変身忍者嵐より 千恵(毒蛾くノ一)の異なる未来   作:shpfive03

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本作品で使用されている変身忍者千恵のイラストは、元々はXユーザーgeorgiathanさんが旧Twitter時代に投稿していたものを使わせていただいているものであることをお断りさせていただきます。


骸骨丸、そして化身忍者毒蛾くノ一楓現れる

 

骸骨丸は北九州から関東近くの新しい拠点となった髑髏館までくノ一楓と共に転移の術で移動し、そして

 

今、目の前の化身忍者に早速の出陣を下知する。

 

「いくぞ!、毒蛾くノ一楓。お前の初陣だ。これより早川城まで転移する!」

 

血車忍法としての『転移の術』の行使要件の一つは『一度行ったことのある場所に限って瞬時に移動できる』というものである。

 

が、上級者である骸骨丸は例外であった。

 

彼に限っては、目的地についての十分な情報さえあれば、そこへ飛ぶことができる。

 

これは彼の学識と無縁ではない。

 

化身忍者の中には文字の読み書きすら出来ない者すらいるが、彼は教養ある武人でもあり、従って必要な文献を読み、その場所をイメージすることが出来た。

 

そして骸骨丸の命令を受けた毒蛾の化身忍者である毒蛾くノ一楓は

 

「イーッ!、ヨーウゥゥー」

 

と声をあげると、目の前にいる骸骨丸に向かって

 

「お言葉ですが骸骨丸様、現在、我が血車党に『化身忍者、毒蛾くノ一』は、この私一人しかおらぬはずです。それに今後の江戸潜入を考える上でも『楓の名前は伏せておいた』方がよいように感じますし、やはり、私のことは、ちゃんと『毒蛾くノ一』と呼んでほしく思います」

 

と言った。

 

「なるほど、もっともな話だ」

 

骸骨丸は我が意を得たりとばかりに頷き、そして

 

「では、現在、ハヤテたちと行動を共にする、あの『裏切者』はなんと呼べばよい?」

 

と、目の前の『毒蛾くノ一』に向かって問い返す。

 

「フフフ、それは、もう」

 

毒蛾くノ一楓は笑った。

 

「それこそ、言葉通り『出来損ないの裏切者』と呼んでやればよろしいかと」

 

それを聞いた骸骨丸は思わず手を叩く。

 

「よかろう、気に入った!」

 

そして

 

「行くぞ!、毒蛾くノ一、早速お前の実力を試す時だ」

 

と言った。

 

毒蛾くノ一は再び声をあげる。

 

「イーッ!、ヨーウゥゥー」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

変身忍者嵐と血吸いコウモリが姿を消したあとの早川城内は混乱していた。

 

血吸いコウモリによる呪縛が解けた人々も、だからといって『正気を取り戻したわけでもなく』、ただ、右往左往するばかり。

 

「ええい!、皆の者静まれ、静まれ!」

 

阿部備中守が大声を出すも、城内はパニック状態がなかなかおさまらない。

 

カスミが呟く。

 

「こずえさんからの『思念の糸』が切れただけで、みんな、まだ『吸血鬼』のままだから‥‥」

 

いずれ、この後で皆の治癒は、自分が責任を持って引き受けないといけない、とカスミはあらためて思う。

 

ただ救いは首席家老の阿部外記が、ともかくも一応の正気を取り戻したということてある。

 

一応、自分が血吸いコウモリに操られていた時の記憶もあるようだ。

 

「殿、この度は面目ござらん!」

 

備中守に向かって、急ぎ頭を下げる。

 

一方、備中守は、その外記を叱責する。

 

「外記!、この度の不始末、この場を収拾することで償え!、まずは正気を取り戻したものを集め、混乱を静めよ!」

 

外記も、一応は首席家老をつとめるものとしての自覚を見せ

 

「心得まして候!」

 

と、早速、大きな声と手振りで、その場の家臣たちに呼びかける。

 

一方で、先ほどまでは十人程度だった血車党の下忍たちも、増援が他の階から上がってきて、二十名近くにはなる。

 

「キーッ、キキイィー」

 

下忍たちの中には、混乱に乗じて側にいる者を人質にとろうとするものもいるのだが、タツマキ、カスミ、ツムジのそれぞれが、その都度、効果的に手裏剣を投げ、ある者は斃れ、ある者は負傷し、結果的に人質をとることは出来ないでいる。

 

斬りかかってくるものもいるが、千恵が見事な太刀さばきで反撃し、たちまち斬って捨てる。

 

「ええいっ!!」

 

千恵には血車党の下忍たちを斬ることに対する躊躇いはなかった。

 

殺らなければ殺られる

 

それだけのこと。

 

変身忍者嵐とさえ互角に戦うことの出来る千恵の剣の腕に立ち向かえるだけの血車党下忍はいなかった。

 

そうしているうち、自然に備中守と松丸、それに奥女中たちが集まり、それをタツマキ、カスミ、ツムジ、千恵の四人が守るような形になった。

 

備中守が、猛烈な勢いで下忍たちと斬り合いをする千恵について

 

「カスミ殿」

 

と、カスミに尋ねる。

 

「タツマキ殿、ツムジ殿はともかく、あの『女人剣士』の方は一体?」

 

カスミは澄まして答える。

 

「私たちの『仲間』です」

 

備中守は納得出来ないまま

 

「いずれにしても、あの女人の剣の腕は尋常ではない」

 

と呟く。

 

場の混乱は正気を取り戻した阿部外記や、それに応じた武士たちの働きもあって静まりつつあり

 

血車党の下忍たちも斬り合いでは劣勢で人数を減らしつつあった、その時である。

 

突然、その場に煙がもうもうとあがったと思うと、二人の人影が姿を現した。

 

いや、『人影』と言っていいのだろうか?

 

「血吸いコウモリめ、功を焦りおったな!」

 

舌打ちとともに、そこに現れた『人影』を見て驚愕するタツマキ、カスミ、ツムジ、そして、誰よりも千恵。

 

一人は言うまでもなく、血車党を事実上指揮する上忍である骸骨丸。

 

もう一人は

 

「イーッ!、ヨーウゥゥー」

 

タツマキ、カスミ、ツムジ、そして千恵にとり、これ以上ないほど見覚えのある血車党の化身忍者『毒蛾くノ一』だったのだ。

 

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その『彼女』は宣言する。

 

「血車党の新しく作られた化身忍者、毒蛾くノ一。お前たちに私の力を見せてやる!」

 

タツマキとカスミは、思わず千恵の方を見てしまう。

 

だが、いち早くツムジが気づいた。

 

「親父、カスミ姉ちゃん、この化身忍者の髪の毛は血の色のように真っ赤だよ、雰囲気も千恵お姉ちゃんと全然違う!!」

 

そう言ってツムジは目の前の『化身忍者、毒蛾くノ一』を指差す。

 

骸骨丸が感心したように

 

「ほう、伊賀の小僧、よく気づいたな!」

 

と腕を組む。

 

「その通り!、新しい作戦を実行するにあたり、我が血車党の方で『新しい毒蛾くノ一』が必要になった。だから新たな毒蛾くノ一を誕生させたのだ。当然新しく作られた分、能力も前のものより上回っている」

 

そのように胸を張って言う骸骨丸に、千恵は

 

「なるほど、そちらからすれば『私の代わり』など、いくらでも用意できるわけだ、それはけっこう」

 

と皮肉な視線を向ける。

 

「黙れ、出来損ないの裏切者!」

 

骸骨丸は千恵の皮肉に冷ややかに応じると

 

「やれ、毒蛾くノ一!、そこにいる『出来損ないの裏切者』と伊賀忍たちを始末しろ。お前の実力なら十分なはずだ。この場に変身忍者嵐はいない!」

 

「イーッ!、ヨーウゥゥー」

 

『化身忍者、毒蛾くノ一』は頷く。

 

「わかっていると思うが、カスミだけは後で捕らえよ」

 

と骸骨丸は付け加える。

 

一方、形勢逆転と見て、残っていた血車党下忍たちも体勢を立て直した。

 

変身忍者嵐不在の状況で

 

目の前には『化身忍者、毒蛾くノ一』と、十名ほどの血車党下忍たち、そして骸骨丸もいる。

 

タツマキ、カスミ、ツムジが実力ある伊賀忍者であっても、また、阿部備中守の助けがあったとしても

 

人の身で、超常能力を持つ化身忍者とまともに戦うのは現実問題として無理である。

 

いずれにしても、この場でまともに戦えるのは自分しかいない。

 

千恵は決断し、両手をグロスして『化身!』と叫ぼうとした。

 

だが、その時である。

 

その場にはいないはずのハヤテの声が、なぜか千恵の耳には聞こえてきたのである。

 

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千恵の耳に聞こえるハヤテの声は言った。

 

「いいか、千恵さん。『ケダモノに化ける』のではなく、『人の心』を持って『身が変わる』、それが『変身忍者』という意味なんだ!」

 

千恵は、ハヤテからそのような話は今までに一度も聞いたことがない。

 

だが、それは確かにハヤテの声のようにしか思えなかった。

 

一瞬のことだったのかもしれない、だが千恵にとっては、それで十分だった。

 

千恵はあらためて両手をグロスし、そして叫んだ。

 

「変身!」

 

その上で両手を大きく上に回し、再びクロスさせる。

 

千恵の体が光輝いたかと思うと

 

次の瞬間には、千恵は『変身』していた。

 

その姿はかつての『毒蛾くノ一』と似ているものの、明らかに違う。

 

体型も以前と比べて優美であり、より人間的な雰囲気を醸し出している。

 

何よりも顔の下半分が違う。

 

かつての『毒蛾くノ一』は、顔も毒蛾そのものであり、細長く伸びた口吻が特徴的で、表情もないようなものであったが

 

今の『変身した千恵の顔の下半分』は、変身前の千恵と同じく、人間的な鼻も口もあり、ハッキリと表情も分かるようになっている。

 

見ようによっては、顔の上半分だけ仮面をつけているように見えなくもない。

 

一方で後ろに垂らした、耀くような金色の長髪は健在である。

 

目の前の『化身忍者、毒蛾くノ一』の深紅の長髪とは見た目にも違いが分かる。

 

 

 

【挿絵表示】

 

    ©️georgiathan

 

 

少なくとも、これなら『変身した千恵』と、目の前の『化身忍者、毒蛾くノ一』を見間違えることはないだろう。

 

「千恵お姉ちゃん!」

 

ツムジが声援するかのように声をかける。

 

明らかに、この少年忍者は『今の千恵の変身した姿』から、何かを感じ取っていた。

 

「ツムジさん、そして皆さん」

 

千恵は静かに、備中守、松丸、そしてタツマキ、カスミ、ツムジの方を振り向き、キッパリと宣言する。

 

「変身忍者嵐不在の今、この場は私が守ります。私は決して負けません!」

 

そして剣を構える。

 

「かかってきなさい、毒蛾くノ一!、私が相手です」

 

『化身忍者、毒蛾くノ一』が叫んだ。

 

「イーッ!、ヨーウゥゥー」

 

そして

 

「これを見ても、そんなことが言えるのかい?」

 

笑いながら、千恵にとっても見覚えのある、あの『七色の狂い毒粉』の詰まった短筒を手に持ち、構える。

 

「お前はこれに耐性があるというのは骸骨丸様から聞いて知っているが、後ろの人間たちはひとたまりもないはず」

 

そして『化身忍者、毒蛾くノ一』は勝ち誇ったように

 

「さあ、どうする?」

 

と千恵に向かって言いはなった。

 

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