人類防衛特殊部隊フェンリア   作:瀬笈鵺

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今回はポンポン話が浮かびました。ゆっくり見てってください。


父の友人

防衛戦終了から3日。美波の傷は動いても平気なほどには回復した。美波達の防衛活躍はフェンリア中に広がっており、美波を認める上司も増えてきた。そしてフェンリアは少しざわめいていた。

 

美波「こんな感じでいいでしょうか?」

上司「お、サンキュー。また頼むかもだがその時は頼むな。」

美波「了解です。それではこれで。」

 

上司より頼まれていた資料まとめを済ませ届けたところだった。美波が自室となっているラーミの部屋に戻ろうとしていたところでこんなことが聞こえてきた。

 

隊員A「なぁ、あいつが帰ってくるそうだぜ?」

隊員B「あの近接馬鹿か?だとすっとまたあれやるかのかね。」

隊員A「さぁな。さて、仕事に戻るかね。」

美波「(近接馬鹿?誰だろ?)」

 

ラーミの部屋。美波が部屋を占領されているのでラーミが進んで自室を提供してくれた。ラーミは研究班なだけあり武器の設計をやっていた。アダマンチタンの扱いを大分できるようになってきたため、ようやく開始されたプロジェクトである。汎用性が高いワルサーP99の設計である。

 

ラーミ「んー、ここをこうしてそこをこう。」

美波「ラーちゃん、戻ったよ〜。って集中してるところか。」

 

ラーミは集中していると周りの音が聞こえなくなるらしい。なんでも工事現場の音でも平気だとか。

 

ラーミ「ここで一旦終わりましょうか。あ、戻ってたんですか。」

美波「ついさっき。ラーちゃん、近接馬鹿って誰?」

 

ラーミはデスクの端末を取り、隊員名簿を開く。少し下にスライドし、タップし、美波に見せる。

 

ラーミ「セーラ・ヴァンス大尉。射撃精度はフェンリア1最悪で近接武器しか使いません。例え偉くても下の階級のものに優しく接してくれる人です。でも何故それを?」

 

端末に映っているのは水色髪のセミロングの女性。射撃精度が最悪と言うのは弾道計算などを出来ないからと思われる。

 

美波「いや、他の人達がその人が帰ってくるって。」

ラーミ「そうですか。だったらここで待ってましょうか。」

美波「え?なんで?」

ラーミ「必ずここに来るからですよ。」

 

ラーミは確信しているように言う。10年もここに居るラーミが確信を持つように言うのは仲がいいのからなのかもしれない。美波はベッドに座り時間を見た。14時半、何もない時は暇な時間だ。美波は安静にするよう博士と医務員に言われているため荒事が出来ない。仕事もついさっき済ませてしまった。雄二は前回発見したゼロアースの回収手伝い。キラは博士の実験に付きっきり。

 

美波「あー、そういえばあの子まだ目を覚まさないのかな。」

ラーミ「回復の傾向はありますが、特殊な麻酔を打たれているようでなかなか目覚めないらしいですね。」

美波「そっか。回復してるならまだいいか。」

 

美波はベッドに横になる。寝る訳ではないが暇なものだからしょうがない、そんな顔をしている。不意にノックの音がする。

 

ラーミ「開いてますよ。」

 

ラーミが許可をし、ノックしてきた人物が入ってくる水色髪のセミロング、セーラと言う人だろう。

 

セーラ「久しぶり〜、ラーミちゃん。」

ラーミ「お久しぶりです、セーラ大尉。元気そうで何よりです。」

セーラ「相変わらず丁寧語だね。ん?そっちの子は?」

 

セーラは美波の方を向く。セーラは何処と無く久しい感覚がした。

 

美波「波夷羅美波です。よろしくお願い」

セーラ「あぁ!美波ちゃん!懐かしいわねぇ〜。覚えてる?爾来さんの友人なんだけど。」

美波「す、すいません。全く・・・。」

セーラ「まぁ、10年前だもんね。最後会ったの。昔よく遊んであげてたのにな〜。」

 

思い出にふけるようにセーラは頬に手を当てる。ラーミはそれを遮断する。

 

ラーミ「セーラ大尉、博士への報告は済んだのですか?」

セーラ「あ、いけない。してこないと。」

ラーミ「なら私も同行します。少しわからない点が出てきたので。」

美波「私もいい?」

 

セーラが研究室に行くためにエレベーターの前にくる。ポケットの中にあるカードキーをエレベーターの隣にある電子版に差し込む。認証された音がなりエレベーターが動き出す。

 

セーラ「本当なら階段で行きたいんだけどね。美波ちゃんがその怪我じゃ、ね。」

 

エレベーターまでの道中で美波の右脇腹の傷のことを話した。最初、セーラが訓練を兼ねて階段で行こうか、と言ったが傷のことを聞くと暗い顔をして美波を抱いた。それは娘を心配している母のように。美波の母は9年前に他界。爾来は8年前。今では博士が保護者のようになっている。

 

セーラ「私がいたらそうはならなかったのかな。」

ラーミ「いいえ。一人で行かせた草薙軍曹の間違いです。ついでにブレ軍曹も。」

セーラ「あいつらか。後で殴っておこう。」

美波「い、いいですよそんなことしなくても。」

 

研究室。キラがせっせとデータ整理している中、博士はモニターを険しい表情で見ていた。

 

セーラ「レイダー博士〜ただいま戻りました〜。」

レイダー「む、おお!セーラ君!通信が途絶えていたから心配してたぞ!」

セーラ「あ、あはは。環境が悪くてですね。」

 

セーラの顔には「忘れてたなんて言えないな〜。」と言ったのが見えていたがレイダーは気づいてなさげだ。

 

レイダー「ん?部下の4人はどうしたのかね?」

セーラ「・・・それも含めて報告します。」

レイダー「そうか。ラーミ君、悪いが先にキラ君を手伝ってやってくれ。美波君、君はこっちに。」

 

キラがデスクワークをしているところから少し離れた場所に休憩スペースがありそこにレイダー達三人は座る。

 

セーラ「まず最初に、あそこには巣がありそうです。通算100は殺りましたが減っている感覚がありません。」

レイダー「やはりか。あー、美波君あそこと言うのはここから50キロ北にところにある工場でな。そこから大量にバースの出現が確認されてな。」

美波「なるほど。で、セーラさんが見に行っていたと。」

 

セーラが頷きポケットから端末を取り出す。カメラのようだ。

 

セーラ「こんな感じに侵食が進んだ場所が見えています。それも全部地下から。」

 

工場の床隅に黒い筋のようなものが伸びていた。しかしそれはまだ小さく、簡単に処理出来そうである。

 

レイダー「バースの親玉がどんなのか見てみたいものだ。いたら始末しなくてはならんが、いないことを祈りたいな。」

セーラ「そして、これが部下の最期です・・・。」

美波「う、うわ。酷い・・・。」

 

部下を中心に血が散乱しており、内蔵も飛び散っている。腹が完全にえぐられており、腸が死体から出ている。部下は4人で全員。皆重なった状態でどれも同じ死に方をしている。同じバースに殺されたと見て間違いは無いだろう。だが、どのバースにもこの殺し方は資料にない。

 

セーラ「新種が出ました。正体は不明、気付いたら全員消えていました。帰り際に落ちた音がしたので振り向いたらこれで。」

美波「新種、しかも姿形がわからないとなると。」

レイダー「対処しようがない危険種となるな。」

 

レイダーは手を頭に当て、ため息をつく。美波が死体写真を良く見ているとセーラが端末の電源を切る。

 

セーラ「あまり見るものじゃないよ。」

美波「いえ、少しおかしいところがありまして。」

セーラ「え?」

 

セーラが再度電源を入れ死体写真を出す。美波はえぐられた腹を指差した。

 

美波「これ、内側から打ち破られた感じに見えるんですけど。」

レイダー「なに?」

 

レイダーが端末をとり写真を見る。険しい表情で良く見て顔を上げた。

 

レイダー「これは解析しておく必要がありそうだ。セーラ君、しばらく借りるよ。早急に取り掛からねば。セーラ君、しばらくしたら報告をする。今はゆっくり休んでくれたまえ。」

セーラ「了解。美波ちゃん、行こっか。」

美波「は、はい。」

 

セーラと美波が研究室を出るときに作業中のラーミが気付き声をかけた。

 

ラーミ「セーラ大尉。美波の部屋は道中話したとうりで」

セーラ「わかってるわかってる。美波ちゃんは私の部屋に泊めるからさ。」

美波「え?でも、ラーちゃん平気?」

ラーミ「大丈夫です。部屋が広くなりますし。」

美波「またそういうこと言う。」

セーラ「あはは。私の部屋は広いからこっちにおいで。昔の思い出に老けたいし。」

美波「・・・はい。」

 

階級ごとに部屋の大きさは変わる。ラーミの部屋は畳八枚程度。セーラはその倍である。

その日、一人任務から帰って来なかったのを美波達は知らない。




はてさて、今後の展開はどうなるのやら。待て次回!
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