他の執筆者様方はどうやって睡眠時間を確保しているのか不思議に思います。
やはり書き溜めしてから投稿するべきなのでしょうかね、次回投稿作品は完成させてから毎日投稿って形を試してみようかなと考え中です。
~ヤチヨ・ベレトside~
海でナンパを撃退してから数日、特にこれといったアクシデントはなく平和な日常を過ごしていたヤチヨ達。
かぐやの創作料理配信を見ていたベレトだったが、流れがどんどん不穏なものになっていく。
始まりは一人の求婚コメントからであった。その流れに乗るかのように一人、また一人と続いていき、いつしか求婚をするコメントであふれてしまった。
かぐやへの求婚が殺到するのは、昔からそうだった。そのため、思ったよりかは冷静でいられている。
そう、俺は冷静だ。誰が何と言おうと冷静なんだ…!
自分にそう言い聞かせることで冷静さを保とうとしているが、すでに限界が近い。
なんなんだこいつらは。かぐやはお前たちが結婚していいようなヤツじゃない。お前たちにはふさわしくない。
…いや、俺もふさわしくないか。ふさわしいのは酒寄
そんなことを考えていたその時、かぐやから衝撃的な一言が発せられる。
「よし、じゃあかぐやに勝ったら結婚な!名付けて、かぐや争奪KASSEN選手権!!」
「…は?」
いま、かぐやは、なんて言った?
結婚?は?勝ったやつが、かぐやと結婚?
なんだそれは…認められない、認められるわけがないだろう…そんなもの…!!!
独りで憤慨していると、すぐにKASSENの準備が始まる。
次々に挑戦者が決まっていき、ついに『KASSEN』、ゲームモード『SETSUNA』が始まる。
KASSENは対戦ゲーム、SETSUNAはそのゲーム中の1対1で戦う対戦格闘モードだ。
相手の体力ゲージを二本先取した方が勝ちとなる。
「ぐぇ~もう一本取られちゃった。彩葉!助けて!」
何をしているんだ、すでに1ROUND目は取られ2ROUND目も始まっている。
このままでは、どこぞの馬の骨とも知らないやつとかぐやが結婚してしまう。
俺のかぐやが、知らない男に奪われる。そんなことが…許されていいわけがないだろう!!
一瞬でスマコンを装着しツクヨミへログインする。アバターはこのままではいけない。
俺の姿を不特定多数に覚えられてしまうと、後々の計画を実行することになった際に支障がある。
ゆえに変装をすることはマストだ。武器も変えて戦闘スタイルも考えなければ。
本来ならば誰が、何人見ているかわからない配信に変装とはいえ姿をさらしてしまうことは望ましくないが、致し方ない。
「おーっと、かぐやが動かないままHPが削られ、ROUND2が終わろうとしています!これはこのまま結婚が決まってしまうのか!?」
「いろPを呼びに言ったはいいものの、まだ帰ってこれないかぐや!このまま終わってしまうのはかなりシャバいが、どうなるかぐや!?」
実況の元プロゲーマー・
そのまま勝負が決まりそうになったその時、無機質な機械音声が配信に鳴り響く。
『乱入ペナルティ、2000ポイント』
「そこまでだ…」
その音声と同時に闖入者が戦場に現れる。全身に赤を基調とした鎧をまとった、男か女かも判別がつかない謎の騎士だった。
「これは、なんと乱入です!姫のピンチに一人の騎士が馳せ参じました!」
「しかし乱入によるペナルティでHPは半減、スキルや必殺技ゲージもたまっていない状況です。これは流石に厳しいのではないでしょうか」
乱入、それはSETSUNAのルーム設定によりON・OFF可能なシステムであり、
戦闘時に第三者が各陣営ごとに一度だけ参加可能な代わりに、その第三者には大きなペナルティが課されるものだ。
ただ、視聴者からすると白けることが多く不評なルールであったため、最近は採用されることもなくなってきた。
そのため、久しぶりとなる乱入に実況解説はウキウキとした様子でその後を見守っている。
「我が名は炎帝…世界をあるべき姿に還す者よ」
「炎帝…?聞いたことがない名前です、ランカーではなさそうですね」
「そっちよりもやばいくらいの中二臭さとか、気にするべきところがあると思いますが…まぁいいでしょう、試合再開です!」
宣言と同時に炎帝と対戦相手が動き出す。
「くそっ、あと少しでかぐやちゃんと結婚できたのに邪魔しやがって!」
「叶わぬ仮定の話をして何になる?黙して戦え、小煩きものよ」
「このマッチアップ、どちらが有利だと思いますか実況の乙事照さん」
「片や拳武器による素早いヒットアンドアウェイ、片や斧による鈍重ながら重たい一撃ですから、基本的には挑戦者側が有利でしょう」
「この不利な盤面を、乱入者炎帝はどうさばくのか!?」
セオリー通り、素早いフットワークで翻弄する挑戦者に対し、地面に両足をべったりと付けたままの炎帝。
ともすれば油断か舐めプと判断されそうなその振る舞いに、鋭い攻撃が背後から襲い掛かる。
「もらっ…ぐぁ!」
「愚かなるものよ、地に伏せろ」
「決着ー!なんと、死角からの攻撃に対し、カウンターが決まり一撃での決着となりました!」
「あの重そうな鎧姿からは考えられないくらい、見事な素早い身のこなしでしたね」
予想に反し、相手の攻撃に対しカウンターを決めることで、勝負は一瞬で決まった。
思わぬ実力者の登場に場が沸き立っていると、いつの間にか彩葉を連れたかぐやがそこにいた。
「うぉ~!彩葉、あの人すっごい強かったね!」
「うん、あんな強いプレイヤー滅多にいない。でも、今まで炎帝なんて名前聞いたことないけど、どこを主戦場にしてたんだろう?」
酒寄彩葉嬢の準備も完了しているようだし、俺の出番はここまでか。
ただでさえ目立つのはまずいのだから、早急に離脱しよう。
「そこの女」
「え、私ですか」
「そうだ。保護者としてしっかり面倒は見ておけ、次はないぞ」
「あ、ありがとうございました。…って別に保護者ってわけじゃ」
一言だけ残しすぐさまツクヨミからログアウトする。
スマコンを外し一息ついていると、ふと頭に疑問がよぎる。
この結婚騒動についてヤチヨから何も言われていなかったが、勝手に乱入してよかったのだろうか?
もしかすると元々は違うストーリーで進むところを、改変してしまったのではないだろうか。
そんな心配をしていると、イヤホンからヤチヨの声が聞こえてくる。
『お疲れ様、ベレト。いや~やっぱりあれってベレトだったんだ』
「ヤチヨ、見ていたのか。俺の介入は最初から分かっていたのか?」
『うんにゃ、誰かが介入したのはわかってたんだけど、ベレトなのかの確信はなくってね☆まぁ十中八九ベレトだとは思ってたんだけど』
「なら教えてくれてもよかったんじゃないか?それならあんなにギリギリになることも『ねぇ、ベレト』っ、ヤチヨ?」
話を遮る形で聞いてくるヤチヨ。人の話を遮って話してくるのはヤチヨにしては珍しい。
続きを待っていると、ぽつりとこぼすように問いかけてくる。
『ベレトはさ、かぐやが結婚してほしくないから焦って乱入したんだよね。普段なら私に聞いてから乱入しそうなのに』
「まぁ、そうだな。」
『それってさ、なんで焦ったの?』
なんで、ときたか。ヤチヨは何を気にしているのかと思ったが、アレだろう。
以前気にしていた、今の自分よりキラキラのかぐや姫の方がいいんじゃないかと不安になっているんだろうな。
「それはもちろん、かぐやが結婚するとなったら、ヤチヨも結婚していたことになるだろう。それは、嫌だな」
『…やっぱり、私が結婚してたことになるのが嫌ってことだよね、そうだよね!いや~そうじゃないかにゃ~と思ってたんだけど、やっぱりそうだったか~♪』
思っていたのと反応が違ったな、以前の問答で自信を持ってもらえたのだろうか。
そうであるなら、こんなに嬉しいこともない。
その後は27連勝する酒寄彩葉嬢のプレイングと、プチ炎上したかぐやの配信を、ヤチヨと一緒に見届けた。
「配信終了か、じゃあそろそろ俺は寝るよ。お休み、ヤチヨ」
『あ、ベレトちょっと待って』
「?」
『このあとのミッションなんだけどね、そのー、えっとね…』
「どうした、そんなに頼みにくいことなのか?」
『ベレトが目立ちたくないのは、すっごく承知の上なんだけど…ごめんね☆』
そうして告げられたミッションを聞いたベレトの顔は、珍しく無表情を崩し苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。
そんな珍しいワンショットを目撃したヤチヨは、秘蔵のベレトフォルダにその表情を保存するようFUSHIにこっそりお願いしていたという。
炎帝:FE風花雪月に登場するキャラ。ボイチェンを使ってるみたいな声質をしているが喋り方で正体がバレバレだし、正体を知っているうえで言動をよく観察していると誤解されたくないんだろうな…となりちょっと面白い。あと中二病患者。