願いの物語シリーズ【河合風香】 作:とーふ@毎日なんか書いてる
誰も彼もが啞然としている間に、あれよあれよと話は進んで、気が付けば師匠と有川さんの賭けに立花君の将来が掛かってしまっていた!!
いや、なんでやねーん!!
って、ふざけている場合じゃない。どうすればーどうすればー!
「わ、わたしの為に、争わないで!」
「……河合」
「あははははは!! 風香ちゃんは本当に面白いなぁ」
『ふざけてる場合じゃねぇんだぞ!!』
『お前のせいだろ!! 何とかしろ河合!!』
『心底呆れてる立花見たのは初めてかもしれん』
しょうがないだろ!! こんな状況になったの生まれて初めてなんだから、何言ったら良いか分からないんだよ!!
あーもー! 誰か助けてぇ!!
「何やら面白い話をしていますわね」
おぉ! 誰だか知らんが、助けてくれちょ!
「あっ、申し訳ございません。少し固まっておりました。先に映してしまいましたが、最後の参加者の紹介です! 多数のチェーン店をオープンし、自身も凄腕料理人として有名な佐野洋子さんです!!」
「どうも。私抜きでお話が盛り上がってましたから。このまま放置されているのかと思いましたわ。ですが、お陰で面白い話が聞けました。立花さん。河合さん。私が有川さんや鳴村さんより素晴らしい料理を提供出来たらウチで働いてくださいな」
なんやこのババァ!
いや、お前は誰やねん。
勝てるつもりなのか。師匠や有川さんに?
本気で……?
「こ、これは大変な事になってまいりました! 河合さん。今のお気持ちをどうぞ」
「え? いや、その、帰って寝たいです」
「あはははは!!」
「オホホ。面白い子」
『河合ィ! ふざけてる場合か!』
『もう駄目だこの子』
『お前の出す結果次第だと立花すら表舞台から消えるんだぞ!!』
分かってるけど! わかってるけどぉ!!
あー! もう今すぐ外に飛び出して行って、東口の伝言板にXYZって書きに行きたいくらいなんだよぉ!
「どうかしら。立花さん。河合さん?」
「そうですね」
お、おぉ! コイツ、動くぞ。魅せてくれるのか!?
やってみせろよ!
なんとでもなるはずだ!
立花君だとォ!???
「私としては、どの道この様な賭け事は好きじゃ無いんですよ。だからどうかと言われても、頷ける訳が無いですね」
おぉー!! やったー! 言ったー!! すごいぞー! かっこいいぞー!
この光佑君凄いよぉー!! 流石陽菜ちゃんのお兄さん!! ここまでの話は全て無意味だと言っているんだ。分かっているのか! オバー・サーン!
「そうだね。本人を抜きにして話をするなんて、私もどうかしてるなって思うよ」
ん? どうしたアイドル。お前はお呼びじゃ無いぞ。
「何が言いたいのかしら」
「人の気持ちを無視するなって言いたいのさ。やるなら本人のやる気も引き出さなきゃ。ね? 立花君。河合さん」
ヤメロー! シニタクナーイ!
そこから先の言葉が嫌な予感しかしないぞ!
「私の知る限り、立花君も河合さんも人を喜ばせる事を大事に想っている人だ。だからさ。もし、私が二人にとって美味しいって思える料理を作れたら、私たちと一緒にお店をやらない? 勿論。陽菜ちゃんやひかり。それに美月も誘ってさ! アハッ、どうかな!」
笑うなーっ!!!
おまっ、状況を考えろ!!
確かに面白そうな誘いだけど!! 今じゃないよね!? ここで言う事じゃないよね!?
『とんでもない爆弾が不意に投下されましたー』
『敵の潜水艦を発見!』
『駄目だ!』
『駄目だ!』
『トラトラトラァ!!』
『了解了解了解!』
「加藤さん……」
「あはは。別に今思いついた訳じゃないんだよ。ほら、前にヒナちゃんねるで話してたでしょ? 喫茶店の話。私も面白いなーって思ってさ。そのアイディアに乗っかろうかなって思ったんだ。私たちも永遠にアイドル出来る訳じゃないしね。それでも出来る限りファンのみんなには応えたいんだ。だからさ。どうかなって」
良い話や……。
なんちゅう、なんちゅう話を聞かせてくれるんや。加藤はんの話に比べたら謎のオバサンの話はカスや!
「わ、私! 加藤さんがお店開いたら行きます!」
「さくらちゃん。嬉しいよ」
「うっ、あり、がどうございます」
アイドルの何とかって人が謎の前向き発言をし、それに芸人も続いてゆく。
いや、だから参加するって言ってないじゃん。話聞いてる?
『しかし実際ハチャメチャ強いのは確か』
『スターレイン+陽菜ちゃん+立花+河合。無敵の布陣か?』
『しかも状況により秋菜ちゃんとかも参加してくるぞ』
『佳織ちゃんが羨ましそうにこちらを見ている』
『こい!!!!』
『陽菜ちゃんの関係者全員集めれば良いじゃん?』
『なるほど大野、佐々木』
『通うわ。むしろ住むわ』
盛り上がってんねぇ!!
どうにかしてくれ、立花くん!
お前だけが頼りだ!
「俺は、嫌いじゃ無いけどね。どちらにせよ河合の意見を聞くべきじゃないかな?」
「それもそうだ。河合さん。どうかな?」
『ほれ、聞かれてんぞ』
『いい加減何か言え』
うっ、なんか、何か言わなくては! 何か! 何かー!!
「……戦いこそが、人間の可能性なのかもしれません。でも、やめましょうよぉ。命がもっだいない!!」
「河合。ふざけてないで」
「うっ」
『ホンマこの女』
『真面目という言葉を頭にねじ込んできてくれよ。誰か』
「はぁ……じゃあ真面目に話しますけど。師匠と有川さんの賭けは知ってます。立花君の介入のお陰で、考える時間も貰えたから、そこで考えます。でも他!! 他は知らん!! 私関係ないから他所でやって!! 以上!!」
私は言うだけ言って、座席に勢いよく座った。
腕を組んで、私はもう知らんぞというポーズで口をキュッと閉じる。
『まぁ、それはそう』
『よくよく考えると、有川の話までだもんな。真面目な所って』
『変なオバサンが介入してきておかしくなった』
『まぁでも、とりあえずこれで落ち着いたし、いよいよ始まるかな?』
『そうね。待ちわびたわ』
コメントも大分待たされている様だ。
それを察したのか、司会者が会場を見渡して口を開く。
「では皆さん。そろそろお時間もおしてまいりましたので、調理開始とゆきますがよろしいでしょうか?」
そして、司会者の言葉に皆頷き、いよいよ調理開始となった。
やたらと金の掛かっているこの番組ではそれぞれの手元が見えない様に大きな壁が床から生えて来て、視界を遮る。
いや、見えたところで勝負にもならない面子だと思うんだけど?
もう順位すら決まってるでしょ!? これ!
『さて、これからいったいどうなる事やら』
『うおっ、今気づいたけど視聴者数とんでもない事になってるな』
『便乗して配信実況とかやる奴も増えてきたし。これからどんどん増えていくんじゃねぇかな』
『みんなそれだけ河合風香の事が気になるって事かぁ』
『いや、それはどうかな?』
『気になる人が多いってのは分かるけど、それだけじゃねぇだろうよ』
『スターレインの喫茶店の話とかもあったしな』
『むしろ立花がどうなるのか気になっている人も多そう』
『それはそう』
『まぁ何にせよ注目度の高い番組になった事は確かだろうぜ』
どいつもこいつも他人事だと思って好き勝手書いてるな。
ロクなモンじゃないよ。