まじで嬉しい(´;ω;`)同年代の人達が遊戯王知ってなくて悲しいです。
「本当に……転生したんだなぁ、俺」
白い砂浜に腰を下ろしたまま、結城大雅──いや、今は遊城十代の姿となった彼は、どこか他人事のように呑気な声を呟いた。
水平線の彼方まで続く、どこまでも青い海。現世の汚れた空気とは一線を画す、生命力に満ちた潮風が鼻腔をくすぐる。どこを見渡しても人工物らしきものは見当たらず、背後に広がるのは、見たこともない巨大なシダ植物が鬱蒼と生い茂る原始的な森だけだった。
「さてと。大体の状況は分かった。問題はここからだ」
大雅は、十代お馴染みの赤いジャケットのポケットに手を回した。神様は確かに「HEROのカードを現実で召喚できる能力」をくれたと言っていた。しかし、現時点で彼の両手には何も握られていない。
「そう言えば、カードってどうやって出すんだ? デッキケースもディスクも身につけてないみたいだけど……。ん? なんか入ってるな」
右のポケットの奥に、硬質なカードとは違う、カサりとした紙の感触があった。
指先でつまみ出してみると、それは綺麗に折り畳まれた一枚の便箋だった。広げてみると、そこには丸っこくて可愛らしい、いかにもあの神様が書いたような文字が並んでいた。
【大雅くんへ】
まずは無事の転生、おめでとうございます!
あなたが今、首を傾げながら「カードはどうやって出すの?」と疑問に思っているところを見計らって、この手紙を残します。
モンスターカードや魔法・罠カードは、あなたの脳内で「出したい」と強く念じれば、自動的に手元へと現れます。逆に、不必要な時はまた「戻れ」と念じれば、霧のように消えてあなたの魂(デッキ)へと還ります。
実体化させて失くしてしまっても、また念じれば新品が手元に出てくるので安心してくださいね。
それでは、あなたの第二の人生に、最高のデュエルがあらんことを!
──女神より。
「なるほどね。相変わらず至れり尽くせりというか、おっちょこちょいの割にアフターケアは万全じゃん」
大雅は苦笑しながら手紙をポケットに仕舞い込んだ。
仕様は理解した。要するに、自分の思考がそのままカードのドローシークエンスになるわけだ。
「よし……じゃあ、記念すべき最初の一枚は、何のカードから出そうか……」
考えるまでもなかった。HEROを愛し、今やその象徴たる遊城十代の肉体を得た彼にとって、最初に呼ぶべき魂のコンビは、脳裏に最初から刻まれていた。
「──『E・HERO フェザーマン』、そして『E・HERO バーストレディ』!」
名前を口にすると同時に、大雅の右手の平がカッと眩い緑と赤の光を放った。
「うわっ、眩しっ!?」
思わず目を細める。だが、光は一瞬で収まり、大雅の指の間に『二枚のカード』が挟まれているのが分かった。
恐る恐る視線を落とす。
そこに視認できたのは、緑色の羽の鎧を纏った戦士のイラストと、燃え盛る炎を背景に妖艶に佇む女性戦士のイラスト。紛れもない、遊戯王オフィシャルカードゲームの、それも最高峰の印刷技術で作られたかのような、美しいホログラム加工が施された本物のカードだった。
「本当に……本当に出てきた……!」
大雅の全身に、鳥肌のような感動が駆け巡る。脳髄が痺れるほどの興奮だった。
「だって考えてもみろよ!? カード名を口に出すか、頭に浮かべるだけで、本物のカードが手元にポップするんだぞ!? 全世界のデュエリストが枕を高くして夢見た、究極のシチュエーションじゃねえか!!」
テンションが爆発した大雅は、砂浜を飛び跳ねながら、次々とカードを念じ、生み出していった。
「クレイマン! スパークマン! バブルマン! ワイルドマン!」
シュパパパパッ!と、大雅の指の間に次々とカードが挟まれていく。基本の四元素のHEROだけではない。
「ネクロ・ダークマン! エアーマン! ソリッドマン! リキッドマン! シャドー・ミスト! ブレイズマン!」
現世の環境デッキでもお馴染みの強力な効果を持つ『E・HERO』たちが、次々と手元に揃っていく。さらに実験は続く。
「いけるか……? 『D・HERO(デスティニーヒーロー)』……デッドリーガイ! ディストピアガイ! 『V・HERO(ビジョンヒーロー)』……ファリスにインクリース、ヴァイオンも! よっしゃ、一通り全部出せるぞこれ!」
コレクションカードのように扇状に広げられたカードたちは、どれも息を呑むほどに美しい。
モンスターだけではない。大雅はさらに思考を巡らせる。
「魔法カードは……『増援』、『E-エマージェンシーコール』、『ヒーロー・アライブ』……うん、HEROに関するサポート魔法は完璧だ。じゃあ、汎用魔法は? 『墓穴の指名者』……出た! 『死者蘇生』……これもいける! デュエルでよく使う制限カード級の魔法も、俺の意志一つで具現化できる。これ、マジで無敵なんじゃ……」
そして、大雅は最後に残した、自分にとって最も重要であり、このデッキの存在意義とも言えるカードを、強い眼差しで見つめた。
「さて、最後に出すカードは、もろちn……っと間違えた、勿論これだ!」
言い間違いを一人で照れ笑いしながら誤魔化し、右手を天に突き上げる。
「きなよ、魔法カード──『融合』!!」
ピキィン、と空間が鳴り、紫色の渦巻きが描かれた、すべての奇跡の始まりたる魔法カードが手元に収まった。
「最高だ……。よし! とりあえずカードの出し入れの方法と、カードプール(使える種類)は完璧に把握した。あとは……『召喚』の実験だな!」
大雅はカードを二枚選び、砂浜に向かってシュバッ!と鋭く突き出した。アニメのデュエルシーンを何千回と見返した彼だからこそできる、完璧なフォームだった。
「じゃあ早速──来い! 『E・HERO フェザーマン』! そして『E・HERO バーストレディ』!」
大雅の叫びに応えるように、突き出されたカードから、緑色の突風と、真っ赤な烈火の渦が巻き起こった。砂浜の砂が激しく舞い上がり、光の粒子が質量を持って固定化されていく。
光が収まったそこには──大雅の身長を遥かに超える、二人の「本物の英雄」が立っていた。
鋭い眼光を放つ緑の鳥人戦士、フェザーマン。
全身から陽炎を立ち上らせる、紅蓮の女戦士、バーストレディ。
二人のHEROは、目の前に立つ大雅の姿を見ると、静かに片膝を突き、胸に手を当てて頭を垂れた。
「「お呼びでしょうか、マスター」」
重低音の響くフェザーマンの声と、凛としたバーストレディの声が重なる。
「うおっ……! てか何となく思ってたけど、やっぱりHEROモンスターって喋るんだな……!」
実体化した彼らの圧倒的な存在感と、自分に対する絶対的な忠誠心に、大雅の胸は震えた。カードのテキストを超えた、確かな「命」がそこにあった。
「おう! 二人とも、よろしくな! 俺の新しい相棒だ、頼りにしてるぜ!」
大雅が気さくに、そして満面の笑みで親指を立てると、二人のHEROは驚いたように顔を見合わせ、それから嬉しそうに口元を綻ばせた。
「マスターの行く道は、我らの風が切り開きましょう」(フェザーマン)
「ふふ、可愛いマスター。私たちの炎で、どんな敵も焼き尽くしてあげるわ」(バーストレディ)
「頼もしいねぇ! よし、それじゃあ早速だけど二人とも……。この無人島から移動したいんだ。力を貸してくれるか?」
大雅は手元にある『融合』のカードを掲げた。
「この島には誰もいないみたいだし、まずは人がいる島に行って情報を集めたい。……だからさ、派手に行こうぜ!」
フェザーマンとバーストレディが力強く頷き、立ち上がる。
「魔法カード『融合』を発動! 俺はフィールドの『E・HERO フェザーマン』と『E・HERO バーストレディ』を融合!!」
大雅が叫ぶと、二人の身体が光のエネルギーへと変換され、天空へと昇っていく。頭上に巨大な融合の渦が発生し、二つの光が激しく混ざり合い、一つになった。
「摩天楼を駆ける不屈の翼! 炎の戦士と交わる時、新たな奇跡が舞い降りる! 融合召喚──現れろ、俺のいっちばん大好きなHERO!! 『E・HERO フレイム・ウィングマン』!!」
キィィィィィィィィィン!!!
大気を震わせる咆哮と共に、渦の中から一尊の巨大な影が舞い降りた。
右腕に巨大なドラゴンの頭部を宿し、左半身には純白の翼、右半身には漆黒のボディを持つ、大雅にとっての究極のフェイバリット・ヒーロー。
グラァッ!と、フレイム・ウィングマンが着地した衝撃で砂浜が爆ぜる。
「シャァァァァァッ!!」
ドラゴンの顎が開き、威嚇の咆哮を上げる。その迫力は、ONE PIECEの世界の大型猛獣すら平伏させるほどの威圧感だった。
「相変わらずカッコよすぎるだろ……! フレイム・ウィングマン、俺を乗せて、あの水平線の向こうまで飛んでくれ!」
「グルルッ!」
フレイム・ウィングマンは大雅の意図を察し、大きな左腕で大雅の身体を優しく、しかしがっちりと抱え上げた。
「よし、行こうぜ!」
ドンッ!!!
凄まじい脚力でフレイム・ウィングマンが砂浜を蹴る。爆風を残し、二人の身体は一瞬にして垂直に数百メートル上空へと跳ね上がった。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!? すっげぇぇぇぇ!!」
眼下に広がる島が、一瞬で模型のように小さくなっていく。フレイム・ウィングマンは純白の翼を大きく広げると、向かい風を切り裂き、猛烈なスピードで青い海の上を滑空し始めた。
風圧で顔が歪みそうになるが、大雅の心はこれ以上ないほどの興奮で満たされていた。憧れのHEROに抱かれ、新しい世界の大空を飛んでいる。これ以上の贅沢があるだろうか。
数十分ほどの飛行の後、遥か前方に、活気のある港町らしき島が見えてきた。
「よし、あの島に降りよう! ……ん? 待てよ、なんか様子がおかしいな」
大雅の視界に、港の周辺で上がる黒い煙が映り込んだ。
近づくにつれ、風に乗って微かに届くのは、人々の悲鳴と、下品な笑い声、そして大砲の破裂音だった。
「おいおい、上陸早々、イベント発生かよ……」
大雅は目を細めた。港には、不気味なドクロのマークが描かれた海賊船が数隻、横付けされている。武装した不逞の輩たちが島に乱入し、逃げ惑う市民を追い回し、商店から金品を略奪していた。
「ひゃっはー! 奪え奪えぇ! この島には海軍の駐屯地もねぇ、俺たち『鉄の牙海賊団』の独壇場だぁ!」
「命が惜しけりゃ、身ぐるみを剥いで置いていきな!」
泣き叫ぶ母親にしがみつく子供。それをあざ笑いながら、サーベルを振り上げる大柄な海賊。
「おい、クソ虫。そのガキごと細切れになりてぇか?」
「お、お願いです、お金なら出しますから、子供だけは……!」
海賊が冷酷な笑みを浮かべ、サーベルを振り下ろそうとした、その瞬間──。
空から、一筋の「紅蓮の流星」が猛スピードで突き刺さった。
「そこまでだ、悪党ども!!」
ドゴォォォォォン!!!
凄まじい衝撃波と爆炎が、港の広場を吹き飛ばした。
「ぎゃああああっ!?」
「な、なんだぁ!? 敵襲か!?」
爆煙が風に流され、徐々にその中心が見えてくる。
クレーターの真ん中には、見たこともない異形の戦士──フレイム・ウィングマン。そして、その肩から軽やかに飛び降りた、茶髪の少年が立っていた。少年はジャケットを翻し、海賊たちを鋭い眼光で睨みつける。
「だ、誰だてめぇは!?」
海賊の頭目らしき、全身に傷のある大男がサーベルを大雅に向けて怒鳴った。
大雅は、人々に背を向けて立ちはだかり、十代さながらに不敵な笑みを浮かべ、人差し指を鼻の頭に当ててみせた。
「俺? 俺は結城大雅──いや」
大雅は、腰のデッキに手を当て、力強く言い放つ。
「通りすがりの、**HERO(ヒーロー)**さ!」
「ヒーローだぁ!? 舐めやがって、ガキが一匹と、妙なペットが一匹で何ができる! 野郎ども、叩き殺せぇ!!」
「「「おおおおおっ!!」」」
数十人の海賊が一斉にサーベルや銃を構え、大雅たちに向かって突撃してくる。
しかし、大雅の心に恐れは微塵もなかった。それどころか、彼の血は決闘者として、そして正義の味方として、激しく沸き立っていた。
「いくぜ、フレイム・ウィングマン! 新世界最初のデュエルだ! 悪党どもにお前の必殺技を拝ませてやれ!」
「シャァァァァァッ!!」
フレイム・ウィングマンの右腕のドラゴンが、限界を超えて赤く加熱していく。口から溢れ出るのは、すべてを焼き尽くす超高熱の火炎エネルギー。
「これでお前らのライフポイントはゼロだ! 喰らいな──『フレイムシュート』!!!」
ドッ、と放たれた特大の火炎放射が、突撃してきた海賊たちを一網打尽にする。
新たな世界での、HEROの伝説が、今ここから狼煙を上げた。
第1話から使うAIを変えてみたので、なにかご感想あればよろしくお願いします(>人<;)
追記↓
まだ今後の内容とかをあまり考えていないで書いているので今後どんな展開にするかアンケートをするかもしれません。