ある意味大人気な令和最新のクソゲー『ファイナルソード~英雄の誕生~』
ネタゲーとしてそれなりのファンである貴方は、二週目を女主人公で遊んでいたところ突如としてファイナルソードの世界に転生してしまう!
「ネタゲーとしては笑えるけど! 現実としてはやりたくねえが!?」
これは現実への帰還を目指す内に、新たな英雄となってしまう話。
※『ファイナルソード~英雄の誕生~』のネタバレがあります。ご注意ください
闇で覆われた世界にあなたは燦爛たる光を灯すでしょう。
どうか怪物たちの群れを蹴散らす先駆者になってください。
「クソゲー!」
一部の高難易度ゲームやPVPゲーム等でよく聞く言葉である。
夢中になりすぎたり、理不尽に感じる難易度や展開に思わず漏れたり、拙いところもあるが笑えるがゆえに愛を込めて呼ばれたりすることもある言葉だ。
たまに匿名掲示板でも目に入ることがある。
『〇〇ってクソすぎるだろ』
○○の部分に入るのはまあゲームに依って変わるのだが、ゲームの話になると大抵一つはあったりする。
そして帰ってくる返答も大体似たような物だ。
『ゲームのせいにする前に少し考えろ』
これはちょっと言葉が強いとは思うが……。
何も説明せず、他人との共感を求めてか安易にクソとつける言葉を出すとこういわれることが多い。
だがファイナルソードは違う。
『ファイソってクソすぎるだろ』
『バチャバチャうるさすぎて草』
『クリムおじさん支離滅裂すぎんか』
『言葉のデッドボール』
『脇の石登ったらクソゾンビ共避けれるぞ』
『小遣いで薬草買ったら詰んだわ』
『砂漠のミミズ強すぎワロタ』
『門を開けますか? じゃねえよ』
『この村のBGM、明らかにゼ○ダじゃね?』
良くも悪くも満場一致のクソゲー。
『陣○がエン○でやるゲーム』
それがファイナルソードなのだ。
「おい、おい。お前」
肩を揺らされる感覚がする。
ゆっくりと瞼を開くと、尖った丸太で建てられた柵が目に入った。
俺は確か…さっきまで痔用の円形クッションに座りながら、swit○hライトでファイナルソード二週目を遊んでいたはず……。
「おい。お前」
「うわあああああ?!」
見知らぬ黒人の顔面がドアップで視界に入り、思わず後ろに倒れてしまった。
不思議とどこか見覚えのある柵と目の前の男の装備を見ながら、なんとか立ちあがる。
「やっと起き上がったか。倒れたぞ
どうしたんだ?」
「え?」
一瞬不自然な日本語に気を取られたが、相手はどうやら自分を心配してくれているらしい。
なんとなく地面についた……想像よりも小ぶりな尻を手で叩き、思わずそっちを確認しそうになるが。
目の前に人が居ることを思い出し、顔を向け直す。
「ええっと……ここは一体どこですか?」
頭一つ分背の大きい相手の顔に合わせるため、見上げた。
どこか既視感を感じる丸太の柵とその前に立つ男を。
「ここはローレル村だ。チビ」
「ローレル、村……?!」
「おい!!!!どこへ行く道だ?????」
そんな訳がない、そんなことが起こるはずが……。
衝動的に男を無視して走り出す。
どこか見覚えのある店、二階建ての建物、アセットストアに売ってそうな一軒家。
それらを通り過ぎながら、この村の端っこにある二階建ての建物。本当ならそこにある筈だ。その裏に回って____
「嘘、だろ……」
裏にあった宝箱と。
テクスチャを貼り忘れたのか、裏の地下室への入り口っぽいでっぱり。そこの下のみが透過されて、透過バグのようになっている建物を見ながら。
俺は、確信と共に地面へ両膝をついた。
そう。ここはあのローレル村。
ファイナルソードの主人公が旅立つ最初の村である。
「クソゲー!」
二度とやらん(ファイナルソード二週目女主人公で攻略中)