内容は……個人的に満足です。エンディングにあの曲を出してきたのは上手いですね。
さて今回は、バタフライ効果が大きくなってきました。
ベースキャンプが決まると……なんか急に暇になった。
トイレ問題で揉めていると思ったのだが、池と篠原が歩み寄って仮設トイレと簡易シャワーを導入することになったか。幸村がどうしたのか知らないけど、平和が一番。このことは覚えておこう。
で、手持ち無沙汰。
夕方近いけど真夏なので日はまだ高い。ふむ?
荷物の中から五十円玉を取り出す。高育外なのでもしかしてと思って現金を持ってきたのだ。
川の水をチョンと垂らすと、できたのは即席の凸レンズ。森から拾って来た枯れ木と乾いた葉を地面に置き、ゆっくりと位置を整える。道場の先輩に教わったサバイバル技術だ。
時間的に遅いかと思ったが、枯葉は熱せられ、微かに焦げ目と共にチリチリ火を帯びてくる。松ぼっくりとかあるとと良いのだけど植生の問題か、何故か見つからなかった。なので慎重に枯葉を追加していく。火と火が重なると炎になる。炎に細く割った枯れ枝を近づけ燃しにかかる。
「何してるんですか?」
声をかけてきたのは佐倉さん。丁度よい。
「ちょっとそこに座って、風よけになって」
巨乳に風よけになってもらい、風量は手でパタパタ。良し、枝に火が移った。
枯れ枝を少しずつ足して、炎を大きくしていく。いきなり太い枝はNG。ゆっくりが大事。
「キャンプで火って何となく、良いね」
と来たのは松下さん。いつの間にか隣に来て、火が大きくなるの面白そうに眺めている。
「山籠もりで先輩に習ったんだよ、キャンプでの火のつけ方」
マッチとか無くした時のサバイバルの手順だけど。
木の枝で穴を掘って、枯れ木を細くちぎって積んでいく。俺にはそこら辺の石を使って竈を作るなんて芸は流石にないので、これで精一杯。キャンプファイヤーが出来たらよいな。
「そういえば武術道場の合宿で山籠もりとか言ってたけど、何してたの?」
松下さんが面白そうに問うと、佐倉さんも興味ありという顔をする。あれは、スコップが活躍したことを除けば、そうだね……
「……イノシシは美味しかったな」
師匠が捕ってきたイノシシをバラシて食べた。……師匠は狩猟免許を持っているそうだけど、素手で結構なサイズのイノシシを倒すのはなにか違うのではないか? あとは……
「ヘビにはカレー粉がよく合うな」
ギョッとした顔で女子二人が引くが、何故だろう? 生態系的にこの島にも蛇くらいはいるだろう。毒があったとしても即死するようなブツはいないはず。うまく捕まえたら……ポイントでカレー粉もらえないだろうか?
荷物の中に十徳ナイフを忍ばせてあるので、蛇の解体はできるなと考えつつ舌なめずりしていると。
「富士宮くん、少し良いかな」
と平田の声。ダメだよ、と否定するのはなんか違うので仕方なく席を外す。当然だけど松下さんと佐倉さんには火の番をお願い。折角育てた炎をダメにされてはたまらない。放っておくと山内あたりが生乾きの枝を突っ込んでダメにしそうだ。
着いていくとなんちゃってリーダーの堀北と綾小路。
このカップル、また何か問題ごとかと思えば、薪採りに行った綾小路が森で一人ポツンとした女生徒を見つけたそうな。明らかに他クラスの子だ。彼女をどうするのか、という話らしい。何故そんな話に俺が巻き込まる?
「綾小路くん、今はクラス対抗の試験の最中よ、よそのクラスの子に構っている余裕はないわ」
と、なんちゃって限定リーダー。
「でも放っておけないよ」
と、優柔不断な常態クラスリーダー。
「そろそろ日が暮れる、女生徒一人だと危険かもしれない」
と、心にも無さそうな影の実力者。
意見が纏まらないので俺の意見を聞きたいそうだ。で! 何故に? 俺!?
まあ、常識的な判断をするにだ、
「今はクラス対抗の特別試験の最中だ。他所のクラスの生徒に構っている余裕はない」
というと我が意を得たりと堀北が頷く。でもだ、
「だけど特別試験と言っても、本質的には学校行事の一環だ」
と今度は理解不能という顔。困った顔しかしない平田と無表情な綾小路より生の感情が出るのは人がましい。
「つまりだ、学校行事で生徒が怪我とか変なトラブルに巻き込まれるのは、学校側としても望ましくないわけだ」
国策機関としては野党につっこれる可能性があるトラブルは、困るということ。つまり、
「そういうトラブルは教師に回しておけば良いんだよ」
「ああ?」
「そうね!」
「……」
と納得した顔をする三人。Dクラスは下手な干渉をせず、放置少女は学校側に任せればすべてOK。冷静になれば文句なしの対応だ。
「うん、わかったよ」
と平田が早速腰を上げる。俺は茶柱とは因縁があるので納得の人選だ。
クラス監督の為、担任もしくは副担任がベースキャンプの近くで控えている。当然だ。ポイントで何か買うため以前に、不慮の事態に備え、学校サイドの人間はベースキャンプの近くに居る必要がある。彼らとしては件の女生徒は他クラスの生徒だが、高育の生徒に違いない。無視してなにか起こったら色々厄介なことになる。
Dクラスの近くに誰かさんを放流した誰かさん。なにを考えていたのかは想像つかないでもないが、なにか根本的に間違えているぞ。
その後、偵察に行っていたメンバーが食べられそうな果実とか採取してきた。ただし、いつの間にかリタイアしていた高円寺を除いてもクラスの人数は39人。分母が大きいので一人分としては極僅か。まあ携帯食だけだと味気ないので気分転換にはなったか。
【悲報】伊吹さん出番消失!
ナオキ君は本質的に教師陣より高育側の人間のため、学校の立場を鑑み、教師に頼るのを躊躇わないのです。
……元々のプロットでは伊吹さんはちゃんとスパイとして潜り込む予定でした。しかし話の流れがバタフライ効果で、潜入が難しいと考え直しました。
原作では綾小路の枯れ枝拾いについてきた山内が、スケベ心で伊吹さんをDクラスに招いてます。
本作では綾小路に佐倉さんは懐いてなく、さらに雫の正体を知らない山内が枯れ枝拾いについて来る筈もなく、綾小路単独だと伊吹さんはスルーです。
正直ツンしかない伊吹さんでは、単独でDクラスでも潜り込めむシチュエーションが思いつきません。
二次小説ではDクラス女子が伊吹さんを拾うパターンもありますが、あのメンツがそんな人がましい訳ないでしょ。
ただ、龍園君の人選が悪いのではなく、伊吹さんに頼らざる負えないCクラスの人材層の貧弱さが問題だと思われます。