ストーリーなぞってちゃんと完結できた試しが無いので踏みとどまってます。
一体、いつ何処で。俺が何をしたというのだろう。
そう現実逃避しながらも、目の前の彼女の光の無い、吸い込まれるような瞳から目が離せない。
「八嶋先輩...好きです。凄く...すーーーーっごく。好きです」
結城友奈。
俺の一つ下の後輩に当たる彼女が何故こうして俺に迫っているのか、本当に理由が分からない。
なぜ
「ほんとは抜け駆けしちゃダメって、皆で決めてたんですけど...えへへっ。私、悪い子ですよね...」
何故こんなにも
「八嶋先輩...?どうしてって顔、してますね。だから、1つずつ、お話します」
深く暗い瞳を。
俺は、所謂転生者と言うやつだ。
前世でアッサリと事故死し、気が付けばこの世界に生まれ変わっていた。
一見して前世の世界と何ら変わりない世界にも見えたが、直ぐに違和感に気がついた。
『ワタル?お手手を合わせて、『神樹様』にちゃんと心を込めてお祈りするの』
それは神樹様と呼ばれていた。
この世界は、数百年前、未知のウイルスに侵され、人類は壊滅状態に陥った。そこで残った僅かな人類を守るべく、神々が力を合わせて産まれたのが、神樹様らしい。
その神樹様に守られ、今日まで生きながらえている。
その神樹様を称え「神世紀」なんてものが現在の元号になっていると聞いた時は、正直耳を疑ったが。
そんな感じで、前世の日本での四国にあたるこの僅かな領土が、唯一の人類の安住の地なのだ。
というのが、表向きの話。
実際はかなり違う。
人類を壊滅状態に陥れたのは、ウイルスなんかでは無い。それらは「バーテックス」と呼ばれる。
人類を見限った天の神が生み出した化け物。それが西暦の時代、突如空から落ちてきた。
比喩表現ではなく、本当に降ってきたのだ。そして人を次々に殺し回った。
そこで人類に味方する地の神々が集い、神樹様が産まれ、四国に巨大な結界を張り巡らせた。
そうして一先ずの安寧は訪れた。
しかし、そこで諦める程天の神は優しくない。当然その結界をぶち壊し、人類を根絶やしにするべくバーテックスをけしかけてきた。
そんな時、人類の守護者として矢面に立ったのが、「勇者」と呼ばれる少女達だった。
神に選ばれた彼女達は、人智を超えた力を発揮し、バーテックスと戦った。
それがこの世界の本当の歴史って訳だ。
そして件の後輩、結城友奈も、その勇者の一人である。
西暦の世から時が経つこと300余年、再び侵攻を始めたバーテックスに立ち向かうため選ばれた少女達の一人。
天真爛漫で誰に対しても優しく、人気者の彼女。それが何故俺に対してそんな目を向けているのか、心の底から理解出来ない。
「八嶋先輩は、八嶋先輩自身が思ってるよりも、ずっと...ずっと優しい人です。」
そうだろうか?俺はただ、心優しい彼女達が傷付く事に、無性に腹が立って、好き勝手暴れ回っただけなのに。
「むう...すぐそうやって自分を卑下するんですから...」
卑下してる訳じゃなくて、本当にそうなのだ。
バーテックスという怪物を相手に、知らぬ間に戦う羽目になった彼女達を見て、そんなのあんまりだと憤慨し、少しばかりズルをして、少女しかなれないハズの勇者になって。
そして好き放題暴れた。
スっとした。好き勝手に人類を踏みにじろうとする怪物をぶっ飛ばした時はスカッとした。
それだけだ。
「でも、それだけじゃない。八嶋先輩は、いつだって誰かを思いやっていました。」
「初めてバーテックスと遭遇した時、震える東郷さんの手を、優しく握ってあげたのは八嶋先輩です」
「皆を巻き込んでしまったと自分を責める風先輩の背中を叩いて、前を向けるようにしたのは八嶋先輩です」
「夏凜ちゃんが、自分だけ満開しなかった事を気にしてた時、それとなくフォローしてたのも八嶋先輩です」
「声が出せなくなった樹ちゃんを見て、なにか出来ることはないかと、医学のお勉強をしていたのも八嶋先輩です」
「そして、一人で祟りを抱え込んで、一人で突っ走った私を、東郷さんと一緒に助けてくれたのは八嶋先輩です」
.......俺は
「あ、でも銀ちゃんと園ちゃんはもっと凄いことになってるので、覚悟してくださいね?」
思わず思考が固まる俺にさらなる爆弾情報を投下していく友奈。
まて、凄いことになってるってなんなんだ。どういう事だ。
「って、もうこんな時間になっちゃいましたね。お返事は後でで良いので、では!」
待て、ちょっと待ってくれ。せめて少しだけでも説明を!
八嶋 ワタル(やしま わたる)
例のごとくテンプレ転生男オリ主。
ストレス発散のためだからとか抜かしながらバーテックスボコボコにして怪我しまくって、あと勇者部の為に奔走して彼女達の脳みそをこんがりレンチンした。
責任取れ。
結城友奈
原作主人公、中学2年生のとっても可愛い女の子。
主人公のせいで中二にして男性観をぐっちゃぐちゃのボコボコに破壊された可哀想な子。
自分は1番じゃなくてもいいから傍に居たいタイプ。