NPD親愛度MAXのダイバー   作:クレナイハルハ

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フレンド:ゼロ

あれから数日、GBNでの操作にも若干馴れてきた。

今はロビーの受付で受注できるチュートリアルを終わらせ、様々なミッションを遊んでいた。

現状はログインしては黙々とミッションを遊んでいる。

どのミッションも原作アニメのストーリーをしっかり再現していたり、NPDの難易度もしっかりしていてクロスゲージガンダムとムラマサブラスターでの戦闘にも馴れていくことが出来ている。

最初はタイミングが合わずに明後日の方向へ飛ばしていたドラグーンも、今では相手の動きを予測して包囲するくらいなら出来るようになった。

ムラマサブラスターも、大剣とライフル形態との切り替えを意識して戦えるようになり、接近戦も最初の頃とは比べ物にならないくらい馴れてきた。

ヴォワチュール・リュミエール:アニュラスも、まだ思い通りとはいかないけれど、少しずつ狙った方向へ飛ばせるようになってきている。

気がつけばそのガンダムシリーズの物語追従ミッションを1日で遊びきったりすることもあったっけ。

そうしてGBNでの遊びを楽しんでいるのだけど、最近は少しだけ困っていることと言うか、少し悩んでいることがある。

それは、ハッキリ行って同じダイバーとの出会いや会話が無いことだった。

この世界なら友人が出来るかもしれないという父さんの言葉に背中を押されて始めたゲームだけど、ひたすらミッションを遊び、ミッション後にNPDに連れられ市街地フィールドエリアで買い食いや飲み物を買いに行ったり、雑談をする。

本当にGBNのNPDは凄い、まるで本当の人のように行動して表情を変えたりする。

そういったことがあり、僕はダイバーとの出会いや一緒にミッションを遊ぶことが無い。

 

「………どうしよう」

 

「ねぇ、私たち美少女を侍らせてるのに考え事とかありえなくない?」

 

「そ、そうなんですかね?そ、そうだと思います!もっとお話しましょう!エニシさん!」

 

現実逃避を止めて僕は只でさえ縮めていた体で目の前の光景に目を向ける。

近くの露天で売られていたハロクレープを口に含むのは『機動戦士ガンダムGQuuuuuuX』の主人公であり、「なんか分かんないけど、なんか分かった!」や「アッチの方が強そう!」といった台詞で有名なアマテ・ユズリハさん、通称マチュ。

そしてと、ハロの顔が印刷された塩味系のハムやケチャップ、トマト等を挟んだパンケーキをフォークとナイフを少したどたどしく動かして食べるのは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の主人公。

「やめなさい!」や「進めば二つ、逃げたら一つ」で有名なスレッタ・マーキュリーさんだ。

 

「そ、そんなこと言われても……同じくらいの歳の人とこうして買い食いみたいなのするのは馴れなくて、それに」

 

「それに?」

 

マチュが首を傾げる。

 

「えっと……その……」

 

言えるわけがない。『君たちにはそれぞれ人気の相手がいるから、その間に挟まってるように見えたら怖い』なんて。

ミオリネさんやニャアンさんに刺されたり凄い視線向けられないかな。

それにミオスレ、スレミオ派やマチュニャアン派といった百合の間に挟まるの許さない人達に殺されないかな……。

そんな理由から、周囲の視線にビクビク震えていた。

 

「……な、なんでもないです」

 

「絶対なんかあるでしょ」

 

マチュはクレープを片手に身を乗り出す。

 

「そんなに緊張しなくてもいいじゃん。私たち別に怖くないし、ほら歳だって近いんだしさ」

 

「は、はい……」

 

「私はその……少し怖いと思われても仕方ないかも、です」

 

「なんで!?」

 

スレッタの真面目な返答に、思わずマチュが突っ込む。

 

「だって私、その『やめなー、さいっ!』って、しちゃいましたし……あれが原因でミオリネさんを怖がらせちゃいましたし」

 

「あ……まぁ、いやでも」

 

少しどんよりとした空気を発生させ始めたスレッタと、そんなスレッタの言動とアニメでの動きを思い出したのか、なんとかフォローしようとするマチュ。

そんな二人の会話が少しだけ、面白くて小さく吹き出した。

 

「あっ、今笑った。」

 

「ぅえ?」

 

「笑った笑った!」

 

「ちょっとだけ、笑いました……よね?」 

 

嬉しそうに僕を指差して笑えるじゃん!と笑顔で話すマチュ、、先程までのどんよりとした空気は何処へ行ったのか嬉しそうに笑うスレッタ。

二人に見つめられ、また肩を縮こませる。

 

「え、いや、その……」

 

「もっと肩の力抜けばいいのに」

 

そう言いながらクレープを全部頬張るマチュ。

 

「で、でも……」

 

「私も最初は友達を作るの苦手でした。」

 

スレッタは最後の一口を口へと運ぶとフォークを置き、小さく笑う。

 

「話しかけるだけでも、勇気がいりますよね?!」

 

「……はい、そうなんです」

 

実は何度か、僕のような始めたてと思う人を誘おうとしたけどやっぱり怖かった。

それに、外の人と約束していたのか熟練感のあるダイバーと合流している人達も多かった。

だから結局は、誘えない。

そんな気持ちに共感してくれたその一言で、少しだけ胸が軽くなった。

 

「だから、一歩ずつで大丈夫です。進めば二つです!」

 

「そうそう。友達なんて、なんか分かんないけど、なんか出来てた!くらいでいいんだって!GBNなんてその辺歩いてたら、そのうち誰か話しかけてくるでしょ」

 

「……そう、ですかね」

 

「そうそう、きっと何とかなる!」

 

「大丈夫です!もしものときは私たちがお友達ですから!」

 

その何気ないやり取りが、不思議と心地よかった。

あれ?これ、逃避してない?

自分から行かないと友達って出来ないんじゃ。

そんなことをふと思った時だった。

 

「うぇあっ!?もうこんな時間、ミオリネさんに言われた門限が────」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

聞こえてきた声にスレッタの体が固まる、ギギギと機械のように振り返った先には笑顔を浮かべたミオリネさんがいた。

 

「み、ミオリネさん?」

 

「じゃ、このタヌキは回収していくわ。こいつに付き合ってくれてありがと」

 

「あ、い、いえ!」

 

「それじゃスレッタ、行くわよ。」

 

「は、はい……」

 

スレッタは慌てて立ち上がると、小さく頭を下げた。

 

「その、またお話しましょうね。エニシさん!」

 

「あ、はい!」

 

そう言いながら帰っていく二人を見つめていると、マチュもまた席から立ち上がる。

 

「私も、そろそろ戻るわ。ニャアンやシュウジも待ってるし」

 

その時だった。

 

「──()()()()()

 

聞き覚えのある落ち着いた声。

振り返ると、いつの間にかマチュさんの背後にシュウジが立っていた。

 

「シュ、シュウジ!? いつからいたの!?」

 

「さっき」

 

原作同様に、短い返事。

そしてシュウジは真っ直ぐマチュを見る。

 

「男なら迎えに行くべきだと、ガンダムが言っていた」

 

「そっか」

 

納得した様子のマチュを他所に、シュウジの後ろからもう一人現れる。

 

「もう……探したよ、マチュ。」

 

「ニャアン!」

 

「少しクレープ食べてるだけって出掛けて、全然戻ってこないし……。」

 

「ご、ごめんごめん!」

 

「まぁ無事ならいいけど。」

 

ニャアンはそう言って笑うと、エニシへ軽く会釈した。

 

「その、マチュがお世話になりました。」

 

「い、いえ!」

 

「じゃあ行こ、マチュ。」

 

「うん!」

 

マチュは歩き出しかけて、ふと思い出したように振り返る。

 

「エニシ!」

 

「は、はい!」

 

「また今度、一緒に食べ歩きしよう!」

 

「え……あ、はい!」

 

「約束ね!」

 

そう言ってマチュは手を振り、シュウジとニャアンの元へ駆けていく。

三人の後ろ姿が人混みへ消えていくのを、僕はしばらく見送っていた。

……ようやく一人になった。

いくらNPDとはいえ、同年代の女の子二人と出掛けるなんて、心臓がいくつあっても足りないよ……でも。

「またお話しましょう」「また食べ歩きしよう」

そんな風に言ってもらえたのは、少しだけ嬉しかった。

 

「友達って、こういうものなのかな……」

 

僕にも出来るだろうか、そんなことを思っていると目の前に四角いウィンドウが現れた。

────────────────────────

《緊急ミッション》

依頼人:キラ・ヤマト

急にごめん。

実はラクスが張り切って料理を作りすぎてしまって…… 一人じゃ食べ切れないんだ。

もし時間があったら、一緒に食べるのを手伝ってくれないかな?

シン達も用事があるみたいで、君しか誘える人がいないんだ。

報酬:???

経験値:???

参加しますか?

 

《YES》《NO》

 

────────────────────────

ミッションの説明に、映画の1シーンから発生したラクスさんが揚げ物を大量に作るというイメージが出来たことを思い出した。

まさか、GBNでも見ることになるとは……てかさっきも思ったけどNPDも食事って取るんだね。

そう思いながら、別に急いで遊ぶミッションやイベントもないので承諾する。

マップで指定された場所へ向かえば、ガンダムSEEDFreedomの映画で登場したキラとラクスの家を再現した建物があり、近づけば揚げ物の香ばしい匂いがする。

ゲームでこうして味覚も感じる食事を取るのは少し不思議な感じがする、そう思いながら建物に入りキラとラクスに案内された部屋へ向かえば、テーブルの端から端まで並ぶ唐揚げ、コロッケ、エビフライ、カツ、フライドチキン、メンチカツ等の揚げ物が並んでいた。

 

「す、凄いですね……」

 

「キラ、皆さんもいらっしゃると思って少しだけ多めに作りましたわ」

 

「ラクス……これは『少し』じゃないよ……」

 

何処か遠い目をしているキラさんを横目にエプロンをつけているラクスさんに、恐る恐る声をかける。

 

「その、えっと……これ何人前ですか?」

 

「六人分くらいですわ、キラは大丈夫として成長期のエニシさんもいらっしゃるのですから、張り切って作りましたわ」

 

「二十人分だよ……この量」

 

耳元でボソリと呟いたキラさんの揚げ物から推測した食事量に思わず意識が飛びかける。

 

「その、助っ人呼んでいいですか」

 

その後「先輩の誘いを断るなんて出来るわけないでしょ」「断れるわけないです……もしものときはチュチュ先輩達も呼びましょう」とスレッタと、スレッタ経由でミオリネ。

「揚げ物最高!ありがとう先輩!」とマチュ、そしてマチュを経由し「揚げ物って、片付けめんどくさくなっちゃって作らないもんね」とニャアンに「胃薬を用意しておけと、ガンダムが言っていた……」とシュウジが召集され揚げ物討伐レイドが行われたのだった。

 

 

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