神世紀298年。
三人は満身創痍だった。
大橋をつたい出現した二体のバーテックス。初めは善戦できた。今までの経験と、訓練の賜である。しかし、伏兵……三体目のバーテックスの出現と同時に、戦局は逆転した。
三体目は遠距離から矢の雨を降らせながら前衛の二体を援護していた。三人は矢の雨に対してとっさに防御の態勢を取ったが、前衛の二体がそれを見逃すはずがなかった。二体のバーテックスはそれぞれの得物を振るい、三人の
この攻撃で三人の内二人が重傷で、システムの力を持っても息をするのがやっとという有様だった。
そのような中で、一人だけ怪我の程度が軽いものがいた。彼女は二人を抱えると、制止も聞かずに橋の下に放り投げた。
「
それが最後の言葉だった。
彼女は一人、三体のバーテックスに挑み、命の炎が燃え尽きるまで戦い、勝利し、そして、逝った。
「それが、三ノ輪銀?」
「そうだよ~。私はミノさんって呼んでたんだ。思い出せそう?」
園子の横たわるベッドの傍らにいた美森は、訊かれると同時、眉間にしわを寄せて俯いた。園子は「そっか~……」と少し残念そうに言った。
「……それで、その三ノ輪銀がどうかしたの?」
「うん。まぁ話した通りミノさんはこの時死んじゃったんだ」
生き残った二人の勇者は友の意志を継いで戦いを続けた。仲間の分も精一杯生きようとした。その結果、二人は咲き誇り、一人は脚の機能と大切な友達との記憶を、もう一人は、身動きが取れなくなるほどに身体を捧げた。
身動きが取れなくなった
神になった彼女はこの世界のありとあらゆる真実を伝えられた。
「真実?」
「それについては後々教えてあげるよ。……それでね、私が祭壇に祀られた日に、大巫女様と
園子は神樹と間接的に会話したのか……そのことに気付いた美森は無意識に唾を飲みこんでいた。静かな薄暗い部屋に、布のすれる音だけが大きく響く。
「な、何を、話したの?」
「う~んとね、とりあえず、一通り悪口を言ってやったよ。ペテン師、泥棒、人間のクズ、チンピラ、ゴロツキ、犯罪者だって」
「神様に『人間のクズ』って変じゃない?」
美森の細かい突っ込みに園子は思わず吹き出した。
「わっしーは変わらないね~。うん、変だよ。でも、言わずにはいられなかった」
神を罵るなぞ言語道断だが、この時ばかりは少女に同情したか、神樹は巫女の口を借りて言った。何を言っているのかイマイチ理解できなかったが、審神者が意訳してくれた。
「お前の働きに感謝して、一つ願いを聞き入れよう。我に叶えられる範囲に限るが」
少女は涙を拭いて、その問いに答えた。
「私の友人で
このいたいけな少女の願いを、神樹は叶えた。
「えっ、叶ったの!?」
「まぁ、見ようによってはね。神樹様は、私の記憶から『三ノ輪銀』という要素を抽出して、もう一度作りだそうとしたんだ~。ミノさんの身体自体は、大赦に保管してあったみたいだし、それを核として、復活させようとしたんだね」
生命の創造や復活というのは人類にとって禁忌である。そういったことは、まさに神だからこそ許されることなのだろう。
「でも、私の記憶から抽出したからかな。ちょっと変なことになっちゃって……」
少女には夢があった。
神樹は、ご丁寧にその夢も汲み取った。
すると、どうだろう。
「生まれたのは、ミノさんとはまるで違うものだった」
「ま、まさか」
「そう……」
生まれたのは、笑顔が眩しい少女ではなかった。
生まれてきたのは、車に轢かれても、飛行機から落ちてもビクともしねェ、タフネス設計なTHE・肉体派の筋肉野郎、ジョン・メイトリックスだったのである。
「いやいやいや、ちょっと待ってよ」
「ミノさんは弾けるような笑顔、メイトリックス大佐は弾けるような筋肉……似てはいるけど……」
「いや全然似てねぇよ?」
美森は大いに混乱していた。メイトリックス大佐は神樹様に作られた? しかもそもそもは三ノ輪銀といういたいけな少女を基に作られた?
一体全体どうやったら小学生の少女の身体から筋肉モリモリマッチョマンの変態が生まれるんだ。
「よく言うでしょ、『真実ほどに、筋肉なものは無い』」
「言わないわよ」
「生まれ変わったミノさんは、もう前のミノさんじゃなかった。ていうか別人だった」
「そりゃそうでしょうね」
「メイトリックス大佐はその後讃州中学に転入する形で入学した。ミノさんの年齢を考えるとわっしーや結城さんと同学年にすべきなんだろうけど、さすがにあの身体ではキツイから」
それ以前な問題な気もするが、美森は黙っていることにした。
しかし、迂闊だった、と今さらに美森は思った。
冷静に考えれば、あの肉体は大人びているってレベルじゃないし、そもそも中学三年生の時点で何で車やバイクを運転できるんだ。
「……このことを、大赦は隠していたのね……?」
「そう……まぁ、言ったところで信じないだろうけど~。ていうか普通おかしいと気付く」
「まあね」
「それより、私がショックだったのは、生まれ変わってもあの人はバーテックスと戦っていたということかな~……大佐の肉体は、ある意味で最も完成された
満開の必要もなく、ありとあらゆる状況下で戦うことが出来る……当然だ、なぜなら、彼はある意味で命そのものを神樹に捧げているのだ。肉体そのものが常に満開状態のお花畑システムといえる。
「大佐に、そんな秘密があったなんて……」
「あと、四国以外はウイルスで壊滅って言ってるけど、実際は太陽表面よろしく火の海で、倒したバーテックスが復活しようとしてるからそこで」
「マジかよ」
※
お姉ちゃんがやっとのこさ落ち着いた時、スマートフォンが鳴り響いた。樹海化を知らせるアラームだ。でも、今回のアラームは今までの物と様子が違って、より大きな危険が迫っていると知らせるような音だった。それに、いつもならすぐ鳴り止むのに、終わる気配を見せない。
「アラームが鳴り止まないよ!?」
友奈さんが慌ててスマホを覗きこむ。それと同時、固まって私達を呼び寄せた。
「見て!」
「うわ」
画面に映し出されているのは、四国を取り囲む『壁』を突破して流れ込む無数の星屑(バーテックスのカカシ)の光点だった。
「何よ……これ……」
お姉ちゃんは座りこんでしまった。せっかく立ち直りかけてたのに、何と間が悪い。これだからバーテックスは気に食わないんだ。
「風は動けそう!?」
夏凜さんの問いに私は首を横に振って答えた。夏凜さんは数秒の思考の後、私に指示を出した。
「樹とジョンは風の傍にいてあげて。友奈、行くわよ」
「うん!」
二人は跳びながら『壁』の方へ向かっていった。星屑の大軍が、私達にも迫る。大佐はどこからともなく機関銃を取り出すと、
「俺が弾幕を張るから、樹は風をどうにかするんだ」
どうにかしろと言われても、お姉ちゃんったらすっかりふさぎ込んじゃって、顔を膝の間に埋めちゃってる。これは、回復させるのは至難の業と思えた。
(お姉ちゃん! お姉ちゃん!)
声の出ない口をパクパクさせながら、私はお姉ちゃんの肩を揺らす。背後では機関銃の発砲音が聞こえだした。どうやら星屑の群れがいよいよ接近してきたらしい。弾切れの心配はないだろうから、お姉ちゃんに集中する。
(お姉ちゃん!)
「………………」
(お姉ちゃん!)
「………………」
お姉ちゃんってば、ドツボにはまるとここまでめんどくさい人だったか。
しばらく肩を揺らしていると、見かねたのか大佐が「代われ」と私と立場を交代した。ワイヤーを伸ばして、迫りくる星屑を細切れにしていく。
「おい風!」
「………………」
大佐の強い呼びかけにも、お姉ちゃんは反応しない様子だった。しばらく、大佐は私と同じように呼びかけ続ける。そして、数度呼びかけたころ、大佐の堪忍袋の緒が切れたのか、ついに、
「動けこのポンコツが! 動けってんだよ!」
とお姉ちゃんの頭をゴンゴン叩き始めた。
すると、
「……誰がポンコツよ!」
お姉ちゃんが復活した。
「この手に限る」
何を言うか、その手しか知らない癖に。
ホントにお姉ちゃんは呆然自失だったようで、辺りをキョロキョロ見渡しながら、「わ、私どうしてた?」と訊いた。
「ここで塞ぎこんでた。その間、ずっと樹がお前を護ってくれていたんだぞ」
「えっ?」
大佐ったら、私がずっと星屑を防いでいたとお姉ちゃんに信じ込ませるらしい。まぁ、有効な手かもしれないけど。
「樹が?」
私は取り合えず頷くことにした。頷きながら、星屑五体をまとめて刺身にする。
「……樹ったら、よく『私の隣に一緒にいたい』なんて言ってたけどさ……」
「?」
「もう、私の前を歩いてるじゃない……」
お姉ちゃんの声には少量の寂しさと嬉しさがにじみ出ていた。それを聞いて自然と頬がほころぶ。お姉ちゃんは大剣を手に握ると、それを振り払い、「ふん!」と鼻を鳴らした。
「さーて! バーテックスどもに犬吠埼姉妹の女子力とジョンの火力を見せつけてやろうじゃないの!」
「どうして女子力と火力なんだ? 筋力にひとまとめにすればスッキリするのに」
「もージョンったら筋肉バカなんだ。さ、行くわよ!」
※
三人で走ること数分、神樹様の根の影に、友奈さんと夏凜さんの影があるのを認めた。二人とも変身を解いていて、夏凛さんは横たわっている。
「夏凜!」
お姉ちゃんが慌てて駆け寄り、抱き上げた。
「夏凜! 夏凜!?」
「う……」
「夏凜! 死んだはずじゃ?」
「残念だったな、生きてるわよ馬鹿……! く、くだらない冗談を言えるってことは、風はもう大丈夫なのね?」
夏凜さんのすぐ傍では友奈さんが座りこみながらしきりにスマホの画面を叩いていた。一目で、何か重大なことが起きたと解る。
「友奈!」
夏凜さんを横にするとお姉ちゃんは友奈さんに駆け寄った。友奈さんはいつもの明るい表情を一転させて、今にも泣きそうな顔をしている。
「ふ、風先輩……。それが変なんです、
「何ですって?」
画面を覗きこむと、『使用者の意思が安定しないため、システムを起動できません』と表示されている。つまり、勇者システムに必要な要素である戦う意思が今の友奈さんには欠落しているというのだ。
「何があったの友奈!?」
「東郷が……東郷が、あそこにいるのよ……」
友奈さんに代わって夏凜さんが説明して、身を起こしながら壁を指さした。そびえたつ『壁』には大きな穴が一つ空いていた。そこから濁流の如く星屑が、そしてバーテックスが流れ込んでくるのが見える。そんな場所に、何故に東郷先輩が?
「あの穴を空けたのは東郷なのよ……」
「は?」
お姉ちゃんが間抜けな声で訊き返す。それは私も同じだった。夏凜さんの言っている意味がちょっと分からない。
「どういう意味よそれ」
「そのままよ。とにかく、三人で東郷を止めてきて。ここは私が持たせるから……」
「わ、分かった。樹、ジョン、行くわよ」
「OK!]
壁の上へは大佐のハリアーⅡにしがみ付く形で移動した。
壁の上には夏凜さんの言う通り、東郷先輩の姿があった。どうにも、私達が来るのを待っていたような様子でもある。
ハリアーが着陸するのと同時、私たち三人は機体から降り立った。お姉ちゃんが、東郷さんに問いかける。
「あんたがこの『壁』に大穴を空けたって小耳に挟んだ。まさか違うよな?」
「いいえ、私がやりました」
即答だった。
四国を取り巻く壁に大穴を空けるとは、やることが派手だねぇ。などと言ってる場合ではない。いったいなぜ、東郷先輩はこのような凶行に出てしまったのか。
東郷先輩は私達のそんな疑問を知ってか、「見せたいものがあります」と言って壁に沿って張られている結界……樹海化前は対岸の本土を見ることが出来る……の向こうへと姿を消した。
「あっ! 待ちなさい!」
お姉ちゃんに続いて、私と大佐も結界の向こうへと飛び込んだ。
「………………」
飛び込んだ先は、地獄だった。
「なにここ……」
構えた大剣を思わず取り落としそうになりながら、お姉ちゃんが呻く。
そこに広がっていたのは、果てしない灼熱地獄と、空を覆い尽くさんばかりの星屑の群れという景色だった。輝く海も、美しい緑も、そこには無かった。
「私達が壁の向こうに見ていた景色。あれは、神樹の作りだした幻覚だったんです」
東郷先輩が、呆然とする私達に淡々と説明する。
「私達の習った歴史では、世界は未知のウイルスで壊滅し、神樹の加護の届く四国だけが被害を免れた、となっていました。ウイルスに対抗する手段が見つかれば、人類は再び本土で暮らせるようになると……。でも、全部嘘だったんです」
旧世紀の最後、天の神々は愚かさを極めた人類の粛正のため、究極の生命体である『バーテックス』を遣わした。バーテックスは瞬く間に地球全土を焼き尽くし、ありとあらゆる文明を無へと消し去った。
そのような中、地の神たちは力を結集し、一本の大木となって天の神の脅威から出来る限りの土地と文明を護った。それが、現在の四国である。
「天の神々の粛正は、まだ終わってはいません。あれを」
東郷先輩が指し示したほうを見やると、そこでは星屑たちが合体してバーテックスに進化しようとしていた。しかも、そのバーテックスというのが、以前私達が倒したはずのバーテックスで……。
「バーテックスは復活して、何度も何度も何度も何度も! 神樹を殺さんと襲ってきます。その度に、私達は満開して、身を捧げて、ボロボロになりながら、戦っていかなければならないんです……」
「何が言いたいの……東郷……」
息を呑んで問うお姉ちゃんに対して、東郷先輩はどこまでも冷静に、でもどこか熱を帯びた調子で返答した。
「この苦しみから解放されるには、神樹を殺すしかないんです」
東郷先輩は銃口をお姉ちゃんに向けた。
「風先輩ならわかってくれるはずです。こんな生き地獄、もう耐えられない……大切な思いでも、すべてなくしてしまう」
冷静に見えた東郷先輩だけど、目元に涙が浮かんでいるのが見えた。なるほど、東郷先輩の葛藤と悲しみに触れたからこそ、友奈さんは戦えなくなったのか。
東郷先輩は銃口をお姉ちゃんに向けたまま話を続けた。
「なるほど、神樹のおかげで私達は護られています。毎日何の疑問も抱くことなく、進歩もなく、退化もなく、ひたすら安穏とした日々を送っていました。それも幸せなのかもしれません。でも、それじゃあ私達は? 神樹を守っているはずの私達が、何故天罰よろしくひどい目にあっているんですか……? どうして、大切な思い出を無くさなきゃならないんですか?」
「東郷……」
「こんな世界おかしいんです。神樹に生かされているだけのこの世界に……友達のことを守ることもできないこの世界に、もう価値なんてないんでぶっ」
泣きながら訴えていた東郷先輩だったけど、その涙は大佐には効果なしだったようで、哀れ東郷先輩は隆々たる大佐の拳を顔面に受けて殴り飛ばされて、壁の向こうにおっこちて行ってしまった。やることが派(以下略)。
「話が長い」
「うわ~イタソ」
お姉ちゃんがちょっと引きながら言う。そりゃあれは痛いよ、私見てたもん。
大佐は手をぱんぱんと払った。
「この手に限る」
「その手しか知らないでしょ。ていうか、ジョンって誰かに野蛮だって言われたことない?」
大佐は「何で?」とでも言いたげに首を傾げた。お姉ちゃんは呆れて溜息を吐いた。
「とりあえず、東郷にはしばらく眠っててもらうわよ。夏凜と友奈も心配だし、穴もどうにかしないと……」
考えを巡らす。そんな時に、私はふとあることに気付いた。
辺りを見渡すと、星屑の動きが止まっているのがわかった。さっきまで元気にウネウネ飛びまわっていたのに。
考えるお姉ちゃんの裾を引っ張る。
「ン、どったの樹?」
ジェスチャーを使って星屑の動きが変だということを伝える。幸いにしてお姉ちゃんは声が出ない私と寝食ともにしている分ジェスチャーの理解も早かった。
「確かに、変ね……」
その時、大佐が何かに気付いて、上を見ながら叫んだ。
「見ろ!」
初め、大佐が何を言っているのかわからなかった。でも、大佐と同じく視線を上にすると、ようやく事態を理解することが出来た。
バーテックスだ。それも、今までに類を見ないほど大きな。星屑たちが結集して、今まさに生まれようとしているところだ。
「ひゅ~、でけぇ……」
「あまりにも大きすぎて気が付かなかったな」
そんなバーテックスの傍に、見知った人影があるのを私達は発見した。
「東郷! コノヤロウ生きてやがったか!」
「満開してる……!?」
そこにいたのは空中戦艦と化した東郷先輩の姿だった。相変わらず強そうだったけど、先輩のほっぺたは赤くはれていて、手でしきりに撫でていた。
「畜生痛かった!」
「そうだろう。システムがなければ即死な勢いで殴ったからな」
「うわぁ」
ヒデェ事しやがる……。
そんなことより、バーテックスだ。大きさは軽く二、三十メートルはある。これだけ大きいということは、それだけ強力と考えられる。これはヤバい。
「何が始まるの?」
「大惨事です。
「なるほど、コイツは賢いな!」
「いや感心してる場合じゃないし。先輩として、部長として、許すわけないでしょ!」
大剣を構えてお姉ちゃんは跳び上がる。
「なら、押し通すまでです!」
東郷先輩の砲が唸る。発射された砲撃は跳び上がったお姉ちゃんに直撃した。
「ぶっ」
吹き飛ばされるお姉ちゃん。
あれは痛い。東郷先輩がここまでするということは、本気で世界を滅ぼそうとしているんだ。ワイヤーで捕縛してみようとしたけど、展開されているビットに邪魔されて上手くいかない。
私と大佐は樹海方面に吹っ飛ばされたお姉ちゃんを追って壁を降りた。
バーテックスは東郷先輩の誘導で穴を通り、結界の内側に入った。先輩はバーテックスの目の前に移動して、静かに語りかける。
「こいよバーテックス! 私を殺したいでしょう」
バーテックスはヤロウぶっ殺してやると言わんが勢いで火の玉を生成し始めた。あれが神樹様に当たろうものなら、ひとたまりもあるまい。
「よせー!」
お姉ちゃんが絶叫する。
でも、嘆願空しく火の玉は発射された。東郷先輩がさらりと回避する。火の玉は、遠く神樹様へと直進し始めた。
すると、その時。
「おおおおおおおおおおおおおおおお!」
「うっ!?」
勇ましい雄叫びと共に、樹海の根の隙間から人影が飛びだした。
「友奈ちゃん!?」
「友奈!」
驚きと歓喜の入り混じった声の中、友奈さんは拳を握りしめる。
「勇者・パァァァァアンチッ!」
友奈さん渾身の一撃は巨大な火の玉を容易く粉砕した。弾けた火は私達の方まで飛んできたものの、大佐の筋肉フィールドでどうにかなった。火の玉を破壊した友奈さんは、そのまま私たち三人の傍に着地した。
「結城友奈、参上しました!」
「ゆ、友奈。大丈夫なの?」
「はい! 夏凛ちゃんとの間で結構なドラマがあったんですが、諸事情によりカットで!」
友奈さんはさっきまでの不安げな表情から一変、凛々しい顔つきで宙の東郷先輩とバーテックスを見据えた。
「この世界と東郷さんは、私が守る!」
「死ぬぞ! みんな死ぬ!」
「大佐は黙ってて!」
「はい」
私達はそれぞれの『武器』を構えた。
いよいよ、人類存亡の危機と仲間の危機を救う戦いが、始まろうとしている。
とあるアニメでは、良き心を持った知的生命体を生み出すため、古い人類が滅亡させられるというお話がありました。主人公たちは最後まで抗い続けましたが、ダメでした。
ゆゆゆは背景は似てるけど、結末が違いましたね。愚かな人類である友奈達は、抗い続け、ひとまずの勝利を得ました。
そして、コマンドーはそれらの集大成といえる作品です。人間の力強さや、真の愛とか、なんやらかんやら作品を通して表現しています。
まぁ何が言いたいのかというと、イデオンとゆゆゆとコマンドーを見まくろうということです(ダイマ)。