五年は組の商人   作:ジェーンドェは彼方

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8話

 そうやってして、私たちは再び歩みを進めていくが、次の体育委員会とは場所を固定としないため、体育委員会委員長である、六年ろ組、七松小平太あるところに体育委員会あり!といった感じらしい。

 

「体育委員会は野外活動がメインなので……そこらへんに塹壕でもあれば辿るだけでいいんですけど、今日は校庭にもいなさそうですね」

「裏山の方で鍛錬をしてるかもしれませんね……」

 

 二人はどこにいるのかさっぱりわからないと言った様子だ。会えないのなら無理に体育委員会を見学しなくても良いのだが、と思った矢先に、後ろから威勢のいい声で「いけいけどんどーん!」と叫びながら何かがこちらに向かってきている。

 それを聞いた学級委員長の二人はギョッと背筋を伸ばすと、勢いよく振り返って声を上げる。

 

「うわーッ!逃げましょう藤ノ木さん!あれは前が見えてません!跳ね飛ばされてしまいます!」

「あれは声をかけても聞こえないやつです〜ッ!」

 私は二人に背中を押されるがまま、迫り来る獣を避ける様に道を逸れると、ソレは一瞬にして横切って行った。

 然し、それは獣ではなく体育委員会委員長の七松小平太だ。その後ろから必死についていく後輩たちは息も絶え絶えに、「もう一周仕切ったではありませんか!」と叫んでいるが、本人は気づいていない様子でそのまま突き進んでいってしまうのだ。そうして気がつくと、先ほど庄左ヱ門が言った通り、校庭に塹壕ができていた(これが……と私は腑に落ちた)。

 

「あ、あれぇ……藤ノ木さんと、庄左ヱ門に彦四郎?こんな何をしてるんですか?」

 と二年は組の時友四郎兵衛が私たちに気付き、立ち止まると塹壕からヒョイと顔を出す(彼は先日、食堂にて顔を会わせた仲だ)。

 

『ごきげんよう、四郎兵衛君。今は各委員会の案内をしてもらっているんですよ』

「おーッ!そうだッたんですね!ようこそ体育委員会へ」と、嬉々とした様子で彼は塹壕から這い上がってくる。私は続けて、

『ーーと言っても、体育委員会の説明はされなくても見ればわかるんですけどね』

「はい!この委員会に説明はありません!」

 

 なんたッて!と四郎兵衛が続けようとしたところで、それを遮るように鬼の速さで2周目を終えてきた七松が四郎兵衛を吹っ飛ばし、セリフを奪うようにこう続けた。

 

「なんたッて!私は細かいことを気にしない!だから体育委員会に説明はないぞ!」

 

 ーーと彼は言い切った。

 

 細かいことは気にしないと七松が言ったので、体育委員会の説明はない。それからというものの、時間が時間だったので、私たちは体育委員会の皆と共に帰路に着いた。(しかし、道中「鍛錬で体が汚れたから風呂に入る」と言うので、彼らとは途中で別れたのだがね)その際、一年の皆本金吾と、三年の次屋三之助……(これが浦風を吹っ飛ばした犯人とその塹壕を掘った本人)、二人は私を見ては元気よく「体育委員会に入ったら一緒に塹壕を掘りましょう!」と輝かしいまでに訴えかけてきた。

 それから、四年い組の平滝夜叉丸とはお初だったため、軽く自己紹介をすると、こちらからも「五年生の貴方が入ってくれたら体育委員会は、一年から六年までがちょうど揃う!是非に!」と勧誘を受けた。

元気は良いが、あまり入りたくはないというのが本音だった。

 ーー話を戻そうか。思いの外、一日があっという間に過ぎて行き、全部の委員会を案内でかなかったことを不甲斐なく思う二人だった。然し、それでも引き受けてくれたのだから結構な話だ。

 私は一言、『締めくくりましょうか』と言い立ち止まると、二人は顔をあげた。私はそれぞれ目を見て微笑みかけると、二人は自然と笑みが浮かび上がり、それから、背筋をピンと伸ばし口を揃えて「そうしましょう!」と私に向き直る。ーーそうだ!最後までそうしていよう。私は嬉しく思う。

 

『本日はお世話になりました。お二人がとても丁寧に案内してくださったおかげで、委員会をよく知ることができました。またよろしくお願いします』私は頭を下げる。

「こちらこそ、いい経験になりました!一緒に回っていて、藤ノ木さんはとても頼りになるなぁと思いました!また、よろしくお願いします!」

と、庄左ヱ門。

 

「僕も!いい経験になりました!もっと頼ってもらえるような学級委員長になりたいので、藤ノ木さんの様な丁寧さをもっと見習いたいです!また、よろしくお願いします!」

 

 そして、彦四郎と二人は頭を下げて、本日の学級委員長委員会の委員会活動を二人も終える。そうして気が抜けたのか、庄左ヱ門が「ふぅ」とホッとしたように胸を撫で下ろす。三人とも、何故かそれがおかしくって笑ってしまったのだ。「いやァ、わかるよ。緊張したね庄左ヱ門」と彦四郎が言う。

 私たち三人は今日一日で随分と仲良くなっていた。両手に小さな温もりを感じながら、私は食堂へと歩みを進めるのだった。

 

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