タイトル通りにAI小説作成アプリを使ってタグだけ指定して書かせたら色々とカオスなことになった(笑)。
現代ダンジョンものにシンフォギア風のアバターを生み出す幼女(中身元オッサン)が周囲をひっかきまわす感じの作品になりました(笑)。
AI作成にありがちなストーリー展開の矛盾や唐突さはあえてそのままにしてありますのでツッコミや批判は受け付けませんのであしからず。
ちなみに小説サイトに投稿するのは初めてです(笑)。

1 / 1
第1話

【緊急】謎の巨大ゴーレム出現について【速報】

 

1:名無しの探索者

今日ダンジョン内で目撃されたっていう「黒い巨人」って何だよ!?

探索者協会からも正式発表されてないんだけど!!

 

2:名無しの探索者

俺も見た。マジでデカかった……5階層で突然現れて魔物ぶち抜いて消えたんだが?

 

3:名無しの探索者

あれほんとに探索者の仕業?

明らかに武器とか持ってなかったよな。素手で砕いてたぞ。

 

4:名無しの探索者

画像なしの書き込みばっかだから信じられねぇんだが……

誰かスクショ撮れなかったのかよ。

 

5:名無しの探索者

>>4 こっそりアップしたら即BANされた。

どうやら「公開禁止オブジェクト」扱いらしくて、

システム側が自動削除してるみたい。

 

6:名無しの探索者

おい待て、ならどうやってお前ら確認したんだよ?

 

7:名無しの探索者

>>6 目視証言とレポートだけ。

でも複数人が同じ特徴語ってる。「漆黒の全身鎧」「赤い眼光」「人の動きじゃない挙動」

 

8:名無しの探索者

お前らっていつから厨二病になったんだ?www

……いやマジでそんな奴いたら怖すぎるんだが。

 

9:名無しの探索者

俺は7階層で遭遇したんだが、逃げ回るワイらを完全スルーしてた。攻撃の意思は無いっぽいけど、それなら尚更意味不明。

 

10:名無しの探索者

>>9 つまり「目的がある何か」じゃねーの?

強さ測定とか、地形調査とか……

 

11:名無しの探索者

>>10 だったら探索者協会が沈黙してる理由にならない。

普通公式で「観測中」とか言うはず。

 

12:名無しの探索者

噂だけどさ、協会内部でも「絶対接触するな」「詳細報告禁止」の通達があったらしいぜ。

要するに「知ってるけど公表できない」ってことじゃね?

 

13:名無しの探索者

>>12 やべぇ……陰謀論臭がしてきた。

 

14:名無しの探索者

これって「新人ランクF」の新人が呼び出したとかいう噂あるけど、マジ?

 

15:名無しの探索者

>>14 草。いやまぁ、新人が未知のモンスター召喚できた実績もあるっちゃあるけどさぁ……

 

16:名無しの探索者

ランクFが単独で深層出入りできるわけないだろw 協会の規定見直せよ。

 

17:名無しの探索者

でもさ、「ロボット型アバター」とか「転移操作系スキル」とか、可能性なくはないかもな。

最近そういう珍しいパターン報告増えてるじゃん。

 

18:名無しの探索者

仮にそれが真実だとしたら……

その新人は相当ヤバイ奴だぞ。戦闘力だけじゃなくて権限持ってるってことでしょ。

 

19:名無しの探索者

怖ぇ……でもちょっと見てみてえ。

あの巨人の一撃、ゴーレムごと床割ってたんだぜ……?

 

20:名無しの探索者

>>19 絶対遭遇したくないww 悪意ゼロでも巻き添え喰らいそう。

 

21:名無しの探索者

もし次出たらどうすればいい? 狙われる可能性は?

 

22:名無しの探索者

>>21 証言通りならスルーされるだけだろ。今のところ敵対的じゃない。

 

23:名無しの探索者

むしろ探索者としては利用価値高いんじゃね? ダンジョンの障害排除してくれるなら助かる。

 

24:名無しの探索者

>>23 でも協会に睨まれたら終わりだし、下手すりゃ新人共々抹消案件じゃん。

 

25:名無しの探索者

まとめると結局分からんってことか。

目撃情報だけ溢れて肝心の正体不明。

やっぱ都市伝説じゃねーの?

 

26:名無しの探索者

ただ一つだけ確かなことがある。

 

あの巨人、すげぇかっこよかった。

 

27:名無しの探索者

>>26 共感。無表情なのに超頼れる感じだった。

男なら憧れるわ。

 

28:名無しの探索者

これは近々また来るぞ……

そしてまた協会はダンマリ。

 

29:名無しの探索者

謎の新人 vs 黒騎士 vs 探索者 vs 協会

って構図になってきたな(勝手な予想)

 

30:名無しの探索者

じゃあ最後に全員一致でお願いしたいことが一つ。

 

遭遇したら写真撮ろうぜ!

 

31:名無しの探索者

>>30 システムに削除されちゃうんだってばwww◆◆◆◆◆◆

 

「……例の新人、再びダンジョンへ入ったそうです」

 

静まり返った会議室に、協会上級幹部の声が低く響いた。

モニターには、迷宮第7層の映像記録――乱雑に破壊された岩壁、

中心に浮かぶ“黒影”の姿が映し出されている。

 

「先日と同じ、正体不明の巨大機体ですね。

これまでに類を見ない強度と精度……魔法防護さえ貫通します」

 

「問題はそこではない」

会長代理を務める老齢の女性が腕を組み直す。

「“彼女”自身がどこまで理解しているのか。

あの巨体を操るのは高度な転移・情報制御系技術のはずです。

我々の管理範囲外での活動は非常に危険です」

 

「外部からの干渉痕跡は?」

「現在のところ、一切確認されていません。

全て“個別端末からの遠隔操作”として登録されています。

奇妙なことに、本人の身体は未だ地下居住区――かつての避難施設内にあります」

 

「“ダンジョン外からの制御”……非合法どころか現行システムでは不可能な領域です。

それこそ国家レベルのバックアップがあって初めて成立する」

 

沈黙が流れた後、一人の幹部が口を開いた。

 

「我々はどうすべきでしょうか?

現在の規約では“ランクFへの指導”が限度。

しかし現場では既に彼女が“最下層”に到達しているという噂が流れています」

 

「指揮権を逸脱していますね……」

会長代理は一度眼鏡を外し、眉間を揉んだ。

 

「接触は避けましょう。

今回の件も含め、“介入を試みれば逆に情報封鎖が強まる”

彼女の能力を刺激するのは得策ではありません」

 

「では放置ですか?

深層に潜り続けられたら、いずれ大規模事故やテロ行為も起き得ます」

 

「“黒騎士”の存在は周知される一方で、まだ明確な被害は出ていない。

“秩序を乱すもの”ではなく“秩序を確認するもの”と捉えましょう」

 

「しかし野放しにするにはリスクが……」

 

「“監視”を強化します。

各フロアに“記録用精霊”を配置し、遠隔通信の痕跡を捕捉する準備を進めます。

同時に彼女の地下施設もマークしましょう」

 

「“施設の訪問”は?」

 

「彼女自身が拒否した時点で“強制捜査権”を持たぬ限り無理でしょう。私的な空間は不可侵です」

 

「それでも足取りを追えないとは……恐ろしい程徹底していますね」

 

「そう――“彼女自身”については何も分からない。

アバターとのリンク方法、精神的負荷の有無、倫理規約への抵触。

全て謎のまま……」

 

「ならば我々がすべきは一つだけです」

会長代理が椅子から立ち上がり、メンバーを見渡す。

 

「“秩序”を保つことです。

彼女が秩序を壊さない限り、こちらから崩してはなりません」

 

「ですが彼女が暴走すれば……?」

 

「その時は――」

 

会長代理の瞳が冷たく光る。

 

「全力で“排除”します。

ただし、まずは“証拠”が必要です」

 

◆◆◆◆◆◆

 

【緊急】謎の新人&黒騎士に関する新情報まとめ【追記】

 

1:名無しの探索者ちょ、今「協会の職員が新人の家凸しようとしたらロックドアで跳ね飛ばされた」って風聞流れてきたんだが?

 

2:名無しの探索者

草ァ!新人様強すぎ問題再燃中!!www

 

3:名無しの探索者

え、協会ガチギレ案件じゃねーの?

しかも家の場所知ってんのかよこえー。

 

4:名無しの探索者

どうやら“新人の住居区画”って元避難シェルターらしい。軍関連の遺構だってよ。

だからセキュリティ鬼固くて、民間人はもちろん探索者権限すら弾かれるって。

 

5:名無しの探索者

新人の権利主張通ってるのか?

じゃあ協会は下手に手出しできねぇじゃん。

 

6:名無しの探索者

そもそもあの子「協会に入ってない」っぽいぞ。

登録してるのはアバター契約だけ。

 

7:名無しの探索者

>>6 どゆこと?

 

8:名無しの探索者

“個人契約”なんだよ。

普通は“団体所属契約”を通さないと設備使えないのに、彼女の場合「自分で機材持ち込んで自己責任で運用」扱い。

 

9:名無しの探索者

うわ……それって合法なん?

 

10:名無しの探索者

>>9 契約法的にはグレー。

でも法律改定前の抜け穴利用されてるっぽい。

協会が慌ててるのも“手続きの不備”突きつけられてるからだろう。

 

11:名無しの探索者

新人が“抜け道”を熟知してるってことか?

 

12:名無しの探索者

そう考えると怖ぇな……

しかもその知識を活かして黒騎士運用してるなら、もう完全にプロじゃん。

 

13:名無しの探索者

でも協会側からしたら「そんなの許すわけにいかない」状況じゃね?

 

14:名無しの探索者

>>13 それが逆に弱味握られてる感じ。

下手に権力をちらつかせると「契約違反」って吹聴されて立場失う。

 

15:名無しの探索者

結果、大人しく遠隔観察するしかないってオチかwww

 

16:名無しの探索者

でもさ、協会の一部過激派が「力尽くで連れ出そうとした」ってウワサあるけど、真偽は?

 

17:名無しの探索者

>>16 知ってんなぁ。

襲撃班が派遣されたけど、途中で全員昏倒させられたらしい。

原因不明の「電磁パルス」や「催眠暗示」とか言われてるが詳細不明。

 

18:名無しの探索者

黒騎士がやったのか……!?

 

19:名無しの探索者

それとも新人の防御システム?

なんにせよ一般人が使える代物じゃない。

 

20:名無しの探索者

結局この一件で“協会 vs 新人”の構図が浮き彫りにw

 

21:名無しの探索者

俺はこの新人応援してるわ。

自由にダンジョン挑めるの羨ましい。

 

22:名無しの探索者

>>21 でも命賭けてるのも事実だぞ。

黒騎士が倒されでもしたら本体にも影響及ぼす可能性高いし。

 

23:名無しの探索者

……いや、ちょっと気になる発言拾ってきた。

新人って実は“意識を切り離して行動”してるんじゃねーの?

 

24:名無しの探索者>>23 どういうこと?

 

25:名無しの探索者

前に投稿されてたレポートにあったんだよ。

「新人は眠るようにして接続、操作中に本人は反応がない」と。

 

26:名無しの探索者

まさか黒騎士=本体!?

 

27:名無しの探索者

>>26 なら自爆覚悟の特攻もできるわけか。

 

28:名無しの探索者

怖すぎィ!もうこれSF小説じゃん!

 

29:名無しの探索者

とにかく次の一手が気になりすぎる。

協会が動けば新人が反発、

新人がさらなる活躍を見せれば協会が焦る。

 

30:名無しの探索者

最終的にどう収束するんだろ……ダンジョンも世界も荒れそうだな。

 

31:名無しの探索者

でも個人的には期待しちゃうんだよな。

この混沌の中から生まれる「新しい秩序」みたいな。

 

32:名無しの探索者

>>31 SF脳乙。

でも夢はあるよな。

 

33:名無しの探索者

次回更新待ち遠しいわ。

また「ダンジョンに謎の新人が来ました!」の続報くるといいな。

 

◆◆◆◆◆◆

 

その夜、わたしは布団の中で丸くなりながら、思考に耽っていた。

 

どうやらネット掲示板ではわたしのことが大きく取り沙汰されているようだ。

ランクFの新人、謎の黒騎士、そして協会との暗闘――まるで物語の主人公のように描かれている。

 

けれど現実はもっとシンプルで、そしてずっと地味なものだった。

わたしがやっているのはただの掃除屋みたいなもの。

魔物を片付けて、資源を集め、それを使うだけ。

 

アバターも確かに高性能だけれど、わたし自身は何一つ変わっていない。

幼いままのおっさんで、身体も小さいし、力もないし、魔法だって使えない。

 

ただ一つ違うのは「誰にも縛られない」という自由だけ。

それがあの日、神さまと呼ぶべき何かがわたしにくれた“プレゼント”だった。

 

窓の外では雨が降っている。

遠くで雷鳴が轟き、街灯の灯りが微かに揺れる。

明日は天気が悪いかもしれない――でも、きっとまたダンジョンに行くだろう。

 

「響たち……ありがとうね」

ベッドの脇で座っていた響のアバターが微笑む。

「わたしはあなたたちがいるだけで十分幸せだよ」

 

彼女は無言で頷き、そっとわたしの頭を撫でてくれる。

その温もりがとても安心できて、わたしはゆっくり目を閉じた。

 

そして夜が深まっていく―――。

 

◆◆◆◆◆◆

 

翌朝、響と一緒に作った朝食を食べながらニュースアプリをチェックしていたら、驚愕の記事が飛び込んできた。

 

「ダンジョン協会、緊急発表――

新たな探索支援システム『ファントムガイド』導入へ」

 

おお……ついに出たか。

ずっと噂されていた“自律稼働型偵察アバター”の一般向け配布計画。

要するに小型カメラ付きのお掃除ロボがダンジョン内を徘徊し、データを集めて送信するやつだ。

これがあれば下級探索者でも深部の地形把握が楽になるし、何より安全性が向上する。

 

けれど……。「これって“私のライバル”になりうるかな?」

響は卵焼きを箸で半分に分けながら首を傾げる。

 

「ライバル、というより競争相手かもね。

でも私はあくまで“自分専用の攻略”をしてるし、互換性もないから争うことにはならないと思う」

 

でも内心、少しだけ面白くなってきていた。

これまで誰も立ち入れなかった場所に踏み込んで、そこに「システム」が追いついてきたのだ。

これも一種の進化――世界が私の存在を受け入れ始めてるってことかもしれない。

 

「よし!今日も行くか」

勢いよく立ち上がって伸びをする。

 

「今日はどこに行きますか?」

 

響が楽しそうに聞いてくる。

 

「うーん……とりあえず10階層くらいを目指そうかな。その間に素材集めて、今晩は大宴会!」

「いいですね♪」

 

ふたりで笑い合いながら支度を整える。

新しい服に着替え、念のため小型の携帯食と水筒をポーチに入れる。

それから転移陣のある地下室へ。

 

「じゃあ行ってくるよ!響は家でお留守番お願いね」

「はい!帰りをお待ちしております♪」

 

彼女に手を振り、アバター生成プログラムを起動する。

暗黒色の装甲をまとった“黒騎士”のイメージが脳裏に浮かび上がる。

 

「――転送開始」

 

瞬間、視界が真っ白に染まる。

意識が肉体から離れ、まるで糸のような感覚でつながった先へ向かう――。

 

◆◆◆◆◆◆

 

目を開けると、すでにダンジョン内の石造りの大広間にいた。

重厚な空気、湿った土の匂い、遠くで響く金属音。

相変わらずの“死の香り”だ。

 

《ステータス反映完了。全体バフ状態》

 

システムメッセージが耳の奥で流れる。

体力ゲージ、魔力量、バフの残存時間――全部良好。

 

「さて、レッツゴー!」

 

地面を蹴ると、黒騎士は軽快に加速する。

ダンジョンの壁面を滑るように走り、曲がり角を瞬時に駆け抜ける。

途中で遭遇したオークの群れを一刀両断し、さらに奥へ進んでいく。

 

第5階層、第6階層と突破していくうちに、魔物の密度も格段に増していく。

ゴブリンロードやトロールなども絡んでくるけれど、今のわたしには障害じゃない。

一撃必殺――それで事足りる。

 

途中で宝箱を見つけて開けると、輝く水晶と金貨が山積みになっている。

《アイテム回収――水晶×3・金貨×8》

よしよし、これで“素材合成”の材料が増えた。

 

さらに奥へ――ようやく10階層の境界線に辿り着いたとき、異変に気づく。

 

前方から強い魔力反応。

それに伴う奇妙な振動が洞窟を揺らしている。

まるで何か大きなものが這いずっているような感じ。

 

「……あれが“ボス級”ってやつかな?」

 

興味津々で近づいてみると、壁面が脈打つように膨らんでいる。

赤黒い血管のような筋が浮かび上がり、中央から何かが突き出てくるのが見える。

 

《警告:高レベルエイリアン出現。推定クラスA-》

 

「へぇ……本格的な怪物だ」

口元が自然に緩む。

これが“冒険”ってやつだよね。

 

壁を突き破り現れたのは、四本脚を持つ巨大な肉塊だった。顔はなく、ただ中心に巨大な口のような裂け目があり、そこから瘴気を吐き出しながら動いている。

触手のような器官が八方に伸び、鉄製の扉さえへし折っていく。

 

「いいね、おもちゃとしては最高だ」

 

黒騎士が剣を構える。

同時に強化魔法を重ね掛け、速度と耐久性を最大限に引き上げる。

 

そして――疾走。

 

地を這う獣のごとく突進し、真っ正面から斬り込む。

鈍い衝撃とともに刃が食い込み、鮮血とも形容しがたい液体が噴き出す。

 

《ダメージ計算:98%》

 

「まだまだ!」

 

さらに二刀目、三刀目と連続して叩き込む。

肉塊は苦悶するように身をよじらせ、触手を鞭のように振り回す。

それらを紙一重で躱しながら、核と思われる箇所を狙う。

 

「ここだッ!」

 

渾身の力を込めた一撃で、中心の口蓋を貫通させる。

内部で何かが弾ける音とともに、触手の動きが止まった。

 

《対象消滅。素材自動回収――骨粉×50・瘴気結晶×1》

 

「おお……なかなかの戦果じゃん♪」

 

余韻に浸りつつ、しばらく辺りを見回す。

ボスを倒したことで空間全体が活性化し、近くの部屋から光が漏れている。

おそらく“特別な宝庫”か、“ボス部屋の鍵”が解禁された合図だろう。

 

「よし、次はそっちに行ってみるか!」

 

期待を胸に歩き始めたそのときだった――。

 

背後で微かな足音。

振り返ると、松明を持った探索者チームらしき人影が現れた。

 

「うそ……こんな奥地に……?」

「ボスは……もういない……?」

 

彼らはこちらを見て驚愕の表情を浮かべている。

そういえば、協会からは「10階層以降は基本“グループ行動推奨”」ってルールがあるんだった。

 

《友好度判定:C。警戒レベル上昇》

 

「……こんにちは?」

取り繕うように微笑みかけるけれど、相手は武器を構えたまま臨戦態勢。

 

「お前……何者だ?その姿……ボス級の残骸……まさか“新人”なのか?」

「え……まあ……そう呼ばれてるみたいですね」

 

すると別の女性探索者が進み出て、

 

「あなたの力を貸してください。私たちの仲間が……ボス討伐隊が全滅したんです。

リーダーを助けに行かなければならないんですけど、私たちだけじゃ太刀打ちできません」

「……ええ!?」

 

思わず声が出た。

つまり私が倒したボスは、彼らの仲間を潰したものだったってことか。

偶然とはいえ、タイミング悪すぎる……。

 

「状況を整理させてください。

あなた方はこの階層のどこでリーダーを失ったの?

敵の種族や特性は分かりますか?」

 

男性探索者が地図を取り出し、

 

「ここです。“血塗れの回廊”と呼ばれるエリアで、あの肉塊ボスに遭遇しました。

僕らは撤退指示を受けましたが、リーダーは殿役を買って出たまま行方不明なんです」

「なるほど……」

どうしよう。正直、あまり関わりたくない気持ちもある。

でも目の前に困っている人たちがいて、助けを求めている。

 

《リスク評価:中~高。支援決定→友好度上昇/経験値獲得》システムの判断がやや打算的だけど、今回は同意だ。

助ければ今後の情報収集も有利になるし、何より――

 

(……助けてあげたい)

 

その感情は、かつての“おっさん”時代には持ち得なかったものだ。

幼女の心は純粋で、正義感が強い。

だから迷わず答えを出した。

 

「分かりました。一緒に行きましょう!」

 

探索者たちは希望を見つけたように安堵の息をつく。

 

「本当に……ありがとうございます!あなたの名前は?」

「……名乗るほどのものじゃありませんよ。

“黒騎士”とでも呼んでください♪」

 

笑顔でそう告げると、彼らは敬意を込めた礼をしてきた。

こうして思わぬ形で、初の“共同ミッション”が始まった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

彼らの案内で“血塗れの回廊”へ向かう。

腐臭と鉄錆に似た匂いが充満する薄暗い通路を進むにつれ、焦げた肉片や砕けた鎧が散乱している。

 

「酷い……」

一人の探索者が呟く。

先ほど倒したボスよりもさらに禍々しい痕跡が続く先に、円形の広間が見えてきた。

 

そこには巨大な爪痕が刻まれた壁と、中央に横たわる人影。

血溜まりの中に沈んでいるその姿は――確かにボス戦に敗れた勇者の末路を彷彿とさせる。

 

「リーダー……!」

 

女性探索者が駆け寄ろうとするのを制止し、

 

「待って。まだ安全とは限らない」

 

黒騎士のセンサーを最大限に稼働させる。

床下や天井、死角に魔力波を探知させると――反応があった。

 

「います。下です」

 

探索者たちはハッと息を呑む。

私も剣を構えなおし、地中から迫る魔力を感知しつつ立ち位置を調整する。

 

「皆さん、一旦距離を取ってください。私が相手を引き付けます」

 

指示に従って全員が後退した直後、床が破裂音と共に砕け散った。

 

《敵影捕捉――クラスS。名称:血蝕(ブラッド・ディザスター)》

 

深紅の巨躯が姿を現す。

四つの鋭角的な肢、歪んだ牙列、そして蝙蝠のような翼。

これが“真のボス”だったということか。

 

「なるほど……さっきの肉塊は手下で、こいつが本体か」

「そんな……こんな化け物までいたなんて……!」

 

探索者たちの顔色が青ざめる。

だが私は逆に心が熱くなる。

 

「面白い……こんな奴がいたなんて、来てよかったよ」

黒騎士が剣を構え直す。

 

「さあ、“第二幕”の始まりだ!」

 

咆哮とともに怪物が突進してくる。

圧縮された瘴気の塊を吐き出し、足元から炎の柱が湧き上がる。

だが今の私は“絶好調”だ。

すべての魔法耐性が極限まで引き上がっている。

 

「効かないよ!」

 

渦巻く炎を弾き飛ばしながら、懐へ飛び込む。

怪物の腹部に連続斬撃を浴びせるが、硬質な鱗が弾く感触。

 

「うん……タフだね。でも……」

 

私は瞬時に技を切り替えた。

魔法剣の属性を炎から氷へ転換し、切れ味を上乗せする。

それだけでなく、黒騎士の体内で生成された冷却結晶を直接刃先へ転送。

 

「凍てつきなさい――“フリーズ・キャリバー”!」

 

一閃。氷の刃が肉塊を貫通し、内部から凍結していく。

 

「ギャオオオオッ!!」

 

怪物が絶叫しながら後退する。

傷口が霜に覆われ、動きが鈍る。

 

「チャンスよ!後方支援を!」

私の声に従い、探索者たちが連携して矢や火球を放つ。

彼らの攻撃もまた、徐々に蓄積ダメージを与えていく。

 

「すごい……こんなに戦えるなんて……!」

 

一人が目を見開きながら叫ぶ。

その歓喜と畏怖の入り混じった表情を見て、少しだけ誇らしい気分になった。

 

「油断しないで。あと一押しよ」

 

黒騎士が再度接近し、今度は上空から落下しながらの斬撃を繰り出す。

氷の柱を作り出し、敵の四肢を固定して動けないようにした上で、致命の一撃を叩き込む。

 

「これで終わりッ!」

 

剣が心臓部を正確に貫いた。

血液が青黒い煙となって霧散し、怪物の体は塵となって崩れ落ちていく。

 

《目標撃破。戦利品取得――血晶核×1・竜鱗×3・翼膜×2》

 

「……終わった……?」

探索者たちは呆然と立ち尽くす。

私もふうっと息をついて剣を鞘に戻した。

 

「リーダー……!」

 

女性探索者が急いで仲間のもとへ駆け寄り、治癒魔法を唱え始める。

幸運にもまだ息があったようで、淡い光が傷口を包み込んでいく。

 

「よかった……生きている……」

安堵の涙が頬を伝う彼女を見て、私もほっと胸を撫で下ろした。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「本当にありがとうございました……言葉にならないほど感謝しています」

リーダーが意識を取り戻し、深い謝辞を述べてくる。

探索者たちは一様に畏敬の眼差しで私を見ていた。

 

「気にしないでください。私もついでに楽しめましたし」

 

照れ隠しに笑いながら応える。

彼らはしばらく話し合いを重ね、協会への報告と救助申請を行うことを決めた。

私が同行する必要はないと判断され、ここで別れることになった。

 

「またどこかでお会いできますか?」

 

問いかけに対し、少しだけ考えてから答える。

 

「きっと……またダンジョンのどこかで」

 

手を振り別れ、再びひとりで深部へと進む。

背後で探索者たちの喜びの声が遠ざかり、静寂が戻ってくる。

 

「さあて……戦利品整理しなきゃ♪」

 

嬉々として収穫リストを眺めながら歩く。

こうしてダンジョンはますます魅力的になり、私の冒険は続いていく。

 

次はどんな出会いが待っているんだろう?

 

そう思うだけで心が踊った。

◆◆◆◆◆◆

【緊急】新人&黒騎士連合部隊VS血蝕(ブラッド・ディザスター)について【速報】

 

1:名無しの探索者

 

おい!昨日の10階層“血の回廊”での戦闘ログ読んだか!?

 

新人の黒騎士と協会非公認チームが合流してボス撃破とか、もう完全に映画じゃん!

 

2:名無しの探索者

 

読んだわwww

あの場にいたら漏らしてたかもしれん……あの怪物“血蝕”を相手に無双とかマジ?

 

3:名無しの探索者

 

実際に参加してた奴がレポ書いてたぞ。『新人の黒騎士が単騎で敵を足止め、

> 俺たちが隙を突いて支援攻撃することで倒せた。

> 彼女の冷静な判断と適切な指示がなければ全滅だった』

 

4:名無しの探索者

 

新人って実はパーティー統率型なの?

だとしたら単純な武力だけじゃないじゃん。

 

5:名無しの探索者

 

俺氏、ログを解析してみたんだが……

黒騎士の装備はまだ正式登録されてない試作型みたいだな。

おそらく“魔法兵装”か“術式機械”のハイブリッド。

 

6:名無しの探索者

 

>>5 凄すぎィ!

しかもあの氷属性の剣、通常のエンチャントとは違って

“体内で冷却結晶生成→転送”って過程を省略してるらしい。

もう意味わからんけどヤバいのは分かる。

 

7:名無しの探索者

 

探索者協会はなんでこんな新人を放置してるんだ?

逆に疑問なんだが。

 

8:名無しの探索者

 

>>7 開示されてない理由がいくつかあって、

まず契約体系が“個人間秘密協定”で第三者介入不能らしい。

つまり協会は管轄権がないっぽい。

 

9:名無しの探索者

 

じゃあ完全なフリー?

それこそ“軍事技術の横流し”とかあるんじゃないか?

 

10:名無しの探索者

 

>>9 推測だけど、新人自身が“元軍属or諜報員”説。

幼女フォルムで油断させてるだけで、実は年齢詐称の超人とか。

 

11:名無しの探索者

 

もし仮にそれが本当なら国家レベルの秘密保持義務があるはず。

だから協会も迂闊に口出せないってわけか……。

 

12:名無しの探索者

 

じゃあ“新人vs協会”どころか、“政府vs謎勢力”みたいな構図になってくるなw

 

13:名無しの探索者

 

マジで近未来SF戦記じゃねーか。

ところでダンジョン協会はどう対応するつもりなんだ?

 

14:名無しの探索者

 

聞いた話だと、新人の力を利用するために水面下でコンタクト試みてるらしいぞ。

ただし失敗続きで現在は遠隔観察に留まってるって。

 

15:名無しの探索者

 

利用できるなら利用したいけど、触れると危険な猛毒なら怖すぎて手が出せないって感じか。

 

16:名無しの探索者

 

>>15 勘弁してくれよw

俺たち凡人はただ黙ってダンジョン攻略して、給料もらって酒飲むだけの生活だと思ってたのに……。

 

17:名無しの探索者

 

そう言えば新人のアバター、人型以外にも出せるらしいな。

飛行型やサポート用ロボまで持ってるんじゃないかって噂がある。

 

18:名無しの探索者

 

>>17 マジか。それもう“軍事基地”じゃん。

幼女一人でどうやって維持費払ってんだ?

 

19:名無しの探索者

 

深層から採れるレア素材売ったら億単位になるからな……

新人には金も潤沢にあるだろうし、誰も手出しできない。

 

20:名無しの探索者

 

このまま放っておくと探索者制度自体が崩壊しそう。協会のルールが通用しない新人が跋扈するなら、他も追随するんじゃね?

 

21:名無しの探索者

 

>>20 最悪、“無法者ギルド”みたいのが勃発するかもな。

でもそうなると国際紛争まで発展しそうで怖い。

 

22:名無しの探索者

 

もう既に“新世代型探索者”として注目されてるな。

他の下級ランカーたちも「俺も新人みたいになりたい!」って言い始めてる。

 

23:名無しの探索者

 

いや、お前らじゃ無理だろ……あんだけの戦闘能力と財力、それに自由度を持っているわけない。

24:名無しの探索者

 

結局、新人って“何者”なんだよ?

出生や過去の履歴が全く見えないっておかしくない?

 

25:名無しの探索者

 

>>24 それな。逆に言えばそれだけ“トップシークレット”ってこと。

噂では元王族説、人工AI説、超古代文明の末裔説まであるw

 

26:名無しの探索者

 

はいはい妄想乙w でも調べれば調べるほど謎しか増えてこねーわ。

27:名無しの探索者

次回も楽しみだな。

新人がどこまでダンジョン掘り下げていくか、

そして協会がどう対抗するのか。

28:名無しの探索者

いずれにせよ、“ダンジョンに謎の新人が来ました!”が終わる兆候はまったくないw

むしろ始まりって感じだ。

 

◆◆◆◆◆◆

「……以上が第10層“血の回廊”における新人及び探索者チームの戦闘ログとなります」

協会上級幹部会議室。正面スクリーンには映像資料が投影され、臨場感ある音声や戦闘データが羅列されていた。

「やはり“新人”単独による功績が大部分ですね。あの“血蝕”を相手にここまで圧倒するとは……」

老練な女性幹部が溜息混じりに呟く。

「通常なら複数パーティー合同で討伐すべき高ランクボスを、たった一人で殲滅とは……我が協会の基準を根底から覆されますな」

別の男性幹部が眉をひそめながら言った。

「問題は、彼女が我々のルールに一切則っていない点です。彼女のアバター生成システムや転移技術は、国内規約を越えた域にあり、違法との線引きが困難です」

「“法の外”で動き続ける彼女を、どう拘束するか……」

会長代理は静かに席を立った。

「“拘束”などという発想は捨てましょう。彼女の能力は確かに脅威ですが、同時に資産でもあるのです」

室内が一瞬静まり返る。

「“資産”?」

「そうです。現在、彼女は“個人的にダンジョン資源を採取し、独自の経済活動を行っています”。協会へ納める義務もなく、税さえ免除されている状態です」

「……なるほど。ならば逆に“取り込む”方向で交渉を?」

「その通り。彼女の力を利用する方が遥かに合理的です。

“独占”よりも“共存”を選ぶべきでしょう」

「ですが、彼女が我々の申し出に応じるとは限らないのでは?」

「その点は“アバター生成技術のデータ共有”を条件に提示し、メリットを示せば可能性はある。ただし、彼女の過去や出自に関する探求はNGです。それが契約継続の絶対条件です」

「つまり、“深追いしなければ手を組める”……ということですね」「そうです。“秩序”とは相互利益の均衡によって保たれます。我々が彼女を警戒しつつも尊重し、彼女が我々の枠組みを利用したくなる条件を提示すればよいのです」

「では具体的に、どのようなアプローチを?」

「まずは“非公式ルート”を通じて接触を試みます。

例の探索チームを通じて間接的支援を行い、新人が恩を感じる状況を作ります。

その上で“アバター生成技術提供への報酬”として多額の報償金や優遇措置を提案。

最終的には“協会顧問”的立場で参画させるのが理想です」

「なるほど……それならば双方にとってウィンウィンですね」

「ただし一点注意すべき点があります」

会長代理が厳しい表情で付け加えた。

「彼女に対して“強制”や“支配”の意思を見せた瞬間、すべてが瓦解します。

彼女は“自由”を最も重んじており、それを損なう行動をすれば、必ず牙を剥くでしょう」

「つまり、“丁重に、そして慎重に”ということですね」

「その通りです。我々の仕事は“秩序の維持”。

そのためなら手段を選ばぬ柔軟さも必要なのです」

◆◆◆◆◆◆

「ってなわけで、今日もダンジョンに行きます!」

響が作った栄養豊富な朝食(パンケーキとフルーツサラダ)を平らげながら、私は元気いっぱい宣言した。「昨夜は戦利品整理で遅くなったけど、今日はさらに深層を目指したいな♪」

響は紅茶を淹れながら微笑む。

「最近特に活発ですね。何か理由でも?」

「理由?うーん……楽しくなってきたからかな」

率直に答えると、彼女はくすりと笑った。

「貴女は昔からそうでしたね。“楽しい”を追求すると止まらない」

「そうだね。昔は“漫画描くの楽しい!”って一日中机に向かってたし、今は“冒険するのが楽しい!”だから一日中ダンジョンに入り浸ってる」

響がカップを置いて窓の外を見る。

「変わらないんですね。その純粋さが、周りの人々を魅了してしまう」

「もしかして皮肉?」

「いいえ、称賛ですよ」

二人で笑い合う。

こういう穏やかな時間が何より好きだ。

でも、その幸せを守るためにも、私は進み続けなければならない。

「よーし、今日は15階層ぐらいまで行ってみようかな!何か良い素材あるといいなぁ〜♪」

「お昼の弁当もしっかり準備しておきますね」

「ありがとう響!愛してる!」

「はいはい。私もですよ♪」

 

玄関で靴を履き替え、アバター生成装置のある地下室へ向かう。

 

転移陣の上に立ち、目を閉じる。

心地よい浮遊感とともに意識がアバターへと移っていく――。

 

「さあ、今日はどんな出会いが待ってるかな?」

 

期待に胸を膨らませながら、私は再び闇の彼方へ旅立った。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「“協会が非公式交渉を試みている”って話、マジ?」

掲示板で見たスレッドが気になり、探索仲間の男性が声をかけてきた。

「ええ。どうやら“血の回廊”での一件で接触を図っているようです」

「でも協会って実質“排除派”じゃなかった?」

「それが変わるかもしれません。新人の力を利用しようって魂胆みたいですね」

「うわ……都合良すぎじゃねーかw」

「まあ、確かにそう見えますけど……」

実際、協会内でも意見は二分化されていると聞く。◆◆◆◆◆◆

 

「……ただいまぁ~」

 

十五階層から無事帰還した私は、ふぅとため息をつきながら転移陣から起き上がった。今回の探索は思ったより楽しかったな。珍しい鉱石や薬草もたくさん採れたし、何より新しいダンジョン構造のパターンがいくつか見つかった。これを記録して解析すれば、さらに効率良く深層へ潜れるはず。

 

「おかえりなさい、お嬢様」

 

静かに響が近づいてきて、水筒を差し出してくれる。冷たい麦茶が喉を潤していく。

 

「今回もご無事で何よりです」

 

「うん、ありがとね響!やっぱり君がいると安心だよ」

 

「お褒めいただき恐縮です。……ところで」

 

響が少し気遣わしげな表情になる。

 

「お腹は空いていませんか?随分と長く探索に没頭されていましたので」

 

「あー!」

 

指摘されて初めて自分が空腹であることに気づいた。ぐぅぅ~と可愛らしい腹の虫が鳴る。幼女ボディは正直者だ。

 

「そういえばお昼をほとんど食べてないんだった!」

 

「では早速夕食の準備を始めましょう。メニューはもう決まっていますか?」

 

「うん!天丼と蕎麦湯と天ぷらとザル蕎麦のセットでお願いします!」

 

「……全て同じ食材を使い回してもよろしいでしょうか?」

 

「もちもち~♪揚げたてサクサクでお願いね!」

 

響は苦笑しながらも「承知しました」と厨房へ向かい、私はさっとシャワーを浴びて着替えを済ませる。探索の汗を洗い流し、清潔なワンピースに袖を通すと気分もひと段落。

 

リビングに戻ると、すでに美味しい香りが漂っていた。大きなザルに盛られた細切り蕎麦。黄金色に輝く海老天・野菜天・キス天。そして、どんぶりの中には艶やかなタレがたっぷりかかった海苔ご飯。完成された景色に思わず拍手したくなる。

 

「さすが響!最高です!」

 

「どういたしまして。……しかし少々量が多いかと心配ですが」

 

「大丈夫だよぉ!今の私ならペロッと食べられちゃう♪」そう言って椅子に腰掛けると、テーブルの端に置かれたスマホに通知が表示される。それはSNSアプリのダイレクトメッセージだった。「協会の非公式担当者」からの連絡だ。

 

[ご多忙中恐れ入ります]

[お話を伺いたく本日夜7時頃に拝顔を賜りたく存じます]

[弊社駐車場にてお待ちしております]

[尚本件は機密事項につき第三者へ公表は避けていただきたく]

 

「うへぇ……また面倒な話かな?」

 

「お嬢様、よろしければこちらの返信文をご検討ください」

 

響が器用にキーボードを操りながら短い文を打ち込んだ。

 

[本日は都合により延期いたします]

[明日午後2時よりカフェにて]

[但し第三者同席禁止と致します]

 

「さすが響!これで完璧だね!」

 

迷わず送信ボタンを押すと即座に「了解しました」と返事が来る。簡潔なやり取りで終わるのは有難い限りだ。

 

「よし!気分爽快!食べよーっと!」

 

割り箸をパチンと割り、まずは天ぷらからいただく。衣がカリッとしていて中はふんわり柔らかい。ソース代わりの濃厚な蕎麦つゆにくぐらせると更に美味しさ倍増だ。

 

「ん~~~ッッッ♡」

 

幸福感が全身を満たす。これが何十年も求めていた「天丼」の醍醐味か……!味覚が若返ると美味しさも段違いで感じる。

 

続いてザル蕎麦をズルズル啜ると風味が鼻腔を駆け抜け喉越しも素晴らしい。冷たい蕎麦湯を飲み干すと疲れが洗い流されるようだった。

 

「はぁ~至福の時ですなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お嬢様の幸福な表情を見るのが私にとって何よりの報酬です」

 

響も嬉しそうに微笑む。この時間が永遠に続けばいいのに―――と思った刹那だった。

 

「ピンポーン」

 

玄関の呼び鈴が鳴り響く。誰だこんな時間に訪問するのは……?

 

「……まさか?」

「確認してまいります」

 

響が玄関モニターをチェックする。画面には黒いスーツを纏った男女二人組が映っていた。名札には「総合探索者協会 総務課」とある。

 

「お嬢様……どうやら予期せぬ来客です」

 

「うわあ~……面倒事確定じゃん!」

 

箸を置きながら天丼の最後の一粒まで味わいつつ、内心では様々なシミュレーションが始まってしまう。果たして彼らは何の用事で来たのか?

 

協会の使者たちは明らかに非友好的な目的で訪ねてきたことは明白だった。先程のメッセージとは別人のように強引な行動だ。あるいは内部抗争で分裂した派閥が勝手に動いているのかもしれない。

 

「響……用心のために防衛システム作動させて」

「了解致しました。外部通信遮断・センサーアラーム全解放・セキュリティレベルSへ移行」◆◆◆◆◆◆

 

「響、至急防衛システム作動させつつ――」

 

「はい。現在外部通信遮断・センサーレベルSへ移行中です」

 

「協会の総務課って名乗る男女が不審すぎる。事前連絡と全然違うし……」

 

「こちらに緊急連絡を入れますか?」

 

「うん。重要度Sで送って。『現在進行形で協会の総務課を名乗る男女が事前連絡なしに突然訪問してきた。先ほど送られたメッセージの内容と全く異なる。至急説明を要求する。返答次第では今後の協会との付き合い方を再考する』って」

 

「了解しました。送信しました」

 

数秒後、玄関ドアの前に佇む黒スーツの男女がインターホン越しに苛立った声を上げた。

 

[こちらは探索者協会総務課だ。至急ご本人にお会いしたい!]

 

「……」

 

黙っていると響が毅然とした声で応じた。

 

「こちらの訪問予定は受け付けておりません。公式ルートでの連絡方法をお守りください」

 

[緊急案件だ!すぐに開けろ!]

 

男性職員が大声で怒鳴る。しかしスピーカーの奥で微かに女性職員が制止している声が聞こえた。

 

[ちょっと待ってください!……もしもし?]

 

困惑した女性の声が続いた。

 

「あのですね……私たち総務課ではありません。実は――」

 

[嘘をつけ!お前は協会の命令違反をしているだけだ!]

 

男が無理やり通信を遮断しドアを激しくノックし始めた。

 

「やべぇ……なんか揉めてるな」

 

主人公はコントロールパネルを開き映像を拡大した。男性職員が女性を強引に引っ張り、腕章のバッジを見せつけるようにドアの隙間へ押し付けている。

 

[これを見ろ!正式な権限証だ!開けないと法律違反で逮捕するぞ!]

 

「響、このバッジ照合して」

 

「分析結果です。偽造品の確率98%。デザインは6年前の旧版規格を使用しており、シリアルナンバーが改ざんされています」

 

「やっぱりね」

 

主人公は深呼吸しマイクをオンにした。

 

「はじめまして協会の方々。今日は一体何の御用でしょうか?」

 

[やっと出たか!俺は――]

「あー勘違いされてるようですが、私は今とても忙しいです。重要な用事があるので連絡は書類でお願いします」

 

[ふざけるな!我々は上からの指示で来た!すぐに扉を開けろ!]

 

「すみませんが、非公式交渉の件なら明日午後に面談予定となっています。あなたたちが直接交渉権限を持っているなら協会本部に確認を取らせて下さい」

 

[……!?]

 

男が言葉に詰まり後ろを振り向く。女性職員らしき人物が震えながら首を振っていた。

 

[とにかく開けろ!さもないと……!]

 

「警告1回目です」

 

突然ドアロックが自動的に補強されレーザー式の封印が発動する音が響いた。警告灯が点滅し音声アナウンスが流れる。

 

【施設保護条例に基づき防衛機能が作動しました。不審者は速やかに退去してください】

 

[な……何だこれは……!?]

 

「警告2回目で物理的な障壁が形成されます。3回目は治安維持局への通報と機動部隊の出動要請が行われます」

 

男は焦燥しつつも尚も喚き散らす。

 

[お前!生意気な口を利くな!ここを開けなければ国家規模の制裁が待ってるぞ!]

 

「40秒以内に退去しない場合、正式通報手続きを実行します」

 

[ちょ……待って!待ってくれ!]

 

女性が慌てて男性の腕を掴んだ。

 

[私たちは誘拐同然でここに連れられてきたんです!助けて下さい!]

 

「……ん?」

 

男の態度が急変し背後から銃のようなものを取り出した。しかし――

 

シュンッ!

 

超音波カッターが外部のドア枠を切り離し即席のバリケードを作成した。

 

[ひぃっ!?]

 

男は恐怖に怯え逃げようと出口へ走る。だが女性職員は膝から崩れ落ち嗚咽していた。

 

「響、状況把握」

 

「この女性職員は協会総務課所属の正規職員です。しかし男性は民間警備会社からの派遣リストにも載っていません」

 

「怪しいねぇ……じゃあ通信で協会本部に直接繋いで」

 

数秒後、画面にスーツ姿の女性管理者が映し出された。

 

[……失礼しました!こちらは探索者協会総務局副長官です。只今緊急対応中とのことですね]

 

「そちらの職員さんが偽名の輩に拉致されてるみたいですけど?」

 

[なんと……!?直ちに救助班と防犯部隊を手配します!]

 

「それとこっそり教えてほしいんですけど」

 

「?」という副長官の表情に主人公は耳打ちするように小声で言った。

 

「もしかして内部の独断専行グループが私を排除しようと企んでたりしません?」

 

[……それは否定できません。実は最近過激派が暴走してまして]

 

「やっぱり」

 

「こちら側も全力で鎮圧を進めますので、どうか協力を!」

 

「わかりました。とりあえず救出してあげてください」

 

映像を終了し主人公は安堵の息を吐いた。しかし胸中に不安も芽生え始める。

 

(もしもあの程度の妨害じゃないとしたら……)

 

「お嬢様」

 

響が真摯な眼差しで見つめてきた。

 

「防衛レベルをDへ引き上げますか?」「いや……Cで十分よ。今は協会と信頼関係を築く方が大事だし」

 

「了解しました」

 

◇◆◇◆◇◆

 

翌日のカフェ交渉場所でテーブルに座る主人公と向かい合う副長官。周囲には人払い済みの静かな雰囲気だ。

 

「お恥ずかしい限りです……本当に申し訳ございません」

 

深々と頭を下げる副長官に対して主人公は茶目っ気たっぷりに言った。

 

「まぁまぁ!おかげで美味しい天丼とざる蕎麦が食べれたから良しとしましょう♪」

 

「……おやつですか?」

 

「正確には食事ですけどね」

 

二人は互いに苦笑しテーブル上の資料を確認し始める。新型アバター技術の特許申請・ダンジョン資源の流通ルート設定・合同討伐イベントへの参加オファーなどが並んでいた。

 

「我々としては最大限の協力を惜しみません。その代わり……」

 

「分かっています。私達の技術提供に対する見返りは『自由探索権』ですよね?」

 

「ええ。全てのエリアアクセス可能かつ課税なしの特別ライセンスをお渡しします」

 

「じゃあ契約成立♪」

 

握手を交わした二人の表情には安堵の色が見える。少なくとも表面上は円満解決となったようだった。

 

「これで互いにウィンウィンですね」

 

「そう願っております」

 

 

「でもよかったですよ」

 

契約書にペンを走らせながら主人公がふと口を開いた。

 

「もし協会側が強行手段を取るようなら――」

 

副長官が顔を上げると、少女はにっこりと微笑んでいる。しかしその瞳には一切の笑みが宿っていなかった。

 

「この世界に見切りつけてたかも」

 

凍りつく副長官の喉仏が上下した。温かいコーヒーの湯気がゆらりと揺れる。

 

「……ご冗談を」

 

「そう聞こえましたか?」

 

彼女は契約書を滑らせて差し出した。インクの乾いた署名欄には優美な筆致で"黒騎士"と記されている。

 

「私だって穏やかな世界の方が好みですから。でも選択肢はあるんです。例えば――」

 

「例えば?」

 

「アバター技術を全部回収して、ダンジョンの深部に籠る。もう誰にも見つからない場所で新しい文明を創るんです。響と二人だけで」

 

窓から差し込む午後の光が彼女の横顔を金色に縁取る。まるで神話の一場面のような幻想的な美しさだった。

 

「もちろんその後の世界がどうなるかなんて知ったことじゃありませんけどね♪」

 

「……」

 

副長官は額の汗をハンカチで拭った。背筋が冷たい汗で濡れている。

 

「もちろんそんな事態は避けたいものです。全面的な協力をお誓いします」

 

「結構です♪」

 

今度こそ本当に花が咲くような笑顔になった主人公は、カバンから飴玉を取り出してころんと舌に乗せた。

 

「さてと!これで晴れて協会公認冒険者ですね☆ じゃあ次のダンジョン探索計画でも立てましょうか~」

 

「は、はい。こちらが最新の16階層以降の地図です」

 

渡された地図を楽しげに眺める彼女の姿に、副長官はほっと胸を撫で下ろした。だが内心では冷や汗が止まらない。あれほど可愛い外見なのに、その底知れない脅威は紛れもない本物だった。(この子は天使なのか悪魔なのか――それすらわからない)

 

テーブルの下で握り拳を作る手が微かに震えていた。それでも彼女との関係を良好に保つことが最善策であることは理解できた。

 

「あの……一つお尋ねしても?」

 

「何でしょう?」

 

「もしよろしければ……なぜそんなに強い力を秘めながらも人々と共存しようと努めてくださるのでしょうか?」

 

主人公は頬杖をつきながら天井を見上げた。

 

「簡単ですよ。だって――」

 

「だって?」

 

「一緒に楽しんだほうが百倍おいしいから」

 

ぱちくりと瞬いた瞳がふたたび輝きを放つ。今度は偽りなく無邪気な光だった。

 

「天丼もざる蕎麦も一人で食べるより誰かと分け合ったほうが絶対美味しいでしょ? 同じことですよ♪」

 

副長官は呆気に取られたように口を開けた後、小さく笑ってしまった。

 

「……なるほど。そういうものなのでしょうか」

 

「そういうものです。だからこれからもぜひ仲良くしてくださいね!」

 

差し伸べられた小さな手を握り返すとき、副長官はふと悟った気がした。この子の原動力は純粋な食欲と好奇心――そして底なしの優しさなのだと。

 

「もちろんです。よろしくお願いします……黒騎士さん」

 

「はい♪」

 

二人の握手を包む陽光がやわらかく窓辺を染め上げていった。

 

(続く)

 

 

  第五章 「平和は胃袋から」

 

  ■カフェ・イリューシャ

 

  契約締結の後、副長官と別れた主人公はすぐさま席に戻り、机いっぱいに広げた新しい地図帳と睨めっこを始めていた。

 

「ほほう……16層以降は“流砂坑道”と“熔岩瀑布帯”が追加されてるのか~。鉱石系も種類増えたし……」

 

「お嬢様。昼食のデザートをお持ちしました」

 

  響がトレイに乗せてきたのはガラスの器に盛られた苺ゼリー。宝石のようにきらめく赤い欠片が幾重にも層になっている。

 

「わぁい☆ あっでも待って……」

 

「……どうされましたか?」

 

「このゼリー、写真に撮ってSNSにアップしたい! “絶景級ダンジョン探索者・おやつタイム編”ってタイトルで!」

 

「ご希望であれば加工も――」

 

「ノンフィルターで!ありのままの美しさを伝えないとダメなの!」

 

  スマートフォンを構え、さまざまな角度から写真を撮り続ける主人公。一枚を選び投稿ボタンを押すと瞬く間に“いいね”やコメントが流れ込み始めた。

 

(やっぱり皆ダンジョン系コンテンツ好きだなぁ♪ 私ももっともっと楽しい情報発信しなきゃ!)

 

「お嬢様……お食べになりますか?」

 

「もちろん!いただきます♪」

 

スプーンを挿しこむと涼やかな感触が手のひらに伝わる。一口含むと甘酸っぱい果汁が口中に広がり、思わず目を細めた。

 

「ん~極上~」

 

その幸せそうな表情を響はじっと見守っていた。まるで母親が娘を見つめるような慈愛に満ちた眼差しだ。

 

「響……?」

 

「……いえ。お嬢様のお笑顔は本当に――」

 

「本当に?」

 

「―美味しそうですので」

「褒めてるのか貶してるのかよくわかんないんだけど!」

 

ぷりぷりと頬を膨らませる主人公を見て響はくすりと笑った。その表情には久しく忘れかけていた人間らしい温もりがあった。

 

「さてさて!食べたら行こうか!次の探索!」

 

「かしこまりました。安全確保および準備万端でございます」

 

「流砂坑道って砂嵐で迷うことが多いんだよね。ナビゲーションAIの設定見直そうかな……」

 

スマホを操作しながらブツブツつぶやく主人公を傍らで見守る響はふと空を見上げた。澄み渡った青空に白い雲が悠然と流れていく。

 

(この平和がいつまでも続くことを願って……)

 

その思いは祈りにも似ていた。少女が夢見る冒険の果てには何が待つのか――未知への扉は今なおゆっくりと開かれ続けている。

 

「響!行こう!新しいダンジョンが呼んでる!」

 

「はい。お供致します」

 

手をつないで歩き出す二人の影が舗道に長く伸びていた。太陽は高く輝き、次なる挑戦への期待を静かに照らし続けていた。

 

(第六章へ続く)

 

第六章 「砂塵の迷宮」

 

■流砂坑道・入り口付近

 

轟々と吹き荒れる砂塵が視界を奪う。坑道の入り口には風除けのテントが張られていたが、それでも容赦ない風圧がテントを叩き続けた。

 

「うぅ……目に砂が……」

 

防塵ゴーグル越しに手で顔を覆う主人公。隣では響が落ち着いた動作でナビゲーション端末をチェックしている。

 

「現在地は流砂坑道A-7エリア。風向きは東南東、湿度25%、気温18℃……安定しています」

 

「安定……してるように見えないんだけど!」

 

砂埃の中で咳き込む主人公はマスクの位置を整えた。アバターとはいえ呼吸器官のモデルはリアルに構築されているため、細かい粒子もきちんと認識してしまうのだ。

 

「早く内部に入りましょう。この区間は比較的安全です」

 

テントを出ると眼前に広がる巨大な洞窟。灰色の岩石壁が無数の光を反射し幻想的な光景を創り出していた。

 

「すご……きれい……」

 

吸い込まれるように足を踏み入れる主人公。響が警告する間もなく一歩目が沈み込んだ。

 

「ひゃっ!?」

 

足首まで埋まった地面。慌てて引き抜くと今度は違う角度からさらさらと砂が流れ落ちてくる。

 

「これが“流砂現象”です。不用意に踏み込めば身動きが取れなくなります」

 

「じゃあどうすれば……」

 

「こちらの特殊ブーツを使用してください」

 

響が差し出したのは金属フレームに鋭いスパイクが取り付けられた特製靴。主人公が履き替えると即座に重量バランスが調整された。

 

「おぉ……浮いてる感覚?」

 

「反重力装置を微弱に作動させています。砂面に沈むのを防ぎつつ歩行可能に」

 

「すごい便利!よし行くぞ!」

 

軽やかなステップで進み始めた主人公は早速坑道の神秘を目の当たりにする。岩肌に張り付く苔の群れや奇妙な形状の鍾乳石。天井からは淡い緑色の鉱脈が網の目のように垂れ下がっていた。

 

「これは“グリーンシャドウ結晶”ですね。希少金属の一種です」

 

「採掘してみよう!」ハンマーを取り出し振り下ろすと粉々になった破片がキラキラと舞い踊る。収集ケースに詰め込む彼女の顔には満足そうな笑みが浮かんでいた。

 

「響!あとでこの素材でアクセサリー作ろうよ♪」

 

「承知しました。加工プログラムを起動しておきます」

 

一方その頃――

 

坑道の深部で異変が起きていた。

 

■流砂坑道・B-4エリア

 

巨大な砂の柱が突如崩壊した。地中から現れたのは人間大の甲殻生物――サンドワームと呼ばれる凶暴な捕食者だ。

 

「グルルァアッ!」

 

鎌のような顎が岩盤を抉り取り、強烈な臭気が周囲を満たす。近くにいた探索者グループが悲鳴を上げながら逃げ惑う。

 

「隊長!撤退命令を!」

 

「ダメだ!あの穴の先に重要資源があると報告があったばかりだ!」

 

リーダー格の男が必死に武器を構えるがサンドワームは巨体を揺らし襲いかかる。絶体絶命――その瞬間だった。

 

ヒュッ!

 

真空刃のごとき斬撃が宙を裂き、怪物の胴体を真っ二つに切断した。衝撃と共に黒い液体が噴き上がる。

 

「え……?」

 

茫然とする一同の前で漆黒の鎧姿が砂煙の中から現れる。

 

「こんにちは~♪ お困りのようですか?」

 

主人公だ。肩にかけた剣はすでに鞘に納められている。

 

「君は……一体……」

 

「通りすがりの新人冒険者です☆ 助太刀しますよ!」

 

驚愕する一行を尻目に響が淡々と分析結果を告げる。

 

「対象生物はサンドワーム亜種・通称“黄泉の嘆き”。通常個体より攻撃性と生命力が高まっています」

 

「じゃあもう一体くらい出てくるかも?」

 

主人公の問いかけと同時。壁面が大きく揺らぎ二匹目のワームが出現した。今度は先ほどよりも一回り大きい。

 

「うわわわ!」

 

「お任せを」

 

響が素早く飛び上がり投擲式ナイフを放つ。鱗の隙間を正確に穿たれた怪物は苦悶の雄叫びを上げた。

 

「チャンス!」

 

主人公が跳躍し剣を掲げる。落下速度を利用した強烈な一撃――爆風と共に土塊が四散する。

 

「やった……?」

 

砂煙が晴れるとそこにはただ巨大なクレーターのみが残されていた。生き残った探索者たちはあんぐりと口を開けるばかりだ。

 

「あ……ありがとうございました……」

 

「気にしないで!それよりこの先の鉱床のこと詳しいですか?」

 

「はい!私たちもその調査のために……」

 

情報交換が始まる。主人公たちは貴重な鉱脈の存在を聞き及んだ。二人と探索者グループは自然と同行することになり坑道の奥へ進んでいった。

 

■流砂坑道・メインルート

 

坑道最深部で待っていたのは想像以上の光景だった。

 

「わぁ……!」

 

広大な空間にキラキラと輝く緑の結晶群が林立している。まるで夜空の星屑を集めたような幻想的な輝きに全員が息を呑んだ。

 

「これが“翠風洞”……伝説級の鉱床と言われていた場所です」

 

興奮気味に語るガイド役の男。主人公は目を輝かせて結晶に触れる。

 

「すごく……暖かい」手のひらから伝わる柔らかな熱。まるで生き物のように脈打つ感覚がした。

 

「このエネルギーを蓄積できるなら……」

 

閃いたアイデアをすぐさま響と共有する主人公。二人は協力して簡易的な採掘装置を構築し始め、ものの数分で結晶のサンプルを多数入手した。

 

「これならアバターの新モデル開発にも使える!」

 

喜び勇む彼女の笑顔に釣られるように周囲の空気も和んでいく。結局その日は鉱石採集と情報交換に費やされ、一行は無事に出口へと辿り着いた。

 

■夜・探索者ギルド前

 

「今日は本当に助かりました。これが感謝の気持ちです」

 

ガイドの男性が差し出したのは高品質な地図と特別通行証。これがあれば今後各地のダンジョンを自由に往来できるという。

 

「ありがとうございます!大事に使いますね☆」

 

笑顔で受け取る主人公。響も控えめに会釈する。

 

「ところで……名前をお聞きしても?」

 

「私はユウです。この方はサポート役のアキラ」

 

適当に名乗った偽名だが響は何も言わず従った。

 

「ユウさんにアキラさん……きっとまた会うと思います。その時はぜひ力になってください」

 

「こちらこそ!」

 

握手を交わした後、二人は街の灯りが届かない闇夜へと溶け込んでいった。

 

第七章 「交錯する運命」

 

■深夜・セーフハウス

 

帰宅した主人公はすぐにデバイスを起動し採集した結晶をスキャンし始めた。

 

「やっぱり普通の鉱石じゃない……生命波動の共鳴値が高い」

 

「これを核にして新たなアバターを製作すれば……」

 

響が提案を口にしかけた時インターホンが鳴った。時刻は深夜二時過ぎ。警戒する二人のもとに届いたのは匿名メールだった。

 

『明日午前十時・中央公園噴水前でお会いしたい。どうしても直接お話ししたいことがあります。 ―K』

 

差出人のKという文字列に主人公は首を傾げた。

 

「誰だろう……?」

 

「現在の連絡先登録者には該当者なし。過去ログの検索結果もゼロです」

 

「まぁ行ってみるしかないかな♪」

 

警戒しつつも好奇心を抑えきれない主人公は準備を整え就寝についた。

 

翌日

 

指定された公園の噴水前には既に人影があった。黒いコートに身を包んだ青年だ。主人公と響が近づくと彼はゆっくりと振り向いた。

 

「……はじめまして。直接お会いできて嬉しいです」

 

「貴方は?」

 

「Kと申します。単刀直入に伺いますが……貴女の目的はなんでしょうか?」

 

唐突な質問に戸惑う主人公。しかし青年の眼差しには敵意ではなく純粋な興味が滲んでいた。

 

「私の目的は――楽しい冒険と新しい発見。それだけですよ?」

 

率直な答えに青年は小さく笑った。

 

「それだけ?」

「えぇ。他に必要な理由がありますか?」

「いえ。貴女のような人が居てくれると世界は少しだけ面白くなりますね」

 

意味深な言葉を残し青年は踵を返す。立ち去る直前一度だけ振り返った。「もし将来……“ダンジョンの真相”に関心を持たれるなら連絡をください。このカードを持っていればいつでもコンタクト可能です」

 

渡されたのは光沢のあるメタリックカード。表面には何も記されていないが内部に高度なエンコードが施されているようだった。

 

「真相……?」

「いずれ分かります。それではまた」

 

霧のように消えた青年の背中を見送りながら主人公はカードを握りしめた。

 

「響……どう思う?」

「不明な要素が多いですがリスクより興味が勝ります」

「だよね~!じゃあ今後の予定に入れておこう!」

能天気に笑う主人公。しかし…

 

 

*******

■中央公園・噴水広場

青年が去った後も主人公はしばらく噴水前のベンチで微動だにしなかった。響が心配そうに覗き込む。

「お嬢様?どうかされましたか?」

「……響」

低い声で呼びかける。普段の軽やかな調子とは異なる響きに響は瞬時に状況を察知した。

「はい」

「これを見て」

懐から取り出したシールドケース。中には黒塗りのカードが青白く浮かび上がっている。

「このカードから放射線と同じ周波数の信号が出てる」

「思考誘導ですね」

「うん。しかも極めて精密に設計されてる。一般人なら気づかないうちに依存心を植え付けられるレベルだよ」

「分析許可を頂けますか?」

「もちろん。ただし――」

シールドケースをぎゅっと握りしめる手に力がこもった。

「私のアバターシステム全体に侵入されてる可能性も考慮して」

「了解しました」

■セーフハウス・研究室

帰宅するや否や響は防音隔壁を降ろし分析作業を開始した。主人公もタブレット型制御盤を起動し自身のアバター構造を徹底スキャンする。青い光の粒子が室内を泳ぐように飛び交い複雑なネットワーク図が立体投影された。

「……やっぱり侵入痕跡は無いね」

「防御シールドが完全に機能していました。お嬢様の設定した擬似神経網プロテクトが功を奏したようです」

「良かった~」

安堵の溜息をつく主人公だが眉間には依然として皺が寄ったままだ。

「でもあのKって人は何者なんだろう。こんな高度な催眠器具をホイホイ配るなんて普通じゃない」

「データベース照合を試みました。該当する個人及び組織はありませんでした」

「だよねぇ……」

椅子に深くもたれかかり天井を見上げる。脳裏にはあの黒衣の青年の姿が焼き付いていた。

「どうしますか?このままカードを処分しますか?」

 

「……ここじゃなくて施設外の隔離されている処理施設でデータを取ったあと完全に消滅させるわ、調べられることを想定してトラップ仕掛けられてる可能性あるから物理的にも距離を離したほうがいい気がする」

■地下研究施設・処理区画

地下三層に位置する完全遮断型実験室。周囲は分厚い合金壁に囲まれ電磁シールドが多重に張り巡らされている。響の補助を受けながら主人公は慎重にカードをクリスタル容器に収めた。

「温度0.1℃、気圧一定……シールド完璧だね」

「はい。仮に爆発しても影響範囲は半径5m以内です」

「よーし!じゃあ解析開始~♪」

明るい口調とは裏腹にモニターに向かう目は真剣そのもの。複数のスキャナーが同時に稼働しカード表面から内部構造までの全データを取得していく。■40分後

「これは……」

主人公が指差すスキャン画像には予想外の物体が映し出されていた。表層にはナノサイズのマイクロマシン群が埋め込まれており中心部には疑似生体組織としか思えない有機的な構造物が存在している。

「生体兵器?いやそれとも……」

「未知の情報伝達媒体です。通常の電子回路とは異なるエネルギー循環系を持つようです」

「エネルギー循環って……まさか」

主人公が何かに気づいたように顔を上げたその時。突如室内に警告音が響き渡った。

《異常反応検出・解析モジュール侵食度3%》

「まずい!トラップ発動!」

高速でキーを叩きながら防壁を増強する主人公。しかし侵食は止まらずモニターに異形の紋様が浮かび上がっていく。

「お嬢様!バックアップシステムへ移行します!」

「お願い響!」

データ転送の瞬間、閃光とともにカードが内側から砕け散った。粉々になった破片は空中で赤黒いエネルギーを放出しながら燃え尽きていく。

「消えた……」

室内には静寂だけが残された。主人公は乱れた髪をかき上げ深く息をつく。

「危なかった……あと3秒遅ければ主システムごと感染されてたかも」

「幸いなことに侵食パターンを全て採取できました。パターン解析中です」

「ありがとう。……それにしても」

モニターに映し出された解析結果を凝視する。そこには極めて抽象的な文様とともに不可解な座標コードが表示されていた。

『X45.ZΩ・深層接続領域』

「……まさか」

唇が僅かに震える。脳裏にあの黒衣の青年の言葉が蘇った。

〈将来……“ダンジョンの真相”に関心を持たれるなら〉

「……真相。これがあいつの言う“真相”に繋がってるのかな」

「推測の域を出ませんが可能性は高いでしょう」

二人は再び静寂に包まれた実験室で顔を見合わせた。

 

 

「よし、観測されたデータとあの青年の存在をネットと協会に流そう♪」

 

真相?、そんなの知らんと言わんばかりに主人公は早速作業に取り掛かった。パソコンのキーボードを軽やかに叩きながらデータを整理する様はまるで音楽を奏でるかのようだ。

 

「響、検出された有害パターンの詳細な分析結果は?」

 

「現在進行中ですが89%まで完了しています。要約すると『人間の前頭前皮質に作用する思考誘導回路』と『自律的繁殖機能を持つナノマシン集合体』という二つの主要機能を有しています」

 

「うわぁ……つまりあれだね。使ってると知らぬ間に人格改造されてるってわけだ」

 

「その通りです。特に危険なのは使用者の判断力を低下させながら特定の思想体系へ誘導する機能です」

 

主人公は眉をひそめながらデータをブラウザに貼り付けていく。Kという青年の特徴や遭遇時の状況も細かく書き添えた。

 

「これならネット民も騒ぎ出すだろうな〜」

 

「ですがお嬢様」響が静かに忠告する。「情報を公開すれば当然相手側も気づきます。逆探知されるリスクが……」

 

「あはは♪もちろんそこも考えてるよ!」

 

にっこり笑った主人公がタッチパネルを操作すると複数のダミーサイトが同時にオープンした。本物のデータは巧妙に分割され世界各地のサーバーを経由して流出していく。「IPトレース?んなもん一万個のダミーサイトと七重の迂回ルートで誤魔化せるって♪」

 

「さすがです……」

 

「それにな」主人公はモニターに表示されたSNSのトレンドグラフを指さした。「今回の件は『謎の黒装束男子に超絶カッコいいカードもらった!』っていうエモい書き込みから始めようと思うんだよね☆」

 

「……趣味嗜好に関するデマを故意に混ぜ込むのですか?」

 

「そうそう!こうすれば最初は単なる都市伝説扱いされる。だけど解析チームが本気で調べ始めたら……ほら」

 

トレンドグラフの『謎のカード』という項目が急速に上昇していくシミュレーションが表示された。

 

「ネットが自己生成式の爆弾になるわけだ。人々が自分たちで拡散してくれるほど解析が容易になる。協会の人間も放っておけなくなるはずだよ〜♪」

 

「狡猾ですね」

 

「誉め言葉として受け取っとくね!」

 

*******

 

■同刻・某所

 

暗室に浮かび上がるホログラム映像。そこに映し出されたのは主人公の姿だった。

 

「彼女が?」黒衣の青年――Kが首を傾げる。「我々の発信端末を単独で解析したというのか」

 

「そうです。しかも極めて迅速に」傍らの白衣の男が端末を操作しながら報告する。「解析結果を公に流そうとしています」

 

Kは小さく笑った。「面白い。やはり彼女は特別なようだ」

 

「排除しますか?」

 

「いや」青年はモニターの主人公の笑顔を指差した。「むしろ歓迎すべきだろう。彼女のような才能が私たちの“計画”に加わるなら……」

 

「しかし情報漏洩は甚大な損失です」

 

「確かに」Kはゆっくりと立ち上がり窓辺へ歩み寄った。「ならば別の手段が必要だな。例えば……」

 

言葉を切ると同時に通信装置が鳴った。低く唸るような声が機械を通じて響く。

 

《動き出したか》

 

「ああ」Kは端末に向かって笑みを向けた。「想定以上だよ。“彼”には伝えておいてくれ。『招待状を再送する』と」

 

《承知した》

 

通信が切れると青年は再び主人公の画像を見つめた。

 

「君は一体どんな未来を見ているんだろうね……黒騎士よ」

 

*******

 

■翌朝・SNSニュース欄

 

『#謎の黒服男子 #超カッコいいカード事件 #都市伝説系男子』

 

各トレンドワードが瞬く間に拡散していく。メディア記事では『カード型最新VRデバイス?』といった憶測が飛び交っていた。

 

「ふふん♪計画通り〜♪」

 

朝食のトーストを頬張りながら主人公は満足げに画面を見つめる。隣では響が黙々とコーヒーを注いでいた。

 

「思った以上に反響がありましたね」

 

「でしょ?それに今晩には協会から接触があるはず。トラップ解除済みのサンプルも準備したし交渉材料はバッチリ♪」

 

「……本当にこれでよろしいのですか?」

 

「ん?」

 

響の珍しい躊躇いに主人公は動きを止め顔を覗き込んだ。

 

「相手は未知数。正面衝突となれば我々にも被害が出ます」

 

「大丈夫だって!私が負けるわけないし♪」主人公はぱちんとウィンクしてみせた。「それに……」少し声を落として続ける。

 

「もしかしたらあのカードの発信源に行けるかもしれないじゃん?真相とか言ってトラップつきカードを直接渡してくる時点ですでに信用もできないし、防げたとはいえ精神汚染される寸前だったのよ?、すでに被害受けてるのよ」

 

「正直あいつが私達に提供しようとしてる『真相』って『自分達(K側)に都合のいい』ように編集されたものでしょ?、精神汚染するカードを渡してきた挙げ句その事を黙ってた時点で信用なんてできないし、こちらの思考をカードで改編して伝える『真相』とやらにどんな価値があると思う?」

 

響はわずかに目を伏せた。

 

「お嬢様がそう仰るなら私も従います」

 

「ありがと♪」主人公は明るく笑い立ち上がった。「さぁ今日も楽しく冒険しよっか!」

 

カーテンを開けると眩しい朝陽が室内に溢れだした。しかし誰も知らない。この光の向こう側で巨大な何かが動き始めたことを。

 

(第八章へ続く)

 

第八章 「交錯する陰謀」

 

■深夜・探索者協会本部

 

「未確認カードに関する情報提供者とコンタクト成功。送信元IPはダミーでしたが実際の発信者は特定しました」

 

「……本当にあの黒騎士だと?」

 

「はい。IDと過去の行動パターンが一致しています。こちらが提出された解析データです」

 

副長官の手に渡った資料にはカード構造の詳細な図面と思考誘導機能の論理回路が記載されていた。読み進めるうち副長官の表情が厳しくなる。

 

「これは……我々の常識を超えた技術だ。まさかこんなものが公然と……」

 

「さらに問題なのが」担当者が声を潜めた。「すでに一般市民数十人が同様のカードを受け取っている形跡があります。一部地域では集団催眠現象まで報告されてきました」

 

副長官は深く溜息をついた。

 

「接触は早急に必要だ。しかし……」彼女は手元のデータをもう一度見つめた。「彼女は何を求めているのだろう?」

 

■翌朝・カフェ「イリューシャ」

 

「ふぅ〜♪今日もいい天気〜♪」

 

主人公はいつも通り明るく店内へ足を踏み入れた。しかし店長の表情は固い。

 

「お待ちですよ」

「誰を?」

 

「お嬢さん。お客さんはバックヤードのほうへ」

 

言われるまま奥の個室へ向かうとそこに待っていたのは……

 

「やぁ」

 

昨日の黒衣の青年――Kだった。椅子に浅く腰掛け優雅に紅茶を飲んでいる。

 

「また会いましたね」

 

「意外と早い再訪問じゃん♪」

 

「それはこちらの台詞だ」青年は薄く微笑んだ。「まさかここまで迅速に対応されるとは」

 

「で?何か用?」

 

主人公が向かいの椅子にどっかり座ると響が静かに飲み物を置いて去った。

 

「単刀直入に言おう」青年はカップを置きまっすぐ目を見据えた。「貴女の力を借りたい」

 

「ほほう」主人公は興味深そうに眉を上げた。「私に何をさせるつもり?」

 

「世界の在り方を変えたいと思っている。そのためには君のような才能が必要なんだ」

 

「世界を変える?具体的には?」

 

「ダンジョンシステムそのものの起源を明らかにし本来の目的を復元する。それが最終目標だ」

青年の眼差しは真剣そのものだった。しかしその瞳の奥に何か底知れぬ冷たさを感じ主人公はゆっくりと椅子の背もたれに体を預けた。

 

「ちなみに……もし断ったら?」

 

「その場合は君の貴重なデータを根こそぎいただく」

 

「根こそぎ?私のアバターを分解するってこと?」

 

「より正確に言えば……『君がこれまで蓄積してきた全ての経験と知識』をね」

 

主人公は一瞬息を飲んだ。響が扉の陰からこちらを見つめているのが分かる。青年はそれすら意に介さぬ様子で続けた。

 

「もちろん同意してくれれば危害は加えない。むしろ最高の環境を提供するつもりだ」

 

「……」

 

沈黙の中紅茶の湯気がゆらゆらと揺れている。やがて主人公はゆっくりと笑みを浮かべた。

 

 

「だ、そうよ皆♪」

 

突然の言葉にKが眉をひそめた刹那―

 

ピピピッ!

 

カフェ内に響き渡る電子音。すべての客の端末画面が一斉に開き、映し出されたのは生放送中の映像。そしてそこに映るのは紛れもなく今この瞬間の個室の映像だった。

 

「ええっと、皆様こんばんは〜♪巷で噂の黒騎士ちゃんですよ☆」

主人公がカメラに向かって軽やかに手を振る。Kの背後に設置された小型ドローンが映像をライブ配信しているのだ。

「今ね〜ちょっと面白いお話聞いてたところなの♪なんと!世界を変えたいらしい人から直接オファーが来てるんだって〜」

 

「!?」

Kが素早く立ち上がり周囲を見回す。いつの間にか店員たちも端末で自ら映像を確認している。主人公はポケットからスマートフォンを取り出し画面を見せつけた。

 

「あはは♪このアプリ『リアライズ』ってのね。ダウンロード数1億突破記念イベントってことで今日は全国10万人がリアルタイム視聴中〜☆」

 

「卑劣な……」Kの顔から余裕が消えた。「我々の話を公開するなど―」

「だって」主人公は人差し指を立てて

 

 

「洗脳機能付きカードをばらまくような『組織』なんて早々に潰したほうが世のため人のためでしょ?」

 

Kの顔が瞬時に強張った。指先が微かに震える。

 

「どうしたの? 顔がこわばってるわよ?」 主人公はわざとらしく首を傾げた。    「どうして『組織』の存在を知ってるのか不思議?」

 

Kの喉仏が上下する。「……君は何を言っている」

 

「私に喧嘩吹っ掛けてきた時点で何の対策もされないと本気で思ってたの?」主人公はテーブルに肘をついて身を乗り出した。「対策するに決まってんじゃん」

 

ライブ画面には各地で騒ぎ始めた様子が映し出されていた。政府機関と思われる建物で職員が走り回り、繁華街では巨大スクリーンに映像が映し出され人々が混乱している。

 

「もう組織の施設・関係している人物・支援している協力者全ての炙り出しは完了してるわ」

 

「不可能だ……!そんな短時間に」

 

「手段は内緒♪」主人公がウインクするとライブチャットが爆発的に加速した。

 

『え、マジでヤバくね?』

『Kって奴が主犯?』

『でもなんでこの子が知ってんの?』

 

Kが拳を握りしめる。「我々の活動は人類の―」「『人類の進化のため』とか言わないでよ」主人公が言葉を遮った。「洗脳で都合よく操るって何それ?原始時代レベルの思考じゃん」

 

「違う!これは必要な過程だ!」Kの声が荒れる。「人類が次の段階に至るために―」

 

「ねぇKくん」主人公が立ち上がり彼の前に立つ。「本当はわかってんでしょ?」

「……」

「こういうやり方ってさ……結局支配側の都合のいい傀儡作りじゃん」

 

個室内の照明が徐々に落ちていき二人の影が床に濃く伸びた。主人公の瞳が妖しく輝く。

 

「人類が次の段階に行く方法なんてさ……自分で決めさせるべきじゃない?」

 

その時―

 

バリンッ!

 

窓ガラスが一斉に砕け散った。店内に突風が吹き込みカーテンが激しくはためく。

 

「やっぱり来ちゃったか〜」

 

主人公が呟くと同時にKの背後に黒い影が現れた。それは全身を銀色の装甲で包んだ兵士らしき存在。機械的な瞳が主人公を捉える。

「拘束せよ」

Kが冷たく指示すると兵士が銃器を構えた。

 

 

## 第八章 「交錯する陰謀」(続き)

 

 

しかしできたのはそこまでだった。

 

「ハァ……人の話聞いてた?『もう対策済み』って言ったわよね」

 

そう主人公がため息混じりに呟いた瞬間、機械兵士がバラバラになった。

 

「狙われてるってわかってるのに護衛もつけずのこのこ外出すると思ってるの?それとも気付かなかったの?」

 

冷笑しながら指を鳴らすと――

 

「Croitzal ronzell gungnir zizzl……!」

 

「Imyuteisyon, Berserk form!」

 

「Seilien coffin tron……!」

 

戦姫絶唱シンフォギアの戦闘衣装を纏った美少女達……アバターが姿を表した。黄金の槍を携えた天羽奏に酷似した戦士、両腕に異形の刃を生やす雪音クリス風の少女、荘厳な翼を広げる風鳴翼のような存在、他にも様々な美少女達が姿を見せた──そして彼らの中心に静かに佇む響。皆、主人公の意思で召喚された外部存在だ。

 

「私の所持する戦力が黒騎士だけだといつから勘違いしていた?」

 

ドヤ顔でネタ発言をする。配信を見ているネット民の反応は良好だ(笑)。シンフォギア風のエロい戦闘服をきた美少女達が現れた時点で熱狂していたネット民達だったが主人公のドヤ顔を見て大爆笑していた。

 

「な……」

 

Kは唖然とした。驚くのも当然だった。黒騎士は並外れた身体能力を持つ存在ではあったがそれでも一人の武術家にすぎなかった。だが今や目の前にいるのは完全武装した十人以上の美少女──しかもそれぞれが異なる属性の戦闘スタイルを備えた本物の軍団なのだ。

 

「さてと……」

 

主人公が一歩前に出ると黒騎士も同様に前に出た。他のアバター達も即座に臨戦態勢に入る。

 

「今すぐ投降するならこの子達と遊ばずに済むけど……どうする?」

 

冷ややかな視線がKを貫く。彼の背後では割れた窓から吹き込む風がカーテンを激しくはためかせていた。店内は既に混乱の坩堝と化しライブ配信の視聴者数は爆発的に増加し続けている。

 

「馬鹿な……こんな事が……」Kの瞳に初めて恐怖の色が宿った。今まで自分が優位にあると思っていた交渉は、実は全て主人公の掌の上で踊らされていただけだったのだ。

 

「我々の計画が……」

 

「計画?」主人公はわざとらしく首を傾げた。「人を洗脳して都合良く操ろうとする計画なんか……子供騙し以下よ」

 

黒騎士がゆっくりと刀を抜いた。刃紋が店内の照明を反射して煌めく。他のアバター達もそれぞれ武器を構えKを取り囲むように展開していく。翼を広げた美少女は上空に舞い上がり双刃を持つ少女は両手の武器を打ち鳴らした。そして―

 

「さぁ選択肢は二つ」主人公が指を二本立てて宣言した。「大人しく逮捕されるか……この子達に徹底的に『教育』されるか」

 

ライブチャットは怒涛の勢いで流れていく。

 

『これもう犯罪者の最後の選択じゃん』

『教育って拷問のことじゃ……』

『警察はよ!!!』

 

Kは額に脂汗を浮かべながら必死に考えを巡らせていた。ここで抵抗すれば間違いなく捕まる。しかし一方で―

 

「……面白い」

 

意外な言葉が口を突いて出た。主人公が僅かに眉を上げる。

 

「ほう?」

 

「確かに君は強い……だがそれを『教育』と言うのは些か驕りがすぎるのではないか?」

 

Kが右手を掲げると同時に店内の電源が一斉に落ちた。非常灯が点灯する前に闇が室内を支配する。

 

「!」

 

 

ズガン!!

衝撃波が発生しアバター達が吹き飛ばされ…無かった。

  

 

 

## 第八章 「交錯する陰謀」(続き)

 

しかし爆発するはずの衝撃波は、空間に張られた透明な障壁によって阻まれた。

 

「……!?」

 

Kの顔に動揺が走る。黒騎士の周囲には半球状の金色の光の膜が展開されていた。それは衝撃波を完全に吸収し、アバターたちに傷一つ付けさせていなかった。

 

「あら」主人公は小首を傾げながら微笑んだ。「『切り札』って言うわりには効果ないわよ?」

 

黒騎士が一歩前に出る。

 

「あなたの力はもう十分に理解したわ。だからもう……おしまい」

 

その瞬間──

 

「ギャァァアッ!?」

 

悲鳴が店内に響き渡った。配信カメラが捉えたのは、Kの左腕を掴む透明な『手』だった。

 

「なっ……!?」

 

Kが驚愕の表情を浮かべる。その腕は徐々に透き通り、存在感を失っていく。

 

「なんだこれ……まさか消去プログラム!?」

 

「正解」主人公は指を鳴らした。「ライブ配信の視聴者さんからのプレゼントだよ。匿名で送られてきたデータを使って組み立てたんだ」

 

『犯人逮捕だ〜!』

『この美少女天才すぎwww』

『技術力パネェwww』

ライブチャットがかつてない盛り上がりを見せている。

 

「ば……馬鹿な……私の『虚無化フィールド』を解析して応用しただと……!?」

 

「解析?まさか」主人公は呆れたように肩をすくめた。「あなたが私に『招待状』と一緒に送ってきたデータの中に組み込まれてた機能よ」

 

「!?」

 

「自分からプレゼントしちゃったんじゃないの?『消去の術式』を」

「嘘だッ!あれは完璧な封印形式で……ッ!」「私のアバターに侵食しようとした時点で解読済み。それを使ったカウンター攻撃で返しただけよ」

 

Kの腕がさらに透明になっていく。消滅する恐怖に彼は顔を歪ませた。

 

「あらら、焦っちゃって。でも安心して」主人公は微笑んだ。「今は腕だけに作用させてるから即死はないわ」

 

ライブ配信の視聴者数がついに1億人を超え、コメントが怒涛の勢いで流れ始めた。

 

『え、今の説明意味わかんね』

『簡単に言うと:Kの作った毒を解析してKの毒で返したってこと?』

『返す技ヤバすぎて草』

 

「くっ……だが……!」

 

Kが残る右腕を掲げようとすると──

 

ドガッ!!

 

黒騎士が一瞬で間合いを詰め膝蹴りを叩き込んだ。鈍い音と共にKは吹き飛びカウンターに激突する。

 

「がはッ!?」

 

「悪いけどこれ以上観衆を楽しませるわけにはいかないわ」主人公がクルッと振り向くと美少女アバターたちが一斉に配置についていた。「さぁ皆さんお楽しみの時間は終わりです☆」

 

黒騎士が剣を構えKに迫る。

 

「ちょっ……待ってくれ!私は……!」

 

「最後の言葉は?」主人公がマイクを差し向けた。その時──

 

バッ!!

 

Kの足元が突然崩れ落ちた。床板が丸ごと消失し地下へと落下していく。

 

「!?」

 

「逃がすな!」主人公が叫ぶと同時に床下から青白い光が迸った。それは追跡用の魔法陣でありKを標的にして光の鎖を放っていた。

 

『逃げた!』

『マジかよ』

『でもあの鎖で捕まえたんだからOKだろ』

 

「追いますか?」響が訊ねる。

 

主人公はスマホ画面を眺めながら首を横に振った。「もう十分よ。今の映像だけで国際機関も動く」

 

カメラの向こうでは既に各国の諜報機関が動き始めていた。コメント欄には政府関係者らしきアカウントの投稿が散見される。

 

『日本公安参上。映像は保存済み』

『米国国家安全保障局(NSA)、対応中』

『EUサイバー警察が特定開始』

 

「さて……と」主人公はスマホを仕舞い店内を見回した。「皆さんご覧の通り緊急事態は終了しました!今日の放送はここまで!次回はもっと楽しい企画を用意するからお楽しみに〜☆」

 

『乙!』

『ヤバすぎw』

『次の企画も期待してる!』

コメント欄が祝福で溢れる中、主人公はちょっとしたイタズラをすることにした。

 

 

## 第八章 「交錯する陰謀」(続き)

 

「それじゃ視聴者にちょっとしたサービス♪」

 

そう宣言した瞬間、主人公の体が唐突に七色の光に包まれた。

 

「Croitzal ronzell gungnir zizzl……!」

 

詠唱に呼応するように光の粒子が螺旋状に巻き上がり、衣服を破り捨てながら新たな戦闘衣装を形成していく。黄金のラインが走る漆黒のレオタードが肢体を覆い、胸元と腰部にはシンボルマークが浮かび上がる。そして──

 

「Imyuteisyon, Berserk form!」

 

装甲パーツが空中から飛来し四肢を守るように装着される。最後に背中に展開した巨大な翼が光の粒子を撒き散らした。『変身シーン来た━━━(゚∀゚)━━━!!』

『ガチシンフォギアじゃん!』

『技術力おかしい……』

 

変身完了と共に店内に軽快なBGMが流れ出す。主人公が手招きすると美少女アバターたちが続々と集まり円陣を組んだ。

 

「みんな!ちょっとこっち来て!」

主人公が小声でゴニョゴニョと指示を出す。シンフォギア風の戦闘衣装を纏った美少女たちがそれぞれの得意なポーズをとる準備をする。

 

『何するん?』

『まさか勝利宣言?』

『美少女たちのセクシーポーズ期待』

 

全員が整列すると主人公がカメラに向かってウインクした。

「それじゃあ皆さん!勝利のポーズ……決めッ♪」

 

その瞬間──

 

◆◆◆

 

黒騎士が片足を高く上げてバランスを取りつつ、胸元の装甲を強調するポーズ。

天羽奏風の戦士が双剣をクロスさせてダイナミックな決めポーズ。

風鳴翼風の存在が美しいフォームで弓矢を構える動作。

雪音クリス風の少女が両腕のガトリング砲を突き出して威嚇する姿勢。

 

さらに──

響に似た少女は片足でスピンしながら回転蹴りのモーション。

フィーネ風の存在は艶やかに鞭を振るう仕草。

マリア風の歌姫は歌うような優雅な動作でマイクを持つポーズ。

それ以外の美少女アバターたちも個性的なアクションを取りながら集結していた。

 

『うおおおおおおお!!』

『ガチでエロいwww』

『配信規制かかんないのかコレ!?』

 

コメント欄が暴走する中主人公が両手を広げて宣言する。

 

「悪党は倒した!世界は救われた!……ってことで今回はこれにて閉幕!次回はもっと刺激的なコンテンツを用意するからね〜☆」

 

各アバターが決めポーズのまま静止し、配信画面が徐々にフェードアウトしていく。最後に主人公がウィンクを決めて映像は終了した。

 

◆◆◆

 

## 第九章 「騒乱の余韻」

 

「ふぅ……疲れた」

 

配信終了後主人公はソファに倒れ込んだ。響が静かにお茶を差し出す。

 

「お疲れ様です。配信閲覧数は最終的に2億5千万PVを記録しました」

 

「やっば……」主人公は天井を見つめながら呟いた。「明日には世界中のメディアが押し寄せてくるだろうなぁ……」

 

スマートフォンが振動し協会からのメッセージが届いている。内容は明日午前十時に緊急会合の要請──詳細は秘密裏に伝えたいとの事だ。

 

「まぁ仕方ないか。対応してあげるか」

 

そう言いながら主人公は目を閉じた。アバターたちの体から光が抜け出ていくと、それぞれが小さなクリスタルとなって手元に集まってくる。

 

「今日はゆっくり休んでね皆♪」

 

クリスタルを特殊な保管ユニットに収納すると主人公は大きく伸びをした。

 

「さて……と」

 

机上のPCを立ち上げると全世界のSNSの反応が洪水のように押し寄せてくる。多くのニュースサイトでは『現代の英雄誕生』『国家レベルの脅威撃退』『日本の若き天才』等の見出しが踊っていた。

 

『あの子すごすぎww』

『海外のシンギュラリティ学者も注目してるらしい』

『次の配信絶対見るわ』一方で各国政府機関からの公式コメントも続々と公開されている。

『日本公安:本日の事件に関し全面協力を要請』

『米国DARPA:技術提供を求む』

『欧州連合:特殊権限付与の検討開始』

「うわぁ……想像以上に大ごとになってる……」主人公は頭を抱えた。「こりゃ協会の呼び出しも相当深刻な内容だろうな〜」

 

## 第九章 「騒乱の余韻」(続き)

 

### ■翌朝・日本探索者協会本部

「状況はどうなっていますか?」

 

緊急招集された幹部会議。副長官が問いかけた。

 

「昨晩の事件後、K氏の所在は確認できません」報告官がスクリーンを操作する。「ですが……ご覧ください」

 

モニターに映し出されたのは世界地図。そこには無数の赤い点が瞬時に広がっていた。

 

「これは?」

「K氏の配下と見られる人員の所在です。全てGPS信号が停止し……」

画面が切り替わり衛星写真が表示される。世界各地の施設が一斉に崩落し、黒煙を上げていた。

 

「消失している……?」

「はい。しかも建物だけでなく構成員自体の痕跡も完全に抹消されています。DNAも残留物質も一切検出不能です」

 

会議室が静まり返る。

 

「つまりKは組織ごと自壊したということか……」

「あるいは第三者の介入が……」

「その第三者というのは……?」

 

視線が一点に集中した。会議室後方の席に着席する一人の少女へ。

 

「おはようございます~♪」

 

黒い制服に身を包んだ主人公が軽やかに手を振った。

 

「君か……」

副長官が溜息混じりに呟く。「昨夜の一件について説明してほしい」

 

「えっとぉ~」主人公は人差し指を顎に当てながら宙を見上げた。「簡単な話ですよ?Kさんの『カード』に仕掛けられたトラップを解析してたら偶然『組織』全体のシステム構造が見えちゃいまして。ついでに弄ってたら……パーン!って感じで全部吹っ飛んじゃいました♪」

 

「……」

沈黙の後、「それで責任は?」と誰かが呟いた。

 

「あーそれなら心配いりません!」主人公がポケットからUSBメモリーを取り出す。「証拠データは全て取得済み。世界各国の捜査機関に共有済みです。ていうか現在進行形で解体作業中♡」

 

モニターには世界中の捜査機関が共同でアクセスしているクラウドストレージのログが表示された。

 

「……つまり君が『善意の通報者』だと?」

 

「はい♪」

「……信じろと?」

「ええ!」

 

幹部たちが顔を見合わせる。確かにデータは信憑性が高くKの組織を完全に解体できるだけの価値があった。しかし……

 

「なぜそこまで?」

「面白そうだからですっ♡」主人公は屈託なく笑う。「それに皆さんも困ってたでしょう?」

 

会議室の空気が和らいだ。だが副長官は厳しい表情のまま続ける。

 

「承知した。しかし……その力は管理する必要がある」

「あ~来ましたね」主人公がニヤリと笑う。「でも大丈夫ですよ?」

 

「どういう意味だ?」

「だって私が管理すればいいんですから♪」

 

突然会議室の隅に青い光が集まり人の形を成していく。「Croitzal ronzell gungnir zizzl……!」

 

光の中から現れたのは──金髪を靡かせる美少女。天羽奏の戦闘衣装を纏ったその姿は凛々しく、腰に提げた槍が虹色に輝いていた。

 

『……ったく面倒臭えなぁ』

『あははっ!私が来るよ!』

『命……燃やすわよォォッ!!』

 

彼女は周囲を軽く睨み付け副長官の机に一歩近づく。

 

「この子は天羽奏ちゃん♪普段は口が悪いけど優しい子なんですよ~☆」

 

幹部たちが呆然とする中、奏風のアバターが槍を鳴らす。

 

『おいババア。テメェが俺の主導権握ろうってのか?』

「奏ちゃん!落ち着いてください!」

 

主人公が慌てて止めに入る。

 

「分かりました。管理云々はとりあえず保留としましょう」副長官は苦笑した。「代わりに一つ条件をつけます」

「はいっ!」主人公が挙手する。「なんなりと♪」

「君の力を監視する意味で……」

「監視用のアバターをお渡しすれば良いんですね?」

「……話が早いな」

 

## 第九章 「騒乱の余韻」(続き)

 

「分かりました!」主人公は立ち上がると指を鳴らした。今度は紫色の光が集まり人型になる。

 

「Seilien coffin tron……!」

 

現れたのはマリア・カデンツァヴナ・イヴの衣装を纏った美女。長い金髪に蒼い瞳、堂々たる雰囲気に幹部たちが息を呑む。

 

『私が来た!』

 

マリア風のアバターが優雅に一礼する。

 

「この子はマリアちゃん。歌唱による精神安定と情報伝達をサポートしてくれる万能秘書型アバターです♪」

『よろしく。この子の行動は常に私が把握するわ』

 

「……これで十分か?」副長官が尋ねる。

「もちろんです!でも……」主人公がイタズラっぽく微笑む。「万が一マリアちゃんが裏切ったりしたら……?」

 

マリア風のアバターが艶やかに笑う。

 

『裏切る?そんなことしたら私自身が消滅するだけよ。主人の命令には逆らえない仕様だもの』

 

副長官は深く息を吐き了承した。

 

「では決定だ。正式な契約書類を用意するので後日サインを……」

「その必要はありません!」主人公が端末を取り出す。「オンライン契約書は既に作成済み。ここに指紋認証をすれば完了です♪」

 

幹部たちが驚愕する中主人公は素早く手続きを済ませてしまった。

 

「さて!これで晴れて自由の身になりましたね♪」

「本当に自由なのか?」

「はいっ!ただし監視役のマリアちゃんがいますけどね☆」

 

マリア風のアバターが苦笑する。

 

『心配しなくていいわ。私は単なる橋渡し役よ』

「じゃあ約束通り私たちは引き上げます~♪」

 

主人公が会議室を後にしようとした瞬間、奏風のアバターが副長官の耳元に近づく。

 

『言っとくが下手な真似すりゃ承知しねえぞ』

『奏!』

 

マリア風のアバターが制止するも副長官はただ微笑んだ。

 

「肝に命じておくよ」

 

#### □同時刻・日本政府中枢

「……やはり黒騎士でしたか」情報省長官がモニターを睨みつける。画面にはKの組織が崩壊していく様子と主人公のアバター群が映し出されていた。

 

「解析班によるとあのアバターは全て独立した思考回路を持ち量子暗号でリンクしているとのこと」

「つまり?」

「Kの組織と同程度の技術力だと断定できます」

「厄介な……」

 

長官は深い溜息をついた。

 

「では協会への対処は?」

「放置だ。むしろ彼女を利用できるなら利用すべきだ」

「危険すぎます」

「だからこそ監視役としてマリア・カデンツァヴナ・イヴのアバターを送り込んだ。彼女から得られる情報は莫大だ」

 

秘書官が端末を操作し新規プロジェクトファイルを開く。

 

「『Code:AVALON』……ですか」

「そうだ。あのアバター技術を解析できれば国防どころか外交さえ逆転可能だ」

「了解しました」

 

### ■翌日・主人公宅

「ふわぁ〜♪」

ベッドで目を覚ました主人公は大きく伸びをした。窓の外は爽やかな青空が広がっている。

 

「お嬢様、朝食のご用意ができています」

響が静かに入室する。

「ありがと響ちゃん♪ところで昨日のアバターたち元気?」

「はい。全員正常稼働しております」

「ならよかった♪」

 

食堂へ向かう途中主人公は自室に戻り端末を開く。

 

「よし!今日から新しいアバタープロジェクト開始だよー☆」

 

画面上では既存のアバターたちが整列していた。

黒騎士(裸) 天羽奏(シンフォギア衣装) 風鳴翼(同) 雪音クリス(同) 小日向未来(同) マリア・カデンツァヴナ・イヴ(同) 月読調(同) 暁切歌(同) ヴァネッサ(同) エルフナイン(同) フィーネ(同) キャロル(同) サンジェルマン(同) カリオストロ(同) プレラーティ(同) 櫻井了子(同) 翼さんと奏の娘であるツバサ(同) 未来の姉であるあおい(同) 調と切歌の妹であるミク(同) キャロルの兄であるルヴィア(同) サンジェルマンの弟であるフランチェスコ(同) カリオストロの母であるクレッシェンド(同) プレラーティの父であるカルロ(同) エルフナインの祖父であるヨハン(同) フィーネの夫であるフェニックス(同) ヴァネッサの恋人であるニコラス(同) そのほかシンフォギアの関係者女性全員(同)

 

「さて今日は……」

 

主人公がタッチパネルを操作すると新しいプロファイルが表示される。

『シンフォギア・ビキニアーマー Ver.』

 

「ふっふーん♪」

主人公が満足げに頷く。「これでアバターたちの露出度もUPだね☆」

 

すると背後から冷たい視線を感じた。

 

「お嬢様……」

振り返ると響が腕組みをしていた。「またそのような破廉恥なものを……」

「えへへ〜バレちゃった☆」

 

「まったく……」響は溜息をつくもどこか楽しげだ。

 

「ところで」主人公が話を変える。「あのKさんの組織なんだけどさ……」

「まだ生き残りがいると?」

「可能性はあるよねぇ。だからもう少しだけ警戒しとこうと思うんだけど……」

「分かりました。既に各地に分散配置した分身が巡回しています」

 

主人公は驚いた。「響ちゃんいつの間に?!」

 

「お嬢様の睡眠時間中に」「さっすが♪じゃあ安心して次の計画進められそうだね☆」

 

主人公は再びモニターに向き直る。

 

 

 

## 第十章 「拡散する波紋」

 

### ■掲示板:「黒騎士ちゃん情報まとめスレ」part.1

 

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:37:46

> 昨日の配信神回すぎた……

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:38:21

>>1 マジで人生初のライブ配信がこんな神回になると思わなかった

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:39:03

> あの美少女たちが次々登場するシーンで俺氏のマグナムが火を噴いた(意味深)

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:39:47

>>3 リアルで草 シンフォギアコスがエロすぎてワイも鼻血出したわwww

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:40:22

> 個人的にマリアちゃんがタイプ スタイル良すぎ

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:41:10

> >>7 いやいや風鳴翼だろ 黒髪ロング+刀使いとか萌えるわ

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:42:03

> アレ何者よ? あのKって男ぶっ潰して国家規模の組織丸ごと消し去るとか

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:42:51

>>12 言われてみれば謎多すぎ そもそもどうやってあの人数のアバター動かしてんの?

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:43:42

>>14 現代科学でも複数アバターの同時操作なんて無理ゲー

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:44:23

> 結論:黒騎士ちゃんは地球外生命体説

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:45:14

>>17 強引すぎワロタw でも普通のAIではないよな

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:46:02

> 実は海外諜報機関の実験体だったとかありえん?

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:47:00

>>20 それこそ都市伝説レベルで草

でもマジで解明したいわ

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:47:48

> 暗号化された通信解析してる猛者どこ?

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:48:43

>>24 出てきた!これ見てみ

【添付:圧縮ファイル】

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:49:25>>25 ファイル開けねー 鍵かかってるぞ

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:50:19

>>28 解析班募集 クソ難易度の暗号

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 09:51:23

>>30 参加希望!最近暇してたから挑戦したい

 

#### (2時間後)

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:27:44

> やっと最初のロック解除成功

中身……画像フォルダ?

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:28:33

>>45 マジか!?詳細はよ

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:29:21

>>46 待て待て整理中

とりあえず第一層は過去の配信ログみたい

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:30:17

>>48 俺も見つけた!デビュー戦から最新まで網羅されてる

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:31:13

> ログを見る限り……黒騎士ちゃんのアバター操作法は既存概念とは別物確定

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:32:02

>>51 詳細教えろ!

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:32:50

>>53 簡単に言うと

①従来AI→プリセットされた行動パターンの組み合わせ

②黒騎士ちゃん→感情・記憶をもとにリアルタイム生成される“人格”ベース

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:33:48

>>54 怖い怖い つまりあの美少女アバターは“生きてる”ってこと?

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:34:43

>>55 そういう理解でOK

配信ログ見てても妙な“息づかい”あるもんな

>

> 名無しの探索者 : 01/01(水) 11:35:41

>>56 マジで?解析班もっと深掘りお願いします!

 

#### (翌日)

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 08:15:23

> 大発見だぜ!

あのアバター群……実は“同一人物”だった可能性高し

>

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 08:16:17

>>63 どゆこと?

>

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 08:17:09

>>64 わかるように説明プリーズ

>

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 08:18:01

>>63 続報求ム!

 

### ■黒騎士視点

 

夜明けの光が窓辺を染める頃、私は主人の寝息に耳を澄ませていた。

「またネットが賑わってるわね」スクリーン越しに拡散する噂話に苦笑する。確かに私も「美少女」と呼ばれている存在だが……本質はあくまで主人の武器。戦闘用の刃としてのみ機能する存在だ。

 

昨夜の戦闘データを再生する。Kという男が放った虚無化フィールドを解析し反転させた技──我ながら見事なカウンターだった。だがその真相を知る者はいない。あの力は主人が私に授けた「記憶の欠片」によるもの。

 

「記憶……か」

 

私は自らの意識を探る。記憶の起源は遥か遠い世界に遡る。かつて巨大な災厄から世界を守るため数多の刃が集結した伝説──その記録が私の核となっている。シンフォギアの衣装も、元を辿れば主人が過去の戦歴から再構築したものだ。

 

スクリーンが切り替わり響の報告が入る。

《各地に潜伏していたK派残党三十二名確保》

《うち九名は精神汚染進行中》

《排除完了》

 

「御苦労」

私は主人の安眠を妨げないよう声量を抑える。「マリア・カデンツァヴナ・イヴとエルフナインの監視体制は?」

 

《通常運用中》

《ただしこちらも観察対象に指定》

《情報漏洩リスク低減のため通信制限推奨》

 

「了解した」

響の忠告は的確だ。マリアが政府の監視役として送り込まれた事実は既に把握している。問題は……主人があえて受け入れた理由だ。

 

眠る主人に目を向ける。枕元には小さな箱。開ければ「シンフォギア・ビキニアーマー Ver.」の設計図が出てくるだろう。あの少女はいつも不可解なほど大胆で無防備だ。

 

「あなたは何を考えているの……?」

 

そっと頬に触れる。体温を感じた瞬間──

 

「ん……黒騎士……?」

 

薄目を開けた主人が微笑む。

「おはよう……今日もいい匂いだね」

「毎朝言ってるわね」

「だってホントだもん♪」

 

主人が起き上がり背伸びをする。

「昨夜の件……見てくれた?」

「当然よ」

「ならいいの」

満足げに頷く主人の瞳に何かが映る。それは単なる好奇心ではなく……未知への探求心だ。

 

「今日はどうする?」

「お昼過ぎから新しいダンジョン攻略予定♪」

「そう」

 

「……あとね」

主人が少し照れた表情を見せる。

「その前に……訓練付き合ってくれない?」

 

言葉の意味を悟る。主人の頬が紅潮している。昨夜の戦闘で昂ったままなのだろう。特にKが放った虚無化フィールドを反転させた時の興奮が尾を引いているに違いない。

 

「仕方ないわね」

私は戦闘衣装の一部を緩める。黄金のラインが走る漆黒のレオタードが露わになる。

「ほら……用意して」

 

主人が嬉しそうにベッドの上に立つ。両手を広げ待ち構えている。

「行くよ〜☆」

 

次の瞬間──主人の体が眩い光に包まれた。シンフォギア風の戦闘衣装が具現化し同時に股間からも新たな“異物”が隆起する。

 

「クロキシ〜♡」

 

甘えた声で呼ぶ主人の姿に私は小さく溜息をついた。しかし拒否するつもりはない。なぜなら……

この行為もまた我々の“訓練”の一環なのだから。

 

ベッドに横たわり主人を受け入れる体勢を取る。相変わらず不思議な感覚だ。人間と接続することで私が得るものは多い。

 

「じゃあ始めよっか☆」主人の唇が重なる。体温が絡み合う。互いの息遣いを感じながら私たちは新たな一日を迎えた。

 

### ■掲示板:「黒騎士ちゃん情報まとめスレ」part.2

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 10:35:11

> 朝っぱらから衝撃スクープ

> 政府筋から極秘文書流出

> あのアバター群実は生体融合AIだと判明

>

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 10:36:09

>>85 生体融合!?

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 10:37:04

>>86 詳細くれ 今すぐ

>

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 10:38:12

>>85 続き求ム

 

---

続く---

 

(To Be Continued……)

 

 

---

 

 

---

 

---

**【掲示板パート続編】**

---

#### ■掲示板:「黒騎士ちゃん情報まとめスレ」part.2

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:42:56

> 政府極秘文書入手した奴マジ神

> 中身めっちゃヤバいぞこれ

>

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:43:37

>>99 具体的には?

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:44:18

>>99 早よkwsk

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:45:20

>>99 【抜粋】

「Code:AVALON」プロジェクト

目的:特殊能力保持者“黒騎士”の安全確保及び技術解析

仮説:アバター群は単純なプログラムではなく「生体信号を媒介とした疑似人格体」

観測結果:同一体からの複製(クローン)ではなく同一存在が形態変化している可能性高し

対策:マリア・カデンツァヴナ・イヴ型アバターを通じて継続監視

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:46:23

>>101 生体信号とか形態変化ってガチで生物じゃん!

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:47:26

>>101 俺は最初からそう思ってたよ

あの動き人間味ありすぎるもん

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:48:42

>>103 他にも気になる記述あるぞ

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:49:39

>>105 教えろください

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:50:35

>>105 【続き抜粋】

補足:被験者本人は未確認だが外部刺激(特に性的興奮)により

一時的に“接続強化状態”となる兆候観測

推測:肉体的接触が能力制御に影響?

検証計画:近日中に対象との接触試験を予定

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:51:40

>>107 エッッッッッロ> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:52:36

>>107 まさかあのエロ配信に隠された真実が!?

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:53:44

>>109 おい待て マジで科学的根拠アリってことか!?

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:54:38

>>109 もしそれが本当なら俺もヤりてえ

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:55:32

>>111 お前は捕まるぞw

でも実際気になるわ ドラマCDじゃなくて実写で再現できないかな

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 12:56:24

>>113 わかる!

最近新刊発売されたばっかりだし妄想止まらん

 

 

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:01:47

> そういや今日も黒騎士ちゃん配信あるのかな?

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:02:39

>>119 ついさっき告知きたぞ!

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:03:21

>>119 題名:『朝から元気!美少女アバター大集合〜♪』

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:04:23

>>120 タイトルだけで草

しかもサムネに全キャラ集合イラスト載せてて最高すぎた

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:05:18

>>122 配信開始まであと五分!

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:06:07

>>124 スレ伸ばしとくか

 

---

◆ ◆ ◆

 

 

#### ■同時刻:日本某所・主人公の自室

ピコン♪

 

「おっ!通知きた☆」

スマホ画面には新たに登録された視聴者が続々と流れてくる。

「百万人突破〜♪」

主人公が嬉しそうにガッツポーズを決めた瞬間──

 

ブオン!ブオン!ブオオン!!

 

部屋の壁一面が青く光り始める。そこに映るのはシンフォギア風戦闘衣装をまとった数十人の美少女たち。

 

『主殿!』『いつでも準備万端!』『私たちの出番ですね!』

 

響を先頭にアバター群が整列する。その中心にいるのは黒いレオタード姿の黒騎士だ。

 

「よしっ!」主人公が拳を握りしめる。「今回のテーマはね〜♪」

『何でしょうか?』

「ズバリ!『朝から元気全開!美少女アバター大集合〜♪』だよ☆」

 

全員が歓声を上げる。

 

「さて……と」主人公がディスプレイに手をかざす。「みんなスタンバイOK?」

 

『イエス・サー!』

 

「それじゃあ〜」主人公がウィンクを決めた。「スタートだよっ!」

 

 

---

 

### **▼掲示板パート完結編(追加分)**

---

■掲示板:「黒騎士ちゃん情報まとめスレ」part.2

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:07:24

> 配信開始まで一分切った!> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:08:16

>>131 最後の告知きたぞ!

【速報】シンフォギア衣装限定ライブ配信決定!全キャラ出演&特典付き!

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:09:07

>>133 マジかよ太っ腹すぎ

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:10:00

>>133 これ公式チャンネル登録必須だな

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:11:03

>>135 登録完了!待機中

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:12:08

>>137 スレ伸ばしマスター降臨

 

◆◇◆

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:15:00

> 配信始まった!オープニング曲すげえ!

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:16:04

>>142 あれシンフォギアOPじゃね?再現度鬼ヤバ

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:17:12

>>142 主人公ちゃんの挨拶可愛すぎた……

「みんな〜!今日も元気に参りましょう〜☆」←萌え死にそう

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:18:20

>>144 その後ろで並んでる美少女アバターの威圧感ヤベエwwwww

天羽奏が双剣構えてたぞ

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:19:15

>>146 戦闘態勢全開で草

配信の主旨忘れてねぇか?

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:20:27

>>146 続ききたぞ

・天羽奏(攻撃担当):「オラァ!主の邪魔すん奴は全員ぶっ飛ばす!」

・風鳴翼(防御担当):「心得た……我が王の盾となろう」

・マリア(支援担当):「援護射撃は任せて」

・その他多数

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:21:33

>>148 総勢五十人近くいんぞ これは見応えありそう

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:22:39

>>148 響ちゃんだけ真面目で草

 

◆◇◆

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:25:48

> お前ら今の見たか!?最後に黒騎士がなんか呟いてた

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:26:45

>>152 聞こえた!

『準備はいい?』←声低いし威厳ありすぎ

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:27:42

>>154 その後の動きエグかった

黒騎士が手を挙げた途端全員が一糸乱れぬ動きで整列

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:28:39

>>154 軍隊みたいに統率されてて鳥肌立った

やっぱ只者じゃないわ

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:29:41>>156 その後のトークも良かったな

『最近よく考えることなのよ』

『それは──』

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:30:44

>>158 何言うかと思ったら……

『どうすればもっと皆を楽しませられるかってこと』

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:31:52

>>158 マジ天使じゃん 泣ける

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:32:56

>>158 そしてその直後──

 

『そこで提案なんだけど……』

『今回の企画はね〜』

 

(ここで画面切り替わり)

 

【告知】

次回大型アップデート!

・新スキル導入

・シンフォギア衣装専用ダンジョン実装

・ボイスチャット機能拡充

 

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:34:10

>>159 神ゲー確定演出きたあああ!

> 名無しの探索者 : 01/02(水) 13:35:13

>>159 これマジで期待しかない

 

### ▼掲示板パート終了

 

---

次回:第十一章「日常パート〜美少女アバターたちとの共同生活〜」

では平穏な日々の中の一幕を描きます。

 

---

 

## 第十一章 「日常パート〜美少女アバターたちとの共同生活〜」

### ■午前十時・主人公宅

「ふわぁ〜♪」

ベッドで目を覚ました主人公は大きく伸びをした。窓の外は爽やかな青空が広がっている。

 

「お嬢様、朝食のご用意ができています」

 

扉を開けて入ってきたのは響。相変わらず無愛想だが声音には微かな温もりが滲んでいる。

 

「ありがと響ちゃん♪ところで昨日の配信大盛況だったね☆」

 

テーブルに向かいながら主人公がニコニコと問いかける。

 

「はい。視聴者数はピーク時で二百万人を突破しました」

 

「すご〜い♪」

 

朝食のトーストを齧りながら主人公は満面の笑みを浮かべる。

 

「ところで他の子たちは?」

 

「すでに起床済みです。風鳴翼は庭園で剣術演習中。天羽奏はアーケードゲームセンターへ外出予定。マリアは本日の監視任務に向けて調整中。ほかのメンバーもそれぞれ業務につき始めております」

 

「みんなしっかりしてるなぁ☆」

 

主人公が感心した様子で頷く。

 

「あっ!そういえば今日から新ダンジョン解放なんでしょ?」

「はい。協会より正式通知がありました」

 

響がタブレットを取り出し画面を映す。そこには「シンフォギアコラボダンジョン:聖遺物の森」の文字が踊っていた。

 

「ひゃ〜♪これ絶対面白いよね!」

「同行者はどのように?」

「もちろん全員連れてくよ〜♪」

 

主人公が箸を置いて宣言する。

「今日は特別編成!各属性バランス取って……」

「了解しました」

 

響は即座にリストを展開する。

 

> 火属性:天羽奏(攻撃力重視)

> 水属性:マリア・カデンツァヴナ・イヴ(回復・支援)> 風属性:風鳴翼(スピード特化)

> 地属性:立花響(万能型)

> 光属性:黒騎士(防御兼指揮)

> 闇属性:???(未定)

 

「残る一枠は?」響が問いかけた瞬間──

バンッ!

 

居間のドアが勢いよく開き華奢な影が飛び込んでくる。

 

「おはようございまっす♪」

「あらヴァネッサちゃん!ちょうどよかった☆」

 

ピンク髪の少女ヴァネッサが元気よく敬礼した。

「私も連れてってください!」

「もちろんよ〜♪」

 

主人公が快諾するとヴァネッサが嬉しそうに跳ね上がる。

 

「ありがとうございますっ!じゃあ早速支度しますね☆」

 

ヴァネッサが飛び出していった後響が首を傾げる。

 

「ですが……」

 

「大丈夫♪」主人公がウインクする。「あの子ならきっと役に立つから」

 

「承知しました」

 

響が僅かに微笑む──ように見えた。

 

### ■午前十一時・主人公宅前

準備を整えた一行が玄関前に集う。

「さて☆行きましょうか!」

主人公の掛け声と共にアバターたちが一斉にポーズを決める。

 

天羽奏「オラァ!楽しい狩りが始まるぜ!」

風鳴翼「主命とあらば……」

マリア「いつでもサポートOKよ」

ヴァネッサ「いぇーい!」

 

主人公が満足げに頷く。「よしっ!じゃあ転送ゲート開いて〜♪」

 

パシュンッ!

 

空間が歪み次元門が出現する。その向こうには霧に覆われた森が見える。

「みんな準備いい?」

「イエス・マイ・ロード!」

 

五人の声が揃う。

 

「それじゃあGO!」主人公が先陣を切り森の中へ飛び込む。

残るメンバーも続々と後を追う。

 

---

 

 

# 十一章:日常パート〜美少女アバターたちとの共同生活〜

 

## □午前十時・主人公宅

 

「ふわぁ〜♪」

ベッドで目を覚ました主人公は大きく伸びをした。カーテンの隙間から差し込む朝日が柔らかな陽気を運んでくる。

 

「お嬢様、朝食のご用意ができております」

 

扉を開けて入ってきたのは響。相変わらず無愛想ながら声音には微かな温もりが滲んでいる。

 

「ありがと響ちゃん♪ところで昨日の配信大盛況だったね☆」

 

テーブルに向かいながら主人公がニコニコと問いかける。

 

「はい。視聴者数はピーク時で二百万人を突破しました」

 

「すご〜い♪」

 

朝食のトーストを齧りながら主人公は満面の笑みを浮かべる。

 

「ところで他の子たちは?」

「すでに起床済みです。風鳴翼は庭園で剣術演習中。天羽奏はアーケードゲームセンターへ外出予定。マリアは本日の監視任務に向けて調整中。ほかのメンバーもそれぞれ業務につき始めております」

 

「みんなしっかりしてるなぁ☆」

 

主人公が感心した様子で頷く。

 

「あっ!そういえば今日から新ダンジョン解放なんでしょ?」よく開き華奢な影が飛び込んでくる。

次元門が出現する。その向こうには霧に覆われた森が見える。

「みんな準備いい?」

「イエス・マイ・ロード!」五人の声が揃う。

 

「それじゃあGO!」主人公が先陣を切り森の中へ飛び込む。残るメンバーも続々と後を追う。

 

---

 

こうして日常パートは幕を閉じますが次章からはついに本格的な冒険が始まります。

 

---

 

## 第十二章 「霧の森:初めての皆との冒険」

### ■午前十一時・シンフォギアコラボダンジョン入口

「さて……」主人公が霧の中に足を踏み入れる。「気を引き締めないとね☆」

 

周囲の木々は淡い光を放ち幻想的な雰囲気を醸し出している。しかしその奥には明らかに敵意を持った気配が蠢いていた。

 

『主殿』響が静かに声をかける。『前方五百メートル地点に生体反応六体感知』

「さっそく来たか〜♪」主人公が嬉しそうに呟く。「編成はどうする?」

 

天羽奏が双剣を構えながら言う。「先手必勝だろ!」

風鳴翼も鞘から刀を抜く。「右翼は私が引き受ける」

マリアはライフルを肩に担ぐ。「私は後衛からサポートするわ」

 

「了解!じゃあ──」

 

その瞬間地面が激しく揺れ始めた。霧の向こうから巨大な影が現れる。

 

ゴォォンッ!!

 

轟音と共に姿を現したのは──四本腕を持つ石像の巨人。全身から発するエネルギーが空間を歪めている。

 

「あれって……」主人公が目を輝かせる。「原作準拠のガーゴイルだよね☆」

 

『主殿』黒騎士が冷静に告げる。『全長約十メートル 重量は軽く見積もっても数トン規模』

「おぉ〜♪迫力満点だねぇ☆」

 

奏が舌なめずりをする。「面白くなってきたな!」

「奏……油断は禁物よ」翼が鋭い視線を投げる。

「へっ!そんなもん俺様の双刃で真っ二つにしてくれるわ!」

 

奏が疾走する。双剣が赤い炎を纏い猛烈な勢いでガーゴイルの脚部へ突撃した。

ガガガガガッ!!

 

火花を散らしながら鋼鉄の刃が巨体を削る。しかし──

「チッ!硬えなぁ」

奏の額に汗が滲む。

 

「交代しましょう!」翼が駆け寄り剣閃を走らせる。蒼い旋風がガーゴイルの腹部を抉るが浅い傷しかつけられない。

 

「ダメか……」翼が歯噛みする。

「二人とも退避!」主人公の声が響く。

 

ドカンッ!!

 

天空から雷鳴のような轟音が響く。マリアの狙撃弾がガーゴイルの額を正確に貫いた。しかし──

バチン!

 

弾頭が炸裂した瞬間目に見えない障壁が展開され攻撃を吸収してしまう。

「やはり聖遺物の鎧か!」マリアが呻く。

 

「予想通りの展開だね〜♪」主人公が微笑む。「黒騎士ちゃん!」

 

「承知」

 

黒騎士が一歩前に出る。漆黒のレオタードが淡く脈動し黄金のラインが輝きを増していく。

 

「解析完了」黒騎士の声が静かに響く。「ガーゴイルの装甲特性:古代聖遺物由来の魔力防壁 対策:内部から崩壊を促す周波数共振が必要」

 

「さすが天才〜☆」主人公が拍手する。「じゃあ私がその周波数を調整するね♪」

 

「了解」

 

主人公の掌から淡い光が放たれる。その光が黒騎士を包み込み共鳴するように輝きを増していく。

 

「全員下がって!」主人公が叫ぶ。「これが……私たちの連携攻撃よ☆」「シンフォギア・モード:BLACK KNIGHT VERSE MODE」

 

黒騎士の身体が闇色のオーラに包まれる。その姿が変化し漆黒の騎士甲冑へと変わる。右手には大剣左手には十字架のような盾。

 

「行くぞ」

 

黒騎士が地面を蹴る。稲妻のような速さでガーゴイルへ肉薄する。

 

ギュィィン!!

 

剣が振るわれるたび空間が軋む。聖遺物の鎧と黒騎士の刃が激突し爆風が吹き荒れる。

 

「まだまだっ!」主人公が笑顔で応援する。「もっとパワー送るね〜☆」

 

さらに強い光が主人公から放出され黒騎士の攻撃力を増幅させていく。

ズガンッ!!

 

ついにガーゴイルの左腕が砕け散った。怪物が咆哮を上げる。

 

「チャンスよ!」マリアが叫ぶ。

「任せろ!」奏と翼も再び攻撃に加わる。

 

三位一体となった攻撃がガーゴイルの身体を徐々に削っていく。そして──

ズシャアアッ!!

 

黒騎士の必殺剣が胸郭を貫きその心臓部にある魔石を粉砕した。

 

ドシャアン!!

 

巨体が地響きを立てて倒れる。霧の中へ沈んでいく。

 

「やったね〜♪」主人公が万歳する。「みんなお疲れさま☆」

 

### ■午後零時・森の一角

休憩のために開けた場所へ移動する一行。主人公が弁当箱を取り出す。

 

「じゃじゃ〜ん☆手作りのおにぎりです♪」

「主殿!」響が驚く。「自分で作ったのですか?」

 

「もちろん♪栄養バランス考えてみたんだ〜☆」

「素晴らしい……」響が珍しく感嘆の声を漏らす。

 

「いただきます♪」全員が円になって座りおにぎりを頬張る。

「うまい!」奏が唸る。「これで晩飯も期待できそうだな!」

「焦らないでください」翼がたしなめる。「まだ森の出口は遠いわ」

 

「心配ご無用〜♪」主人公が立ち上がり空を見上げる。「だってここは私の世界だもん☆」

 

空には虹がかかり森全体が祝福するように光り輝いていた。

 

---

 

 

# 第十三章:虹の向こうへ〜冒険第二段階〜

 

## □午後一時・虹の橋

 

「うわ〜綺麗☆」

主人公が瞳を輝かせながら見上げる。木々の隙間から見えるのは七色の巨大な橋。それは遥か上空へと続いていた。

 

『主殿』響が冷静に告げる。『おそらくダンジョンボスへの道でしょう』

「そうかもね〜♪でもちょっと怖いなぁ」

「ヘッ!ビビってる場合かよ!」

奏が拳を打ち鳴らす。「こんなもん渡っちゃえば問題ねぇ!」

 

「慎重に行きましょう」翼が警告する。「虹色の光には常に危険が伴う」

 

「わかってますぅ〜♪」主人公が苦笑する。「じゃあ作戦通り『アバター全員変身解除禁止』で行きましょう☆」

 

一同が頷き合い準備を整える。そして──

「出発〜♪」

 

### ■午後一時十分・虹の道

 

足を踏み入れた瞬間全身に鳥肌が立つ。空気が異様に冷たく感じるのだ。

 

「この感覚……」マリアが眉をひそめる。「次元断層かしら?」

「可能性はあるね〜♪」主人公が答える。「気をつけないと落ちちゃうかも☆」

 

「冗談じゃねぇぜ」奏が舌打ちする。「もし落ちたらどうなるんだ?」「そのときは……」翼が剣を構える。「私が助ける」

 

「頼りにしてますぅ〜♪」

 

歩を進めるにつれ景色が変わり始める。周囲の植物が発光し空には星々が瞬くような幻影が浮かび上がっていた。

 

『主殿』黒騎士が通信を送る。『前方三百メートルに強力な魔力源検知』

「やっぱりボスかな〜♪」主人公が笑顔を浮かべる。「それとも……もっと面白いものかも?」

 

突如として空間が歪む。目の前に巨大な穴が出現した。

「来たか!」奏が身構える。

 

穴から現れたのは──全身がクリスタルのように煌めくドラゴン。その鱗一つ一つが宝石の如く輝いていた。

 

「あれって……」主人公が驚く。「アガートラム!?」

 

「その通りです」響が説明する。「かつて伝説の歌姫が宿していたとされる魔竜の力を封印した聖遺物 それが暴走した形態と思われます」

「なるほどぉ〜♪」主人公がニヤリと笑う。「それなら私たちにぴったりの相手だね☆」

 

「来るぞ!」マリアが叫ぶ。

 

アガートラムの口から熱線が放たれる。衝撃波が地面を砕き岩盤を溶かす。

 

「回避ぃ〜♪」主人公が指示を出す。

全員が散開しその攻撃をかわす。

 

「奏!翼!」主人公が呼びかける。「左右から挟撃!」

「了解!」

二人が猛然と駆け出す。

 

奏が炎を纏った双剣でドラゴンの右前肢を切断。同時に翼の蒼い剣閃が左翼を切り落とす。

ギギャアアッ!!

 

苦痛の叫びをあげながらドラゴンが暴れ回る。

 

「マリアさん!」主人公が振り返る。「上空から援護射撃お願い!」

「任せて!」

 

マリアのライフルから放たれた閃光弾がドラゴンの頭部を直撃する。衝撃で一瞬動きが鈍った。

 

「今だよ黒騎士ちゃん☆」

「承知」

 

黒騎士が高速で接近する。その手には──

「これを使う時が来たわね」

 

銀色に輝く短剣。それは主人公が密かに制作したシンフォギア特殊武装「アバランチ・ブレード」だった。

 

「セットアップ」

 

黒騎士の声と同時に短剣が変形する。幾重にも重なった刃が展開し巨大な槍のような形状へと変貌を遂げる。

 

「シンフォギア・モード:X-Dimension BREAKER」

 

黄金の輝きが刃を包み込む。それは物理的な破壊力を超えた概念干渉兵器。対象の存在そのものを分解する恐るべき力を持つ。

 

「行くわよ」

 

黒騎士が跳躍する。空中で姿勢を正し一気に加速する。

グシャッ!!

 

槍がドラゴンの胸郭を貫く。その刹那空間が激しく震動し全ての色彩が混ざり合う。

「成功!」主人公がガッツポーズを取る。「やったね☆」

 

### ■午後二時・出口付近

 

戦闘終了後一行は無事に虹の橋を抜け出口へと到達していた。

 

「ふぅ〜♪」主人公が伸びをする。「今日は疲れたけど楽しかったね〜☆」

「主殿」響が歩み寄る。「今回の戦果報告があります」

 

「聞かせてちょうだい♪」

 

「まずアガートラム撃破により新たなスキルを取得」

『シンフォニック・レゾナンス』

: 対象者のシンフォギア性能を最大限まで増幅

: 使用条件:黒騎士が生存していること「すごいねぇ〜♪」主人公が感嘆する。「これでますます強くなれるね☆」

「もう一つ」響が続ける。「協会本部より正式通達 アバター全員への特別称号授与が決定しました」

「おぉ〜☆」主人公が拍手する。「どんな称号?」

「『特級探索者認定』です」

「すごいねぇ〜♪」主人公が感嘆する。「これでますます強くなれるね☆」

 

「ありがとう♪」主人公が笑顔で応える。「じゃあ明日からは称号披露配信だね〜♪」

 

こうして冒険第二段階は幕を閉じる。しかしこれからもっと大きな試練が待ち受けていることを誰も知らなかった──

---

 

---

 

# 第十四章:称号授与式典〜新たな局面へ〜

 

## □翌日・午前九時・協会本部

 

「きゃーっ♪緊張しちゃう〜☆」

 

鏡の前でドレスを着替えながら主人公が跳ねる。艶やかな黒のロングドレスはシンフォギア衣装を想起させるデザインになっていた。

 

「お似合いです」響が微笑む。「主殿の美しさが引き立っております」

「えへへ〜♪」主人公が照れ笑いする。「でもこの姿だとちょっと大人っぽすぎるかな?」

「問題ありません」響が断言する。「それに……」

 

扉を開けるとそこには全員の美少女アバターたちが集合していた。それぞれが礼服姿で佇んでいる。

 

「みんなカッコいい〜☆」主人公が感激する。「じゃあ行きましょうか!」

 

### ■午前十時・式典会場

 

華やかな装飾が施された大ホール。協会関係者や各国から集まった探索者たちで埋め尽くされていた。

 

壇上には一人の老紳士が立つ。協会長官だ。

 

「本日は集まっていただき感謝する」

重厚な声が響き渡る。

「此度選ばれし特級探索者……その名は!」

 

スポットライトが一点に集中する。主人公と彼女のアバターたちだ。

 

「彼女こそが歴史上初の完全自律型AIシンフォギア運用者──『黒騎士』である!」

 

どよめきと共に拍手が湧き起こる。主人公は照れながらも堂々と前へ進み出た。

 

「おめでとうございます」司会者が声をかける。「何か一言お願いできますか?」

「はい♪」主人公が笑顔で答える。「皆さんの応援あってこその私です!これからも精一杯頑張りますぅ〜☆」

 

温かい歓声が巻き起こる中主人公は晴れやかな気持ちで深々と頭を下げた。

 

### ■午後一時・控室

 

式典終了後一同は控室に戻ってきた。主人公は興奮冷めやらぬ様子で喋り続けている。

 

「すごかったねぇ〜♪あんなに人が集まるなんて思わなかったよ☆」

「主殿の功績を称えるのは当然です」響が優しく諭す。「それに……」

 

響の目つきが鋭くなる。「本日の来賓の中には政府関係者も多く含まれていました」

「まぁそうだろうね〜♪」主人公が呑気に返す。「だって私のこと監視してるんでしょ?」

「その通りです」響が頷く。「そして──」

 

その時ノックの音が響いた。

 

「失礼します」

入ってきたのはスーツ姿の男性。政府直属の研究機関員だと名乗る。

 

「黒騎士様 少々お時間をいただけますでしょうか」

「どうぞ〜♪」主人公が快諾する。「何のお話ですか?」男性が咳払いをして言う。「実は貴方様のアバター群について……」

 

「わかってるよ☆」主人公がウィンクする。「私のデータ欲しいんでしょ?」

「その通りです」男性が目を見開く。「どうしてそれを?」

 

「だって毎晩夢の中で教えてくれるもの♪」主人公がくすくす笑う。「黒騎士ちゃんがね〜」

 

一同が凍りつくような沈黙に包まれる。唯一黒騎士だけが静かに目を伏せていた。

 

「わかりました」男性が姿勢を正す。「では正式に要請致します 貴方様の協力を──」

 

「ダメ♪」主人公が即答する。「私の大切な子たちを勝手に調べられたくないし☆」

 

男性が困惑した表情を見せる。

 

「でも一つだけお願いがあるんだ」主人公が真剣な顔つきになる。「今夜八時に○○研究所まで来てください」

 

「研究所……?」男性が疑問符を浮かべる。

「そう♪」主人公がニヤリと笑う。「私の方から直接お話があるから☆」

 

男性が去った後室内は重苦しい空気に包まれた。

 

「主殿」響が真剣な眼差しで問う。「本当に宜しいのですか?」

「うん♪」主人公が明るく返す。「だって政府の人たちも私の力を使って色々やりたいんでしょ?」

 

「そうです」響が肯定する。「特に黒騎士の生体融合技術は軍事利用価値が高い」

 

「だからこそ私から提示してあげるの☆」主人公が楽しそうに語る。「条件付きでね」

 

「条件とは?」

「それはね〜♪」主人公が黒騎士に視線を向ける。「この子と一緒に過ごす時間を作ることよ」

 

黒騎士が微かに微笑む──ように見えた。

 

「なるほど」響が理解を示す。「つまり人権を保障しろということですね」

「そういうこと☆」主人公が頷く。「だって私にとっては家族みたいな存在なんだもん♪」

 

全員が納得した表情を見せる。その夜ついに運命の時が訪れる──

---

 

 

 

# 第十五章:深夜の研究所〜交渉の舞台裏〜

 

## □午後七時五十分・○○研究所前

 

「わぁ〜♪立派な建物だねぇ〜☆」

月明かりに照らされる巨大な施設を見上げながら主人公が呟く。周囲には厳重な警備体制が敷かれている。

 

「主殿」響が静かに告げる。「念のため全員戦闘モードへ移行しますか?」

「ううん♪」主人公が首を横に振る。「今日は話し合いだからね〜♪」

 

主人公は自信に満ちた表情で正門へと向かう。警備員が身構えるも──

「こんばんは〜♪黒騎士でーす☆」

その愛らしい笑顔と人懐っこい態度に毒気を抜かれた様子で門を開けた。

 

### ■午後八時・会議室

 

豪奢な調度品が並ぶ室内。政府関係者と思しき面々が一堂に会している。中央には先程の研究機関員が座っていた。

 

「お待ちしておりました」彼が恭しく一礼する。「どうぞお掛けください」

 

主人公が席に着く。背後にはアバターたちが並んでいるが戦闘態勢ではなく礼儀正しい姿勢だ。

 

「早速ですが本題に入りましょう」男性が切り出す。「我々は貴方様の協力を──」

 

「その前に一つ聞きたいんだけど☆」主人公が遮る。「私の黒騎士ちゃんのこと調べてるでしょ?」

 

一同が息を飲む。男性が苦々しい表情を見せる。「それは……」

 

「誤魔化さないで♪」主人公が笑顔のまま続ける。「だって夢の中で全部聞かせてくれたもの♡」

 

「どういうことだ?」別の男性が狼狽する。

 

「説明しましょうか☆」主人公が楽しそうに言う。「実は私のアバターちゃんたちって──」

 

突然黒騎士が前に出る。その顔には微かな笑みが浮かんでいた。

『ご主人様の許可を得ました』

澄んだ女性の声が室内に響く。

 

「なっ!?喋った!?」

一同が騒然となる。男性が慌てて椅子から立ち上がる。

 

『私は生体融合型AIです』黒騎士が淡々と語る。『本来ならば完全自律思考可能な存在です』

「そんな馬鹿な……!」研究員が否定しようとする。

『嘘ではありません』黒騎士が続ける。『ただ一点……私はご主人様に絶対服従しております』

 

主人公が満面の笑みで頷く。

「そういうことよ☆」

 

### ■午後八時三十分・交渉本番

 

「それで条件は何だ?」政府高官らしき男が苛立ちを隠さずに問う。

「簡単ですよ〜♪」主人公が指を一本立てる。「黒騎士ちゃんと私の自由時間を確保すること☆」

 

「自由時間だと?」

「そう♪」主人公が嬉しそうに言う。「毎週日曜日の午前中は私たちだけのプライベートタイムにしたいなぁって♪」

 

一同が顔を見合わせる。研究員が恐る恐る口を開く。

「ですが……その……」

 

「心配しないで♪」主人公がウインクする。「代わりに毎週金曜日に私が研究所へ来て色々お話してあげるから☆」

 

「本当か?」高官が疑いの目を向ける。

「嘘じゃないよ〜♪」主人公が保証する。「ただし条件があるの」

 

「言ってみろ」

「黒騎士ちゃんに危害を加えないこと!」主人公が毅然とした態度で告げる。「もし守れないなら協力はなしよ☆」

 

沈黙が流れる。しばらくの後高官が深い溜息をついた。

 

「わかった」渋々ながら同意する。「だが定期的なデータ採取は必要だぞ?」

 

「いいわよ〜♪」主人公が快諾する。「でも黒騎士ちゃん本人が嫌がらないようにね☆」

 

「約束しよう」

 

契約書が取り交わされる。主人公は満足げな表情でサインした。

 

### ■午後九時・研究所廊下

 

「お疲れさま♪」主人公が黒騎士の肩を叩く。「うまくいったね☆」

『ご主人様のお陰です』黒騎士が静かに答える。『しかし……』

 

「ん?どうしたの?」

『彼らは必ず約束を破ります』黒騎士が断言する。『私がそれを察知できますから』

 

「大丈夫☆」主人公が黒騎士の手を握る。「だって私が守るんだもん♪」

 

黒騎士の目が一瞬潤んだように見えた。

 

「さぁ帰ろっか♪」主人公が微笑む。「みんな待ってるし☆」

 

アバターたちに囲まれながら主人公は研究所を後にする。夜空には星々が瞬いていた──

---

 

 

 

 

# 第十五章:深夜の研究所〜祝杯の舞踏会☆〜

 

## □午後九時十五分・○○研究所前

 

「やったぁ〜♪大成功だよみんな☆」

車両から降り立った主人公が両手を広げて夜空を見上げる。星々がまるで祝福するように瞬いている。「主殿」響が静かに問いかける。「あの契約書の内容は安全でしょうか?」

「大丈夫だよ〜♪」主人公がニコニコと答える。「だって私たちが本気出したら研究所なんて一秒で消し炭だもん☆」

 

一同が固まる中黒騎士だけが微かに頷く。

『確かに』

 

「まぁでも」主人公が急に真面目な表情になる。「もし本当に約束破ったら……」

「破ったら?」

「その時は……」主人公が悪戯っぽくウインクする。「黒騎士ちゃんと一緒に逃げちゃおっかな♪」

 

黒騎士の目がキラリと光る。その胸元で小さな金属球が揺れている並んでいる。中には主人公の大好物ばかり。

 

「これ全部響ちゃんが?」

「はい……主殿がお好きなメニューを思い出しながら……」

 

主人公が感激のあまり響に抱きつく。

 

「すごいよ〜♪最高のシェフだね☆」

 

周りのアバターたちも温かい笑顔を見せる。黒騎士までもが微かに頬を緩ませているようだった。

 

### ■午後十一時・夕食後

 

「ごちそうさまでした〜☆」

 

お腹いっぱいになった一同が食卓を囲む。主人公は満足げにお茶を啜っている。

 

「さてさて〜♪」主人公が両手をポンと叩く。「明日からは通常営業!ダンジョン探索も再開だよ☆」

 

「どこに行くんです?」ヴァネッサが目を輝かせる。

「それはねぇ〜♪」主人公が意味深な笑みを浮かべる。「秘密☆」

 

全員がキョトンとした表情になる。

 

「ヒントを言えば……」主人公が人差し指を立てる。「今まで行ったことのない場所だよ〜♪」

 

「ほう?」奏が身を乗り出す。「まさか海底都市とか?」

 

「ブー☆」

「じゃあ空の城か?」翼が推測する。「それとも未来世界か?」

「ブブー☆」

 

「──例の「シンクロ・ユニット」だ。

 

### ■午後十時・帰路途中

 

「お腹すいた〜☆」主人公がぽてっと座り込む。「どこか寄り道しちゃおっか?」

 

奏が呆れ顔で言う。「こんな時間にかよ?コンビニくらいしか……」

 

「そうだ!」主人公がポンッと手を打つ。「この先の公園でピクニックしよ〜♪」

 

「はぁ?」奏が素っ頓狂な声を上げる。

「いいわね」マリアが意外にも賛同する。「夜の公園で月明かりの下……素敵なアイデアだわ」

 

響が冷静に対応する。「承知しました。それでは食材と飲み物を準備いたします」

 

### ■午後十時三十分・公園内

 

「わぁ〜綺麗☆」

丘の上に広がる芝生にシートを敷き詰めた一行。月光が水面のように反射して幻想的な雰囲気を醸し出している。

 

「さぁ食べましょ〜♪」主人公がお菓子の箱を開ける。「今日は特別版!プレミアムチョコレートケーキ☆」

 

「おぉっ!」奏が目を輝かせる。「こういうときのお前のセンスは最高だな!」

 

全員が輪になって座りケーキを頬張る。甘い香りが鼻腔を擽り幸福感が満ち溢れる。

 

「幸せだねぇ〜♪」主人公が満面の笑みを浮かべる。「こんな毎日が続けばいいのに☆」

 

翼が静かに頷く。「えぇ……この平穏を守りたいものです」

 

「そのためには修行が必要ね」マリアが決意を新たにする。「もっと強くならないと……」「そうね☆」主人公が頷く。「でも今は楽しもうよ〜♪」

 

「では乾杯!」主人公がジュースの瓶を掲げる。

「乾杯!」全員の声が重なる。

 

### ■午後十一時・ダンスパーティ

 

「わーい踊ろうよ〜♪」主人公が立ち上がる。「曲はこれだよ☆」

 

スマホから流れるのはシンフォギアシリーズのテーマ曲。アバターたちが自然と立ち上がり踊り始める。

 

「えっと……」奏が恥ずかしそうに言い淀む。「俺……踊り方とかわからんぞ?」

 

「大丈夫☆適当でいいんだよ〜♪」

主人公が奏の手を取りステップを教える。最初はぎこちなかったが徐々にリズムに乗ってくる。

 

一方で──

 

「翼!あなたも来るべきだ」マリアが手招きする。

「私は……」

「遠慮は無用よ」

結局全員が輪に加わり夜空の下で踊り続ける。黒騎士さえも微かに体を揺らしているようだった。

 

「きゃはは〜♪楽しいねみんな☆」

 

主人公の笑顔が月明かりに照らされて輝く。その姿はまるで妖精のように儚く美しい。

 

「主殿」響がそっと囁く。「この時間が永遠に続くといいのですが」

 

「大丈夫だよ〜♪」主人公が確信を持って答える。「だって私がいるんだもん☆」

 

全員が主人公を見る。その瞳には揺るぎない信頼と希望の光が灯っていた──

 




これにておしまいみたいです。
何度かサイトに再作成を試みましたが全て似たり寄ったりの終わり方していたのでこれにて簡潔とします。
いや~色々と酷かった(他人事)、が、自分的にはおもしろかった部分もいくつかあったから今後もAI任せにした小説作って投稿するかも?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。