だ! さっき話したサンダーキラーの光線吸収能力について補足がある! ヤツは受けた光線を胸のカラータイマーがある赤黒い部分で吸いこみ、両肩のデカい棘で増幅して口から撃ち返して来る! だが、逆を言えばその模様がある部分以外では光線を吸収する事ができない! つまり、攻撃するなら胸の模様以外の場所、特にあの頑丈そうな鎧に覆われていない部分が狙い目だ! ちと難しいかも知れないが、頼んだぞ!」
『『『G.I.G!!』』』
インカムからリュウ、ジョージ、マリナの返答が聞こえた直後、ガンフェニックスとガンブースターに搭載されているビーム兵器から輝線が迸った。
「ウィングレットブラスター!」
「ガトリングデトネイター!」
——ドガンッ!! ドガァンッ!!
「GIIIIIIIIIIIIIIIッ!!?」
両機体から放たれた砲撃は真っ直ぐにサンダーキラーの下半身、エレキングの胴体部分に次々と着弾し、激しい火花と共にダメージを与える。
的確に進行を妨げる攻撃に、サンダーキラーも驚愕の声を上げて思わず二、三歩後退した。
ベリアル融合獣はまったく種類が異なる二体の怪獣を融合・合体させているだけあって、基礎戦闘力が下手な怪獣より遥かに高い。サンダーキラーもその例に漏れず、両腕の鋭利な爪による斬撃や強力な放電能力、ジードの打撃すら通用しないほどの防御力と頑丈さを誇る鎧、高い格闘能力を併せ持つ強者だ。それゆえ、狙いどころが分かったとしても、防がれたり迎撃されたりして攻撃が通るまでに何回かチャレンジが必要だと星都は踏んでいたのだが、良い意味で予想を裏切られた格好である。
今のメンバーでGUYSが始動してからまだ一年と経っていないにも関わらず、この精度の操縦技術と射撃能力。後に日本支部の視察へ来る事になるGUYS総本部のタケナカ最高議長が、リュウ達の戦いぶりを見て手放しで褒めていたのも頷けるというものだった。
「星都が言った通りだ! 効いてるぜ!」
「よっし、なら次は……!」
目に見える形で効果があった事に歓喜の声を上げるジョージに頷き、星都は次なる一手に出た。
大空を縦横無尽に舞いながら尚もビーム兵器による攻撃を敢行し、じりじりとサンダーキラーを押し返していく中、インカムを操作してガンウィンガー側のコックピットに座るリュウとミライに通信を繋ぐ。
「リュウ、今から俺が持ってるSDとギンガスパークをガンフェニックスの機器に接続して、デカい一撃を撃てるようにしたい。ぶっつけ本番になっちまうが、試してみても良いか?」
『そりゃ別に構わねぇが、接続って一体何するつもりだ?』
「そのまんまの意味。今からやってみるから、目の前のコンソールに何か変化があったら教えてくれ」
突拍子も無い提案に訝し気な声を上げるリュウを尻目に、懐からギンガスパークと一体のSDを取り出す。
全身が漆黒の外骨格に覆われ、巨大な牙を含む体の一部が暗い金色に輝く二足歩行の怪獣だ。
鮮烈な銀色を放つ両手の爪や背ビレ、頭頂部の角は刃物のように鋭く、一目見ただけで高い切れ味を誇る事が容易に想像できた。
背中には爪や角などと同じ色に染まる巨大なキャノン砲が装備されており、角と牙が並んだ口の間から覗く血のように赤い双眸と相まって、半生物・半機械のサイボーグ怪獣を思わせる容姿をしているのが特徴的である。
銘を「爆撃骨獣 グルジオキング」。
二〇一八年に放送された「ウルトラマン
——《スパークドールズ、モンスロード!》
星都はまず、いつも通りにグルジオキングのSDをギンガスパークのブレード先端にセットした。
いつもと違うのはここから。
認証システムが正常に作動した事を知らせる電子音声を聞き届けたあと、そのままトリガーを引くのではなく手近にあった小型コンソールのモニター画面にギンガスパークの持ち手下部をそっと接触させる。
すると、ギンガスパークからウルトライブや実体化とはまた別の電子音声が響き渡った。
——《ブラスト・エンチャント! 「爆撃骨獣 グルジオキング」! 「グルジオバレル」!》
——ゴゴォンッ……!!
『な、なんだこりゃ!?』
突如として重厚な金属音が響き、続いて機体全体がわずかに下へ沈み込む。操縦桿を握るジョージの手に、機体の重量増加に伴う明確なGが圧し掛かる感触が伝わり、直後にインカムからリュウの戸惑った声が聞こえて来た。
それだけで、星都は「試してみたい事」が無事に成功した事を悟る。
『いきなりメインモニターに「外部兵器、接続認証完了。ギガキングキャノン、発射スタンバイOK」ってエラー混じりの表示が出たぞ!? 一体、何がどーなってんだよ!?』
『ちょ、ちょっとリュウ! ガンフェニックスの機体下部になんだか凄い大砲がいきなり出て来たわよ!? アンタ、いつの間にそんなもの用意してたの!?』
リュウに続いてマリナの声もインカムのスピーカーを通じて届いた。彼女もやはり何かに戸惑っており、並走するガンブースターのキャノピー越しに見える彼女の目はガンフェニックスの下部分に釘付けになっている。
星都の視界や音声を通じて状況を把握した太郎が、笑いを噛み殺す気配を漂わせながら言った。
『あ~、やっぱり初めて見る人は大体驚きますよね~、アレ。何しろ、元々は影も形も無かったものがいつの間にかニョキッと「こんにちは」してるんですもん。混乱しない方がどうかしてますよ。早いとこネタバレしてあげないと、このままじゃサンダーキラーと戦うどころの話じゃなくなっちゃうんじゃないですかねぇ?』
(分かってる。今から説明すっから黙ってなって)
心の中で「余計なお世話だ」とバッサリ切り捨て、星都は慌てるリュウやマリナへインカム越しに声を掛ける。
「驚かせたみたいですまんな。さっき言ってた『デカい一撃を撃てるようにするお試し』の正体がソレだ」
『お試しって、これがか!?』
「ああ。俺が持ってる強力な遠距離攻撃手段を持つSDをギンガスパークに読み込ませて、その情報を機体のコンピューターに一時的にインストールする事で攻撃手段だけ実体化させたんだ。マリナが見てるのは、その実体化した怪獣の一部だよ」
これこそ、頌栄が自ら創り出したギンガスパークに追加した独自の機能の一つ、「エンチャント機能」だ。
科学技術の進歩に伴う兵器産業の成長も日進月歩で目覚ましいものがあるものの、それだけで宇宙怪獣や侵略者達に対抗し切れるかと言われると、「それはちょっと難しい」というのが正直なところだった。
現にコッヴの出現から二十年が経った今も、新しく開発された兵器がどんどんと怪獣災害対応の最前線に投入されているが、その兵器群だけで怪獣を倒せたという報告はまばらだ。決してゼロではないけれど、全体から見れば微々たる数字でしかないレベルである。
そこで頌栄は、変身や実体化だけでなく、怪獣達が持つ武装のみに絞って戦力に転用する方法を考え付いた。
怪獣達の中には、光線や砲撃といった強力な遠隔攻撃能力や、あるいは強固なバリアなどによる防御能力を持つものが多数存在する。それらの種類の「能力の核」となる部分を戦闘機や艦船、戦車などに一時的に装備させ、火力支援や主力兵器として運用するための方法として、この「エンチャント機能」を開発したのだ。
概要としては、先に完成させていた実体化機能を一部応用し、怪獣達の能力を発動させるのに必要となる部分のみを現出。ギンガスパークを通じて装備させたい機体のコンピューターに運用データをインストールし、適切な大きさに調整したうえで一時的に人類の手で扱えるようにするというものである。
ちなみに、星都がかつて空自の戦闘機に乗ったのも、このエンチャント機能の実験のためだった。
実際の戦闘機を使って、きちんとエンチャント機能が作動するか、機能によって実体化・装備された怪獣の一部は果たして上手く運用できるのか、機能の使用中や使用後の機体にどんな変化が起きるのか、そうした諸々のサンプルデータを得るために、丁度手が空いていた星都が体を張ったという訳である。
結果的に実験は大成功を収め、その後も調整やテストを重ねて、現在はこうして実用化にまで漕ぎ付けられている。星都が「ぶっつけ本番」と言いつつ、やけに自信をもって勧めていたのはそれが理由だった。
『あ、あの大砲が怪獣の一部!? あんなものを持ってる怪獣がいるって言うの!?』
「多次元宇宙は広いって言ったろ? 奇想天外な激ヤバ怪獣はまだまだごまんといるって事だよ。大砲の操作はリュウとジョージの操縦席からできる。通常兵器と同じ要領で、極大口径の破壊光線『ギガキングキャノン』を発射可能だ。直撃すればウルトラマンでもただじゃ済まない威力があるぞ」
『マジかよ、すげぇじゃねぇか! これならあのサンダーキラーもブッ飛ばせるぜ!』
「ただし、機体に余計な兵器を後付けしたようなものだから、その分だけ操縦も難しくなる! 加えて『ギガキングキャノン』は性能を砲撃の威力に全振りしてるせいで、連射性能は死んでるも同然だ! 一発撃つとクールタイムとエネルギーのリチャージに三分は掛かる! 使いどころは慎重にな!」
『「G.I.G!!」』
星都の発した注意喚起に間髪を入れずリュウとジョージが応え、機体を再度サンダーキラーへ向けて旋回させた。
「エンチャント機能」によって後付けされる兵器群には、それぞれ固有のクールタイムとリチャージタイムが設定されている。早いものなら再使用までに一秒と掛からないが、遅いものでは数十分以上掛けなければ再使用できない場合もあり、使いこなすためには状況に応じて適切にSDを使い分ける判断力と、手元にあるエンチャント機能に対応したSDの再使用できるようになるまでの時間をしっかり把握しておく事が必要だ。
グルジオキングが背中に装備している巨大キャノン「グルジオバレル」と、そこから飛び出すグルジオキング最大最強の必殺技「ギガキングキャノン」は、再使用までに三分間を要する。大型兵器としてはこれでも十分な早さなのだが、戦闘においてこの「三分」という待機時間は絶妙に長く感じてしまう数字だ。
いくら超大口径とはいえ、闇雲に撃って当たるようなものでは無く、下手に撃って外せばその後三分間は巨大な「お荷物」を抱えて飛ぶ事を余儀なくされてしまう。
リュウとジョージ、二人の操縦技術と射撃能力の真価が問われようとしていた。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<今回登場した「エンチャント機能」ですが
(=◎ω◎=)<本家ギンガスパークにこんな機能は勿論ありません
(=◎ω◎=)<頌栄さんが創ったアイテムだからこその機能です
(=◎ω◎=)<リヤンゴンが盗んでったものにも同じ機能はありますが
(=◎ω◎=)<「なんであいつは使わないの?」というところも含めて
(=◎ω◎=)<そのあたりの事情は次回明かします
(=◎ω◎=)<次回の更新は九月十九日(土)予定!
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)ノシ