NPD親愛度MAXのダイバー   作:クレナイハルハ

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ビギニング:デイ

ガンプラバトルがネット上での遊びとなり、人々の日常へと溶け込んで数年。

ダイバーと呼ばれるプレイヤー達は、自ら組み上げたガンプラをスキャンし、電脳世界《GBN》へダイブする。

そこには広大なフィールドが広がり、仲間と共にクエストへ挑み、強敵と戦い、チームを組んで大会へ出場する。

時には知らない誰かと出会い、時にはライバルと競い合う。

現実では味わえない、もう一つの世界。

それが──ガンプラバトル・ネクサスオンライン。

 

略して、GBNである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響く。

教師が教室を出ていくと、クラスメイト達が次々と席を立ち友人と会話を始める。

 

「マジ眠かったわ~」

 

「それなぁ……まじ歴史の授業ってなんでこんな眠くなるわけ?」

 

「帰りにカフェ寄ろ!今日発売の新作飲みたいんだよね!」

 

「オッケー!」

 

「腹減ったわ、帰りにあそこ寄ろうぜ!おまえのおごりな!」

 

「何でだよwおまえがおごれや!前にソフトクリーム奢っただろ!」

 

「なぁなぁ!昨日のレイドボス勝てた?」

 

「ギリギリ!あれ野良じゃ無理だろ!」

 

「うちのチームのリーダーがさ、作戦立ててくれて何とか勝てたんだよ!」

 

「いいなぁ、俺も今度混ぜてくれよ!」

 

「もちろん!今日もログインするぞ!」

 

「おっしゃ!じゃあ新しく完成したガンプラ試すわ!」

 

「あ、そうだ。次のフォース対抗戦のメンバー足りないんだけど来れる?」

 

「行く行く!」

 

「やっぱフルパーティの方が楽しいよな!」

 

笑い声が教室に広がる。

ガンプラの改造。 新しいミッション。 昨夜の対戦。 今日のログイン予定。

GBNは、彼らにとって学校生活の延長だった。

友人達とGBNの話で盛り上がる者。 帰り道の予定を決める者。 今日のログイン時間を約束する者。

様々な声が飛び交う中、僕──九重鎖理(ココノエ クサリ)は教科書をリュックへしまい、一人教室を後にした。

高校生になっても、中学生の頃と何も変わらない。

一緒に帰る友人も、「また明日」と言い合う相手もいない。

誰とも話さず、リュックを背負って教室を後にする。

「鎖理、お前も来る?」

そんな言葉は、もちろん僕には掛からない。

いや、正確には違う。

最初から、誰も僕を誘おうとはしなかった。

昔から、人付き合いが苦手だった。

幼稚園の頃の出来事がきっかけで、人の輪へ入ることが怖くなった。

話しかけたい。 でも声が出ない。 気付けば一人でいることが当たり前になっていた。

母さんは、そんな僕を理解できなかった。

『どうして友達を作らないの?』

『もっと普通にしなさい』

何度もそう言われた。

最初は心配してくれていたんだと思う。

でも、その言葉は少しずつ責めるようなものへ変わっていった。

父さんはいつも僕の味方だった。

『鎖理は鎖理のペースでいい』

そう言って頭を撫でてくれた。

二人の考え方は最後まで噛み合わず、僕が小学生の頃、両親は離婚した。

それ以来、僕は父さんと二人で暮らしている。

父さんの趣味はガンプラだった。

ガンダムのプラモデルを組むこと、小さい頃から休日になると模型店へ連れて行ってくれた。

 

「好きなの一つ選んでいいぞ」

 

そう言われるのが嬉しかった。

家では二人でプラモデルを組み立てる。

父さんは工具を貸してくれて、たまに墨入れやヤスリの掛け方を教えてくれた。

父さんは手先が器用で、綺麗に墨入れやヤスリ掛けをしていたけど、僕は素組が多かった。

確かに墨入れもやろうと思えば出来るけど、作るよりも作ったプラモデルを動かして遊ぶのが好きだった。

僕は気付けば、ガンダムが好きになっていた。

家の本棚には沢山のガンダムの漫画が並んでいる。

『ガンダムEXA』

『ガンダムEXA VS』

『ガンダムSEED ASTRAY』

『クロスボーンガンダムゴースト』

特に好きなのはガンダムEXAだ。

様々なガンダム世界を旅する主人公の姿に胸を躍らせた。

主人公は様々なガンダムの主人公と出会い、戦い、学び、成長していく。

様々なガンダムの世界を渡り歩く旅は、本当に面白かった。

アニメではあり得ない、夢のような漫画だった。

帰宅後、部屋でガンダムEXAを読んでいると玄関が開いた音が聞こえ玄関へ向かえば大きな紙袋を下げた父さんがいた。

 

「おかえり、父さん」

 

「鎖理、ただいま。少し早いが」

 

仕事から帰ってきた父さんが、大きな紙袋を此方へと向けて付き出した。

今見たが、紙袋の端にはガンダムベースのロゴが印刷されている。

 

「誕生日、おめでとう」

 

「ありがとう」

 

受け取った紙袋の中には一つと箱。

そこに入っていたのは、GBN家庭用のコンシューマー筐体と、ガンプラスキャナー兼IDデータ端末となる新品のダイバーギアがあった。

 

「ようやく買えたんだ、家庭用機。昔は店の筐体でGPDだったけど、今はこれでGBNを遊べるんだろ?」

 

GBNに興味がない、と言えば嘘になる。

正直に言えば興味はある、でもガンプラバトルがしたいかと言われれば答えは否だった。

GBNやGPDもそうだが、あれは素組で遊んで良いものではないと思っている。

ネットで見るダイバー達は、自分だけのオリジナルガンプラを作っている。

プラ板から装甲を作り、パーツを切り貼りし、世界に一つだけの機体を生み出している。

僕のガンプラは違う。

ほとんどが素組。

墨入れをする程度で満足してしまう。

せいぜい腕や脚を入れ替えるくらいしか出来ない。

そんな僕には到底踏み込めない場所だ。

 

「え、でもこれ高かったんじゃ……」

 

「まぁな!だけど、ここならガンダムが好きな奴も沢山いるんだろ?鎖理なら話が合う奴もきっといるさ。もしかしたら、友達もできるかもしれないだろ?」

 

受け取った紙袋の中にあるソレを見詰めたまま、考える。

ここなら、僕にも友達が出来るのかな。

正直な話、不安と心配でこの紙袋を持つ手が重い。

人と話すのはやっぱり怖い。

知らない人に声を掛けられる気もしない。

それでも、ガンダムの世界に入ってみたい。

出撃してみたい、その気持ちは本物だった。

 

「……ありがとう、父さん。まずは、遊んでみるよ」

 

部屋に戻り、紙袋を机へ置く。

棚には、これまで父さんと一緒に作ってきたガンプラが並んでいた。

腕を入れ替えたり、脚を交換したり。

素人なりに考えた簡単な改造ばかり。

それでも、どれも大切な思い出だった。

僕は、その中から一機のガンプラを手に取る。

『ビギニングガンダム30』

父さんと初めて一緒に完成させた、僕に取っての()()()のガンプラ。

そして、ガンプラビルダーの始まりを描いた主人公の愛機。

 

「ビギニング30……お前と一緒に始めたいな」

 

せっかくだし、自分に出来る改造をしてやってみようかな。

棚に飾られているガンプラを取り出していく。

使いたいシステム。

好きな機体。

好きな作品。

改造しても良いキット。

そうしていくつものガンプラから悩み、選び、ガンプラ同士での装備の装着を試していく。

形が不恰好。

手足が長すぎたり短すぎる。

武器は可能なら銃にも剣にもなるものがよい。

 

そうして気付けば、机の上には無数のパーツが広がっていた。

 

「よし……少しはそれらしくなった、かな」

 

最後のパーツを取り付け、完成した僕だけのガンプラ。

他のダイバーのような、ガンプラの改造技術はない。

プロが見れば変とか、カッコ悪いとか造り込みが甘いだとか思われるかもしれない。

世界に一つだけの完全なオリジナルと言えるほどではない、使っているパーツは、どれも既に存在するガンプラのものだ。

それでも僕が悩んで……選んで、組み合わせて完成させた。

だからこれは、間違いなく僕だけのガンプラ。

 

「機体名や設定も作り込めば、確かもっと強くなるんだっけ?」

 

ふわふわとした知識が脳内に浮かぶ。

宇宙世紀に作られたとか、そういう設定を固めるとしたらこのガンプラは恐らくは宇宙世紀よりになると思う。

ビギニングガンダム30の頭部が特徴的なその機体。

顎に手を当てて考え、そして不意にある言葉が口に出た。

 

「クロスゲージ……」

 

様々なガンプラが交差(CROSS)し、繋がり合う(ENGAGE)する事で出来た。

 

そんな、僕のガンダム。

 

「クロスゲージ、ガンダム」

 

口にした瞬間、不思議と胸の中へすっと収まる感覚があった。

 

呼びやすくて、かっこいい。

 

自画自賛になるかもしれないけど、確かにそう思った。




ビルドシリーズって最初からガンプラを遊んでいるやつらを除いて初心者でいきなりオリジナル機体ををカッコ良く作ってる奴等多くないっすか?
改めてビルドシリーズを見ていてそう思う一方。
でもカッコいいからヨシッとなる自分もいるわけで。
そんなわけで今作主人公は、あまり改造が得意ではなく改造といってもガンダムブレイカーのようなパーツ事といった感じになります。
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