壊れた時計のテネシア・グレドが愛を知るまで   作:なるのせ

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手に余る幸福と机上

 フレムディル中腹、アグニレオン領辺境、ポストエンドルフィン。また更にその外れに、彼女の工房はあった。

 

 随分と長い旅であった。まさかアルカディオンにすら住んでいないとは思いもしなかった。

 

 おはよう、DDD(ディースリー)だ、よ? 慣れないな、この名前、まだ。

 

 というか名前自体に全く慣れない。スラムで呼ばれる時も、おい、とかお前、とかそういうのだったし、私に名前なんて必要無いと思ってた。着けたがる人も居なかったし、とは言えこんな不本意な付け方されたのもちょっと、怒り。

 

 フレムディルとアウラディロームは隣合っているとは言え、中腹と中央だ、それなりに距離はある。なので、転移符……? と転移抗……? を使って白魔術である転移を使ってやって来た。(あとで知ったが、この魔導具だけで村1つを数十年養えるだけの値段らしい。怖い)

 

 道中、自分を魔導具師であると説明したテネシアはこの場所を工房であると言った。あの魔導具を作る場所であると言う。

 

 それはなんて素敵なんだろう! とわくわくしながら扉を開けて、あり得ない程の散らかりようにげんなりした。

 

 玄関を開けると、そりゃあ玄関が広がっているのだけど、なんと玄関まで物で溢れている。なんとか足の踏み場は確保されているものの、なんというか、汚いというよりも、あり得ないくらいごちゃごちゃしている。

 

「うわ……」

 

 この廊下に転がっているガラクタ1つで、あのスラムで王様に成れたろうに。

 

「すまない、今はかなり散らかっていてね」

「何が、どうすればこん、な……?」

 

 ようやく喋る事に慣れて来た喉で一生懸命発音する。テネシアは私の声に耳を傾けながら、ぽりぽりと頬を掻く。

 

「急いでいたんだ。アルカディオンの計画をいち早く台無しにしたくてさ。その為の魔導具を沢山作った所為で、このありさまさ」

 

 そもそもこの人はどうしてあの施設を壊すなんて奇想天外な事を思ったのだろう。色々と道中語ってくれたけれど利己的な感情でってしか教えてくれなかった。

 

 そもそも私、何の実験をされてたんだろう。

 

「なんで、わた、しを拾ったの」

「頷いたから。それだけで理由は十分だ。君だけが生きたいと言った。だから、だね」

 

 テネシアは私の手を取って奥へと誘導する。これから私はどうなるんだろう。何をされるんだろう。あの場所よりも広くて、沢山楽しいが詰まっているけれど、私はこれらに触れて良いのだろうか

 

 分からない。開けた視界が、こんなにも楽しいのに、1つ1つが恐ろしい。ここにある全て、私が一生を掛けても手に入るはずもないモノ。まるで異世界にやって来たみたい。

 

「君はこれから、僕の弟子兼助手として生きて貰う」

「弟子……? 助手?」

「まぁともかくお手伝いって訳。まずは片付けからかな」

 

 お手伝いはわかる。何度かスラムの人に手伝えって言われたから。大抵、おとり役の事だったけれど、おとりをすればいい? 違う? じゃあわかんない。

 

「片付け……、片付け……」

 

 あぁ、この廊下をね。そりゃあそうか。こんなの、人が住める環境じゃない。スラムに居た私が言うのもおかしな話か。屋根があるだけ何百倍も過ごしやすい。屋根があるだけで幸福だ。そう考えると私の方がよっぽど人が住める環境では無かったと言える。うん、そうかも。

 

「あぁ、ちょっと。まだいいよ。疲れてるだろ? 先に身体を癒そう。体力もね」

 

 彼女は私の頭を雑に撫でる。身体を癒すって何。何をすれば良いの? 眠れば癒される?

 

「美味しい物食べて、良質な睡眠を摂り、適度に運動する。まずは君を健康的に太らせる必要があるな。後は服。子供用の服は生憎持ち合わせが無いから買いに出かけなければ。それと……」

 

 なんだか沢山喋ってる。服は、あの施設で貰った新品がある。まだいけるけどな……?

 

「君、考えてる事が全部行動に出てるね。服、それで良いじゃんとか思ってるんだろうけれど、あり得ないから。絶対にあり得ないから」

「そーは、言っても?」

「隠せてたらいい訳じゃありません」

 

 私と視線を合わせて肩を強く握ったテネシアは、はぁ、と強く息を吐いた。

 

「うん。僕が悪いなこれは」

 

 小さく呟いた彼女は、やめだやめ、と立ち上がり、私の手を取る。

 

「片付けなんて後回し。もうずっとずっと後回し。何よりも先に、君には幸福を覚える時間が必要だ」

「こーふく?」

 

 テネシアはにっこりと笑って、その手にここに来るために使ったモノとは別の転移符を取り出す。

 

「どこ行くの」

「この時間で開いてるのは、ラクチャンの所かな」

「らくちゃん?」

「そう、そこで君の服を買う。素材は良いんだ、それを活かさないと罰が当たる」

「ばち……?」

「神様に怒られちゃう」

 

 カミサマ。なんだろうその嫌な響きの言葉。

 

「かみさまって、なに?」

「この世界を作った超凄いやつ」

「ふーん」

 

 もし会えたら1度くらいぶっ叩いても良いんじゃないだろうか。とは言え、まぁどうせすっきりしないだろう。誰が作ってもきっと同じ道だ。選んだのは私なんだから。

 それを誰かの所為にしたら、それこそ意味がない。

 

「僕の手を取って。行くよ」

 

 テネシアの手には転移符が浮いている。石を削って作った鋭利な……釘のような物。それが転移符と呼ばれる魔導具らしい。使用時、目を瞑っていないと酔うという弱点は存在するけれど、一瞬で長距離を移動出来る便利アイテム。魔導具師本人だから、何個も持っているのだろう。

 私の中の価値観はここ最近砕かれまくりだ。

 

 彼女の手を取って、目を瞑る。1度教わったら忘れないDDDです。どうも、こんにちは。

 暫くして、テネシアの、もう良いよ、の声を聴いてから目を開ける。

 

「ここは?」

「モノグローム。アグニレオンの主要都市だよ」

 

 うーん、言われても解んない……。訊いた私も馬鹿だ。訊いても解らない事を訊いてどうする? 私が知る世界はスラムだけなんだ。それ以外は全て知らない。それで良かったはずだ。

 拓けた視界は、やっぱり今でも怖い。知らない事が沢山襲い来るこの感覚は、一生掛かっても消えないだろう。

 それは粋に、私がどれだけちっぽけであるかを証明しているかの様で嫌いだ。知らない事を知れば、怖くなくなるかもしれない。けど、別に知らない事を全て知りたいとかそんな欲は無い。

 

 ただ、目の前にある魔導具に興味があるだけ。ただ、それだけなんだ。

 

 転移して来たこの地は、石造りの頑強な都市だった。さっき私達が居た場所からどれだけ離れているかは分からないけれど、夕日を見てからそれなりに時間が経ったというのに、まだ賑やかに見える。

 

「こっち」

 

 と私の手を取って、テネシアは歩き出す。私はきょろきょろと周りを見回しながら、頭の中に地図を作っていく。

 右行ったり、左行ったり、やけにジグザグに道を行くんだな、と頭の中でマッピングして行く。確か、ラクチャンと言っていただろうか。ラクチャンというのが、人の名前か、店の名前か分からないが、ともかく、何とも面倒な立地にあるんだな。

 

「着いたよ」

 

 足を止めた場所は、何やら看板を掲げている。

 

「……?」

「ラクチャンのブティック」

 

 文字が読めない事に気付いてか、テネシアが代わりに読んでくれた。

 

「ぶてぃっく」

 

 読めても意味が分からないので徒労だったが。

 

「個人経営の服屋だよ」

 

 そう喋りながら彼女は店の扉を開く。からんころん、という音が響くと同時に、若い女性のいらっしゃい、という言葉が耳に届く。

 

「やぁ、ラクチャン、こんばんは」

「わお、テネシアさんじゃん。こんな時間に珍しいね。アルカディオンに行ってたんじゃないの?」

「今帰って来た」

 

 店主であろう女性にフランクに話すテネシア。いつも来る店なのだろうか。水色のショートヘアの彼女は、私を見つけると、笑顔だったモノがすっと真顔に戻る。

 

「この子は?」

「色々あってね。面倒を見る事にした。この子の服を仕立てて欲しいんだけど、良い?」

「……、勿論良いけど、何、スラムの子?」

「訳アリだ。詮索は止して」

「そう。テネシアさんが言うなら、仕方ないか。それで、服だけで良い? ある程度で良いなら髪も整えられるけど。趣味の範疇だけどね」

「本当かい? それはありがたい申し出だ。お言葉に甘えるとしよう」

 

 店の中には様々な服が丁寧に飾られている。私が一生手に入れられないだろうと諦めたドレスや、裕福な家庭の子が良く来ているモノ、なんだか沢山の種類の服がある。

 流石の私も、こんなボロ布の姿で来て良い場所ではないな、と察してしまう。テネシアは解っているのだろうか。

 

 私は、抵抗せずされるがまま、奥へと通され個室の中央の椅子に座らされ、じょきじょきと髪を切られ始めた。

 

「そういえば、外が騒がしかったけれど何かあった? いつもはこの時間こんなに人通りは多くないだろう?」

「あぁ、知らないのね」

 

 私の髪を切りながら、ラクチャンはテネシアの疑問を受け取って、小さく息を吐く。鏡に映る私の髪の毛が少しずつ減って、ぼさぼさだったモノが整っていくのが見えてなんだか不思議。髪を切るなんて発想無かったから、なんだかくすぐったい。

 

「今日の昼頃、ポストエンドルフィンが滅んだのよ」

「滅んだ? 僕が不在の間に何があったんだ?」

「ドラゴンですって。一瞬にして灰にされたって」

「…………そうか。それは不運だな」

「あら、驚かないのね」

 

 ラクチャンは私の髪を切りながら、意外そうにテネシアの方を一瞥した。そういう君だって慌てていないじゃないか、とテネシアが返す。ほろんだ、とは、無くなったという事。ポストエンドルフィンがどんな場所かは知らないけれど、そんな簡単に無くなってしまうモノなのだろうか。私が居たディドルカスタネットで想像してみても難しい。

 

「歴史上、都市の滅びなんて良くある話だ。その滅びから新たな学びを得るのが遺された者達の責務だろう? 驚いている時間がもったいない」

「感情を切り分けすぎね。やっぱりテネシアさんは視点が違うわ。驚きくらいはするものだと思うけれどね」

「切り分けている訳じゃないさ。因みに、生き残った人は居るのかい?」

「今の所は保護はされてないみたい。ドラゴンの業火が相手なら、仕方の無い話だけれど、恐ろしいものね」

「君だって他人事だな。近くにドラゴンが出た事には変わりない。君も焦って逃げる準備くらいしたらどう?」

 

 テネシアの言葉に、鏡に映るラクチャンは苦笑い。もしこちらに来ていたら疾うに灰だわ、と。ドラゴン、ドラゴンか……。訊いた事くらいはある。めちゃくちゃ強い魔物らしい。都市を一つ無くすだけの力を持つのだから、相当だ。出逢いたくないな。

 

「こちらに来てない以上、ポストエンドルフィンを巣にするつもりかも。龍骸の巣みたいに」

「いずれにせよ僕には関係の無い話だ。ドラゴンに用はない」

「冷たいわね~、一応ご近所さんじゃないの?」

「思い入れはない。精々、素材の仕入れ先が変わる程度さ」

 

 じょき、じょき、と髪を切られ続けている私は、首を傾げようとすると、ラクチャンにがしっと首を固定されてしまった。動かないでね~危ないから、と声付きだ。怒られちゃった。でもそんな気になる話するのが悪くない?

 私の髪は腰まであったのだけど、今は肩辺りで切り揃えられている。会話をしながらぶつぶつと呟いていたラクチャン曰く、私の髪は痛み過ぎてケアが難しいからばっさり切るしか無いらしい。ケア、手入れ、私にそんな余裕がある訳がない。髪なんてどうせ生えてくる。ケアなんてするだけ無駄だ。けれど、そういう考え方はいけないのだろうか。

 

 会話を続ける。2人は私の事なんて実は忘れているんじゃないだろうか、というくらい、ポストエンドルフィンの話をしている。たいこーがどうとか、魔力がどうとか、なんみんがどうとか、色んな話。私は難しくて分からない。

 

 そんな話をただ聞き続けて、睡魔に襲われ始めた頃、よぅし、出来たよ、と肩をぽんっと叩かれた。わっ、と目が覚めて鏡を見つめる。

 

「わたし?」

「そう、君」

「……」

 

 なんだか、良く分からない。綺麗に整えられた髪は切っただけとは思えない程綺麗になっている。ただ切り揃えただけだというのにそれだけでここまで印象は変わるのか、と驚いた。肩程まで短くなった髪は、これでもまだ綺麗になる余地を残している。怖い。

 

「随分さっぱりしたね」

「これくらいしないと毛先が傷み過ぎて整えれない。それにこれくらいの長さだと、ヘッドドレスが映えるのよ」

「なんだ、金を毟り取る気満々じゃないか。ヘッドドレスなんて高価だろうに」

「テネシアさんに遠慮なんかする訳ないじゃない。下手をしたらモノグローム中の誰よりもお金持ってるでしょ」

「買い被りすぎ」

 

 言いつつ解放された私は椅子から立ち上がり、鏡に映った自分をじっと見つめる。不思議だ。頭が凄く軽い気がする。

 

「さて、じゃあお洋服を選びましょうか」

 

 ラクチャンは、自分の仕事に満足気な表情(かお)を浮かべ、私の肩をそっと持って、服が沢山飾っている場所へと案内する。

 

「えっと」

「どれがいい? テネシアさんのお金だから何でも買えるよ~」

「買う……?」

 

 お金を使ってモノを得る。それは、スラムには無いルール。奪うか拾う、後は物々交換。それくらいでしかモノを得る方法が無かったから、お金というモノがどれだけの価値を持つか分からない。凡そであれば予想も出来る。私にとっての価値はどれだけ生きられるかだ。だから転移符、転移抗がどれくらいの価値かは理解出来た。けれど、服の価値は難しい。数字が大きくなればそれだけ高価というのは解るけれど、その数字の基準が分からない。良く食べていたあの(かび)が咲いたパンはどれくらいの価値だったんだろう。

 

 沢山の服。私にはそれらが宝石に見える。服というモノにはあまり関心は無い。けれど、やっぱり私にも可愛いモノには惹かれるらしい。ただ、気付かず興味に蓋をしていただけ。思えばテネシアを最初見た時、私はあのドレスに惹かれていた様な気もする。綺麗だったよな、あの服。今は全然違う服だけど。けれど、可愛いモノは自分には似合わないと心底理解している。スラムの人間が、こんなに上等な服を着るなんて、何よりものお笑いだ。

 

「ラクチャン、選んであげて。このままだと頭が破裂してしまう」

「そう? 初めては自分で選らんだモノと思ったけれど」

「金に糸目は付けない。君が似合うと思ったモノを選んであげて欲しい。この子はまだ分からないんだ。自分がどんな服が似合うのか、どんな服が好きなのか。そもそも好き嫌いなんて概念、この子には……」

「はいはい、解った解った。それ以上は語らないで。私、そういう子に感情移入しちゃうと、ダメだから」

 

 ラクチャンは、小さく鼻を鳴らして、もう一度私を一瞥すると、ラックに掛かった一着の服を手に取る。服の名前は分からないけれど、落ち着いた色合いの服だ。

 

「フリルスカートとはまたベタだな」

「これ私の趣味みたいになるじゃん」

「ふふ、それで良いよ。僕の服も殆ど君が選んだようなモノだしね」

「それは、まぁ……。スカートはこれにして、上はペプラムとかギリーシャツ、あとはキャバリアとかも良いんじゃない?」

 

 何言ってるか分からない。テネシアは腕を組んで考える素振りをしている。お、服の名前解る感じ? 教えて教えて。

 

「流石、ではそれを全て買うよ。普段着として着回すからね」

「ならスカートも他何着かあった方が良いわね。ズボンもおすすめ」

 

 ふれあだとかぶるーみんぐだとかでぃあんどるとかなんか言ってる。1つも解らない。ふわふわした感じのスカートばかりおすすめされている気がするが、普段着として使うなら、過ごしにくそうだな、と思った。実際に着てみたら印象は変わるだろうか。

 

「はい、じゃあそれ全部ね。それと下着なんだが……あぁ、あと靴も」

「下着ね。男女で分かれているから、あっちの部屋よ。ここで全部揃えるつもり?」

「この時間開いてるのがここしか思いつかないからね。それに、ポストエンドルフィンの件で、他はてんやわんやだろうし」

「それもそうね」

 

 とテネシアとラクチャンが他の部屋に続くであろう扉を潜って行く。服に見とれてしまっていた私は慌てて2人の後を追いかける。身長や、腕の長さ、胸囲やお腹周り、足の長さなど諸々測られた後、時間が掛かるから、その間にご飯でも食べて来たら? というラクチャンの申し出にテネシアはありがたく乗っかった。確かにお腹が空いた。

 先に1着仕上げるから待ってなさい、と彼女は奥の扉を開けて消えて行く。

 

「服は、どうだった?」

「わかんない」

「そうか、わかんないか。まだ自分がどうなったのか理解していないだろう?」

「……理解は、してる、よ。なんだか、不思議なだけ」

「実感が湧いていない、のか。これから君の生活は一変する。魔導具で溢れてはいるが、ゴミでは溢れていない家で過ごし、毎日きちんと食事を摂り、適切な睡眠、運動、清潔な服、湯浴みが保証される。それを当たり前だと感違いする事が出来たら、それが幸福の証だ」

 

 彼女の言葉は、私には難しい。勘違いって、するはずが無い。当たり前じゃない事は良く解ってる。首を傾げた私をテネシアはふっと一瞥する。この人は私に一体何を求めているのだろう? どうして私を拾ったのだろう。利己的な感情であの場所を破壊したのなら、私は関係ないはずだ。私を拾う道理(いみ)はないはずだ。ここまでする必要は無い。またスラムへと送り返せば良い。彼女が考える事は私には、難しい。

 

 それから、数分、テネシアの質問に、淡々と答えていると、奥の扉ががちゃ、と開いた。

 

「お待たせ~、サイズばっちり、成長に合わせて少し大きめに調整しているわ」

「ありがとう、助かる。ほら、これを……あのカーテンの奥で着替えるんだ」

「ここじゃ、ダメなの?」

「ダメ。それは恥ずかしい事だからね」

「はずかしい?」

「そ。人に裸を見せる事は恥ずかしい事。覚えておいて」

 

 やっぱり難しい。けど、従うのが正しいんだろう。だって従わなければまたあのスラムに戻る事になる。一瞬でも知ってしまったら、もう戻れる訳がない。あの黴の咲いたパンの味、ゴミに塗れた誰かの食べかけの味、お腹が空いて仕方ない時は砂を口に入れた。じゃりじゃりして最悪だったけれど、空腹は少しまぎれたあの感覚。たった1度抜け出せただけで、あれらが地獄であったと再認識出来る。嫌だ。嫌だ、絶対に嫌だっ! 私を閉じ込めたあの場所の方が、数百倍もましだ! でも、もう無いのだから、しがみつくしかないんだ。

 

 テネシアの言う通り、カーテンで区切られた小さな箱に足を運んで、中で服を着替え、靴を履く。この服を脱いだのは、一体いつぶりだろう。脱ぐ為に少し引っ張ると、びりびりと破けてしまった。もう、着れないな、これ。私にはもうこの綺麗な服を着るしか選択が遺されていない。なんだっけ、ギリーシャツだっけ、それとスカート。ふれあだとか言ってたっけな。なんだか少し大人っぽい恰好。似合わないな、私。

 

 着替え終わり、ぼろぼろに引き裂かれた服を手に、カーテンを捲る。

 

「お~」

「やはり、素材は良いんだよ」

「素材ぃ~? 私のセンスでしょ」

「ふふ、それもあるかな」

 

 テネシアをじっと見ると、視線に気付いた彼女は、良く似合っているよ、と褒めてくれた。嘘吐け。こんなの似合ってない。スラムの知り合いに見られたら笑われる。……もう会う事は無いか。

 

「それじゃ、お言葉に甘えてご飯を食べに行こう。ただ、ポストエンドルフィンの影響もあるし……大抵の場所は閉まっているかもしれないな」

「それだったら、陽だまりの詩亭なら開いてるはずよ」

「何のお店?」

「アグニレオンの伝統料理。肉料理がメインね」

「よし行こう。肉だ。肉を食えば人は幸せになれる」

「何それ。否定はしないけれど」

 

 2人は笑って、ある程度の場所をテネシアに伝えると、それじゃ、行ってらっしゃいと、ラクチャンが手を振る。私はその身振りの意味が──その前にテネシアに手を取られて、私は店から連れ出された。

 

 すっかり日も暮れて、夜が深まろうとしている街中、私達(スラム)の時間だ。これから一気に治安が悪くなる。私達のような人間はどの国にも居ると聞いた。けれど、ここは匂いがしない。特有の、腐ったゴミと排泄物、それと、人間の汗が混じった最悪な臭い。それがしないのなら、ここは平和なんだろう。なんて、羨ましい。

 

「ここに来て、どう思った?」

「石ばかりで登りづらそう」

「ふ、君は猿か何かか?」

「似たようなもの」

「いやいや」

 

 今の君は可憐だよ、とテネシア。どうしてそんなに褒めるのだろう。意味が分からない。だから私はその言葉には顔を背けた。彼女は、くふ、と笑う。何が面白いのだか。

 彼女に手を握られているから、どこにもいけない。なんて、言いつつ私も彼女の手を握り返した。決して離しちゃいけない気がした。

 

「これから君が食べるのは、見た事も無いだろう御馳走だ。それはもうほっぺが落ちるくらいに美味なね」

「ほっぺって落ちるの?」

「どうだろう。試そうね」

 

 テネシアは、私の手を引いて、迷いなく道を歩く。先ほど場所を始めて聞いたにしては迷いが無い。地形は把握しているという事だろうか。私も頭の中で地図を描き続ける。いつか役に立つかもしれない。忘れない様にしよう。

 

 そうして辿り着いた陽だまりの詩亭。肉料理と言ってたけれど、それは私があの閉じ込められていた場所で口にした肉よりも美味しいのだろうか。あれを食べてから、私の食は進化したけれど。まさかあれ以上が? うっそだ~?

 

 店の扉を開き、2人で中へと入る。いらっしゃい、と中に居た人が私達を見つけて声を掛ける。

 

「2人、良いかな」

「はい。どうぞこちらに」

 

 と店の人は私達を1つのテーブルへと案内する。きょろきょろと内装を見回すしながら後を着いて行く。

 

「ご注文はこちらに」

「そうだな、初めてだからね、おすすめがあればそれを。是非アグニレオンの伝統料理を食べさせて欲しいな」

「でしたら、パンクラケチョップですね。お2人分でよろしかったですか?」

「あぁ、お願いするよ」

 

 飲み物は、アルコールが入っていない甘い物を何かこの子に。私は水をお願いするよ、と続けてさらりと注文を終えると、テネシアは、頭の帽子をようやく脱いだ。ハイトーンブラウンの綺麗な髪が照明を少しだけ反射している。

 

「あれも、魔導具?」

「うん? そうだね。あれは明かりを灯す、点灯缶だ」

 

 天井にぶら下がった光を放つモノをそう呼ぶらしい。へぇ~、知らなかった。店の中に入るというのも殆ど初めての体験だ。盗みに入ろうとした事もあるけれど、店は防備が堅い。なかなか盗み出せない。捕まったら面倒だし。

 

「さて、と。少しだけ今後の詳しい話をしよう」

「くわしー話?」

「君の人生について。僕は君を弟子兼助手として迎える。つまり君を魔導具師にする」

「まどうぐし!」

 

 なりたいなりたい! 私のあこがれ! 私の目の前で弾けて止まないあの瞬間をもっと、もっと繰り返したい!

 

「ふふ、君は素直だね。けれど、君はまだ魔導具を作るには値しない。知識が足りない、経験が足りない。何より、時計が未熟だ。確かに魔術を扱えるだけの成長はしているが、魔導具を作るにはそれだけじゃ足りない。加えて君は無茶な生活をしていたからね。十分な身体的成長を得られていない。まずはそれらの改善からだ」

 

 つまり、まだまだ私には早いという事。くやしー! はやくやらせろー!

 

「まぁまぁそんな今にも不満爆発させますみたいな顔せずに。そう遠くない未来の話さ。弟子兼助手と言ったのは私の手伝いをしてもらう為だが、私はその手伝いの見返りに、魔導具の知識と技術を授けよう」

「なら、私は、テネシアのお世話すれば良い?」

「手伝い、ね」

「何が違う?」

「案外違わないかもだ」

「じゃなんで言い直した?」

「プライド」

 

 小さく言った彼女の声に耳を傾ける。彼女の頬はなんだか赤い。なんで? わかんない。

 

「私は何すれば良いの?」

「そうだな、まずは私の為に読み書きが出来るようになってほしいな」

「字を読むの?」

「魔導具を作るには必須だよ。読む事は、一番の情報伝達方法だからね。書くもそうだ」

「そなんだ。じゃがんばる」

「あぁ、頑張ってくれ」

 

 そんな未来の話をする事暫く、お待たせしました、という店の人は言葉と同時に、ご飯を私達の前に置く。テネシアはその様子を確認しながら、お金を出して店員に渡す。

 

「ありがとう」

 

 とテネシアが言う。金を払うのだから、対価を払ってる。ありがとうは要らないのでは? とテネシアを見ると、ありがとう、は人として当たり前に持つべき言葉だよ、と言う。

 

「どーいうこと?」

「人は感謝しあって生きるべきだ、という事だ。ありがとうって言った方が気持ちがいいし、それに、お金を払ってご飯を作って貰う。これは当たり前の出来事ではないんだよ。誰かが店を開いてくれるから、僕達はお金を払ってご飯が食べられる。ならきちんと感謝しないとね」

「そか。じゃあありがとう、だ」

「そう。ありがとう。大切な言葉だ。忘れないように」

 

 少しだけ分かった気がする。じゃあこうしてここに連れて来てくれた人にもきちんとありがとう、を言った方が良い。あの狭い場所から連れ出してくれた事も、また私はありがとうを伝えるべきだと思う。拓けた視界は今もまだ怖いけれど、それでもきっと何倍も幸福なのだ。

 

「ねぇ、テネシア」

「うん? 食べないと冷めてしまうよ」

「連れ出してくれてありがとう」

「────。そう言ってくれるのなら、良かった。こちらこそありがとう。生きたい、と頷いてくれて」

 

 そうして、私は彼女にいただきますを教わりながら、パンクラケチョップを口にして、これが、幸せの味っ! とほほを緩めた。あの狭い場所で食べた肉、もしかして腐ってた? と思ってしまうくらいに美味しい。肉を噛むと汁が出て来て、それが肉を溶かして消えて行く! 口の中が唾液で沢山潤う感覚、初めて! すごい、すごい! こんなにおいしいものがあるんだっ!

 その幸せを流し込む様に、甘い果物のような味のする飲み物を口した。これもとても美味しい。なんだか、もう、美味しすぎて悪い事をしているみたい。

 

 けれど、結局私は全てを食べきる事は出来なかった。

 

「少し多かったか。残りは貰ってしまうけれど構わない?」

「うぅ……お腹、ぱんぱん……」

「胃が小さいのか。一気に食べていたからね。今度、カトラリーの正しい使い方を教えよう」

 

 残してしまった分をテネシアが食し、私はそれを眺めた。あぁ、あり得ない。満腹で、ご飯を人に譲る? あり得ない! 私がそんなもったい無い事をするなんて! 1日1食ありつけたら運が良い世界で生きて来たのに、こんな……! でも食べきれないぃ! くやしい! 今度来たら絶対食べきって……。今度? 今度があるの? 本当に?

 

「さぁ、食べ終わった事だし、余韻もあるだろうが、店の邪魔になってしまう。出るよ」

 

 とテネシアに急かされて立ち上がる。そうか、食べ終わったら退かないと、他の邪魔か。そりゃそうだ。

 

「御馳走さま」

 

 テネシアが店の人に向けて言う。私は負けじと、ありがとう! と、口にして、ふふ、と自然と笑みが零れた。なんで笑ったんだろ、私?

 

「美味しかったね」

 

 店を後にして、私達はまた、ラクチャンのブティックへと足を向ける。

 

「うん」

 

 と返事をする。とても美味しかった。これ以上に美味しい物がどこかにあるのか、と思うと、不思議だ。もう、戻れない、な。あのゴミ溜めには戻れない。幸せを知ってしまったら、もう、あの地獄には戻れない。踏みしめた石の道の、靴から伝わる感触。慣れない感覚、痛くない足裏。私はそれを幸福と呼ぶと知ってしまった。もう、夜の冷たい道に足を晒さなくて良い。ぼろぼろの、殆ど意味を成していない服に身を包む事も無い。これが幸せでなくて何と言う?

 

 身体が軽い。なんだかすごく調子がいい! 美味しいモノ食べたら人間ってこんなに元気になるんだ! テネシアを急かす様に歩いて、慌てない、慌てない、とたしなめられながら、ラクチャンのブティックに到着した。

 

「おかえり~、全部完了! 今すぐにでも着られるようにした。あとおまけで寝巻も用意しておいた。これは私からのプレゼント。他の代金は頂くよ」

「ありがとう。寝巻、忘れてたから助かるよ。幾ら?」

「〆て……これくらい!」

 

 と何かボードをテネシアに見せて、にっと笑うラクチャン。テネシアは少しだけ苦笑いを浮かべ、ふふ、まぁ仕方ない、仕方ないと自分に言い聞かせる様に、お金を支払った。

 

「それじゃ気を付けて。テネシアさん、ドラゴンにちょっかい掛けるとかやめてよね」

「私を蛮族か何かと思ってる? しないよ、死ぬだろそれ」

「あはは、じょーだんじょーだん。毎度あり、また来てよ」

「いつかね」

 

 そうして、服を受け取って、私達はラクチャンのブティックを出る。振り返ると、ラクチャンが店先のボードを裏返したのが見えた。彼女は私が見ているのに気付いて手を振る。私はようやくそれで、またね、の意味だと気付いて、私も手を振った。

 

「さ、目を瞑って。転移するよ」

 

 彼女の言葉に従って私は目を瞑る。すると今日あった事が沢山頭の中を駆け巡った。あぁ、なんと幸せなのだろう。たった数時間の出来事なのに、私の頭を離れない。沢山の服、冷たくない足、美味しいご飯。私はとても幸せだ。誰よりも幸せなのかもしれない。これが当たり前だなんて考えられない! 想像しえなかった世界だ。私はこんな世界でこれから生きていくのか、と少しだけわくわくした。それもきっとテネシアの言う幸福なのだろう。

 

 もう良いよ、という声と共に目を開ける。もう既に工房の前に着いてしまった。やはり便利過ぎる。だったらどうして、ディドルカスタネットからここに来る際、かなり歩いたのだろう? うーん、わかんない。いつか解るかな?

 

 冷えて来たから、早く入ろう、と言うテネシアの声。それと同時に、遠くから、小さく、かしゃ、と音が聞こえた。軽い鉄同士が叩き合うような音だ。私の耳には確かに聞こえたが、テネシアはドアに腕を伸ばしている。聞こえていないらしい。

 

「──? 音、した」

「何も聞こえなかったが……?」

「ぜったいした!」

「動物か何かだろう」

「ううん、違う、と思う」

「………………解った。確認しておこう。魔物だと面倒だ」

 

 ドアに伸ばした手を引っ込めて、代わりに私の手を取った。私が怖がっていると思ったのだろうか。声音は少しだけ優しい。

 

 ポストエンドルフィンの外れにあるこの場所は、周りを木々に囲まれている。開拓が進んでいない場所に敢えて工房を作ったらしい。それは、沢山の人とは関わりたくないから、と言っていた。何か、後が面倒になるとか言ってた。どういう事だろう。

 

 ともかく私達は木々の先へと足を進める。歩みを進める度に、何かの匂いが強くなっていく。鼻を曲げたくなるくらいの匂いになってようやく気付く。

 

「──────血の、におい! ひと、ひとがいる!」

 

 微かな風に漂う、鉄の匂いに、明らかに異物な匂いがあった。鉄の匂いは、きっと鎧の匂いだ。その強烈な臭いに混じって、別の、なんとも言い難い、生臭い、とでも言おうか、そんな匂いが混じっている。

 

「……生き残りか?」

 

 つまり、ドラゴンから逃げ延びた人? だとしてもこの匂いじゃ長くは……。何度か嗅いだことがある匂いだ。血の匂いは嫌だ。大っ嫌い。鼻が曲がりそうになる。

 

 更に歩みを進めて、ようやく匂いの元へと辿り着いた。そこには、なんだかきらきらな鎧に身を包む男が、倒れ込んでいた。近くには槍が横たわっている。身体を木に預けたつもりだったのだろうが、支えられているのは首だけになっている。

 鎧は所々砕けていて、インナーが見えている。鎧を着ているとは言え、頭には何も付けておらず、彼の顔が丸見えだ。金色と赤の混じった髪。時計は一周を越え、成長しきっているであろう彼。その鎧からどこかの騎士家の貴族だろう事が伺える。私が触れては即死罪だ。決して触れてはならない男。けれどこのままでは間に合わない。テネシアは何の躊躇いも無く駆け寄り、彼の口元に耳を向ける。

 

「まだ息がある。……それにこの槍、懐かしいな」

 

 テネシアは男に思い当たる節があるらしい。彼女は少しだけ安堵したがすぐに切り替える。生きているのならまだ助けられる余地があると判断したのだろう。

 

「応急措置を行う。おい、聞こえるか? 意識はあるか? 時計はまだ進んでいる、お前はまだ死んでいない……! 声が聞こえたら目を開けろ!」

 

 彼女の呼び掛けに、小さく呻く男。テネシアは、小さく舌打ちをして、懐からいくつもの魔導具を取り出す。今どこから取り出した? いや、そんな事を言っている場合じゃない。人が死ぬ。鐘が鳴ってしまう。

 

 選び出した魔導具を掴み、すぐに魔力を送る。小さい四角形の連続体のそれは、がしゃんっと形を崩し、テネシアの前方でふわふわと浮いている。それが起動の合図。緑色の優しい光を放射したそれは、その光が当たった場所の傷に癒しの力を与える。傷は少しずつ塞がって行く。だけど、血が流れすぎている。このままじゃ結局は長くは保てない。

 

「くそ、これだけじゃダメか」

 

 がしっとまた別の魔導具を鷲掴みにして、起動する。同じように起動したそれは、今度は水色の優しい光を放つ。

 

「────────────傷は塞いだ。これ以上酷くはならない、が。後は本人が生きるか死ぬか決めるだろう。僕はこいつを運ぶ。君はその槍を頼む」

 

 テネシアはそう言って、男を背に背負う。鎧を着ているからかなり重いはずなのに、彼女は眉一つ動かさず男を背負った。私は言われたままに槍を手にして────その使い方を理解してしまった。

 

「あっ──」

 

 これはダメだ。これは、使っちゃだめだ。こんなの、人が使うべきじゃないっ! いや、誰だって、生物であるのなら使っちゃだめだ。これは──!

 

 大きな槍。私の身長の倍くらいあるだろうそれは、見た目より随分と軽い。けれど問題はそれじゃない。この魔導具は明らかに異常だ。何せ消費する魔力が尋常じゃない。大人が貯めに貯めた魔力全部吸ってようやく動く、命を燃料としか思っていないのではないか、と勘ぐってしまうくらいおかしい構造をしている。

 懐かしい? これが? どこかで見た事があるの? こんなモノ、人間が扱って良いはずがない!

 

 持ち上げた槍は、燦然と煌めく太陽のような輝きを持っている。炎の様に赤いそれは、沢山の装飾が施されている。勿論槍なのだから先は尖っているが、槍と呼ぶには刃の部分がかなり大きい。突き刺すだけでなく、裂く事もこれならば出来るだろう。三又に分かれた刃の部分は中央が一番長く、左右に伸びた刃は返しの様になっている。その造形は翼を思わせる。刃が分かれる部分は何故か細くなっていて、なんだか頼りない。ここは普通頑丈に作るのでは? ともかく、この槍は大きくて、私では持ち上げるので精一杯。何とか頑張って持ち上げても、私の頭に流れてくる槍の使い方が、その手を放せと警告してくる。

 もし、私がこれを起動してしまったら、その瞬間私の肉体は灰となって消え去るだろう。ただの武器として使うなら良い。けれど魔導具として、本来の力を使うと、体内中の魔力を全て吸い上げて、必殺の一撃を繰り出す。相手にとっても、敵にとっても必殺の一撃だ。そんなもの、怖くて持ってられない。

 けれどテネシアに指示されたのだから、運ばなきゃ。恐怖は飲み込める液体だ。唾と一緒に飲み込んでしまえ。

 

 これを使えば、人は死ぬ。私は、それを知って、それでテネシアに背負われた男の顔を見たのだ。恐らく、これを使ったであろう男を。




因みに、時計1周は大体30年。30歳です。なのでテネシアは良しとして、DDDは7~8歳、鎧の男は30代です。人間の寿命は短いですね。
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