「首はどうなる」
その問いに、俺は言葉を発することをやめた。
「……永井くん?」
「まさか……首は例外なのか?」
「……嘘」
「いいや、首だけが例外というわけじゃない。前に試したことがあるが、普通に生き返ることができた」
「え……試したの?」
葉隠が一瞬怯えた様子で俺に聞いたが、俺が「忘れろ」と放った後も不穏な目で見てくる。
「ただ、首は少し扱いが難しいな。……ああそうだ、『スワンプマン』って知ってるか?」
「スワンプマン?」
「えっと、ある男が雷に打たれて死んじゃうんだ」
「えっ」
「でも、全く同じ瞬間に同じ場所に雷が落ちて、化学反応によって死んだ男と全く同じ人間が、同じ記憶を持って生き返ったんだ」
「よかった!」
「でも、その生き返った男は、死ぬ前の男と同じ人間なのか?っていう問いのことだね」
「あ……」
葉隠が緑谷に説明した通りのことで、俺は男は同一人物だと思っている。緑谷は違うらしいが……。
「亜人の個性によってもたらされるのは、「断頭」がこれに近い」
「……なるほど」
「常闇くん、何かわかったの?」
「首を切られて死んだ時、もしも首が効果範囲とやらよりも外側なら、新しく首が造られる……ということか」
「ああ。……その場合、俺の意識は新しく生えた首に宿るが……まあ、死んだほうの首が本来の俺だ」
「あ……!」
「ってことは、断頭は避けなくちゃいけないんだ」
「まあ、断頭すらも厭わないって精神が持てたら、やれることは格段に広がるけどな。……っと、本題はこれじゃない」
個性……その中でも、黒い幽霊「IBM」についてだな。
「黒い幽霊?」
「俺は体内に常に、IBMという視えない物質を持っている。それを用いて人形に作ったのが、先の障害物競走だ」
「あ、タブスって言ってた……!」
「ああ。基本的には視えないが、どうやら俺が強い敵意を向けた人間には視えるようでな。少し苦労した」
「……?」
葉隠が首を傾げる。
「気にするな。で、基本は視えない。だから……」
「あ!数敵優位ってそういうこと!?」
「そういうことだ」
「しかも視えないから、警戒もされにくい……そして、攻防一体の常闇くんと黒影」
「私は透明化の個性でもともと視えないし……」
「意識は騎手の葉隠に行くだろう。ならば俺はと黒影はハチマキを守るということか。意識が葉隠に行っているうちに、黒い幽霊がハチマキを奪う」
「うん!」
「1日に出せる数は限度があるが……まあ、どうせ寝れば回復する。暫くの辛抱だな」
改めて、気を引き締めよう。
『起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに12組の騎馬が並び立った!』
「なかなか……面白え組が揃ったな」
「さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!」
騎手を葉隠とし、前を常闇、左を緑谷、右を俺で固めておく。
『3』
「鉄哲恨みっこなしだぞ」
『2』
「狙いは……」
『1』
「1つ」
『START!!!!!』