ダンジョンに才能を求めるのは間違っているだろうか?   作:なつきのぞ

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スマホで手動入力が苦手で書くのがかなり遅いので間隔が空いてしまいます。
夏は頑張って書き続けたいと思ってます。


想い

 

結局、私はその日リアンと会うことは出来なかった。その次の日もリアンは

ファミリアに帰って来ず、次に会えたのは暗黒期が終結した後だった。

 

 

リアンはファミリアに帰ってきた。 圧倒的な力を付けて、

 

 

私達は何処に行くにも一緒だった。ダンジョンに行くのも、じゃが丸君を買いに行くのも、リヴェリアに怒られるのだってリアンは近くにいた。

 

だけど戻ってきたリアンは私の近くにいない。...いや、ロキファミリアの誰の傍にもいない。

リヴェリアも、フィンもガレスもその事を気にしていない。

 

私は思い切ってリヴェリアに問い詰めた。

「リヴェリア、リアンは何で帰ってきてから変わったの?リヴェリア達は、私に何を隠してるの!?」

 

……でも、帰ってきた言葉は

「...すまない。今のアイズには言えない。ただ、私達の責任もある。そしてリアンは今でもアイズを大切に思ってる筈だ、アイズはリアンを信じていて欲しい。」

 

「…わかった。」

肝心な事は教えてくれない。

 

でも、時間は過ぎていく。

 

 

 

─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬─‬

 

ダンジョン49階層

 

ロキファミリアはまだ見ぬ未踏の地へ進むべく、大荒野で戦いを繰り広げていた。

 

対するはフォモールの郡勢、ロキファミリアはフィンの指示の元、戦慄を奏でていた。

しかし、フォモールの怪力によって振るわれる棍棒は前衛の盾役を守りを今にも破壊しようとしている。

そうすれば陣形は崩れ、犠牲者も出るだろう。

 

「フィン、私が出るよ」

 

「助かるよリアン、...前衛は後ろに下がれ!陣形を保ったまま後退するんだ!」

 

リアンが後方から前衛の前に飛び入る。

しかしフォモールはリアンに向かって飛びかかる。

リアンが襲いかかるフォモールに向かって腕を横に薙げば、大きな棘のように地面が変形し、棘から更に枝分かれしていき周辺のフォモールの体ごと突き刺していく。

突然の攻撃にフォモール達が手に持つ棍棒を盾にしようとするも、容易く貫かれた。

 

 

 

リアンの最たる武器は精神力や魔力を消費しない事である。

故にリアンは戦闘不能にさえならなければいつまでも戦い続ける事が可能だ。

さらに、リアンの術の効果範囲は無限に等しい。加えてリアンは⬛︎⬛︎⬛︎から受けるものしか攻撃に値しない。

正に絶対的なロキファミリア、いや、オラリオにおける主力となっていた。

 

ただしリアンの持つ力は全て彼女自身を強める物であり、治癒や回復と言った物は無く、一人での戦闘こそが最も力を発揮出来る物だ。

そして彼女の圧倒的に飛び抜けた力はフィンの中でも扱いずらい物に当たる。

彼女一人に頼ってしまっては後継が育たない。しかし、リアンと言う壁は新人達にとって劇薬である。

憧れ、目標として掲げる者もいれば、絶望し、志を折ってしまう事も多々ある。しかもそれは新人だけに留まらなかった。

ロキファミリアに長年所属していた冒険者も、数年で都市最強まで駆け上がって行った彼女を見て、自らの限界を悟り引退してしまうケースもある。

そう、長年冒険者をして、見てきたからこそわかる。

……コレは無理だ。決して越えられるようなモノじゃない。……と。

 

だからこそフィンは遠征においても、被害が拡大しそうな時にしか彼女を使わない。

 

 

今、リヴェリアの魔法の詠唱が完了するまでもうあと僅か。

彼女を出すならこのタイミングしかない。

 

 

そうしてリヴェリアの詠唱が完了し、フォモール達は火の海に沈んで行き、

リアンがリヴェリアの魔法で仕留め切れなかったフォモールを狩り、やがてフォモールは居なくなっていた。

 

「フィン、この階層は湧き潰ししていいんだよね?」

 

「ああ、助かるよ。」

 

リアンは万象儀で床、壁、天井までを全て覆い尽くし自らの支配領域を作り上げた。

そして、

 

「フィン、ごめん」

 

フィンに近づきその頬に指で切り傷を作る。

遠くでアマゾネスが一人騒いでいるが、初めてでないのか二人共気に止めていなかった。

 

 

 

 

ダンジョン50階層

 

ロキファミリアの遠征隊はテントを張り、安全階層で休息を取っていた。

 

「皆さんお疲れ様さまでした。」

山吹色のエルフ、レフィーヤは双子のアマゾネスと先程の戦いについて話していた。

 

「ありがと!でもレフィーヤこそバンバン魔法撃ってたじゃん!」

 

「いや、でもティオネさんやティオナさん程じゃないですよ。」

 

「全く、あんたはリヴェリアの後釜にもなるんだし謙遜ばっかしてないで自信持ちなさいよね。

それにしても...リアンったらまた団長の顔に傷をつけて、万が一傷が残ったらどうしてくれんのよ!」

 

「は、はい。...アハハ」

 

ティオナがレフィーヤに愚痴っている間、ティオナがこの場にいない仲間の居場所をキョロキョロと探している。

「そういえばアイズは何処に居るの?」

 

「アイズなら本部テントでフィン達に説教されてんぞ」

 

「うげっ!ベート...」

ティオナの疑問に答えたのは双子のアマゾネスと同じくLv5の冒険者ベート。

「あぁん!?何か文句あんのか馬鹿ゾネスが!」

 

「うっさいわね!」

 

「み、皆さん落ち着いて…」

 

 

 

 

一方ロキファミリアの本部テントでは、

 

「それで、今回の命令違反はどういう事なんだい?アイズ、」

ロキファミリア団長のフィンの前に正座しているのは、Lv5のアイズだった。

 

「………」

アイズは下を向いたまま返事をしない。

そんな彼女にフィンはため息をついてこういった。

 

「今回はアイズが抜けた穴にリアンが入ってくれたから何とか陣形を保てた。アイズ、窮屈かい?、今の立場は、」

 

「ううん、ごめんなさい。」

 

「……君がリアンの事で焦ってるのは分かる。アイズのリアンに追いつきたい気持ちを僕たちは理解っているつもりだ。僕たちはそんなアイズを止めようとは思ってない。ただ、状況を考慮して欲しいんだ。それに、リアンに迷惑をかけて嫌われたくないだろう?なんせアイズはリアンのことが─‬─‬」

 

フィンがここまで言いかけると、アイズの肩がビクッと跳ねる。

まるで子供が親に隠していた秘密を言い当てられる様に、

 

「図星かな?」

 

アイズは赤面しつつ、傍にいるリヴェリアやガレスまでウンウンと頷いているのを見て、今にも逃げ出しそうになっていた。

 

「済まなかったね、大丈夫。誰かに言うつもりは無いよ。リアンにもね。

それに、追いつきたいって気持ちは僕も同じだ。

確かにリアンは遠い所に行ってしまったよ。アイズだけじゃなくて僕たちからしてもね。

それに、アイズはリアンが最近フレイヤファミリアと交流を持っている事に焦っているね?」

 

「は、はい...」

 

「でもそれについては大丈夫だよ。リアンはフレイヤファミリアに行こうとしてる訳じゃない。そう焦らなくていい。」

 

「...分かった。今度から気をつけます、」

そうしてしょんぼりしたり、恥ずかしがっているアイズを見たリヴェリアとガレスは、

 

「まぁ、今回は詠唱に手間取った私の責任もある。」

 

「儂もモンスターを何体か取りこぼしてしまったのもあるからのぅ、」

 

 

そんな二人を見てフィンはフッと笑い、テントの中は柔らかな空気に変わった。

(全く、相変わらず親バカだなぁ、)

 

「じゃあアイズ、今回は単独行動については大目に見るけど次からは気をつけるんだよ、」

 

「うん、」

 

「……リヴェリア、リアンは何処にいるかわかる?」

 

「キャンプの周辺を警備している筈だ。...そうだな、ご飯を持って行ってやってくれ。」

 

「……うんっ!」

 

親子の様な二人の姿を微笑みながら見つめるフィンの頬には、未だ切り傷が付いていた。

 

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