ゆら ゆら ゆら 花ゆらり 草光り 夏乱れ こい こい、こい 恋ちりぬ 虎が雨 夏花火 蛍売 さい さい さい 割いて尚 蜻蛉生る 秋を待つ 座して待つ 秋を待つ
(夏の四季歌だ......)
龍が現場に着いたとき、葉桜瑠璃が生命使役の権能により動物を使役し、葉桜あやめも拳銃と短刀で賊と戦っていた、だが、多勢に無勢な状態であった。
「思ったより人が多いな.........」
(夏を、守らなければ......)
龍は無意識にそう考える。
実際であれば手助け不要な人数しかいないのだが。
龍は、背負っていた蛇の目を左手に取る。
そして、梅雨の四季歌を歌い始めた。
巡る四時に背を向け 煙る
梅雨での権能は生命水没、水を操る力。
龍は水を操り賊を押し流す。
途中発砲されるもそれすらも超圧縮した水によって止めてしまう。
勝敗は、明白だった。
戦いが終わり夏主従が怪我してないかを見た。
怪我はないようだが、夏の主従はともに口が塞がらない状態だった。
それも当たり前である。
まず、雨の代行者の存在はこの大和の国の中では四季の代行者達ですらだれも知らない、清水家が隠し通し続けてきたものである。
しかも、時折口が不気味に動く鬼面をつけた男が、自分たちを助けるために得体のしれない力を使ったのだ。
「な.........何者......なの.........」
そう、瑠璃がつぶやく。
もちろん龍はこの言葉を無視する.........つもりだった。
だが、龍は意外といたずらが好きである。
(ここはイタズラしておこっと)
龍は瑠璃に足音を立てずに近づく。
「!妹に近づくな!」
あやめはすぐさま短刀を龍に向けるが、龍は構わず近づいていく。
当の瑠璃はどこか心ここにあらずと言ったような感じでぼーっとしている。
あやめは瑠璃を守るためにも短刀を振るうのだが、その振るわれた担当よりも高い位置をバク宙をし、そのまま瑠璃のすぐ近くまで来ると、耳元で.........
「俺について知りたいのなら冬の代行者、寒椿狼星の根城に来い、そこに俺のことを知っているものがいる」
そう、囁いたのだ。
ただしさすがに変音機で声質は変えている。
「ひゃっ!?」
ささやかれた瞬間瑠璃は囁かれた方の耳を抑えすぐさま龍から離れる。
その顔は、少し赤くなっている。
とりあえずそれだけ伝え、「じゃ」といって龍はその場を去った。