某海賊漫画に転生したHERO好きな決闘者   作:タンの串焼き

4 / 10
なんか今日はとても調子が良くてアイデアが無限に浮かんでくるのでもう1話書きました!


第2話港町での決着と、規格外の影

「シャァァァァァッ!!」

フレイム・ウィングマンの右腕から放たれた『フレイムシュート』は、突撃してきた海賊たちを一網打尽にした。砂浜に激しい爆炎が渦巻き、数十人の海賊たちが悲鳴を上げて吹き飛んでいく。

その光景を特等席で見つめながら、俺──遊城十代の肉体を得た結城大雅は、拳を握りしめて興奮に震えていた。

「すげぇ……マジでアニメのまんま、いや、それ以上の大迫力じゃねえか……!」

これがHEROの力。俺の魂(デッキ)が紡ぐ、本物の奇跡だ。

大爆発の余波で煙が立ち込める中、海賊たちは完全に戦意を喪失し、地面にのびている。勝負あり、だ。最初のデュエルとしては満点以上の出来栄えだろう。

だが、これで終わりではなかった。

「お、おのれぇ……! 化け物め、調子に乗りやがってぇ!」

爆炎の向こう、港に停泊していた海賊船の甲板から、生き残っていた頭目が血走った目でこちらを睨みつけていた。奴は狂ったように叫びながら、船に備え付けられた巨大な大砲に火を点ける。

「悪魔の実の能力者か何か知らねぇが、船の大砲を喰らってひとたまりもあるかぁ! 島ごと木端微塵になりやがれぇ!!」

ドンッ!!!

鼓膜を震わせる爆音と共に、俺たちの頭上へ向けて、巨大な鉄球──砲弾が音を置き去りにして迫ってくる。

「しまっ……! ウィングマン、防いで──」

俺が注文をつけようとした、まさにその瞬間だった。

──ヒュオォォォォォン!!!

空気を切り裂く、フレイムシュートをも凌駕するほどの凄まじい風切り音が響く。

見上げれば、海賊船とは全く違う方向……遥か洋上から、**「もう一つの砲弾」**が、もの凄い質量と速度で飛来するのが見えた。

その『もう一つの砲弾』は、海賊が放った大砲の弾に空中で正確に直撃。凄まじい金属音を立てて火花を散らすと、なんと海賊の砲弾をそのまま押し戻し、あろうことか発射元である海賊船のど真ん中へと叩き落とされる。

ズガガガガガガガドンッ!!!!

「ぎゃあああああああ!? 船が、俺たちの船がァァァ!!」

頭目の悲鳴と共に、海賊船が真っ二つに叩き割れ、派手な水しぶきを上げて沈没していく。

「は……? え、何が起きたんだ!? 砲弾で砲弾を撃ち落とした……!?」

あまりの超展開に、俺は呆然と口を開けてその光景を見つめるしかなかった。んな曲芸みたいな真似、どこのどいつが……。

「ガハハハ! 賑やかじゃのう! 休暇中に美味い煎餅屋があると聞いて立ち寄ってみれば、妙な小僧が暴れておるわい」

沈みゆく海賊船の煙を割って、ずしん、と重い足音が響いた。

そこに立っていたのは、体格の良い、白いスーツの老人。背中には「正義」の二文字が刻まれた大きなマントを羽織り、片手には茶色い紙袋──煎餅の袋を握っている。

その顔を見て、俺の心臓がドクンと跳ね上がった。

「うそ、だろ……? モンキー・D・ガープ……!?」

「ん? ワシの名を知っておるか。有名税というやつかのう、ガハハ!」

間違いない。ONE PIECEの世界における伝説の海兵、海軍本部中将ガープだ。

原作の開始前ってことは、まだルフィも海に出ていない筈。そんな時期のガープが、まさかこんな辺境の島にいるなんて。

ガープはボリボリと音を立てて煎餅を齧りながら、鋭い眼光をこちらへ向けた。いや、俺というよりは、俺の隣に佇むフレイム・ウィングマンを凝視している。

「ほう……見慣れん姿じゃな。緑の羽に、右腕はトカゲの頭か? 動物(ゾオン)系の幻獣種……いや、それにしては妙な気配じゃな。悪魔の実の能力とは少し違う気がするのう」

「グルルル……」

ウィングマンが警戒し、低く唸り声を上げる。相手がただ者ではないと、本能で察しているんだ。

「ちょっと、おじいさん。いきなり人の相棒をトカゲ呼ばわりは勘弁してほしいな。こいつは立派な『HERO』、フレイム・ウィングマンだぜ!」

「ヒーロー? 聞かん名じゃな。……よし、どれ、ちょっと面を貸せぃ、小僧! 実戦に勝る素性調査はなしじゃ!」

ガープは煎餅の袋を懐に仕舞い込むと、不敵な笑みを浮かべて拳をポキポキと鳴らし始めた。

「えっ、ちょっと待っ──話を聞けって!」

俺の制止なんて最初から耳に入っていない。ガープの身体がブレたと思った瞬間、彼は一瞬で距離を詰め、その巨大な拳を容赦なく振り下ろしてきた!

「ウィングマン、受け止めて!!」

俺の叫びと同時に、ウィングマンが左の白い翼を盾のように構え、右のドラゴンの腕を交差させてガードに回る。

ズゥゥゥゥゥン!!!!

激突の瞬間、衝撃波が砂浜の砂を完全に吹き飛ばした。

ウィングマンの足元から大地が陥没し、凄まじいプレッシャーが俺にまで伝わってくる。ガープはまだ、覇気すら使っていないただの「素の手」だ。それなのに、攻撃力2100を誇る俺のフェイバリット・ヒーローが、じりじりと後ろへ押し込まれていく。

「くっ……これが、この世界のトップクラスの化け物の力かよ……!」

「ほう! ワシの拳をまともに受けて、骨も折れずに耐えるか! 剛毅なものじゃ、そのトカゲ男!」

ガープが感心したように声を上げ、拳を引き戻してバックステップで距離を取った。どうやら、本気で叩き潰す気はなかったらしい。ただの小手調べだ。

俺は大きく息を吐き出し、これ以上の戦闘は無意味だと判断して、脳内で強く念じた。

(戻れ、ウィングマン)

スウ、とフレイム・ウィングマンの巨体が光の粒子へと変わり、霧のように消えていく。そして俺の手元には、一枚の『E・HERO フレイム・ウィングマン』のカードが戻ってきた。それをごく自然に、ジャケットのポケットへと仕舞い込む。

その一連の流れを、ガープは目を丸くして見ていた。

「おいおい、今度は完全に消えたぞ? 体の一部が変わったわけでも、変身を解いたわけでもない。……小僧、今の奴はどこへやった?」

「内緒。俺の『魂(デッキ)』の中だよ」

「煙に巻くようなことを。……まあよい。お前のその様子、どうやら悪魔の実の波長とは根本的に違うようじゃな。海を呪われとる気配もない」

じっと見据えるガープの瞳には、敵意ではなく、純粋な好奇心と、どこか品定めするような光が宿っていた。

「改めて聞こう。小僧、お前は何者じゃ? どこから来た?」

俺はゴクリと息を呑み、十代の不敵さを意識して、ジャケットの襟を正しながら精一杯の笑みを浮かべてみせた。

「俺は結城大雅。……ま、今は遊城十代って名乗ってる。さっきも言ったけど、ただの『HERO(ヒーロー)』さ!」

「ヒーロー、じゃと?」

ガープは一瞬きょとんとした後、背後の壊滅した海賊たちと、怯えながらも俺に感謝の視線を送ってくる島民たちの姿を交互に見た。

「ひ、ヒーロー様、ありがとうございました……!」

「あの恐ろしい海賊たちを、一瞬で……!」

遠巻きにそんな声が聞こえてくる。

それを見たガープは、顎に手を当ててしばらく考え込んだ後──

「ガハハハハハハ! ヒーロー! 面白い、実に面白い小僧じゃ!」

腹を抱えて大笑いし始めた。あまりの豪快さに、こっちの緊張感が抜けてしまいそうだ。

「お前がやったことは、立派な『正義』じゃ。民間人を守るために戦い、悪党を挫く。海軍の若造どもに見せてやりたいくらいの手際じゃったわい。……おい、十代と言ったな」

ガープは一歩、こちらへと歩み寄ってくると、その大きな手が俺の肩をガシッと掴んだ。めちゃくちゃ重くて痛い。

「お前、行くアテはあるんか?」

「いや……実はさっきこの島に辿り着いたばかりでさ。ぶっちゃけ、右も左も分かんないんだよね」

「よし、なら決まりじゃ! ワシと一緒に来い。海軍に入って、本物の『正義の味方(ヒーロー)』にならんか?」

「え……? 俺が、海兵に?」

まさかのスカウト。海軍本部中将からの、直々の勧誘だった。

「そうじゃ。お前ほどの腕と、その奇妙な能力があれば、あっという間に世界中の悪党を泣かせる本物のヒーローになれるぞ。どうじゃ、悪い話ではなかろう?」

頭の中で急速に思考が巡る。

今の俺には、この世界に関する知識が圧倒的に足りない。ルフィたちが海に出る前のこの時代、海軍という最大の組織の庇護下に入り、そこで力を蓄えながら世界を知るというのは、これ以上ないチャンスなんじゃないか?

それに、何より──ガープの元で修行すれば、俺自身も、もっと強くなれる確信があった。

俺はポケットの中のカードたちに意識を向ける。相棒たちは、俺の選択を応援してくれているように、ほんのりと温かかった。

「……いいぜ、おじいさん。乗った!」

俺はガープの手を軽く叩くようにして、ニッと笑って親指を立てた。

「俺のHEROたちが、海軍の『正義』ってやつにどこまで通用するか……試してやろうじゃん! 楽しませてくれよな!」

「ガハハ! 口の減らん小僧じゃ! 気に入ったぞ、十代! よし、さっそく軍艦へ案内してやる。本部に着いたら、ワシの特訓をみっちり叩き込んでやるから覚悟しろよ?」

「げ、特訓……? いや、俺、座学とか堅苦しいのはパスなんだけど……」

「座学? 誰がそんな生ぬるいことを言うた。ワシの特訓は体で覚えるプログラミングじゃ! 谷底へ突き落としたり、夜の森に放り込んだりな!」

「それ、特訓じゃなくてただのサバイバルじゃねえか!!」

ガープの不吉すぎる笑顔と物騒なセリフに、俺は盛大に冷や汗を流した。ルフィが怪物並みに頑丈になった理由が、今すべて繋がった気がする……。

こうして、俺の新しい世界での物語は、原作開始前の海軍本部──その激動の特訓の日々から幕を開けることになったんだ。




もしかしたら深夜にさらにもう1話投稿するかもしれません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。