お前女だったかカードゲーム   作:蓮太郎

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4. 因縁作るべからず

 

「『希望戦士ライトレイ・ヴァルキュリア』で攻撃!」

 

「うぐぐぐ、『オッドアイ・オーガ』で防御…………っ!?」

 

「残念ね、『希望神父』がいる限り、私のモンスターは防御されない!」

 

「ち、ちくしょおおおおっ!」

 

「対戦、ありがとうね」

 

 津久葉キボウと阿佐美オウカのバトルは、キボウに軍配が上がることとなる。

 

 オウカが操るオーガ達の猛攻を凌ぎ、希望を見出したバトルは誰が見ても白熱したものであった。

 

 それでも諦めず逆転を狙い続ける事こそキボウの戦い。

 

 逆境になればなるほど強くなる『希望』シリーズの力を思い知らされる戦いであった。

 

「くそっ!勝てなかった!」

 

「私の方が強いからね」

 

「自慢げに言うな!」

 

「…………殴るとは言わないんだ」

 

「ふん、こんなのに言われても怖くはないだろ」

 

 確かに顔は男も顔負けな凛々しさを持つオウカであるが、ゴスロリの服装である故に強者と可愛さのギャップで中和されてしまっている。

 

 そのギャップに面食らって本来の恐ろしさを忘れてしまっているだろう。

 

 とにかく1勝、後の布石に繋がる一歩を踏み出したという訳だ。

 

「オーガも相当強くなってる…………本当に浮かれてる暇がない」

 

 しっとりし始めていたキボウの湿度も一気に乾いたことを嫌でも気づく。

 

 カイザー神楽坂に挑むのは最後にしようと進言したのはアキバだったのだ。

 

『いいでやんすか?いきなりアタックは不快感を煽るだけでやんす。この大会でカイザーは色々と狙われる立場になるでやんすから、疲れたところを優しくしてあげるか余計な奴らを蹴散らせてあげることが吉でやんす。わかったでやんすか?え、バトルに集中したいから黙ってろでやんす?はい…………』

 

 バトル中に囁いてきた言葉は忘れていない。

 

 昔にバトル中、横から変な契約を持ちかけられ適当に返事してしまってせいでアイドルをやる羽目になったこともある。

 

 女とバレていなかったとはいえ、もし本当にデビューしてしまっていたら後が大変なことになっていただろう。

 

 確かに自分と同じようにカイザーを狙う不届き者は多くいるだろう。

 

 関係ない、全部潰す…………と言いたいがオーガを相手にしてよく分った。

 

「こりゃあ消耗戦だ。先にバテたやつから脱落するって仕組みね」

 

 大会はトーナメントではなく総当たりのようなもの、いつでもどこでも誰とでもバトルすることが出来る。

 

 碌な休憩時間はなく、よほどの物を見立てなければ休むことすらままならないだろう。

 

「おい、津久葉」

 

 そう、このように後ろから声を掛けられる。

 

「お前は…………っ!」

 

「そうだ、あたしだ」

 

「誰だよ、全部変わってて分かんねえよ」

 

「んだとぉ!?この「見つけたぞ津久葉!」を忘れたってのか!」

 

「待てぇい!そこの津久葉ユウキを倒すのは、このわたし「居たぞユウキクンッ!」である!」

 

「待って、かぶせないで思い出せない」

 

 過去にバトルで因縁がある相手がわんさか現れるが、自分と同じように大きく容姿が変わっているため一目で判別できないのだ。

 

 目頭を押さえながら必死に思い出そうとするが、どうしても思い出すことが出来ない。

 

 一体誰だったか、昔のライバルたちを思い出そうとしても自分と同じようなクソガキしか出てこない。

 

 自分もバトルが強すぎて相当のクソガキではあった。ちょっとした黒歴史を思い出すことはできても目の前にいる人物たちは思い出せない。

 

「ええい、誰だか知らんがバトルだ!全部ぶっ飛ばせば同じことぉ!」

 

「なんだとぉ?」

 

「ええい、舐めてるなあ」

 

「であえであえ!仇が出たぞ!」

 

「いつの時代よ…………」

 

 ソシャゲに出てきそうな姫武将の掛け声に呆れるキボウ。

 

 だが、姫の力を舐めてはいけなかった。

 

「津久葉ぁー!」

 

「ここであったが百年目ぇ!」

 

「何で女の子なんですか!?私の純粋な思い返して!」

 

「お前に彼女とられた!振られたといってたけど帰ってこなかったぞ!」

 

 続々とキボウの元に集まってくる刺客。見覚えがある者も居れば全然分からない者も多数いる。

 

「あ、やばいかも?アキバ、スナオ!手伝って…………」

 

 いくら何でもこの量はやばい、喧嘩売りすぎたか子が今になって押し寄せてきたのだが自業自得と言えるのだろうか?

 

 なお、手伝うための友人はというと。

 

「うっひょー!まさか本家大本の『ぷるりんちゃん』を拝めるとはついてるでやんす!」

 

「どうでしょー、アイドルの恩恵なのだ!」

 

「何やってんだアホメガネェ!」

 

 オタクはアイドルカードに夢中になってバトルどころか周りに集中できていなかった。

 

「(こいつ、お父様の取引相手の娘ですわね)」

 

「(この人、お母様の取引相手の娘だったんだ)」

 

「「((どうしよう、関係にヒビが入りそう))」」

 

「そこは何で膠着してるんだよおおおっ!?」

 

 互いに取引相手と言うことを認識してしまった令嬢達はあまり動かずにいた。

 

 孤立無援、既に10人は集まっている相手を連続で相手にしなければならない。

 

「〜〜〜〜〜っ!やってやろうじゃねえかこの野郎!全員ぶっ潰してやる!」

 

 優勝するためにも勝利数は必要と吹っ切れキボウはデッキを取り出す。

 

 長く苦しい戦いが続くと思われても立ち上がらなければならない。

 

 一目惚れしたカイザー神楽坂と並ぶためにキボウは戦い続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってな訳で10連戦してきた」

 

「…………大変だったな」

 

 そしてカイザーとベンチに座り今に至る。

 




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