変身忍者嵐より 千恵(毒蛾くノ一)の異なる未来   作:shpfive03

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こずえと骸骨丸

ハヤテが食事を終わって少しくらいした頃、こずえが再び

 

「失礼します」

 

と声をかけてくる。

 

「どうぞ」

 

とハヤテ。

 

それを確認してからこずえが障子を開けて入ってきた。

 

食膳を片付けるこずえに、ハヤテは

 

「こずえさんは、いつからここに?」

 

と、聞いてみる。

 

「珍念さんたちのお寺にお世話になっているものだとばかり思っていた‥‥」

 

が、こずえは「いつから」という問いには答えることなく

 

「寺は出ました」

 

と答える。

 

「お和尚さんも、珍念さんも善い方たちなんですけど、あそこにずっとお世話になるのでしたら、私は尼になるしかなくなってしまいます」

 

淡々と話すこずえ。

 

確かに寺にお世話になることで、こずえの将来について、深く考えることもなく安心していたなと、ハヤテは反省する。

 

一方で、こずえは

 

「ずっと兄を弔っていくことも考えてしましたけど、ある方からこちらをご紹介いただき、それをきっかけに、こちらに移ってきました。どのみち、兄、小次郎はもう帰ってきませんし‥‥」

 

と続けたあと

 

「ハヤテさん、お風呂の方、お願いします。その間に私の方で床の準備をいたしますので」

 

と、ハヤテのそれ以上の話を遮った。

 

ハヤテはこずえとの間に急に距離が出来たのを感じたが、とにかく

 

「わかった」

 

と返事をし、風呂に行く。

 

戻った頃には、既にこずえの方で床の準備を終えていた。

 

「それじゃ、ハヤテさんおやすみなさい」

 

とこずえが挨拶をする。

 

「こずえさん、ありがとう。また明日話そう」

 

とハヤテ。

 

が、こずえはそれには答えず

 

「失礼します」

 

と障子を閉めた。

 

ハヤテは寝床で横になりながら

 

こずえのこと、小次郎のことについて、あらためて考えてみた。

 

結論など、出るはずもなかったが‥‥

 

ひょっとしたら、先ほどの吸血鬼と化した群衆が暴徒となって、ここを襲撃する可能性もある。

 

が、その時は自分がここの皆を守るまで。

 

ハヤテは忍び装束のまま、仮眠に入る。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

こずえはハヤテの泊まる部屋から出ると、この宿の奥にある離れの方へと向かった。

 

住み込みで働いているこずえの部屋がそこにある。

 

離れにつき、部屋の障子を開けると、緊張の糸が切れたのか、ふいにこずえの目から涙が溢れてくる。

 

そして部屋の中に入り、障子を閉めると、溢れる涙が止まらなくなり、思わず部屋の中でワアッ!と泣き出してしまった。

 

悲しいよりも、悔しかった。

 

血車の郷でいじめられっ子だった自分を、いつも庇い、助けてくれた正義感の強い上忍の子、ハヤテのことは、ずっと大好きだった。

 

だが、そのハヤテは、あの千恵という女のことについて

 

「化身忍者にはふさわしくない綺麗な心の持ち主」

 

などと、言っていた。

 

なら、私の兄は、山彦小次郎は、

 

「化身忍者にふさわしい悪の心の持ち主だから」、変身忍者嵐に躊躇うことなく斬られたのか?

 

あの時、兄、小次郎が斬られた時、その場にいた自分の胸が思わず張り裂けそうだったのをハヤテは知っているのか?

 

また、もし自分が武運つたなく敗れ、あの千恵という女と同じ立場にたったとしても、それ故に命を助けてほしいとは思わない。

 

その時はハヤテの目の前で、自分の首なり、心臓なりを突き刺してでも自害して意地を見せてやる!

 

すすり泣くこずえの前に、突然、煙と共に姿を現した人物がいる。

 

「骸骨丸さま‥‥」

 

こずえは泣き止んだ。

 

血吸いコウモリ(・・・・・・)、首尾は上々のようだな!」

 

姿を現した骸骨丸は、こずえ、いや、その姿をした化身忍者、血吸いコウモリに対して声をかけた。

 

「はい、骸骨丸さま。ご命令の通り、ハヤテをこの旅館に泊まらせました」

 

こずえの姿のままの血吸いコウモリは、骸骨丸に対して、そう答える。

 

「私としては、ハヤテの血を吸い、我が意のままにしてしまった方が手っ取り早いようにも思いましたが‥‥、今日だけでも、それが出来そうな機会は何度となくありました」

 

骸骨丸は苦々しそうに

 

「ハヤテを見くびるでない」

 

と、血吸いコウモリに対して釘を指す。

 

「あやつはどんな毒でも耐えられるよう修行を積んでおる、南蛮渡りの強烈な毒を盛られても、奴には効かんのだ。以前、別な化身忍者が奴に直接毒を飲ませたことがあったのだが、奴には効かなかったどころか、逆に、その化身忍者マシラの正体を暴きおった」

 

そこまで言ったあと、血吸いコウモリが、でも自分の吸血ならと言いたげな様子なのに気づいた骸骨丸は

 

「普通の人間なら一度お前が吸血すれば、その意のままに動かすことは造作もないだろうが、恐らく奴には効かない可能性が高いし、結果としてお前の正体がバレてしまっては、後々やりにくくもなってしまう。少なくとも今晩では早い」

 

 

と念押しする。 

 

「むしろ一網打尽ということを考えると、今晩のうちにタツマキたちや毒蛾くノ一も一緒に来てくれた方がよかったのだが‥‥」

 

血吸いコウモリは、骸骨丸に

 

「わかりました、骸骨丸さま。いずれにしても、この旅館のもの全員に私の吸血はなされています。今晩は待てとのご命令だったので、宿の者にも自由に振る舞わせただけのこと。明日、タツマキたちはここに来ます。その時にあらためましょう」

 

と言った。

 

「うむ、では頼むぞ」

 

骸骨丸はそこまで言うと、再び煙と共に姿を消した。

 

 

それを見届けた、こずえの姿のままの血吸いコウモリは、あらためて決意する。

 

ハヤテ、そして伊賀忍ども、そして血車党に対する裏切り者の毒蛾くノ一。

 

明日、決着をつけてやるぞ。

 

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