某海賊漫画に転生したHERO好きな決闘者   作:タンの串焼き

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番外編
番外編1


「おいおい十代ィ! 今日はいつにも増して気合が入っとるようじゃな!」

 

マリンフォード裏の、ゴツゴツとした岩肌が剥き出しになった広い演習場。ガープおじいさんは、俺がポケットから何枚ものカードを抜き出して扇状に構えるのを見て、嬉そうに白い髭を震わせた。

 

「へへ、そりゃそうさ。おじいさんの脳筋メニューに生身で付き合ってたら、何個命があっても足りないからね。今日は俺の『本気』……融合モンスターのフルコースでお相手してあげるよ!」

 

俺は精神力を極限まで高め、脳内で『融合』の魔法カードを発動するイメージを強く、強く描き出す。前回の特訓で五体同時召喚の負荷を経験したことで、俺の精神力(魔力)のキャパシティは確実に広がっていた。

 

「いくぜ、おじいさん! まずは小手調べだ! 『E・HERO バブルマン』と『E・HERO フェザーマン』を融合!」

 

ガシィィィン!と、俺の背後に巨大な融合の渦が巻き起こる。二体のHEROが光となって渦に吸い込まれ、水流と突風が激しく交差した。

 

「──舞い降りろ! 『E・HERO セイラーマン』!!」

 

激しい水しぶきと共に姿を現したのは、暗青色の鋭利なアーマーを纏い、背中にマントをなびかせた海の戦士だ。その手には巨大な鉄の碇(アンカー)が握られており、仮面の奥から覗く眼光はゾッとするほど鋭い。ダークヒーローのような凄まじい威圧感を放ちながら、セイラーマンは地面に着地した。

 

「ほう! 今度は海の戦士か! 碇を武器にするとは、海軍にピッタリのいい面構えじゃのう!」

 

ガープおじいさんが拳を構えて突進してくる。だが、俺はすぐに次のカードを突き出した。ニヤリと笑う余裕だって、今の俺にはある。

 

「休む暇は与えないぜ! すぐに次だ! 『E・HERO クレイマン』と『E・HERO バーストレディ』を融合! ──現れろ、地熱の戦士『E・HERO ランパートガンナー』!!」

 

セイラーマンの隣に、巨大な盾と大砲を装備した重装甲のHEROが降臨する。ランパートガンナーはすぐさま、突撃してくるガープおじいさんに向けて砲撃を開始した。

 

ズドォォォォン!!!

 

「ガハハハ! 効かんわい!」

 

おじいさんは放たれた砲弾を素手で叩き落とし、そのままの勢いでセイラーマンの懐に飛び込んで拳を放つ。セイラーマンは巨大な碇を盾のように構えてその重い一撃を受け止めるが、やはりおじいさんの怪力にじりじりと押され始める。

 

「くっ、やっぱりおじいさんの生身のパワーはバケモノだな……。なら、守りを固めつつ、さらに場を繋ぐ! 『E・HERO クレイマン』と『E・HERO バブルマン』を融合!!」

 

再び発生した渦の中から、鉄壁の硬度を誇る巨大な球体の戦士が姿を現した。

 

「──頼んだぜ、『E・HERO マッドボールマン』!!」

 

ドシィィィン!!と地響きを立てて現れたマッドボールマンが、その圧倒的な巨体と驚異の守備力(3000)を誇るボディで、ガープおじいさんの追撃をがっちりと受け止める。重い打撃音が響くが、マッドボールマンはびくともしない。

 

「ほうほう! 今度は随分と頑丈な奴が出てきたのう!」

 

「へへっ、足止めは完了だ! これで本命を決める! 『E・HERO スパークマン』と『E・HERO クレイマン』を融合!!」

 

走る青い電撃と、轟く泥の地響き。二つの大いなる力が渦の中で交じり合い、これまでの融合モンスターとは明らかに一線を画す、圧倒的な質量を持った巨体が姿を現した。

 

「──轟け! 『E・HERO サンダー・ジャイアント』!!」

 

ドォォォォォン!!!

 

演習場が激しく揺れる。全身を強固な黄金の装甲で包み、右腕からバチバチと凄まじい高電圧を放つ、攻撃力2400の巨人HEROがそこに立ちはだかった。

 

「サンダー・ジャイアントの効果発動! 元々の攻撃力がお前より低いモンスターを一体破壊する! ……っておじいさんの攻撃力(戦闘力)はカード化されてないから分かんないけど、この際関係ねぇ! 喰らいな──『ヴェイパースパーク』!!!」

 

サンダー・ジャイアントが咆哮し、右腕から放たれた極大の電撃ビームがおじいさんに向けて放射された。演習場の地面が熱でガラス化し、白い煙が視界を覆う。

 

「ハァ……ハァ……やったか!?」

 

俺は膝をつき、激しい息切れをしながら煙の向こうを凝視した。一度に何体もの融合モンスターを入れ替えながら維持し、さらに効果まで発動したんだ。今の俺が出せる、文句なしの最高火力。

 

だが──

 

「ガハハハハ! 痺れたぞ、十代! 実に心地よい刺激じゃ!」

 

煙を割って現れたのは、衣服が少し焦げた程度で、完全に無傷のガープおじいさんだった。その両拳は、漆黒の『武装色の覇気』で禍々しくコーティングされている。

 

「お前の『ゆうごう』とやらの力、しかと見届けた! 技の多彩さ、破壊力、どれも一級品じゃ! ──だが、戦場ではこれを超える一撃が飛んでくると思えぃ!」

 

ガープおじいさんが拳を振りかぶる。

 

「ウィングマン以外の奴らも、みんな最高にカッコいいだろ……! 今日はここまでだ、みんな戻れ!」

 

俺が脳内で叫ぶと同時に、サンダー・ジャイアントたちの巨体が光の粒子となって消滅した。それと同時に、俺の意識も急速に遠のいていく。

 

「ぶはっ……限界、ターンエンド……」

 

どさ、と仰向けに砂の上に倒れ込む俺。

 

ガープおじいさんは振りかぶった拳を引っ込めると、呆れたように笑いながら俺の隣にしゃがみ込んだ。

 

「ガハハ、見事な意地じゃったわい。これほどの連発、センゴクのジジイに見せてやりたかったのう。よし、今日の特訓は終わりじゃ! 美味い煎餅でも食って、泥のように眠るがよい!」

 

「おじいさん……煎餅じゃなくて、肉がいい……」

 

ボロボロになりながらも、俺は空を見上げてニッと笑った。

 

今回はこれだけの融合が限界だった。でも、この限界の痛みの先には、さらなる進化が待っている。『シャイニング・フレア・ウィングマン』や、まだ見ぬ他のHEROたちの姿が、俺の魂のデッキの中で静かにその時を待っているのが感じられたからだ。

 

 

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