メタモルフォーゼ132   作:友達と一緒に考えたよ

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【メタモルフォーゼ132】

 それでは、これより貴様に対する任務内容を通達します。

 最後まで口を挟まず、正確に記憶しなさい。貴様に求められるのは意見ではなく、命令を理解し、それを忠実に実行する能力だけです。

 

 まず、貴様の任務を改めて確認します。

 貴様は、日本生物兵器開発研究所によって生み出された実験体、ポケットモンスター132種――メタモンです。

 

 人間でもなければ兵士でもありません。国家の利益のために設計され、運用される生物兵器であり、その存在価値は任務を遂行できるかどうか、それだけによって決定されます。

 

 今回、貴様に与えられる任務は、我が国に必要となる各種情報の収集です。

 軍事、政治、魔法技術、人間関係、研究成果、機密事項。価値があると判断される情報であれば、その種類は問いません。

 

 貴様は発見し、観察し、記録し、私へ報告する。それだけで結構です。幸いにも、貴様には「へんしん」という極めて優秀な能力が備わっています。

 

 他者の姿を写し取り、人間社会へ自然に溶け込み、自らの正体を隠蔽する能力。

 

 人間という生き物は、見た目を信じます。肩書きを信じます。肩を並べて笑い、共に働く者を、簡単に仲間だと思い込みます。ですから、貴様はその愚かさを最大限に利用しなさい。

 信頼されなさい。

 尊敬されなさい。

 必要であれば友人を演じ、同僚を演じ、恩人を演じなさい。

 笑い、頷き、励まし、時には涙すら演じ、人間という生き物の警戒心を取り払いなさい。

 彼らが見ているのは貴様ではありません。

 貴様が作り上げた仮面です。その仮面が最後まで剥がれないのであれば、それで十分です。

 

 なお、今回の潜入地域は第一魔法科高校と決定しました。

 

 貴様は一般魔法技師として所属し、日常業務を滞りなく遂行してください。決して目立ちすぎる必要はありません。しかし、埋没しすぎても困ります。

 

 適度な能力を示し、適度に成果を上げ、周囲から「優秀で信頼できる人物」と認識される立場を築きなさい。

 特に十師族、およびその関係者との接触は最優先事項です。彼らとの友好関係を構築し、その信頼を獲得してください。

 

 信頼とは、情報を自ら差し出させる最も効率的な手段です。人間は敵には秘密を隠しますが、味方には自ら秘密を話します。ならば貴様は、誰よりも優秀な味方を演じればいい。

 

 必要なら何年でも、必要なら何十年でも。任務が継続する限り、貴様はその役割を演じ続けなさい。

 

 収集した情報は、暗号化した上で定期的にトレーナーである私へ送信してください。

 貴様に情報を分析する権限はありません。 

 貴様に情報を利用する権限もありません。

 貴様に情報の価値を判断する権限すらありません。

 

 貴様の役目は集めることだけです。

 判断するのは私。

 利用するのも私。

 国家へ還元するのも私です。

 道具が主人の代わりに判断を下す必要はありません。そして、最後に一つだけ忠告しておきます。

 

 人間社会で長く生活していると、自分も人間になったような錯覚を抱く個体が時折確認されます。

 仲間意識。家族。信頼。愛情。友情。そのような感情は、任務遂行の妨げとなる不要なノイズに過ぎません。

 貴様は人間ではありません。ましてや、一人の人格として尊重される存在でもありません。

 貴様は国家の資産であり、私の所有物であり、生物兵器です。壊れれば代替品が用意されるだけの消耗品であり、任務を果たして初めて価値を持つ道具です。

 

 その事実を忘れず、余計な感情を抱くことなく、命令だけを遂行してください。

 

 なお、人間社会において活動する際の識別名について通達します。

 

 貴様が人間形態を維持している間は、「桃河騙(ももかわ・かたる)」の名を使用することを許可します。

 

 勘違いしないよう申し上げますが、これは人格を認めるものでも、人権を与えるものでもありません。あくまで任務を円滑に遂行するために貸与する識別番号の代用品に過ぎません。

 

 「桃河騙」という名前は、社会へ潜入するための仮面です。任務が終了すれば不要となり、必要であれば別の名前へ差し替えられます。

 

 貴様自身に名前はありません。

 名前を持つ資格も、権利もありません。

 貴様には人権は存在せず、国家財産として最低限の保全がなされるのみです。

 

 生存が保証されるのは任務遂行に必要だからであり、尊重されるからではありません。したがって、「桃河騙」という人物を演じることには全力を尽くしなさい。

 

 しかし、自分が桃河騙という一人の人間になったなどという錯覚だけは決して抱かないことです。

 貴様は最後までメタモン132号であり、私の管理下にある生物兵器です。その事実を忘れない限り、私は貴様が「桃河騙」を名乗ることを許可します。

 

 貴様が成功しようと失敗しようと、私には大した興味はありません。ただ一つ、命令どおりの成果だけを持ち帰っていただければ、それで十分です。

 今回は資金石です。要求を満たされなければ廃棄されることを肝に銘じなさい。

 




(スネイル閣下、トレーナー概念……?)
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