光と闇について、しろが語り始めようとしている。
「まずは問題!光と闇、そして善と悪。これは同じでしょうか!」
しろは張り切ったように、あかばに問題を出した。数秒悩んだあかばだったが、すぐに答える。
「きっと・・・同じではないと思います。君が、闇が悪い物じゃないって教えてくれたから」
その答えに、しろはニッコリと笑って頷いた。
「その通り!でも話したのはたったのそれだけ。だからもうちょっとだけ詳しく教えるからね!」
そして少しだけ真剣な表情をして、丁寧に説明を始めた。
「まずは光からの方が分かりやすいかな。光っていうのは、簡単に言ったら"純白の救世主"だよ。光の呼び方は違うかもだけど、どの世界も光がある事によって景色を把握できる・・・言わば創造の根源。まぁこれは人間の目が景色を捉える時に光が必要だから、言っちゃえば人間贔屓だけど」
その時、光の説明の途中で、しろの表情が少しだけ表情が暗くなる。その理由は、次に話す内容のせいだった。
「・・・でも、光も"生きている"んだ。皆を照らすってことは、同時に負を溜め込んでしまう。そうなった光は、人間が認識できないのもあって、どんどん"枯れていく"」
それは、あかばにとって衝撃以外の何物でもなかった。生きている、枯れる。それはまるで自然の理のように、始まりと終わりがあるように、光もそうだと言うのだ。でも、次の話をするタイミングで、再び明るい雰囲気に戻る。
「でもね、そんな光が逃げられる場所が存在するんだ」
「それが・・・闇の代表格、"ブラックホール"」
しろの口から出てきた重要な単語を、あかばは聞いたことがあった。"ブラックホール"、それは重力がとてつもなく、光すらも呑み込むと言われているものだ。
「あ、あれって光ごと無造作に呑み込んでるんじゃないの?光が逃げるなんて・・・そんなこと、初めて聞いたよ」
少し震えた声で声を発する。それは未知から来る恐怖か、それとも何か別の感情なのか分からない。
そして、しろがゆっくりと口を開く
「うん、確かに吞み込んでいるとも言えるね。でもあれは呑み込んでるんじゃないんだよ。あそこに吸い込まれていく光は、苦しくて、辛くて、それでも照らしたいという純粋な願いによって枯れ続け、"光を失ってしまった光の終着点"。・・・つまり何が言いたいかっていうとね」
しろが今までで一番真剣な表情で一言を発する。
「闇は呑み込んでいるんじゃない。光を包み込んでくれているんだよ」
その一言が出た時、あかばは先程の出来事を振り返った。それは自分自身の闇を受け入れたアレだ。今の話を聞いたあかばは、自然と口が開く。
「じゃあもしかして・・・あれって、自分自身の闇って・・・枯れてしまった僕の光?待ってよ、じゃあまさか―――」
あかばの言葉に割り込むように、しろが満面の笑みで答える。
「そうだよ!枯れた光は受け入れられると復活する、そしてその枯れた光を認識できて、受け入れられる人間は・・・」
「―――皆が皆、"ブラックホール"なんだ―――」
それは、あかばの常識をまるっきり塗り替えてしまうものだった。さろあが"言って大丈夫なのか"と言っていたのは、この事があったからだろう。案の定、あかばは焦りとも言えない表情で驚き、さろあはそんなあかばを心配そうに見ている。
でも、あかば自身は先程の事があったからか、理解できないものではなかった。むしろ、分かりづらかった問題の答えを教えてくれたような感覚だったようだ。
「うん・・・分かったよ。君が言いたいのは、闇は"光を包み込む存在"で、とっても温かいものだってだよね?」
その言葉を聞けて、しろは満足そうに頷いた。
「その通り!もう闇の事はバッチリだね!!」
こうしてあかばは、光と闇についての理解力を更に高めることが出来た。でもまだ、説明されていないことがある。
「さてと、もう十分だよね。・・・じゃあ次は・・・」
「"善と悪について"、だね」
善と悪。この二つも最初に言っていたものだ。・・・そして、この善と悪の話によって、光と闇との違いと、これから先で重要なものが分かっていくのだ。