虚飾の権能を持ってTS転生した上で英霊として召喚されましたが、マスターが可愛いので満足です 作:プラチナムウィッチ
「ドイツから参りました、プラティナ・ブルーホワイトと申します。皆さん、仲良くしてくださると嬉しいです」
「慣れない土地で困る事もあるだろう。皆、何かあれば手を貸すように」
「ええ。助かります、葛木先生」
凛と一緒に登校して、ひとまず最初に遭遇した先生の認識を書き換えた。この穂群原学園にプラティナ・ブルーホワイトという留学生が来るというように。その最初に遭遇した先生というのが、凛の担任でもあった葛木先生だった。
メガネをかけた、身長の高い男性だ。とりあえず葛木先生の認識を書き換えて、そのままの流れで職員室まで案内してもらい、職員室に着いたらその場にいた他の教師の認識もまとめて書き換えた。
せっかくなので凛と同じ2年A組に配属してもらって、今は初めましての挨拶をした。
「日本語上手だね!」
「ドイツのどの辺りから来たの?」
「ドイツの、そうですね……上の方(?)から来ました」
「ドイツ語ってどんな感じなの?」
「ええと……グーテルモーゲン」
「すごーい!」
留学生という珍しい存在だからか、あっという間に取り囲まれたが、なんとか乗り切った。
留学生といえばもちろん勉強をするために来ている訳で、授業中に居眠りなんてする訳にはいかない。まぁ、それに関してはサーヴァントには元々睡眠は必要ないという事で、意図的に眠ろうとしない限り眠くもならなかったので問題なかったが。サーヴァントの身体様々である。
授業の内容がちゃんと理解出来ていたかという話にはノータッチでお願いしたい。
さて、昼休みである。
生徒たちは弁当を持ってくるか、購買で買うか、学食で済ませるか。各々の昼食の摂り方をするものの、一つ問題があった。
そう、弁当は持ってきていないし、購買や学食に必要なお金も持っていないのである。
「凛。昼食ですが……」
「遠坂さんならさっき教室出ていったよ?」
「…………」
嘘でしょ……普通置いていく?
昼ごはんは? 俺の昼ごはんは?
「どうしたの、ブルーホワイトさん?」
ショックを受けている様子を見兼ねたのか、他の生徒たちが話しかけてきた。
「実は、困った事がありまして。お弁当は持ってきていないのですが、お金も忘れてしまいまして」
「えっ、じゃあ私が出すよ!」
「私が!」
「オレが出すって!」
おっと、すごい事になってきたぞ。
◆
ふー、満腹満腹。
たぶん前世の身体だと胃が破裂してるね、これは。
「すごい、ブルーホワイトさん。ドイツの人ってみんなそんなに食べるの?」
「ええ。私の周りの方々は皆そうでした(適当)」
色んな生徒がパンとかラーメンとかカレーライスとか、とにかくいっぱい奢ってくれた。
パンドラが絶世の美少女だからって、みんなして貢ぎすぎ。
凛がどこにいるかも分からないし。頑張って繋がってるパスを感じてみると、上? 屋上とかにいるのかな? ちょっとひどくないですかね。
「ごちそうさまでした。日本の食事は良いものですね。堪能させていただきました」
なんかもう取り巻きみたいな感じになっている生徒たちを撒きつつ、屋上へ向かった。
この学校は屋上に上がっても良いのか、と改めて思ったり。前世で通っていた学校は小・中・高と全て屋上は閉鎖されていて自由には入れないようになっていたから新鮮な気分だ。
とはいえ、放置されたのは事実。
「凛、私は傷付きました。せっかく同じ学校に通う事になったのですから、昼休みには共に昼食を……」
文句の一つでも言ってやろうと、凛の方を見ると、その隣には衛宮士郎がいた。
「なっ!? アーチャー!? なんで制服……!?」
「ああ……そういえば同じ学校に通っていたのでしたか」
「一緒に学校に通うって、どうしてもって聞かなかったのよ」
「いやいやいや……! 通うって、サーヴァントだろ!? どうやって!?」
「考えるだけ無駄よ。衛宮くんもバーサーカーと戦った時に見たでしょ? 常識とか通じないのよ」
衛宮士郎と二人で屋上?
ちょっと、それはないんじゃないかなぁ?
「私の事は放って逢瀬ですか? とても傷付きました。冗談ではなく」
「お、怒ってる……?」
「いいえ。怒ってなどいませんよ。ただ、傷付いたというだけで」
「衛宮くんが話があるとか言うから、ね?」
「さらに私の傷を抉ろうとは、随分と残酷な事をしますね」
「ご、ごめんね……?」
なんか元から衛宮士郎の家の場所とか知ってたし。
「……二人はどのような話を? 男女のあれこれと言うなら、凛の記憶から衛宮士郎の存在は消しますが」
「そ、そんなんじゃないわよ……聖杯戦争の話よ、聖杯戦争の話。衛宮くんが使い魔を見たらしいわ。たぶんキャスターね」
「今は乗せられておきますが、人付き合いはよく考えて行うものですよ」
思いっきり話を逸らされたが、今は逸らされるがままになってあげよう。ただし、要・監視です。
ただの友達ならまだ良いが、男女の付き合いとかそういう話になりそうだったら抹消するが。衛宮士郎を凛の記憶から。
記憶から消すだけで済ませるだけありがたいと思ってほしい。
「ま、情報提供は感謝しておくわ、衛宮くん。でも、わたしも敵マスターの情報を渡したから貸し借りはなしよ」
と、強引に話を終わらせたように見える凛が俺の腕を掴んで、校舎の中に戻っていった。
「アンタ、衛宮くん嫌いなの?」
「いえ、個人的に衛宮士郎に対して好きや嫌いはありません。ただ、凛との関係に関しては話が別です。あなたが仮にも衛宮士郎と付き合っているなどという話になれば……」
「分かった、分かったから……今のところそんな予定はないけど、わたしは聖杯戦争の間は男の子と遊んだりしない方が良いって事ね」
「理解が早くて助かります。あなたは私の魂の伴侶なのですから、浮気はいけませんよ。ちなみにですが、私は聖杯戦争が終わっても退去するつもりはありませんので、そのつもりでいてください」
「もう好きにして……」
◆
放課後。
凛は個人的にやる事? 調べ物? があるとかで、先に帰宅した。学校に残った俺はというと、せっかくなので部活動に顔を出してみようとしている訳である。
何か手続き的なものが必要かもしれないので、一旦職員室に向かう。
こういうのは担任の先生かと、葛木先生を探して職員室に行ってみたら、社会科準備室にいるらしい。
さて、社会科準備室とはどこにあるのやら。留学生美少女バフでさっきまでは周囲にいっぱい生徒がいたが、職員室に向かうところでいなくなっていった。みんな職員室嫌い?
適当に歩いたものの、やっぱり分からなかったので、その辺の生徒を捕まえて案内してもらった。
ノックをして、中に入る。
「葛木先生。今、お時間よろしいですか?」
返事はない。
まさかこの美少女からの声を無視するなんてあり得ないので、単純に聞こえていないか、寝ているか、イヤホンをしているか。
この声を聞き逃すなんて勿体ない。
なんて考えながら中へ歩みを進めると、葛木先生の姿が見えてくる。
机に伏せるような姿。これは寝ていたな? まだ業務時間内だろうにけしからん。可愛い女の子なら耳元で囁いて起こしてあげるが、中年男性には興味はないので肩を揺すって起こす事にしよう。
「葛木先生、起きてください」
肩を揺らす。
しかし、起きる気配がない。
「葛木先生」
強引に身体を起こさせる。
すると首が据わっていない赤子のように、葛木先生の頭が後ろに倒れた。
「……あの?」
ただ寝ているだけ……ではない。
息をしていない。
「…………」
いやいやいや。
まさかそんな事……。
「…………」
あっ、これ死んでますね……。
どうしよう……救急車? 119番? 死んでるんだから警察? いや、でも、警察呼んだら第一発見者とかで事情聞かれそう。
ただ部活に顔を出したかっただけなのに、どうしてこうなった……。
脳梗塞? 心臓麻痺?
何でも良いけど、ここで死なれるのはちょっと困るな。
仕方ない。生き返ってもらおう。
「葛木先生。今、お時間よろしいですか?」
「……馬鹿な。私は魔術の呪いで……」
なんか魔術とか言ってますよ、この人。もしかしてマスターだったりするのだろうか。
「ブルーホワイトか。何をした?」
「一体何の事でしょう? 私はただ、葛木先生にお声がけしただけですよ」
こっちの事疑ってるっぽい。うーん、直前の記憶も消しといた方が良いかな。
「いや……すまない。詮索は良くないな。ありがとう。助かった」
あ、なんか解決したっぽい。
「ところで、何か用があったのだったな」
「ええ。実は部活動を体験したいと思いまして。何か手続きがあればと」
「体験入部であれば手続きは必要ない。正式に入部するとなってから報告してくれれば、それで構わない」
「そうでしたか。お時間を取らせました」
まぁ、仮にマスターだったとしても今は真っ昼間だし、後で考えよう。魔術にやられたとしたら、他にもマスターがいる可能性があるが、そういえば間桐慎二もこの学校の生徒だと言っていたような気がするので、昨夜のような襲撃を葛木先生に仕掛けたのかもしれない。
物騒な話である。
さて、と。
弓道部に顔を出しに行こうかな。
◆
弓道部である程度遊ばせてもらって、その後屋敷へと帰った。
弓道部では美綴さんに手取り足取り教えてもらった。弓の持ち方とか引き方とかを教えてもらう時に結構密着したりしたし、ちょっと興奮した。
なんかこう、道着を着ている女の子も良いよね。
留学生だから珍しいというのもあるだろうし、この身体が超絶美少女だというのもあるだろう。それはもうチヤホヤしてもらって大変気持ちが良かった。
「ただいま戻りました」
「おかえり。どこの部活動に行ってたの?」
「弓道部の体験に。昨夜会った彼女に手取り足取り教えていただきました」
「弓道部ね……それで、どうだったの?」
「初めてにしてはよく出来ているとお墨付きをいただきました」
「楽しそうで何よりだわ」
屋敷に戻ると、広間で凛とイリヤスフィールが出迎えてくれた。
「運動をしたので喉が渇いてしました」
「…………」
メイド服姿で制服のままの凛と何か話していたであろうイリヤスフィールに眼差しを向ける。
「運動をしたので喉が渇いてしまいました」
「……分かったわよ」
どうやら一度目はちゃんと聞こえていなかったらしい。イリヤスフィールは渋々といった様子を隠そうともせずに台所の方へ向かった。
「イリヤスフィールとは何を話していたのですか?」
「衛宮くんが言ってたでしょ? 使い魔を見たって。キャスターだと思うけど、その潜伏場所をね。イリヤスフィールが知ってればと思って」
「なるほど。イリヤスフィールは知っていたのですか?」
「予想だけど、柳洞寺よ。わたしの意見とも一致しているわ」
「なるほど?」
その柳洞寺というのがどこにあるのかは知らないが、凛が言うならそうなのだろう。
「そのキャスターをどうするつもりなのですか?」
「当然、倒すわ。どの道聖杯戦争の相手だもの」
「そうですね。キャスターがマスターと共にいるサーヴァントであれば良いのですが」
バーサーカー戦やライダー戦のように、サーヴァントのすぐ近くにマスターがいたら、こっちとしてはかなりやりやすい。サーヴァントの強さに関わらずマスターを自滅させれば良いだけなのだから。
逆に言えば、サーヴァント単体でいるような相手はやりづらい。ランサーがそうだった。
まぁ、最悪サーヴァント自体を洗脳して駒にしてしまえば良いと思うが。
「今夜、柳洞寺に行くわよ」
「ええ。分かりました」
という事で方針が決まったので、イリヤスフィールがお茶でも持ってきてくれるのを待つ。
「……紅茶」
「ありがとうございます。ではイリヤスフィールもこちらに」
紅茶を持ってきてくれたので、何人か座れるタイプのソファーで隣の部分をトントンと軽く叩いてみる。
「…………」
「遠慮しなくても良いのですよ」
「……別に」
「遠慮しなくても良いのですよ」
「…………」
メイドだからといって、身分がどうのこうのなどと言うつもりはない。仕事はしてほしいが、なんなら日中とか一人の時はゴロゴロしながら漫画読んでても良いし。
立場的には俺はご主人とはいえ、一緒にソファーに座るぐらい気軽にしてほしいところだ。
渋々といった様子で隣に腰を下ろしたイリヤスフィールの頭に手を乗せる。
「……ッ」
ビクッと身体を硬直させるイリヤスフィール。
もっと犬とかみたいにすり寄ってくるような感じでも良いんだけどなー。後で調整してみようかな。
「ああ、そういえば。葛木先生はどうやら魔術について知っている様子でした。マスターかもしれません」
「そういう事は早く言いなさい……!」
◆
少し時間は経過して夜。
「いい? 少しでも何か情報を手に入れたら、いるいらないは自分で判断せずにすぐわたしに言うこと。葛木先生を殺しかけたっていう相手だって、間桐くんかどうかなんて分からないじゃない。仮に葛木先生がマスターだったとして、それが理由で敵対したとしてもわたしたちと戦った時とは全然状況が違うみたいだし」
「はい……」
「そんな外見から分からないような殺し方なら、ライダーじゃなくてアサシン、それこそ魔術ならキャスターって線も考えられるわ」
「はい……」
「衛宮くんに間桐くん、わたし。あの学校に一体何人潜んでるのって感じだけれど、いるものは仕方ないわ。そもそも結界を張った犯人も分かっていないし、ランサーだっていたのよね。とにかく、何かあったらすぐにわたしに言うこと」
「はい……」
柳洞寺へ向かう道中、お小言を貰っていた。
いやね? 確かに報連相は大事だよね? 今なんて聖杯戦争、文字通り戦争中な訳でね? 分かる、分かる。情報大事。
でもほら、多少何かあっても権能で何とか出来るし? そんなに神経質にならなくても良いっていうか?
「ここを登った先が柳洞寺よ」
「長そうな階段ですね。足は疲れていませんか? よろしければ、背負って登りますよ」
「せっかくだけど遠慮しておくわ。急に襲われたら対応しづらいでしょ?」
「いえ、正直に言うと変わらないと思います」
「これぐらい歩くわよ」
ただのくっつきたい言い訳だが、あえなく断られてしまったので、二人で歩いて階段を登っていく。
「結界が張られてるわ。キャスターのお城で間違いないわね」
「さすがです」
そうして頂上が見えてきた時。
爆発音と共に数え切れないほどの黒いニョロニョロとした触手みたいなものが空へ向かって伸びたのが見えた。
「……!! 急ぐわよ!」
走り始めた凛の横に並ぶ。
爆発音が戦闘の音だとしたら、キャスターと他のサーヴァントがたたかっているのだろうか。だとしたら、漁夫の利が得られそうだ。
頂上まで登ってみると、そこには葛木先生といかにも魔女みたいな格好をしたサーヴァント、そして黒いニョロニョロがいた。立ち位置的に葛木先生と推定キャスターが仲間、そしてこの二人VS黒ニョロニョロといったところだろうか。
「キャスターの使い魔かと思いましたが、どうやら違ったようですね」
「そうね……しかも、アレは明らかに普通じゃない」
もう勝手にキャスターという事にしておくが、キャスターの放ったビームみたいな魔術を黒ニョロニョロは全く意に介した様子はない。というか、あのニョロニョロしたやつはどこから伸びてきてるんだろうか。森の方?
「あの禍々しい気配。放っておいたらダメなタイプの……」
「決着がつくのを待ちますか? それとも、どちらかに加勢しましょうか?」
まぁ、魔術に詳しくない俺でも明らかにヤバそうな気配は分かる。不気味というかなんというか。
「……キャスターに加勢するわ。後の事は、後で考えましょう」
「ええ、分かりました」
そう凛が決断した直後、無謀にもキャスターを庇おうとした葛木先生が黒ニョロニョロに腹を貫かれた。
「宗一郎様──!!」
恐らく葛木先生がキャスターのマスターだったのだろう。
マスターがやられてしまえば、キャスターは消滅を待つ身となってしまう。こっちが何もしなければ。
「どのような状況なのかは分かりませんが、微力ながら加勢しましょう」
そうして、葛木先生が腹を貫かれた事を権能でなかった事にしつつ、キャスターの方へと語りかけた。
○パンドラ
学校ではかなりテキトーな事を言っている。半分以上出任せ。
凛に対して浮気云々と言っているが、そもそも自分が既にイリヤを囲っているし、美綴にも唾を付けようとしているのでブーメランどころではない。
○遠坂凛
「決着がつくのを待ちますか?それとも、どちらかに加勢しましょうか?」
→キャスターに加勢する
黒い影に加勢する
決着がつくまで静観する
下二つを選ぶと10日後ぐらいに士郎がBad Endに。