あかばが
「さろあさんの負担を減らすんだ!」
そう意気込んだものの、攻撃が通るのかまだ自分で確かめていない。警戒していると、怪物側から先に攻撃を仕掛けてきた。それは、炎を螺旋状に発射する攻撃だ。
「この程度!」
あかばは横に飛び、余裕を持ってそれを回避する。そしてあかばは攻撃に出るべく、『
「覚悟しろ怪物!」
素早い一直線の突進で怪物との距離を縮め、剣で怪物の体を横に斬る。その攻撃は届いたようで、何と一撃で光の粒となって消滅した。
「えっ?」
先程あかばが瀕死になる前、ダインが同じく炎を身に纏う怪物を斬りかかりに行った時、ダインの攻撃はそこまで通っているようには見えなかった。だからこそ、一撃で沈んだことに疑問が浮かんだのだ。
「
「いや、まずはさろあさんの状況を確認しないと!」
そして先程までさろあがセイナと戦っていた場所に視線を向けると、まだ戦っているようだった。しかも見た感じ、お互い傷を回復しながら戦っている。今のあかばが手出しできるようなレベルではないようだ。
「そうだ、ダインさんは!?」
そちらも確認するも、どうやら傷を負わずに倒していたようだ。これで残るはセイナだけだ。
―――そう思っていた時だった
あかばの事を遠目で認識したダインが、全速力であかばの方に向かってくる。
「あかば少年!大変じゃあー!」
息を切らしながらもあかばの前に来て状況を説明する。
「うちの集落の者から連絡が入ったんじゃ!この近くで別の者が暴れていると言っておった!情報から見るに、今さろあさんが戦っとる奴と仲間と見て間違いなさそうじゃ!」
それを聞いたあかばは焦りが止まらなくなった。急いでダインと共に、その暴れているというもう一人の天使らしき人物の場へと向かった。
大き目の高層ビルを曲がり、交差点に入る時、確かにそこに"天使"がいた。そして街を破壊しながら叫んでいた
「あかばはどこだ!今すぐに連れてこなければ街ごと消し飛ばすぞ!」
見た目は筋骨隆々の天使だが、手にしている武器の大剣から衝撃波を放って街を破壊していた。
その時には、もうあかばは飛び出して剣を構えていた。
「僕はここだ!関係の無い街を破壊するなぁー!」
叫びを聞いたその天使は、ニヤリと笑みを浮かべてあかばの攻撃を大剣で防ぐ。
「ようやく出てきたか!俺の名は"ゴウガ"!貴様を殺しに来た天使だ!!」
それと同時にゴウガの大剣が大きく縦に振られる。あかばは既に『
「あかば少年!助太刀致しますぞ!」
互いに武器を構え、横に並んでゴウガにそれを向ける。
「ダインさん!一緒にあいつを止めますよ!これ以上街を破壊させたらダメです!」
「もちろんじゃ!」
あかばとダインはそう叫ぶと同時、ゴウガに向かって突っ込む。
「それでこそ男よ!綺麗な死に花咲かせてやろう!」
ゴウガの大剣は、一撃一撃がとても重い。だがあかばとダインはその攻撃を武器で同時に受ける。ダインの力、そしてあかばの『
「ぬぅっ!?受け止められるだと!?」
受け止めたことによって現れた一瞬の隙を、あかばとダインは見逃さない。
「「ここだ(じゃ)!」」
二人で同時に姿勢を低くして、ゴウガの大剣をすり抜けるように一撃を入れる。それはゴウガの腹を少し深めに斬ることに成功した。
ゴウガは痛みが走った瞬間には既に大剣の軌道を切り返していた。しかしそれが二人に当たることはなく、間一髪で後ろに飛んで避けた。
「フン!多少はやるようだが、同じ手が何度も通じると思うなよ?」
再び刃を向け合う状態に戻る。
「さろあさんの為にも、絶対負けられない」
あかばの表情は、笑みを一切捨てた純粋な決意だった。そしてもう一度、三人の刃が交わる。
ガキンッ!キンッ!キンッ!
バチバチッ!バチバチバチッ!
あかばとダインの二人の力が合わさって、ようやくゴウガと互角の力になっている。火花を散らしながら互いに一歩も引かない攻防だった。
「もういい加減に散ると良い!!」
ゴウガの大剣が、轟音と共に二人に向かって振り下ろされた。それはさっきまでよりも明らかに重さがある剣撃だった。
「むぅ!?」
先に反応したのはダインだった。疲れを感じさせない横跳びで当たる範囲から逃れるダインだった。
・・・でも、ダインが着地するタイミングと同時に聞こえてきた音があった。
グシャ―――
その音の出所を確認しようと目線を向けた。そこにあったのは・・・・・・"あかばの右腕だった"
あかばはギリギリのところで斬撃を躱せなかったのだ。
「あかば少年―――!」
ダインは急いで庇うようにあかばの前に滑り込む。しかしダイン一人ではゴウガの攻撃を受け止めることが出来ない。
絶体絶命だった。もうどうすることもできない・・・はずだった。
ガキィィン!
一人で受け止める筈だったゴウガの大剣に、ダインとは別のもう一つの剣がった。その剣には見覚えがあった・・・いや、さっきまで一緒に戦っていた人間の剣。
「あかば少年!?」
隣で共にゴウガの大剣を刃で受け止めるあかばの姿、切断された筈の右腕が、完全にくっついている。そしてゴウガの攻撃を受け止められたのは、他でもなくゴウガの油断によるものだ。あの状況からあかばが復帰できることなど、本来は存在しないはずだったからだ。
「ご心配を・・・かけました!」
そしてそのまま勢いで大剣を押し返した。腕力に明確な差があるのに押し返される程、ゴウガ自身も焦っているようだった。
(この時のあかばの目の色は、『
「さろあさんのやってた事を土壇場でやってみたんです!あの回復の緑色の光のやつですよ!」
そう、つい先程セイナに腹を突き刺されたさろあが使った、驚異的な再生の力。あかばは、さろあから聞いた『
「こ・・・こんな事!認めんぞオオオ!!」
ゴウガの見て分かる怒りの咆哮と共に、鬼の形相で大剣で大振りの横薙ぎを見せた。もちろんそんな怒り任せな大剣など避けるに容易いというように二人は後ろに跳ぶ。
「小癪なァァァァ!」
もう一撃、続けて斬撃が放たれる。
―――しかしその時、三人の頭上から何かが急速に落ちてくる。
「えっ!?」
「ぬぅ!?」
「ぐうう!!」
間一髪三人はバックステップで衝撃から逃れる。そして埃の中から段々とその姿が見えてきた。
「良いわぁ...アンタほんっと最高よ!」
「こっちは最悪な気分だがな」
それは、まだ死闘を繰り広げていた、セイナとさろあだった。
必然的に、さろあはあかばとダインの方へ、セイナはゴウガの方へと睨み合いながら合流する。・・・そしてこれから、本格的な戦いが始まるのか、それとも更なる混沌が待ち受けているのか、全く分からないのだ。