超闘争ALT プロジェクト・ファンタズマ -i 作:独立傭兵月兎(仮)
勝負はついた。
ツクヨミの空には、私の勝利が大々的に映し出されていて。
辺りからは歓声が響いていた。
私はそれに目もくれず、未だ立ち上る土煙のなかに歩みを進める。
「うへぇ…これじゃ、
どっちが勝ったか解んないや…」
左腕は千切れ飛び、折角の衣装も焼け焦げてしまっていて。
だけどそれでも、九朗のくれた髪飾りだけは輝いていた。
「…居た。」
─────────────────
「…動け、俺の身体…
まだだ…これから、もっと、面白く…!」
九朗は動かなくなったその身体を動かそうと、
必死になっていた。
「まだなんだよ…
やっと、満たされたんだ、だから…っ」
まだ終わらせたくないと、泣きそうな顔で。
「九朗。」
私は優しく、
だけど何処にも行かないようにだきしめた。
「…っ、かぐや…?」
「かぐや、すっごく楽しかったよ。九朗は?」
「…ああ、すごく、面白かった。
終わらせたく、無い程に。」
口惜しそうに、九朗は言う。でもね?
「…終わらないよ。
終わらせるわけ、無いじゃん。」
「…かぐや?」
わたし、もう我慢しない。
「…好き。
九朗、大好き。
かぐやね、九朗の為に強くなったよ。
これからだって、九朗が望むなら何度だって戦ってあげる。
…それだけじゃないよ?
かぐや、九朗とやりたいこと、いっぱいあるもん。」
「九朗に、かぐやの作った料理を食べて欲しい。
それで、九朗に美味しいって言って欲しい。
九朗の歌声が聞きたい。
また九朗と彩葉と歌いたい。
何でもない日でも、みんなで一緒に居たい。」
想いが、どんどん溢れてくる。
「…九朗に、側に居て欲しい。
彩葉も、九朗も。
みんな連れていくの。
そこに、九朗が居なきゃ、絶対やだ。
…だから、いっしょに帰ろう?」
そう言って、もっと身体を密着させる。
少しの沈黙の後、ずっと私の言葉をただ聞いていた九朗が、口を開いた。
「…かぐ、や」
動かない筈の、彼の手先が持ち上がる。
…黒い外装が剥がれ、辛うじて動くようになった腕に武器は握られておらず。
ただ、どこまでも優しい抱擁を受け入れてくれた。
「帰っても、いい、のか?」
ボロボロと、九朗の纏っていた黒い殻が崩れていく。
「良いに決まってるでしょ。」
私が口を開くより先に。
後ろから、彩葉も九朗を包んだ。
「九朗の身体も、ちゃんとあるよ。
戻ってきて欲しかったから。
…それに、私も九朗の事が好きだから。
芦花も、カヨコも、広美も、リンちゃんも。
みんな、九朗を待ってたんだ。」
「…だから、安心して降りてきてよ、九朗。」
九朗がやってくれたように、優しく頭を撫でてあげる。感覚こそ無いだろうけど、九朗に届いて欲しいから。
「…かぐや、いろは」
やがて、全ての殻は剥がれ落ちた。
そこに居たのは。
「…また、お前に助けられたな…
ごめん…ありがとう…ッ」
雨は止み、再び綺麗な夜がやってくる。
私たちは九朗が現実へと帰るまで、
その身体を抱きしめ続けた。
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意識が浮上する。
久し振りの肉体はあまりにも重く、
そして視界は殆ど失われていた。
…だけど、そこに沢山の待たせてしまった人達が居るのは確かで。
右手に感じる暖かさは、
間違いなく「彼女」のもので。
「ただいま、かぐや」
「…おかえり、九朗っ!」
顔すらもう見えやしないけど、確かに彼女が笑った気がした。
…これにて、此方の怪文書は終了となります。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
また、元となる「超闘争」を書き、三次創作のお許しを下さった四脚好き様、そして「超かぐや姫!」「ARMORED CORE 」をこの世に産み出した方々に多大なる感謝を。