貞操観念逆転世界で100日童貞を守る   作:奈落ナド

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13日目

 

4月24日土曜日。

昨日は安藤と前原との飲み会だった。

なんやかんやあったが最終的には楽しく終われたと思う。

だけど、この前の全員集合から流れが少し変わったような気がしてこの後どうなっていくやら。

 

「さて今日はどうしようかな」

 

休みと言うこともあり本日は学校は無し。

特に予定も入れてなかったために一日フリーだ。

 

「それにしても昨日の安藤はなかなか手強かったな」

 

呪いがなければホイホイと釣られてしまったかも知れない。

なんとか自制心を保てているが、結構キツいんだよな・・・

他の女子達からのアプローチも激化するとなると中々大変だ。

 

「ん?」

 

なんてことを考えていたらスマホが鳴った。

 

【今日時間ある?】

 

送り主は苺さんだった。

 

【暇してた】

 

何の要件かと思いながら返事をする。

 

【今日近くでライブするから良かったら見に来てよ】

【おけ!行くわ】

 

その後場所や時間を聞いてやり取りは終了。

 

「苺さんのライブか、楽しみだな」

 

思いがけず本日の予定が決まった。

 

 

 

夕方17時、大学からほど近いライブ会場にやってきた。

チケットを購入し、中へと入る。

 

「さて、ライブ楽しみだな」

 

適当な場所に陣取りライブが始まるのを待つ。

周りを見ると結構な人たちがいた。

 

 

「みなさん!こんばんはー!」

 

少し時間が経った後、ライブが始まりメンバーの人たちがステージに現れた。

 

「今日は三つ星アイスのライブに来てくれてありがとうございます!」

 

センターの子が観客に挨拶する。

次いで三人のメンバーがそれぞれ自己紹介する。

前二人が終わって苺さんの番。

 

「とっても甘い、ストロベリー!「南雲苺」です!」

 

せっかくだから俺も歓声をあげる。

それにしても苺さん、普段の姿とは全然違うな。ギャップに改めて驚かされる。

 

「それじゃあ一曲目いきまーす!」

 

そしてライブが始まった。

 

 

「~~~~♪」

 

 

三人のアイドル達が踊りながら歌う。

もちろん苺さん以外の二人も魅力的だが、俺の視線は常に苺さんにあった。

 

「っ!」

 

気のせいかも知れないが、歌ってる最中苺さんと何回か目が合った様な気がした。

 

途中でMCを挟みつつ何曲かやり、ライブも盛況のまま終了。

時間にしては二時間弱だったが体感あっという間だった気がする。

 

「ふぅー楽しかったな」

 

純粋にライブを楽しむことが出来て大満足であった。

アイドル達がステージから引いて、観客達も会場を後にし始めた頃、

 

【ライブ、すっごく良かったよ!】

 

苺さんにライムを送っておいた。

するとすぐに既読がついた。

 

【この後って時間ある?】

 

後は帰るだけとなっていたので暇だ。

 

【あるよ】

【ちょっと待ってて】

 

何か話しでもあるのかと思い、ライブ会場から出た所で時間を潰す。

 

 

少しばかり時間が経った頃だろうか、再度連絡がきた。

 

【会場の裏側の出口来て】

 

指定された場所へと向かう。

 

 

「よっす」

 

そこに苺さんはいた。

 

「ライブお疲れ様」

「ありがと」

「他のメンバーとかは?」

「先帰ったよ」

「そうか、それでどうした?」

「あんたと話がしたくてさ、悪いんだけど時間作って貰えない?」

「・・・いいぞ」

「よかった、ここじゃあれだし付いてきて」

「わかった」

 

言われるとおりに後をついていく。

 

「これ、どこに向かってるんだ?」

「・・・私の家」

「家!?」

「一応私アイドルだし、男と一緒にいるところあんまり見られたくないからさ」

「でも家か・・・」

「大丈夫、変な事はしないから」

「・・・信じるぞ」

「もち」

 

相手の家に行くのはリスクが高いかとも思ったが、理由があるだけに断ることは出来なかった。

まぁ、気をつけていれば大丈夫であろう。

 

 

「着いたよ」

 

苺さんの口数は少なく、道中はほぼ無言だった。

 

「・・・お邪魔します」

 

マンションの一室が苺さんの家だった。

恐る恐る中へと入る。

女性の一人暮らしの家に入るのなんて初めてだったので否が応でもドギマギしてしまう。

 

「とりあえず座って、お茶出すから」

 

言われるがままに座り、お茶を待つ。

その間に部屋の中を見渡してしまった。

綺麗に物が整頓されてあり、なんか良い匂いがした。

 

「おまたせ」

 

お茶を出して貰い、一口。

 

「・・・」

「・・・」

 

二人の間に沈黙が流れる。

 

「・・・それで話って何だ」

 

いつまでもこうしているわけにはいかないので本題に入る。

 

「・・・今日のライブ、どうだった?」

「ライブ?すごくよかったが」

「そっか、じゃあ質問を変える。何か気づいた事ってある?」

「気づいたことか・・・」

 

今日のライブを思い出しながら考える。

 

「思いつくことがあるが、これは苺さんに失礼かも知れない」

「いいよ、言って」

「・・・苺さんと他二人の人気に差があるのかなって思った」

 

思い返してみると、ライブ会場でファンが持っているグッズの数や、自己紹介やMCの時の観客のリアクションなどが苺さんだけ少なかったように思える。

 

「正解」

「・・・」

「三人でやってるんだけどさ、二人と私で差があるんだよね」

「それはまぁ・・・」

 

正直それに関して俺は何を言えば良いのか分からなかった。

 

「なんだろ、実力とかの世界だから、それに文句があるわけじゃないんだけどさ、最近色々と思うことがあって」

「・・・」

「あんたに話聞いて欲しかったんだよね」

「なんで俺なんだ?」

「初めてのライブ見てくれた時、私が一番って言ってくれたじゃん。

あれがすごく嬉しかったんだよね。だからあんたに私の話聞いて欲しいって思っちゃったんだ」

「そうか」

「んでさ、私の話ばかりになってごめんだけど」

「好きなだけ話せ」

「私小さい頃からアイドルが好きで、大きくなったらアイドル目指してたんだよ」

「そうだったのか」

「でさ、念願叶って無事アイドルになれました。よかったよかったとはならなかったんだ」

「どういうことだ?」

「本当は私さ、このままのありのままでアイドルしたかったんだよ」

「・・・」

「だけど事務所の方針でさ、私の名前が苺ってのと髪色とかでああ言うキャラ付されてさ、それでやることになって」

「進んでやりたかったわけでは無いと」

「正直私がやりたかったアイドルとは違うんだよね今、それで人気も出ないとなれば何のためにやってるのかなって最近悩んでて」

「・・・やめるのか?」

「それも簡単には決められなくてさ」

「・・・」

「・・・」

「そんなときにあんたが現れて、こうやって頼っちゃってるって訳」

「そうか・・・」

「ねぇ、私どうしたらいいと思う?」

 

苺さんは恐らく今弱気になっているんだと思う。

果たして俺が苺さんの進退に関わることを決めて良い物なのか。

 

「・・・」

 

俺が返事に困っていると苺さんが隣に座って肩に頭を乗せてきた。

 

「私さ、あんたのことが好きなんだよね」

「へ?」

「一目惚れってやつなのかな、私が一番って言われたときに完全に堕ちた」

「それは・・・」

「別に今返事しなくていいよ、あんたモテモテだもんね」

「・・・」

「そんなわけでさ、あんたに決めて欲しいんだよ」

 

そこまで苺さんに言わせてしまった以上俺が決めなくちゃいけないみたいだ。

 

「俺は・・・」

 

「俺は苺さんにアイドル続けて欲しい」

「そうなの?」

「あぁ、俺は苺さんのアイドル姿が好きだ、この先も見ていたい」

「・・・」

「人気が無いっていうなら俺が応援し続ける、だからやめないでくれ」

「・・・そこまで言われたらやめられないじゃん」

「続けてくれるのか?」

「うん、もう少し頑張ってみようかな」

「ありがとう!」

 

どうやら迷いは吹っ切れたようで安心した。

 

「話は終わりみたいだな、じゃあ俺はこれで帰るよ」

「待って」

 

立ち上がろうとしたときに袖を捕まれた。

 

「どうした?」

「ちょっと待ってて」

 

そう言うと苺さんは違う部屋へと入っていた。

 

「?」

 

少しした後、苺さんが戻ってきた。

 

「えっ!!」

「真君!苺だよ!!」

 

アイドル衣装にツインテールの格好をした苺さんが出てきた。

 

「え?え?」

 

混乱する俺。

 

「真君が応援してくれるから、私頑張るね!」

 

決意表明みたいな物か・・・

 

「ああ、頑張れ!」

 

無事問題が解決したと思い、今度こそ帰ろうとした。

 

「しーん君♪」

「ん!?」

 

立ち上がった俺を苺さんはベッドに押し倒した。

 

「苺さん・・・??」

「何もしないって、嘘に決まってるじゃん。ひょいひょい着いてきたあんたが悪いんだよ」

「なっ!?」

 

起き上がろうとしたが、上から苺さんが覆い被り身動きがとれない。

無理矢理払いのけようとしたが、何故か力で勝てない。

 

「皆のアイドル苺さんはこれからも続けるよ」

 

苺さんが衣装の胸の部分を開けて胸が露出した。

その姿に目が離せなかった。

 

「でも今日は・・・あんただけのアイドルでいさせてよ」

「苺さん・・・」

 

次いで俺の服を脱がしていく。

 

「私のこと・・・忘れられないようにしてあげる♪」

 

目の前の苺さんは妖艶な狩人だった。

 

 

 

 

そして気がつくと4月13日。初日に戻っていた。

 

「苺さんの背中の押し方、間違ったなぁ・・・」

 

少しの間違いで童貞がなくなる危険を改めて思い知らされた。

大変だが、またさっきの時に戻ってくるしか無い。

 

「次はうまく苺さんと話をしよう」

 

決意を新たに再スタートした。

 

 

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