現実に友人がいない人見知りの主人公。
彼はGBNでもプレイヤーのフレンドは一人もおらず、いつもNPDだけとチームを組んで遊んでいた。
だが、誰も知らないことがあった。
NPDには、プレイヤーへの『親愛度』が存在したのだ。
親愛度をMAXまで上げた唯一のダイバーとなった主人公。
その日から、NPDたちは他のダイバーには見せない表情を見せ始める――。

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クロスゲージ:ビギニング

GBN、ガンプラネクサスオンライン。

簡単に言うならば、インターネット上で自分の作ったガンプラに乗って戦うことが出来ると言うものだ。

そんなゲームにて、現在は大きな争いが巻き起こっていた。

ゲームチームビルドダイバーズとチームアヴァロン+その他のチームが参戦した大決戦。

GBNという世界から生まれた電子生命体「サラ」、彼女がいることでGBNは崩壊の危機に陥っていたのだ。

GBNの崩壊を防ぐために電子の生命体「サラ」を消去しようとする運営とタイバー達の募った有志連合側そしてこのゲームの頂点であるダイバー、チャンピオン、クジョウキョウヤの率いるAVALON。

サラを救うバグ修正プログラムを実行したいビルドダイバーズ。

多くのダイバーが敵として存在し、ビルドダイバーズ側の勝率は極めて低い、その筈であった。

この世界に一人、イレギュラーな存在がいた。

ビルドダイバーズ達が動くための時間を稼ぐために、一人のダイバーが助力していた。

空中にて佇むガンダムAGE-IIマグナムは、目の前に存在するたった1人のダイバー……いやダイバーが率いる存在達に冷や汗を流していた。

瞬間、クジョウキョウヤは体に感じた冷たい何かに慌ててガンダムAGE-IIマグナムを背後へ下がらせる。

瞬間、頭上からいくつものビームが降り注ぐ。

そして避けた瞬間に真横から感じた嫌な気配に機体を翻しながら更に空へ上がる。

瞬間、今度は横から太い照射されたビームが過ぎ去っていく。

チャンピオンである彼は避けられたが、彼の周囲にいるいくつものダイバーが今のビームによって撃破され、ダイバー達の悲鳴が上がる。

ビームの猛攻を避けきり呼吸を整えるキョウヤ、彼の前には赤と青の機体が佇んでいた。

オープンチャンネル通信でそう話すのは、背部にファンネルを格納しそのモノアイをグポンと光らせる赤一色に染め上げられた機体。

 

「……外れたか、流石はGBNの頂点と呼ばれるだけはあるようだな」

 

【NPD:シャア・アズナブル】

 

ガンダム逆襲のシャアに登場するサザビー。

そしてそんな機体の背後へ並ぶように降りてきたのは、背部にロングレンジフィンファンネルをドッキングさせた通常のそれとは違いトリコロールカラーとなっている機体、RX-93ff νガンダム。

 

「腕が落ちたんじゃないか?シャア」

 

【NPD:アムロ・レイ】

 

「抜かせ、貴様の方こそ攻撃が当たっていないようだが?」

 

「NPD?何故ここに」

 

NPD、ノンプレイヤーダイバー。

所謂NPCであり、GBNにおいては歴代の作品のキャラが存在している。

そんなNPDが、何故かプレイヤー同士のこの戦いの真っ只中に存在し、自分へと攻撃を向けている。

一体、何が起きているっ!?

クジョウキョウヤは心の中でそう声をあげる。

アムロとシャアのNPD、二人が乗っているガンプラにキョウヤは表面上は冷静だが内心は酷く取り乱していた。

いや、それらだけではなかった。

 

「隊長!」

 

「いまそちらに!」

 

チームアヴァロンに所属し、インパルスガンダムランシエとインパルスガンダムアルクを駆るカルナとエミリア。

二人が隊長の元へと援護をしようとしたその時だった。

 

「っ避けて!!」

 

「おわっ!?」

 

インパルスガンダムアルクがインパルスガンダムランシエの肩をつかんで引っ張る。

それと同時に一筋の光が、アルクとランシエが先程までいた場所を通過するように横凪に降り注ぐ。

その一筋の光によって、また多くのダイバーが機体を切断され武器を破壊され、撃墜されていく。

 

「うわぁぁぁあ!?」

 

「嘘だろ!?この盾がプラバンをどれだけ重ねてると思ってるんだ!?」

 

撃墜、部位破損を受けたダイバーの悲鳴が上がるなかで、サザビーとνガンダムの元へ、その黄金の翼を広げ、舞い降りるように現れた機体。

 

「ラクス、準備はいいかい?」

 

【NPD:キラ・ヤマト】

 

「えぇ、問題ありませんわキラ。ふふ、あの子の頼みですもの……引き受けないわけにはまいりません」

 

【NPD:ラクス・クライン】

 

マイティーストライクフリーダムガンダム。

クジョウキョウヤは、またその表記に目を見開く。

マイティーストライクフリーダムガンダムのパイロット席には操縦桿を握るコンパス制服のキラ・ヤマトに寄り添う黒いドレス姿のラクス・クライン。

 

「NPD!?どうしてここに!?」

 

「これはダイバーのみ参加できる筈じゃ……」

 

そんな彼らの困惑を他所に、カルナとレミリアの背後。

多くのダイバーが終結し射撃を繰り返していたその場所から多くの爆発音と共にダイバー達の悲鳴が上がった。

 

「うしろっ!?」

 

背後を襲撃されたこと、それはビルドダイバーズが向かう道が切り開かれた事を示している。

その事実に慌ててAGEIIマグナムを振り返らせたクジョウキョウヤが見たのは、多数のダイバーの元へと踏み込み、その両肩から巨大なビームサーベルを展開し、手に持ったビームサーベルと共に敵を切り裂く純白の機体。

 

「行くぞ、AGE2!俺たちでアイツの敵を少しでも多く減らすんだッ!」

 

【NPD:アセム・アスノ】

 

それはガンダムAGE2ダブルバレット特務隊仕様、その席には真っ白な特務隊の制服に身を包んだNPD、アセム・アスノ。

そして全身が銀色で、身体中から紫色の炎を吹き出し手に持った大剣と炎を纏った剣を手に、ダイバーの懐へと飛び込み様々なガンプラを切り裂いていく機体。

 

「ファントムッライトォォォオオオ!!」

 

【NPD:フォント・ボー】

 

ゴーストガンダム、又の名をファントムガンダム最終決戦仕様を駆るフォント・ボーの叫び声がその場に響く。

その両者にもNPDという表記が揺れている。

 

「ありえない……運営は何を」

 

思わずキョウヤの口から言葉が漏れる。

GBNの運営はサラを消すことに前向きで、裏でこのような事を行うとは思えない。

なによりあのNPD達は強い、確かに強い。

しかしそれはあくまでもクエストやイベントにおける話だ。

定められたイベント上に存在する強さであり、自分のようなトップランカーならば堕とす事は容易の筈だ。

だが、目の前にいるNPDはどうだ。

プレイヤー同士の大規模戦闘に介入し、ましてやアヴァロンが率いる連合軍のダイバーを次々と撃ち落としていく。

目の前で起きている光景は、NPDは設定された強さであり弱い。

その常識を粉々に打ち砕いていた。

 

「何故だ、何故NPDがこんなことを……」

 

NPDはガンダムの歴代キャラクターであり、GBNにおいてはクエストの依頼人や仲間としてダイバー達と交流する存在だ。

アムロ・レイ。

シャア・アズナブル。

キラ・ヤマト。

ラクス・クライン。

アセム・アスノ。

フォント・ボー。

その全てが原作を再現した人格データによって構築された電子上の住人。

だが、所詮はNPC。決められた会話を行い、決められた行動を取るだけの存在。

少なくともキョウヤ達プレイヤーはそう認識していた。

しかし。

今、自分達の前にいる彼らは違う。

 

「仕掛ける!」

 

「了解した!」

 

サザビーのファンネルが包囲網を形成する。

その僅かな隙を突くようにνガンダムのビームライフルと腕部へと連結させたロングレンジフィンファンネルからのビーム砲撃が放たれ、ダイバー達が撃墜もしくは肩や足と言った部位を破壊されていく。

まるで長年共に戦ってきた戦友のような、いや本物のアムロとシャアのような連携。

イベントでは見たことがない。

クエストでも存在しない。

用意されたシナリオにはない動き。

 

「キラ、私の意識とリンクを」

 

「当てる!」

 

ラクスの声に反応したマイティーストライクフリーダムが即座に反転し、手に持ったビームライフルと腰のクスフィアス3レール砲が展開される、 腹部の収束ビーム砲を含めた、計五つのビーム砲によるフルバースト。

それにより、奇襲を仕掛けようとしていたダイバー達を一掃する。

だが、その機体の全ての武器や武器が内蔵された部分のみが破壊されておりコックピットは破壊されていない。

次々と放たれ続けるフルバースト攻撃、その動きに迷いはなく、プログラムされた知っている反応ではない。

まるで、そこに意思が存在しているかのように。

 

「馬鹿な……」

 

キョウヤの額に汗が浮かぶ。

NPDは強い。

だが、それは運営によって設定された強さだ。

自ら考え。

自ら判断し。

自ら戦場を駆ける存在ではない。

それなのに。

今、目の前にいる彼らは。

まるで1人の人間のように、自分の意思で戦っているように見えた。

 

「何故だ、何故NPDが」

 

「νガンダムの可能性に……いや、アイツの選んだ可能性にかける!」

 

「今の私たちはGBN運営の定めた目的のために動いてはいない、そう簡単に落とせるとは思うなっ!」

 

「僕らは自分の意思で、彼に味方することを選ぶ!」

 

「指示されたから動くのではありません、頼まれたから動くのです。」

 

そんなはずはない。

NPDに感情などあるはずがない。

意思などあるはずがない。

彼らは運営が用意したプログラム。

決められた台詞を話し、決められた行動を取るだけの存在。

そう、少なくとも昨日までは。

だが、サラという存在が現れた。

GBNから生まれた電子生命体。

誰にも作られず。 誰にも命じられず。

自ら考え、自ら選び、自ら生きている存在する。

彼女が、NPDという存在に、固定された考えではない何かを、影響を与えたとしたのなら。 

 

「まさか、君たちは」

 

「確かに俺たちは君達ダイバーから見れば、ただのデータだろう」

 

νガンダムに乗るアムロは操縦桿から片手を離すと、自信の掌を見つめて静かに言う。

 

「これを機に削除されるかもしれないな、所詮は本物じゃない。作られた存在だ」

 

そんな言葉と共に僅かに悲しそうな表情を浮かべるアムロの言葉にシャアが鼻で笑う。

 

「その通りだな、歴代作品のキャラクターを再現しただけの人形だと良く言われたものだ」

 

「だが、アイツは違った。アムロ・レイだからじゃない。シャア・アズナブルだからでもない、アイツは俺達を()()として見ていた」

 

その言葉と共に操縦桿を握り直し、シャアは静かに笑みを浮かべる。

 

「ただのNPD等でも、シャア・アズナブルやクワトロ、キャスバルでもなく、一人の友人としてな」

 

その言葉に、同意するようにνガンダムとアムロは静かにクジョウキョウヤを……いやキョウヤを通してこの配信を見ているのであろう多くのダイバー、そしてGBN運営へと向けて言葉を紡ぐ。

 

「確かに俺たちはただのデータだ、これを機に削除されることも覚悟している。だが、アイツは……所詮はデータであり本人とは違うと揶揄される俺達を友人だと言ってくれた」

 

「友のために、立ち上がれぬような男になるつもりは、ないッ!」

 

そんな二人の言葉に続くように、アヴァロン陣営のダイバーのガンプラを大型ビームソードで斬り抜ける特務対仕様のAGE2ダブルバレットのパイロット席で操縦桿を握りしめるアセム・アスノが吠える。

 

「親友のアイツが頼ってくれた、だから応える!それだけだ!」

 

「大体の人が使わなかったり無視するのに、俺があげたクエスト報酬の武器を使い続けてくれるんですよ?俺達データに、ここまで寄り添うようなアイツのためなら、体だって張ってやれますよ!いけるな、ゴースト……いや、ファントム!」

 

消えゆく事を強いられた1人の少女の痛みと悲しみ、そんな事実を強いた世界と自身の産みの親とも言えるGBNへ怒り咆哮をあげるかのように、フォントの叫びに応えるようにゴーストガンダムの頭部のフェイス部分と頬の部分が展開する。

ゴーストガンダムの体からIフィールドが溢れんばかりに吹き荒れる。

背中を合わせたRX-93ff νガンダムを駆るアムロとサザビーを駆るシャア。

改造されていない、純粋な機体である筈の二機から放たれるプレッシャーに、クジョウキョウヤ。

そしてクジョウキョウヤの視点から戦闘を眺めていた多くのダイバーが大きな畏怖を感じていた。

ガンダムという作品において間違いなく最強と言っても過言ではない二人が、タッグを組んでいるのだ。

更にはマイティーストライクフリーダムを駆りフルバーストで次々とダイバーの武器やガンプラを破損させていくキラ・ヤマトにラクス・クライン。

かたや大型ビームソード、かたやフレイムソードとクジャクを振り回しダイバーのガンプラを切り裂いていくガンダムAGE2ダブルバレット特務隊仕様を駆るアセム・アスノとゴーストガンダムを駆るフォント・ボー。

 

「君たちの言葉はもっともだ、だがそれを貫くにはそれ相応の強さが必要なんだっ!」

 

クジョウキョウヤが悔しそうに紡ぐ言葉に反応するように、キョウヤのパイロットモニターに他のダイバーが待機していた筈の場所からの通信が開く。

 

『申し訳ございません、隊長──』

 

アヴァロンでもカルナやエミリアに継ぐ強さとガンプラ制作に長けたダイバーの謝罪と共に、その場の多くのガンプラが四肢を破壊された見るも無惨な常態となっている光景が映し出される。

 

「な、何があった!?返事を───」

 

『君達は傲慢だね、気に入らない。まるで自分にはその資格があるかのような物言いじゃないか』

 

通信画面に映し出されたのは、一機の白いガンダム。

GNフィンファングを展開し、機体からかは赤い粒子を撒き散らし堂々と佇む機体。

クジョウキョウヤは、その機体を見た瞬間に目を見開いた。

 

「まさか……」

 

【NPD:リボンズ・アルマーク】

 

リボーンズガンダム、そのコックピットゾーンには何故か()()()()()()()()姿()となったNPD表記のついたリボンズ・アルマークが余裕そうな表情を浮かべて操縦桿を握っていた。

 

『実に不快だ』

 

不快さを隠しもせずそう告げると同時に、リボンズは操縦桿のボタンを押す。

それと同時にリボーンズガンダムのGNドライヴが輝き、フィンファングがダイバー達のガンプラを更に壊していく。

多くのダイバーの悲鳴が響くなか、リボンズは僅かに笑った。

 

『だから僕がこうして道を切り拓き、正真正銘の救世主となる……彼だけの、ね』

 

ねっとりとしたような言い回し、そして彼と言う言葉に込められた熱っぽくどろどろとした声と共にキョウヤのモニター映像が途切れる。

 

「くっ、一体何が起きて」

 

困惑するキョウヤだったが、それでは止まらなかった。

モニターにまた別の映像が映し出される。

写し出されたのは荒野のフィールドにて戦闘を繰り広げている筈のダイバー第七機甲師団のリーダー、ロンメル大佐であった。

 

「ロンメル大佐!?」

 

『キョウヤッ!此方は今、甚大な被害を受けて──』

 

『避けてくださいっ!ロンメル大佐!』

 

『チイッ!?』

 

そんな言葉と共に、焦った様子のロンメル大佐に驚くキョウヤはロンメル大佐の視点を確認する。

そこには二機のガンプラが空中でタッグを組むようにして佇んでいる。

片方はガンダムの中でも目立つ異色なデザインであり、全身を白と赤で彩られた独特のフォルムに頭部には特徴的なアンテナを持つifのガンダム。

そしてもう片方は純白、まるで魔女の箒を思わせる超長距離兵装を持つガンダム。

 

『へぇ、おじさん達やるじゃん。でも、私たちも負けるわけには行かない!』

 

【NPD:アマテ・ユズリハ】

 

『友達のためですから……負けられません!!』

 

【NPD:スレッタ・マーキュリー】

 

「なん、だ……これは」

 

GQuuuuuuX(エンデュミオンユニット覚醒時)を駆るアマテ・ユズリハ通称マチュは快活な笑みを浮かべ、ガンダムキャリバーンを駆るスレッタはその赤い髪を揺らし真剣な表情で操縦桿を握る。

 

『皆さんを倒して、またあの人と一緒に遊ぶんです!いきましょう、アマテさん!』

 

『いこうスレッタ!私たちのマブで、アイツの道を拓く!』

 

ジークアクスとキャリバーン。

新たな世代を代表する二機のガンダムが、まるで昔から戦ってきた戦友のように肩を並べた。

二人の声と共に、それぞれの機体がロンメル大佐の駆るグリモアレッドベレーへと迫る。

 

「どれだけのNPDがここに……!」

 

次々と現れるNPDの存在は、まるでビルドダイバーズやビルドダイバーズに協力するようであり、サラというこの世界に生まれた電子生命体を守ろうとしているように思えた。

だが目の前の存在達は皆、彼と1人のダイバーのことを指している。

その時だ、キョウヤのガンダムAGEIIマグナムのツインアイが、此方へと向かって来る一機のガンプラを捕らえる。

νガンダムやサザビー、マイティーストライクフリーダムが開いた道を一機のガンダムタイプのモビルスーツが突っ込んでくる。

 

「アレは……」

 

突っ込んでくるガンダムタイプのガンプラは片手にビーム刃を展開したクジャクを、反対の手で逆手で所持したムラマサブラスター構えている。

そのガンプラは大きく振り上げたクジャクをガンダムAGEIIマグナムへと振り下ろす。

大降りな攻撃、フェイントはおろか次への動作すら考えていない様な攻撃。

キョウヤからすれば避けることは容易だった、だがAGEIIマグナムはシグルシールドで、振り下ろされたクジャクを受け止める。

ビーム刃の展開されていないクジャクとシグルシールドが火花を散らす中、キョウヤは冷静に目の前の機体を観察する。

見たところ、パーツを組み換え作られたガンプラ。

派手な改造はない、全身の塗装も最低限。

墨入れに限っては一部がオーバーランしている。

それなのに、彼らNPDを従える程のなにかを持つダイバー。

キョウヤはシグルシールドを斜めに傾ける、すると力を入れられていたクジャクはシグルシールドを擦りながら振り下ろされる。

生まれた明確な隙、キョウヤは即座に相手のガンプラの脇を蹴り付ける、相手のガンプラはAGEIIマグナムの蹴りを受け、吹き飛ぶ。

そして吹き飛ぶガンプラの軌道上へハイパードッズライフルマグナムを向けて引き金を引く。

 

「っ」

 

ダイバーが息を飲む声が聞こえた、間違いなく直撃する。

そう思った次の瞬間、ガンプラは吹き飛ぶ機体を制御し、空中で側転するようにしてその場から飛び退き、ハイパードッズライフルマグナムのビームを避ける。

 

「なんだ、今のは……」

 

先程までの動きとはまるで違う。

洗練された射撃に対しての回避行動、不自然なまでの動きの変化にキョウヤは眉を潜める。

まるで突如として操縦者が着れ変わったような動きだと思っていたときキョウヤはモニターに移る相手のガンプラの変化に気付いた。

ツインアイが()()変化している?

そう相手のガンプラのツインアイが通常の発光色とは違い赤へと変化していたのだ。

ブレイクデカール、一瞬、最悪な可能性が脳内を過るがキョウヤはそれを否定する。

ならばEXAM?

それともオリジナルの強化システムなのか?

そんな思考を巡らせるキョウヤを他所に、そのガンプラへと乗るダイバーは口を開いた。

 

「ありがとう、ALICE」

 

クジャクとムラマサブラスターを持つガンプラを駆るダイバーの言葉に、赤かったツインアイが元の発光色へ変化する。

 

「君があのNPD達を?」

 

「えぇ、そうですね。そうなるんだと思います」

 

何処かふわふわとした返答にキョウヤはダイバーへ視線を向ける。

和服と洋服を掛け合わせた、和服パーカーにアラジンパンツのいった服装のダイバーは少し深呼吸すると口を開いた。

 

「貴方の相手をして、ビルドダイバーズの皆さんの為の時間を稼ぎます」

 

「その心意気は良いかもしれないが、無謀だと思わないか?これでも私はチャンピオンと呼ばれている男だ」

 

キョウヤの言葉と共にガンダムAGEIIマグナムの両肩に装備されていた四枚のウイング、Fファンネルが射出されるとAGEIIマグナムの周囲に浮かぶ。

クジョウキョウヤの言葉と圧に、クジャクとムラマサブラスターを所持するガンプラを駆るダイバーは応える。

 

「どのガンダム主人公も、その無茶や無謀を乗り越えていくんです。僕も、友人達のように……そうありたいっ!」

 

「ッ───」

 

「友人だと言って、着いてきてくれた皆さんの為にも……クロスゲージガンダムッ!」

 

クロスゲージガンダムと呼ばれたガンプラは、ダイバーの声に応えるように機体全体からゴーストガンダムのようにその体から紫色の炎を吹き出す。

クロスゲージガンダムの頭部に存在していたビームによって形成されていたアンテナはアンテナからファントムガンダムのような揺らめく炎へと変化し、ファントムガンダムのように機体の一部から揺らめく炎が吹き出る。

時限強化、トランザムやバイオセンサー、エグザムにハデスと様々な要素から即座に決着を着けようとキョウヤの放ったFファンネルが迫る。

 

瞬間。

 

ビームライフルとは明らかに異なる、腹の底まで響く重い砲声が戦場へ轟いた。

AGEⅡマグナムの周囲を飛んでいたFファンネル。その一基へ、空から飛来した実体弾が突き刺さる。

爆発。

Fファンネルは火花を散らしながら制御を失い、地上へと落下していく。

 

「これは、上からッ!?」

 

クジョウキョウヤが咄嗟に空を見上げる。

その瞬間だった。

空を裂くような轟音。

巨大な影が一直線に降下する。

まるで隕石でも落下してきたかのような衝撃。

 

轟ッ!!

 

クロスゲージガンダムとAGEⅡマグナム、そのちょうど中間へと叩き付けられた機体が大地を砕き、凄まじい衝撃波と共に土煙を巻き上げる。

周囲にいたダイバー達は堪らず機体を踏ん張らせ、砂塵の壁に視界を奪われた。

 

「な、何だ……!」

 

誰もが土煙の向こうを見つめる。

やがて、砂煙の中から一本の鈍色の鋼塊剣がゆっくりと持ち上がる。

その剣が横へ薙がれるだけで土煙は吹き飛び、一機のモビルスーツが姿を現した。

狼を思わせる獰猛な頭部に、全身を覆う重厚な装甲。

肩には赤地に白く刻まれた()()()

 

【NPD:三日月・オーガス】

 

「……ごめん、遅れた」

 

感情の起伏をほとんど感じさせない三日月・オーガスの声と共にガンダム・バルバドスルプスが肩へソードメイスを担ぐようにして立つ。

 

「うん。そうだ、ねぇ」

 

三日月はAGEⅡマグナムから視線を逸らすことなく、まるで世間話でもするようにクロスゲージガンダムのダイバーへと通信を始める。

 

「オルガとアトラがさ、飯に誘って帰ってこいって」

 

僅かにソードメイスを構え直す。

 

「友達なんだからって。」

 

三日月はAGEⅡマグナムから視線を逸らすことなく

 

「二人が待ってるし、早く終わらせる。ねぇ、アイツを潰せばいいんだっけ?」

 

そんな言葉と共にソードメイスをガンダムAGEIIマグナムへと向ける。

 

「またNPDか……良いだろう、私もこんなに沢山のNPDを相手にするのは久しぶりだ。君たちを降して、暴れる他のNPDを制圧させて貰う」

 

キョウヤは静かに操縦桿を握りしめる。

そんなキョウヤの様子とガンダムAGEIIマグナムの放つ圧。

気にするようすもなくソードメイスを構えるガンダム・バルバドスルプス。

 

「ムラマサブラスター、セーフティ解除」

 

クジャクをバスターモードへ変え、ムラマサブラスターのセーフティを解除し最大出力のビーム刃を展開して構えるクロスゲージガンダム。

そんなクロスゲージガンダムの背後に並ぶのはRX-93ff νガンダム、サザビー、マイティーストライクフリーダム、ガンダム・バルバドスルプス。

迎え撃とうと構えるガンダムAGEIIマグナム。

 

ふとクジョウキョウヤの脳裏に浮かんだのは、ただ一つの疑問だった。

 

何故、このダイバーはここまでNPD達に慕われている?

 

その答えを知るには、少しだけ時間を遡らなければならない。

 

これは、一人のダイバーがGBNへと降り立った日から始まる物語。

そして誰よりもNPD達と向き合い、誰よりも彼らを『友達』として扱った、一人の少年の記録である。

 

 

 

 

 




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【クロスゲージガンダム】
型式番号
GPD-X30G CROSS-GAUGE GUNDAM
ガンプラデータ
頭部:ビギニング30
胸部:?????
肩部:?????
腕部:?????
脚部:?????
バックパック:?????
武装:クジャク/ムラマサブラスター
特殊システム:ALICE/ファントムライト/?????
必殺技:?????

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