NPD親愛度MAXのダイバー   作:クレナイハルハ

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ダイブ:レギオン

ビルは半壊し、道路はひび割れた荒廃した世界。

そこではメインカメラを赤く変化させた沢山のガンプラがゆらりゆらりと()()()()()()()()ように彷徨っていた。

緊急レイドミッション【―侵食するEXAM―】

それを簡単に説明するなら撃墜数を競うレイドミッションだ。

一番の撃墜数を上げればレアな報酬が手に入り、参加するだけで参加賞としてある程度のダイバーコインを入手することが出来る。

ほぼ初心者限定のミッションには沢山のダイバーが参加し、ツインアイやモノアイを赤く変化させたガンプラと戦闘を繰り広げている。

 

「おいおいおい! なんでジム・スナイパーⅡが突撃してくるんだよ!」

 

「EXAMだ! 遠距離機まで脳筋になってる!」

 

「狙撃機の戦い方じゃないだろ!」

 

様々な色のビームや実弾、ダイバー同士の声が四方八方へ飛び交う。

 

「ダリルバルデ来るぞ、散開!下がれ!」

 

「違う!本命は後ろのブルーディスティニーだ!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!ダリルバルデを踏み台にしたぁァァァア!?」

 

爆炎が上がり、一機のガンプラが粒子となって散った。

瞬間、ダリルバルデを踏み台にして飛び出してきたブルーディスティニー1号機。

その両手に構えたビームサーベルが赤い二体のガンプラの間を通りすぎる。

すれ違い際に横凪に振るわれたビームサーベルで、二体のガンプラの上半身と下半身から真っ二つに切断される。

 

「大佐ァァァァァァァアっ!?」

 

「おいwそれ今やめっ、あっ──」

 

「r○a姉貴おって草w」

 

「おい!誰か突っ込んでくあのヅダ止めろ!」

 

「無理!早すぎてエイム追えないよ!?」

 

「赤いから早さも3倍ってことか、ええい!」

 

そこから少し離れた場所では多くのビームによる爆風が連続して巻き起こっていた。

 

「シェルタアァァァァァァァァァァア!!」

 

空中では、ウイングゼロが四門連結したツインバスターライフルを構えていた。

迫真の叫びと共に放たれる極太のビーム砲。

ウイングゼロEW版とプロトゼロのバスターライフルを二挺ずつ連結させた、ダイバー渾身の魔改造兵装である。

 

「馬鹿やろうがッ!こっちも巻き込む気かよ!?くそっだれかアイツの連射爆風止めろ!」

 

「あんなんシェルターでも持たねぇよ!」

 

「リリーナごと爆散するわ!」

 

「やめなぁーさいッ!なんて出来たなら良かったんですけど、ガンビット盾に回してるので動けませんッ!」

 

「任せろ!赤枠改ベースのこいつならスーパーアーマーで──」

 

「バカやろう!これはGBNだぞ!」

 

「だからエクバ脳やめろ!」

 

「GBNにスーパーアーマーなんてねぇよ!」

 

エスカッシャンで巨大な盾を作るエアリアルベースの機体にアストレイレッドフレームを止めようと機体の肩を掴むセイバーガンダム。

そこかしこで爆発が巻き起こり、別の戦線ではまた新たな悲鳴が上がる。

 

「うっへへ、アッチの方が強そう!」

 

「おい!まてぇ!そっち行くなぁ!」

 

「待て待て待て!SDが小さすぎて当たらねぇ!」

 

「SDガンダムがエグザムとかどういうことだよ!?」

 

「アッガイが来るぞ!」

 

「アッガイなら大丈夫──は?」

 

「早ぇぇぇぇ!!」

 

EXAMで高速移動する様々な重火器を装備したアッガイが特殊部隊のような動きで突撃してくる。

 

「なんで熊がトランザムと同じ早さ出してんだよ!」

 

その時だ、そのフィールド全体に聞こえるほどの大きな地響き。

地響きと共に揺れる大地に多くのダイバーが戦闘を停止するなか全員のレーダーに、一つだけ桁違いの赤い反応が表示される。

地響きと共に、ビルとビルの間から巨大な影が姿を現した。

 

無数の砲門、赤く染まった巨大なツインアイ。

 

「……デストロイ、ガンダム?」

 

頭部に存在する4門のビーム砲、アウフプラール・ドライツェーンから巨大なビームが放たれ街を飲み込んでいく。

ビルが蒸発し、道路が吹き飛び、逃げ遅れたガンプラが次々と粒子へ還っていく。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「俺の撃墜数がぁぁぁ!!」

 

「撃墜数より命だァ!!」

 

阿鼻叫喚。

初心者レイドは、一瞬で戦場へと変わった。

 

「EXAM積んだデストロイとか誰が勝てるんだよ!!」

 

「運営ッ!!何考えてんだァァァ!!」

 

そんな激戦区での叫び声が上がっていたその頃。

戦場の遥か南端では、この大騒ぎなど知る由もなく、一人の初心者ダイバーが新しい武装を試していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイドミッションのマップの端。

主人公はクロスゲージガンダムを操作し様々な武装を試していた。

 

「──今っ!!」

 

エニシがトリガーを引く。

クロスゲージガンダムのバックパックから、有線ケーブルで接続された大型ドラグーン四基が一斉に展開。

四基は機体を囲むように円を描いて飛行すると、細かなビームを次々と放つ。

しかし、その射線は僅かにずれ、敵モビルスーツの肩や脚を掠めるだけだった。

 

「まだ駄目か……」

 

続けてドラグーンが四方向へ展開。

十字砲火となるよう一斉射撃を行うが、それでも敵は僅かに身を捻っただけで全て回避してしまう。

 

「タイミングが遅いのかな……?」

 

エニシはすぐに操縦桿を握り直した。

停止していたクロスゲージガンダムがムラマサブラスターを構える。

引き金を引く。

放たれたビームは敵のコックピットを正確に撃ち抜き、敵モビルスーツは爆散し粒子となって消えていく。

 

「う~ん、難しいな……アニメやゲームのようにはいかないなぁ」

 

クロスゲージガンダムのバックパック、それはドレットノートガンダム、またの名をXアストレイのバックパックだったもの。

 

離れて展開されていた大型ドラグーンがバックパックのχユニットへと戻ったことを確認して僕は溜め息着いた。

 

「ムウやレイ、プレアみたいなドラグーン操作ってかなり難しいみたいだ……中々上手くいかないなぁ」

 

果たして僕がドラグーンを使いこなす日が来るのだろうか。

そんなことを思いながら、他の武装をもう一度試そうとした時だった。

フィールドマップモニターの端に、小さな黄色の反応が映る。

 

「え?」

 

敵反応を示す赤色、味方機を示す青とも違う。

ゆっくりと点滅する、不思議な黄色のマーカー。

 

「なんだろう……?」

 

表示される位置は、崩れた高層ビル群のさらに奥。 戦闘区域から外れたような場所。 

つまり、僕が今いるこの場所から近くに反応が出ていた。

 

「何らかのイベント?」

 

受けたミッション初心者用レイド。

もしかしたらマップにあるなにかを使えば状況が変化する……それこそ援軍を呼んだりするような何か。

つまり隠し要素……あってもおかしくない筈だ。

 

「いってみよう……」

 

これが状況を悪化させるような選択とか、難易度を変えるようなものじゃないことを祈りつつ、反応のある場所へクロスゲージガンダムを飛ばす。

マーカーの表示されている場所にあったのは、崩れた研究施設らしき場所だった。

凄い、マップの端っこなのにしっかりフィールドが作られてる。

研究施設へと着陸する、そしてマップを拡大させながら歩いていると点滅するマーカーがすぐ近くだった。

マーカーの方へ目を向ければ、そこには五機のモビルスーツの残骸が転がっていた。

どれも胸部を貫かれ、あるいは四肢を切断され、激しい戦闘の跡を残している。

その中央。

まるで最後まで何かを守ろうとしていたかのように。

一機だけ膝をついたまま動かないガンダムMk-Ⅴがあった。

装甲は各所が焼け焦げ、右腕は肩から失われ、胸部には巨大な裂傷。

それでも、その機体だけは撃破エフェクトにならず、静かにそこへ存在している。

 

「……オブジェクト?」

 

敵なら既に消えているはず。

なら、この機体が点滅していたマーカーの相手。

クロスゲージガンダムがそんな機体へと向けて一歩を踏み出した時だった。

ガンダムMk-Ⅴのツインアイが、微かに灯った。

 

「っ……」

 

『て、き……?…』

 

慌ててムラマサブラスターを構えようとしたとき、モニターには《SOUND ONLY》という黄色い文字表記と共に、まるで息絶える寸前とも思えるような少女の声が聞こえた。

これは、ガンダムMk-ⅤのNPDの声?

 

「ち、違います。僕はたまたま通りがかっただけで……」

 

ガンダムMk-Ⅴが関節部からギギギと音を立てる。

砕けた装甲が一枚、また一枚と地面へ落ちた。

 

『なら、どうか……お願い、します』

 

それでも左腕だけは、ゆっくりとこちらへ伸ばされる。

 

『どうか……彼女を』

 

「……彼女って」

 

『私が……守り続け、た……希望、です。どうかお願い……します。この子を……未来へ』

 

途切れ途切れで、今にも消えてしまいそうなほど弱々しい声。

アニメや漫画の主人公なら、即座に受け取り守り抜く事を叫ぶのだろう。

僕なんかが、受け取っていいのだろうか。

一瞬悩んだ、でも僕の心に反して体は勝手に動いていた。

そうだ、これはゲームだ。

現実とは違う、だから僕もアニメや漫画の主人公達のような行動をしてみたい。

 

「クロスゲージガンダム、お前は繋ぐ機体なんだ。だから、繋いで」

 

ガンダムMk-Ⅴの手に、気がつけばクロスゲージガンダムがゆっくりと左手を伸ばす。

Mk-Ⅴの左手と重なった、その瞬間。

突然、フィールドマップモニターがブラックアウトした。

 

「えっ?」

 

次の瞬間。

《UNKNOWN DATA DETECTED》

《AUTHENTICATION..》

《DOWNLOADING...》

0%

3%

 

「な、何が起きて……」

 

17%

41%

68%

92%

100%

 

《SYSTEM UPDATE COMPLETE》

 

《SUPPORT SYSTEM "ALICE" DETECTED》

 

《AUTHORIZATION COMPLETE》

 

《INITIALIZING ALICE...》

 

《ALICE ONLINE》

 

ダウンロードが完了したのか、フィールドマップモニターが元の状態へ戻る。

 

「一体、何が」

 

『ありがとう、ございま───』

 

プツッ。

ガンダムMk-Ⅴのツインアイから、静かに光が失われる。

差し出されていた左腕は力なく滑り落ち、

膝をついたままの機体は、それ以上一切動かなかった。

完全に沈黙したそのNPDに、イベントが終わったのだと理解する。

なんだろう、何故か少しだけ悲しみを感じるのは先程までの雰囲気からだろうか。

ガンダムMk-Ⅴの前に、しばらく立ち尽くす。

 

「……」

 

さっきまで確かに聞こえていた少女の声は、もうどこにもない。

守るべきものを守り抜き、役目を終えた。

そんな不思議な感覚だけが胸に残っていた。

その時だった。

フィールド全体へ、甲高い電子音が鳴り響く。

 

《MISSION COMPLETE》

 

視界が白い粒子に包まれ、崩壊していた街並みが光の粒子となって消えていく。

 

「……終わった?」

 

戦場だった景色は完全にフェードアウトし、GBNの転送エフェクトがクロスゲージガンダムを包み込む。

恐らくはロビーに戻るのだろう、もう少し武装を試したかったけど仕方ない。

そんなことを考えていると、リザルト画面が表示された。

 

《緊急レイドミッション【―侵食するEXAM―】をクリアしました》

 

《報酬を集計しています……》

 

その瞬間、視界の右側へリザルトウィンドウが次々と展開されていく。

 

──────────────

【レイド結果】

 

撃墜数     7機

順位      497位

参加報酬    ダイバーコイン×500

イベント達成

NPDからの託し物を受領しました

 

補助システム

『ALICE』

を獲得しました

 

──────────────

 

画面を見た僕は思わず目を丸くした。

 

「……補助システム、ALICE?」

 

ネットでみた限りだと、こういうミッションの報酬ではゲームでの通貨であるダイバーコインや武装らしい。

でも今回表示されているのは、そんな装備品じゃない。

 

『ALICE』

 

「どこかで聞いたことが……」

 

記憶を辿る。

確かガンダムセンチネルに登場するEx-Sガンダムに搭載されていた人工知能。

パイロットを守るために、自ら機体を操縦したこともあるAIだった。

てっきりガンプラに搭載できる強化システムは、自分で組み込んだ機体に依存するものだと思っていた。

例えばダブルオー系ならトランザム。

ブルーディスティニーならEXAM。

ユニコーンならNT-D。

そういう原作由来のシステムだけが使えるもの。

 

「そう思ってたんだけど、違うのかな。やっぱりGBNって何でもアリなんだなぁ」 

 

何故か脳内に浮かんだ「ガンプラは自由ダァ!」という台詞に苦笑いしつつ、僕のはじめてのレイドミッションは終わったのだった。




クロスゲージガンダム】
型式番号
GPD-X30G CROSS-GAUGE GUNDAM
ガンプラデータ
頭部:ビギニング30
胸部:?????
肩部:?????
腕部:?????
脚部:?????
バックパック:Xアストレイ(ドレットノート)
武装:クジャク/ムラマサブラスター
特殊システム:ALICE/ファントムライト/?????
必殺技:?????
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