【悲報】ヒフミさん普通じゃなかったwww 作:車検のコダック
【先生視点】
("通りでヒフミが動こうとするわけだ”)
そう内心呟きつつも、先生はヒフミの情報網に戦慄を覚えていた。
それと同時に、先生の脳裏に先日のヒフミとの密会での会話が思い出される。
『――このエデン条約に、ゲーテを介入させませんか?』
なるほど、そうだろう。
このエデン条約の裏にいる『ゲマトリア』の人間がどんな人物かは知らないが、黒服やそれに類似した価値観を持つような人間であるとすれば、このエデン条約はただ『平和条約』では終わらない。
今得ている情報だけでも、裏にアリウスという組織がいることは確定しているのだ。
幸いと言うべきか、『裏切り者』はアズサ、加えてミカであることが一応確定したわけだが、それを指摘したところでゲマトリアを止められるかと言われれば微妙なところである。
「エデン条約はね、先生。トリニティがかつての内紛を終わらせるために取った『第一回公会議』の再現なんだ」
ミカは目を伏せ、トリニティ総合学園の血塗られた歴史を語り始めた。
長きにわたる派閥闘争に終止符を打つべく、和解によって一つの組織を作ろうとした彼女たち。
しかしその融和の動きに激しく反発し、最終的にトリニティという共同体から完全に弾劾され、追いやられた存在――それこそが、『アリウス』であるらしい。
「トリニティという連合の誕生によって生まれた巨大な武力……。それが初めて行使されたのは、和を乱すアリウスへの弾劾だったの。
銃を買ったら撃ちたくなるのと同じ。きっと、アリウスの存在はちょうどよかったんだ」
ミカは悲しげに自嘲の笑みを浮かべる。
「そして今。ナギちゃんは『ETO』――『エデン条約機構』という武力を手に入れようとしてる。あとは言わなくてもわかるでしょ?」
つまり、ナギサもその『手に入れた武力』を振るいたくなる。
そういうことだろうか。
「矛先は急激に力を付けてるミレニアムとか?連邦生徒会だって、例外じゃないかもね」
その言葉に、先生は背筋に嫌なものが流れるのを感じた。
ヒフミの語っていた『二校合同の軍事組織』が誕生するという懸念と同じ帰結だったからだ。
「――私はね、アリウスともう一度手を取り合いたかった。アズサちゃんを和解の象徴としてトリニティに招き入れて、長年の軋轢を終わらせたかったんだ」
ミカはそこで言葉を区切り、ひどく寂しそうな、それでいてどこか冷たい響きを含んだ声で言った。
「でも、アリウスはゲヘナが嫌いなんだって。エデン条約なんて結んだら、アリウスと和解なんてできないと思わない?
まぁナギちゃんもセイアちゃんも、和解には反対してたんだけどね」
親友たちへと、小さく恨み言が呟かれる。
その言葉を聞いて先生は内心小さく息を吐いた。
アリウスはゲヘナを恨んでいるようだが、話を聞く限りではトリニティの方を恨む方が自然な気がするのだ。
(”それを考えると、ナギサたちが反対するのも理解はできる”)
おそらく彼女たちも、余計な火種を持ち込みたくなかったのではないだろうか。
良いことだと言うつもりはさらさらないが、慎重にならざるを得ない案件であるのは間違いない。
しかし、今までの発言が霞むような内容が次の瞬間、ミカの口から知らされた。
「セイアちゃん、覚えてる?前に、今の本当のホストだったけど入院中だって話したよね」
ミカは先生の目を真っ直ぐに見据え、深呼吸を一つし、言った。
「……実際はね、何者かにヘイローを壊されたんだ」
”っ!?”
先生は思わず息を呑み絶句した。
ヘイローの破壊。
それは簡単に言えば、『死』を意味するものだ。
キヴォトスの生徒たちが持つ、その肉体の頑強さはヘイローによるものだとされている。
つまりは、ヘイローとは生存の証に近しいのだ。
キヴォトスという特殊な環境は、あらゆるものが『死』という概念を遠い場所に置いている。
それゆえに、外の世界よりも『死』は重いものであった。
(”百合園セイア……。これもゲマトリアの仕業だろうか?”)
確証はない。
だが、状況的に確率は高いだろう。
生徒の頑強さを考えれば、一般的な襲撃程度でそう簡単に殺されるとも考えにくいからだ。
黒服の人体実験を考えれば、これまでの研究でヘイローを破壊する術を持っていてもおかしくはないだろう。
(”……考えすぎだといいんだけどね”)
「……でね、そこに滑り込むようにしてナギちゃんがホストになったんだ」
続くミカのその物言いには、明らかな『含み』があった。
まるで、ナギサが意図的にセイアを排除した。
そう思わせたいような。
そこまで聞いた先生は、内心ため息を吐き出した。
確かにミカの話は一見すると筋が通っている。
ナギサが武力を欲して暴走していると考えればすべてが繋がっているだろう。
だが、先生の理性は彼女の告白を丸呑みにすることを強く拒絶していた。
(”ミカはおそらく、すべてを話したわけじゃない”)
懸念点としては、やはり『ゲマトリア』のことだろうか。
アズサの背後、アリウスの裏で糸を引いているのはあの黒服たちの組織である。
あくまでヒフミを信じるなら、という前提ではあるが。
もしミカが純粋にアリウスとの和解を望んでいるだけなのだとしたら、なぜその『裏にいる大人』について触れないのだろう。
それが彼女による意図的な情報隠蔽なのか。
あるいはゲマトリアの人間は徹底的に表舞台に出ず、ミカは存在も知らされておらず、単なる手駒として都合よく踊らせているだけなのか。
いずれにせよ、今のところミカの告白をすべて真に受けるのはやめておいた方が賢明だろうということだ。
さらに先生の脳内で別の疑問が急速に膨らんでいく。
ミカはアズサを和解の象徴として招き入れたという。
だが彼女の語った歴史を聞く限り、かつてアリウスを徹底的に弾劾し、自治区から追いやったのは他でもない『トリニティ総合学園』そのものである。
何世代も前の話だとしても別の地に追いやられ、人々の記憶にすら残っていない彼らが抱く憎悪の矛先。
それはゲヘナなどよりも自分たちを迫害したトリニティに向けられていると考える方が圧倒的に自然ではないだろうか。
追放された側の憎悪の大きさを、ミカは本当に把握できているのか。
「政治的な理由で反対された」と話していたが、歴史を考えれば和解が困難になることは想像に難くない。
(”全部が嘘と言うわけでもない……。現にアリウスの存在や、ナギサの『補習授業部』を作った理由については本当だろうし……”)
でも、それにしてはナギサがまるで『裏切り者』に見えるように誘導されているような感覚があるのだ。
それが先生の警戒心を最大級に跳ね上げていた。
ナギサに直接、セイアについての詳細でも聞ければいいのだろうが「入院中です」としか答えてくれないだろうし、ミカから聞いたなどと言うわけにもいかない。
とはいえ聞ける相手がそう多いわけではないのも確かで。
結局のところ。
(”……この前の介入の話もあるし、ヒフミともう一度ちゃんと話すべきかな”)
彼女の情報網であれば、もしかするとセイアの『死』についても何か知っているかもしれない。
ミカがただ利用されているだけという可能性だってある。
”ミカ、話してくれてありがとう”
先生は努めて穏やかな声を意識し、ミカの瞳を見つめた。
「うん。……アズサちゃんをよろしくね、先生」
ミカは嬉しそうに微笑んだが、その瞳の奥にある『暗い何か』を先生は見た気がした。
――ミカと別れた後、先生は一人廊下を歩いていた。
時刻的にはまだ皆は勉強をしているだろう頃。
”はぁ……”
あの瞳を思い出しながら再び大きくため息を吐いた。
”ゲマトリア……。いったい何が目的なんだ?”
ナギサ、ミカ、アリウス、ゲマトリア。
それぞれの思惑が絡み合うエデン条約。
先生の声は合宿所の廊下に空しく溶けていくのであった。
遅れました。すまない……。
そして短いっっっ
次かその次はたぶん長いっっっ
でもこのタイトル使いたかったからさ
先生は生徒を悪くは言わないだろうってことで三回くらい書き直したんだよ
ただゲマトリアが裏に居て無条件に信じるのもおかしいよね、ってなって色々書き換えたりしてたら文字数2000くらい減ったの。怖いね
前回のペロロ様の感想多すぎ嫉妬民。みんなペロロ様大好きね
ちなみに自分はスマホもPCも「ぺ」っていれたら「ペロロ様」一番目の予測に出ますよ
感想、キモい派とそうでもない派に分かれてるあたり、だいぶデザイン完成されてる説ある
さらに少数のかわいい派がヒフミさんみたくなるんやろなって
モモフレンズってたぶんキヴォトスのサン〇オ枠
SNSアプリがモモトークってことはLI〇Eの会社が親会社的な感じなのかな?