NPD親愛度MAXのダイバー   作:クレナイハルハ

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日刊ランキング9位って、マジすか?
皆さんありがとうございます!
今後も頑張って執筆したいと思っているので応援お願いします!


ファースト:ダイブ

初めて目の前に飛び込んできたのは、大勢のダイバーで賑わうロビーだった。

 

「っ……」

 

思わず人混みから逃げるように壁際へ移動する。

現実と変わらない。

いや、それ以上に人が多い。

まるでお祭りの日の縁日のように人でごった返している。

ようやく落ち着いたところで壁のガラスに映る自分を見た。

和服とパーカーを合わせたような服装に、ゆったりとしたアラジンパンツ。

キャラクタークリエイトで設定した通りの姿だった。

 

「設定の通り……」

 

改めて周囲を見渡せば、様々なガンダム作品の服装やアクセサリーを着けた人で溢れていて各々がフレンドや仲間との交流を楽しんでいる。

改めて周囲を見渡す。

ガンダム作品に登場する制服や軍服を身に着けた人。

パイロットスーツ姿の人。

それだけではなく、ケモ耳や尻尾を付けたファンタジー風の格好をした人や、まるで異世界の冒険者のような装いの人までいる。

 

「本当にガンダムのゲーム、なのか?」

 

少しだけ首を傾げる。

でも、好きな姿で遊べるのもGBNらしい自由さなのかもしれない。

とりあえず、まずはチュートリアルだ。

ネットで調べた通りなら、ミッションカウンターへ行けば初心者向けの案内を受けられるはず。

そういえば、チュートリアルの前に格納庫?へ行けば自分のガンプラの状態を確認出来るんだっけ?

 

「えっと……メニュー」

 

そう呟くと、目の前へ半透明のウィンドウが展開された。

 

「……本当に出た」

 

思わず小さく息を呑む。

ゲーム画面を操作するように指先を滑らせ、『格納庫』の項目を選択した。

自分の周囲の光景が、移り変わりさっきまでの喧騒とはうって代わり静かな格納庫が広がっていた。

そして、その中央には、一機のガンダムが静かに立っている。

 

「……っ」

 

思わず言葉を失う。

テレビや漫画でしか見たことのない、本物のモビルスーツほどの大きさ。

それが今、自分のためだけにそこへ立っている。

 

「すごい……これが僕の、ガンダム……」

 

自分のガンプラが、そこに本物のガンダムの大きさで佇んでいた。

胸の高鳴りを抑えながら機体へ歩み寄る。

足元には整備用と思われるコンソールが設置されていた。

モニターには、登録した機体データが表示されている。

 

【UNIT DATA】

《型式番号》

GPD-X30G

《機体名称》

CROSS-GAUGE:GUNDAM

 

「すごい、しっかり反映されてる……」

 

今から僕がこれを動かす。

僕がコックピットに乗り込んで、戦う。

アニメやゲームで何度も見てきた、憧れてきたことが出来る。

心臓がいつもより早く鼓動を叩く、興奮しているのだ。

目の前の光景に、これから行う行動に対しての不安や心配の感情が薄れていく。

すぐに、ミッションがしたい。

ガンダムを、動かしてみたい。

そんな思いからか、僕は先程と同じようにメニュー画面を開き元のロビーへ戻る。

そしてミッションカウンターへ早歩きで向かう。

ミッションカウンターにはタブレット端末が並んでいて、そこからミッションを選ぶことが出来るようだった。

 

「これ、だよね」

 

ガンプラ、大地に立つ。

 

名前からしてファーストガンダムのオマージュを感じるタイトルに、思わず苦笑する。

記されたミッションの内容はリーオー数機の撃破。

人に話しかけなくて済むのなら、楽だなと思いながら一番最初のミッションを選択する。

すると画面の端に、気になる表記があった。

 

「NPDサポート?」

 

聞き慣れない単語に思わず指が止まる。

説明欄を開くと、小さな文字が並んでいた。

GBNへ初めてダイブしたダイバー、または初心者のみで編成されたパーティには、NPDが味方ユニットとして同行するか選べるというものだった。

即座にサポートをオンに設定する。

ミッションを受注すると、画面に『格納庫から出撃してください』というメッセージが表示された。

 

「ここから出撃なんだ」

 

メニューから格納庫へ移動すると、ガンプラの足元にある整備用コンソールには出撃という欄が追加されていた。

出撃の欄をタップすると、クロスゲージガンダムのコックピットが開く。

コックピットに入れば、そこにはネットで何度も見たことがある左右の操縦桿と中央のフィールドマップが確認できるモニターとキーボードが見えた。

恐る恐る、操縦桿を握ると目の前のモニターに文字が表示される。

出撃ハッチへ移動します、その文字と共にガコンと言う音と共に目の前のモニターには恐らくはクロスゲージガンダムのメインカメラが見ている景色が映る。

ガンダムに登場するどの出撃ハッチとも似ていて、違うそれに感動していると出撃可能と言う文字が表示される。

よし、と気合いを入れて操縦桿を握ろうとしてせっかくならと口を開いた。

 

「これまでの僕とガンダムの繋がりと、これからを繋ぐガンダム……いこう、クロスゲージガンダムッ!」

 

操縦桿を握りしめ、前へ押し込む。

カタパルトから勢いよく飛び出したその瞬間、頭部中央から粒子の光が溢れ、左右へ伸びるように光のアンテナが形成される。

ビギニングガンダムの象徴とも言える、光のVアンテナだった。

フィールドマップモニターが案内してくれる場所へと向かうため操縦桿を操作していると、モニターに『サポートNPDが追従します』という文字が表記され、目の前のモニターに見覚えのある人物が表記された。

 

『GBNへようこそ、今回の君のチュートリアルをサポートするキラ・ヤマトです』

 

ガンダムSEEDの主人公であるキラ・ヤマト。

そんな存在に驚いているとそんなキラのモニターに並ぶようにしてもう一つの画面が表示される。

 

『オペレーターとしてチュートリアルサポートを行うラクス・クラインです。戦闘での支援はキラに、操作での不明点は私にお聞きください』

 

そんな声と共にクロスゲージガンダムの隣へとその背中の翼が特徴的なガンダム。

ライジングフリーダムガンダムが飛行する。

 

「よ、よろしくお願いします。えっと僕は──」

 

一瞬、リアルの名前を口にしかけて、慌てて飲み込む。

違う。 この世界で僕は九重鎖理じゃない。

クロスゲージガンダムに込めた"繋がり"という想い。 そこから名付けた、この世界での僕の名前。

 

「エニシです、よろしくお願いします」

 

エニシ。 漢字では『縁』と書く。

人と人、そしてガンダムとの繋がりを願って付けた、この世界での僕の名前だ。

 

『よろしく、エニシ。初めてのダイブなら緊張すると思うけど、大丈夫。僕達がサポートする』

 

「は、はい!」

 

『まずは基本操作から確認しよう。焦らず、僕の後についてきて』

 

ライジングフリーダムがゆっくりと前へ出る。 僕は慌てて操縦桿を倒し、その後ろを追いかける。 

なんだか少し変な気分だ。

アニメで見たことのある存在が、自分を見て話してくれている。

その所作からはとてもNPCとは思えない、本当にGBNは凄いな。

 

「その……キラさん達に教えて貰えるなんて嬉しいです。」

 

SEEDシリーズのファンなら二人の間に挟まることを許されないだろう。

これを見てるダイバーに攻撃とかされないだろうか。

どうしよう急に怖くなってきた。

ライジングフリーダムの後ろを飛びながら、自身の周囲を確認する。

 

『その様子だと、周りが気になりますか?』

 

ラクスが穏やかな笑みを浮かべながら尋ねる。

 

「えっ……?」

 

『初めてのダイブですもの。広い世界ですし、景色に目を奪われてしまう気持ちは分かりますわ』

 

「あ、いえ……その……」

 

言うべきか迷う。

でも、隠しても仕方がない。

 

「景色も気になるんですけど……」

 

『はい』

 

「キラさんとラクスさんと一緒に飛んでるところを、他のSEEDファンの人に見られたら怒られないかなって……」

 

一瞬、通信回線が静まり返る。

 

『……え?』

 

キラがぽかんとした声を漏らした。

 

「だ、だって二人の間に入るなんて、絶対ファンの人に怒られるじゃないですか!」

 

「僕なんかが真ん中にいるの、すごく申し訳ないというか……」

 

ガンダムSEEDFreedomの映画を見た人なら分かるだろうが、この二人はもう公式最大級のカップリングだ。

その間に僕が飛んでいるなんて、強火ファンに見られたら刺されても文句は言えない。

もし強火ファンに見つかりでもしたら、そんなことを考えながら周囲をきょろきょろ見回す。

とりあえず近くに他のダイバーはいないようだ。 ほっと胸を撫で下ろす。

そんな僕の様子を見てモニターに映る。ラクスさんがふふっ、と小さく笑った。

 

『そのような心配をするダイバーは初めてですわ』

 

モニター越しのラクスが、口元へ手を添えてくすりと微笑む。

 

『はは……大丈夫だよ、エニシ。これは初心者サポートだからね』

 

キラも思わず苦笑する。

 

『もし誰かに見られても、「運がいいね」くらいに思われるだけだと思うよ』

 

「そ、そうなんですか……?」

 

『だから気にせず、GBNを楽しんでね』

 

「……ありがとうございます」

 

『ミッションエリアが見えてきたね、あのドーム状のエリアがミッションの戦闘エリアだ。ここの中に入ったら敵が出てくるよ』

 

「は、はい」

 

操縦桿を握りしめ、ライジングフリーダムと共にクロスゲージガンダムが戦闘エリアへと突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵のガンプラであるリーオーを全て撃墜し、目の前に『MISSION CLEAR』の文字が浮かび上がる。

その表示を見て、ようやく握り締めていた操縦桿から力が抜けた。

 

「な……なんとか勝てたぁ……」

 

深く息を吐きながら、ポツリと呟く。

装備しているムラマサブラスターの射撃は思った以上に狙いが定まらず、格闘も頭の中で思い描いていたようには動かなかった。

他のゲーム……Gジェネレーションやエクストリームバーサスのように、ボタン一つで決まったモーションが出るわけでも、撃ったビームが都合よく誘導してくれるわけでもない。

ゲームとしては、小さい頃に少しだけ触れた戦場の絆に近いかもしれない。

前後左右だけではなく上下も使う、本当にモビルスーツを操縦しているような三次元の戦闘。

とてもじゃないけれど、今の僕では思うように戦えない。

 

「課題が山積みだなぁ」

 

でも、じゃあいいやと投げ出すことはなかった。

 

ボタン一つで決まったモーションが出ることはない。

それはつまり、本当に自分だけの動きによる格闘や攻撃が作れるということ。

それこそ、キラ・ヤマトの駆るフリーダムのようにコックピットを狙わない射撃やシン・アスカのような盾でビームライフルのビームを反射させる技術。

そんな自分だけの動きを作れるということ。

 

「目指せ一騎当千……いや、それよりは万能機かな」

 

どんな状況でも安定して戦える。

それなら、他の人と会わせる時も負担は少ないし、きっとどんなダイバーとも一緒に戦える。

まず、今回の戦闘で使えなかった武装達がどんな風に使えるのかを確かめないとね。

試すことは山ほどある。

それでも、面倒だとは少しも思わなかった。

むしろ胸の奥から湧き上がる高揚感に、自然と口元が緩む。

今回まともに使えた武装は、ムラマサブラスターによる射撃と格闘だけ。他の武装は試す余裕すらなかった。初めての戦闘で、操作を覚えるだけで精一杯だったのだ。

だからこそ。

 

「いつか……」

 

もっと、もっとこの世界でクロスゲージガンダムが出来ることを見付けよう。

現実でそうなったらと思い描いた設定の武装にシステムは、GBNでその通りには反映されない可能性だってある。

だから、試さないと。

 

「僕が一番うまくクロスゲージガンダムを使えるん だ……なんて言えるぐらいになりたいな」

 

『初めてのミッション、お疲れ様。かなり動くことが出来ていたね、この調子でGBNの世界を楽しんで欲しいな』

 

『私達は貴方の活躍を応援しておりますわ』

 

「ありがとうございます!あの武装は何処かで試すことって出来ますか?アドバイスがあれば聞きたくて」

 

『それなら、もう一度このミッションを受けたりレイドミッションを受けるのがおすすめだよ』

 

『ゲームを始めたばかりのダイバーの方限定のレイドミッション等もありますわ、今だと此方のミッションが開催されいますわ。是非ともチャレンジしてみて下さい』

 

そんなラクスさんの言葉と共にモニターにミッションの内容が添付された。

 

・緊急レイドミッション【―侵食するEXAM―】

EXAMシステムのテストプログラムが未知のバグに侵食されてしまった!?暴走したEXAMデータは周囲のモビルスーツへ感染し、次々とEXAMモードを強制発動させている!

このままではGBN内の戦闘データが汚染されてしまう。

ダイバー達よ、暴走したEXAMネットワークを停止せよ!

 

「初心者用のレイドミッション……ありがとうございます、早速やってみます!その、また一緒に戦えたりしますか?」

 

『ミッションカウンターでガンダムSEEDシリーズのミッションを受ければまた戦えるかもね』

 

「ありがとうございます」

 

そう言いながら僕は即座にそのミッションを受注するため、ミッションカウンターへと向かう事を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とても素直な子でしたわね、キラ」

 

「うん、そうだね。ミッション中のアドバイスもすぐに実施しようと頑張っていたし……それに」

 

「えぇ。私達をNPDではなく、一人の人として接してくださいました」

 

ラクスが微笑む、キラもどこか嬉しそうに頷く。

NPDサポートシステム。

それはGBN運営が初心者ダイバーのために実装した救済サポートである。

しかし、その機能を利用するダイバーは決して多くなかった。

原作におけるマギーのように初心者を案内するベテランダイバーもいる。

フレンドに誘われて始める者も多い。

そのため、彼らNPDサポートが必要になる場面は意外なほど少なかった。

 

「私達の出番は、そこまで多くはありません。利用されても、チュートリアルだけ終えればすぐ解除されることがほとんどです。」

 

「効率重視だからね。」

 

キラは苦笑する。

 

「"早く終わらせたい"っていう人も少なくないし。」

 

「私達の説明を途中で飛ばされることもありますわ。」

 

少しだけ寂しそうに笑うラクスに、キラもまた少し悲しそうに呟く。

 

「『NPCだから』ってね。」

 

沈黙が流れる。

その静寂を破るように、ラクスがふっと笑みを浮かべた。

 

「ですが、今日は違いました。エニシさんは最初から"よろしくお願いします"と言ってくださいました。」

 

「僕達の話を最後まで聞いて、何度も"ありがとうございます"と言ってくれたね。そして………」

 

二人は同時に思い出す。

『また一緒に戦えたりしますか?』

というエニシからの心からの、打算も利益もない。 ただ「また会いたい」という気持ちから零れた、あの一言、一緒にGBNを遊ぶ友人へと向けられるようなあの言葉。

そんな言葉にキラとラクスは自然と笑みを浮かべた。

 

─キラ・ヤマトの親愛値が上昇しました─

─ラクス・クラインの親愛値が上昇しました─

 

 




アニメを見てても思うのですがGBNはもう少し初心者用の色々を用意するべきでは?少しだけそう考えたりした今日この頃。
次回でクロスゲージガンダムの???だった部分の一部が分かるかもです。
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